ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫 再び修行中!!A 後編


投稿者名:Kureidoru
投稿日時:(05/ 3/ 9)







タマモとの会話から約十分後。

「ただいま戻ったでござるよ〜」
「おう、おかえり。何か分かったか?」

裏口の偵察に行っていたおキヌとシロが帰ってきた。横島が二人を迎えつつ、聞いてみる。

「裏口の方は駄目でござるな。壁が崩れてどこが入り口だったのかも分からなかったでござる。瓦礫の断片の臭いはまだ新かったから、崩れたのは最近だと思うでござるよ」
「そっか、ありがとう。他に何か気がついたこととかある?」

そう言われるとおキヌとシロは顔を見合わせて何やら難しい顔をしながら言った。

「別段気にすることじゃないかもしれないんですけど…」
「ちょっと様子が変だったでござるよ」

それを聞いていかぶしげな顔をして聞き返した。

「変って・・・どんな風に?」
「いや・・・拙者達にもよく分からなかったんでござるが」
「地面に、何と言うか・・・凄い数の『跡』があったんですよ」
「・・・『跡』?」

今までの除霊経験の中で、そんなこと一度も無かった横島には思いもよらない返答だった。

「なんだか線みたいな跡が地面に無数に刻まれていたんですよ」
「最近になって雨が降ったせいか臭いは途切れていて何の跡かまでは分からなかったでござる」
「ふ〜ん・・・ま、いいや。ありがとうな、二人共」

とりあえずその謎の跡については何とも言えないので二人に適当に返事をしておいた。





 数分後、横島は現時点で集められる情報は全て集まったので三人を呼んで今後の事について話始めた。

「まず分かっていることは、
今回の仕事の相手は多分いつも美神さんが受けている仕事並の強さであるということ。
その場合、ここはケータイが圏外だからもしもの時に援軍は期待できないこと。
裏口が使えない以上、真正面からの潜入になること。
それに、俺は戦力になるかどうかまだはっきりとはしていないこと。
まず、ここまではいいか?」

三人が頷くのを待ってから横島は続けた。

「で、今ここに二つの提案がある。
一つ目はこのまま仕事を続けて屋敷に乗り込む。
これは仕事を続行することが出来るけど、正直かなり危険だと思う。なにしろ俺たちは今ランクC用の霊アイテムを持ってきているわけだしな。
もう一つは帰って体勢を立て直す。
こっちは一度帰ることになるから時間のロスが大きいし、ヘタしたら仕事を放棄したことになるかもしれない。けど、体勢を立て直す意味としてはかなり大きいと思う。
みんなはどっちを選ぶ?」

一通り説明し終えてから横島は三人に返事を促してきた。

「私はどっちでもいいですけど、出来たら続行したいですね。横島さんの修行ですし」
「拙者も同感でござる」

二人が口を揃えて言う。

「タマモはどう思ってんだよ?」
「別に私はどーでもいいわ。だいたい横島はどっちにしたいのよ?」
「えっ!?お、俺?」
「そーよ。あんたがリーダーなんだから、あんたの意見が第一でしょ?」

当然でしょ?といった顔をして横島を見る。

「い、いや、そーゆー事はいつも美神さんが決めてたからなぁ・・・;。いきなりんなこと言われても・・・」

腕組みして慣れない判断に頭を悩ませ始める横島。
するとそこで、嘲笑うかのようにタマモが挑発してくる。

「じゃあどうするのよ?まさか、このまますごすごと事務所に戻って師匠に助けでも請う?」
「・・・・・!」

 そう言われた瞬間、横島はさっきまでのおちゃらけた雰囲気が無くなり、代わりにいつに無く真面目な顔になった。
突然の変わり身にうろたえるタマモ達。

 そんな中、横島は重い口をゆっくりと開いてこう言い放った・・・。







 「帰ろうっ!!!」



  だあっ!!


「なぜそーなる!?」と三人が一斉にずっこける。
当の本人は言うが早いか帰りの荷造りに取り掛かり始めている。

「ちょっ、ちょっと!あんた本気で帰るつもり!?」
「ああ!お前の一言で決心がついた。帰って美神さんに助けを請おう!!」
「あ、あんたにプライドってもんは無いわけ;!?あんなこと言われたら普通は意地でもやってやろうって思わないの!?」
「うるへーーっ!!!命あってのGSじゃあっーー!!!」

いち早く立ち直ったタマモがすかさずツッコミを入れるが横島の方は滝のように涙を流しながら帰り支度の手を休めない。

「せ、先生?せめて中の様子を見るぐらいした方が・・・」
「そんなこと言ってどーにかなったらどーすんだよ!!『危ない場所は避けろ』って【地球の歩き方】にも書いてあるやろがっ!!」

シロのツッコミも受け流しつつ横島はコブラのトランクに荷物をしまいこみながら言った。

「だいたい、何でみんな事務所にいた時は乗り気じゃなかったのに今はそんなにノリノリなんだよっ!?」
「の、ノリノリって;。ここまで来ちゃったのに今更事務所にすごすご戻れるわけないでしょ?」
「俺は戻れるぞーーっ!!
 …そ、それによ・・・」

少し俯きながら横島は続けた。

「俺は今文珠を使っちゃいけないだぞ?みんなを守りきる自信もないし・・・」
「そんなの口約束じゃない。私達の命にも関わる事なんだから、使っても黙っててあげるわよ」
「・・・いや、美神さんと約束しちまったし、こればっかりは破れねぇよ・・・ゴメン」
「・・・・・・はぁ、真面目ねぇ。普段のあんたからは想像も出来ないわ」
「わ、悪かったな・・・;」

溜息交じりに言うタマモに対して照れながら続ける。

「だから、この件は俺も少しヤバいと思うし・・・今日のところは止めにしないか?」

と、再度すまなそうに提案した。
それを聞いて突然、おキヌが平然とした様子で聞き返した。

「なんで止めちゃうんですか?」
「へっ・・・?いや、だから、今言ったじゃんか!俺は文珠も栄光の手も使えないんだし、それに俺の修行のせいでおキヌちゃん達がケガしたらつまんないだろ?」

不意に思わぬ人物から思わぬ質問をされてうろたえながら、わたわたと説明する。
しかし、おキヌは調子を崩さずに再度聞き返した。

「別に横島さんが文珠を使えないから何なんですか?いつもみたいに除霊に行きましょうよ?」
「な、なっ・・・!?」
「文珠を使えようが使えまいが横島さんは横島さんじゃないですか。横島さんなら霊アイテムを使っての除霊ぐらい出来ますよ!」
「あ、あの・・・おキヌちゃん?俺の事を過大評価しすぎてない?俺、今まで霊アイテムなんて使ったことほとんど無いんだぞ?」
「じゃあ、今日から使えばいいじゃないですか?人間誰でも始めての時がありますから大丈夫ですよ」

横島はおキヌの発言に困惑していて何も言い返せないでいる。
そこに畳み掛けるようにおキヌが言った。


「それに、私・・・横島さんのこと、信じてますから」


少し潤んだ瞳で、かつ上目遣いでおキヌは横島のことを見つめる。



 ドキッ!



横島は思った。
ここでおキヌちゃんの言うことを断れば、男として、日本男児としては最低の人間になってしまう!断れるはずがあるわけない!!・・・と。

「……分かった、分かったよ!とりあえず中に入って様子だけでも見に行こう!」
「そうですか!じゃあ、荷物の準備をしてきますね!」
「えっ?」

おキヌはさっきとはうって変わって元気よく返事をする。
そして、おキヌの変わり身の速さに驚いている横島を尻目に、そそくさとコブラの方へ歩いて行ってしまった。

少し微笑みながら、トランクから霊アイテムを出してリュックに詰め始めているおキヌに、シロが意外そうな顔をしながら聞いてきた。

「いやはや、驚いたでござる・・・。おキヌ殿も大胆になったでござるなぁ・・・」
「え、あ、さっきの?えへへ・・・恥ずかしかったかな・・・」

少し照れながらも意味深な微笑みをしながら続けた。

「美神さんの助手をやってると色々と学ぶことが多いのよv」
「?そ、そうなのでござるか・・・?」

シロはこの時のおキヌが少しだけ小悪魔のように見えたという・・・。


 一方、横島の方はと言うと・・・。

「(ク、クソーーっ!!逃げ道が塞がれちまったぞ!!あ、アカン・・・俺、今日で死ぬかもしれん・・・。この若さでまだ死にとう無いぞチキショォッーーーー!!助けて美神さはーーーんっ!!)」






・・・・覚悟はまだ決まっていないようだ。












  〜つづく〜





<あとがき>
こんばんは、Kureidoruです〜。

今回は横島が覚悟完了(?)するまでです。
次回から屋敷に入ります。
慣れもしない伏線を張りまくってみましたが…きちんと回収出来るのやら不安です、、。

内容ですが、またまた強引過ぎる展開ですね;。寛容な精神で見てやってください(汗
後、4人同時出演だったり、美神さんが全く出てこなかったりするので話が進めづらいです・・・;。
横島へのツッコミ役はやっぱり美神さんでないと・・・。
・・・よくよく考えたら美神不在状態で話は進むんですよね。

・・・・・ぁぅぁぅ> orz。

では、反対票、賛成票、感想、お待ちしています〜。

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