ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…9


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 3/ 5)

あの後心眼に指摘されてからから気づいたのだが、何と東京タワーから降りる手段が無かったのだ。

文珠は全て使い切ってしまったため何か方法を考えなければならなかった。

映画の蜘蛛男よろしく栄光の手を伸ばし降りる手段を考えたが、

霊力を消費しすぎて精々20cm程までしか伸びずしかも不安定だったため断念。

駄目元で心眼の方もに何か方法が無いか聞いてみたがたが、生まれ変わったばかりのためか高い霊力も無く方法も無かった。

仕方がないので俺の霊力がある程度回復するまで東京タワーに居る羽目になった。

まあ、場所が特別展望台の上だっただけ良しとしよう。

全裸の10.11歳程の美少女と俺…やっぱ有罪だよな…

普通の展望台の場所だったら俺たちの居ることがバレ、想像するのもおぞましい事態になっていた可能性がある…

が、幸いというか何とかそう言った事態は避けられ、俺の霊力も戻り無事降りられる事ができた。

本当に助かった…


目覚めて見れば…9


「何ですって!!事務所をやめる!?」

「あっ…は、はひ…」

獣が威嚇するかように髪の毛を逆立てる吼える美神に対し横島まるでガマの油を出す蛙のように滝の汗をかきながら何とかそう答える。

「アンタ…どう言う心算?」

「いえ、たた一人前のゴーストス「何言ってんの!あんたがプロのGSになるには私の許可が要るのよ!」

「そうではな「良い!あんたがGSになるには、

今回取った資格の他に『横島クンはひとりででもちゃんと悪霊を退治できます』っていう私の保証が必要なのよ!」

「ちょっとまっ「だからあんたが一人前になったと思うまでは当分見習いスイーパーよ!馬鹿な事考えるのは止めなさい!」

(きっ、聞いてくれない…)

横島が理由を説明する前に全て美神が遮ってしまう状況だ。

(でも!ここで引く訳には行かないんだ…)

そう決意を固め横島は胸いっぱいに息を吸う。


〜少し前〜

「何?美神殿の事務所を止める?」

カオスとなっていた横島の部屋を心眼と二人ががりで何とか二人が暮らせる程度に片付け終えた時、

横島が爆弾発言をしたのだ。(別に心眼は驚いていないが…)

「ああ…一応相談しようと思ってな」

「ウム…我は特に構わんと思うが、理由が話せるのなら聞かせてもらおう」

高い位置で結んだ自分のポニーテールを弄びながら心眼がそういった。

心眼の時は感じなかったが人化し10.11歳の女の子特有の高い声でがこの口調だと少し違和感がある。

「えっと、幾つか理由があるけど…大きな理由は'目的'のためと心眼の事だな…」

「我の?」

「ああ…俺が力を隠してるの知ってるだろ?まさか『心眼が生まれ変わりました。これからもよろしく♪』なんて言えないからさ。

俺が除霊の時に会った妖怪ってことにしようと思ってるんだよ」

「なるほど道理だな…目的の事は問わんが…なぜ今の話と美神殿の所を止めるのが繋がるのだ?」

まあ至極もっともな疑問を心眼が口にする。

「当然だけど『除霊中に会いました』って言い訳を使うには、

一人で除霊をしてる最中じゃないと難しい…そのためにはある程度認められて一人で除霊を任せてもらえないと駄目だろ?

でも、美神さんはどんなに俺が強くなっても当分認めることがほぼありえ無い…それだと無理だからな」

史実として横島が正式に一人前のGSとして認められたのは高校卒業の時で、

一年後輩であるはずのタイガーよりも遅れたのである。

さらにいえば美神と所だと除霊の殆どは美神とおキヌと一緒に居る事になる。

そうなれば横島も何時まで'力'を隠せるのか判らない。

(それに、文珠が使えるようになるまで俺が居ても居なくても余り関係無いんだよな。

…一応、'警/戒'の文珠を使って大きな事件の時に手伝えば大丈夫だろう)

ようは美神の所で歴史通りに居るメリットよりデメリットの方が大きい…横島はそう考えたのだ。

まあ、裏の事情として、もう一度チョコレートをオカズに白米を食べるような、

'アノ'赤貧をやりたくないっいてのも巨大な理由があるがこれは内緒である。

「理由は判ったが、どうするのだ?

美神殿の所を止めても一人前になれるわけではあるまい?誰か師事をするアテはあるのか?」

「ああ、今の俺が知ってるプロのGSは4人…美神さん冥子さんエミさん、そして唐巣神父…

さすがに、美神さんの所を止めてライバル視しているエミさんの所に入るわけには行かないから、

必然的に冥子さんか唐巣神父の所って事になるけど…ここで相談。冥子さんの方はお金の心配が必要ないと思う、

…'六道'名前があるから俺みたいな新米でもかなり良い仕事が回してもらえると思うんだ。

今蓄えが殆ど無いから正直これは大きい。

でも、冥子さん自身一種の天才だから力を付けると言う観点から見ると学べる事は殆ど無い。

逆に唐巣神父の方は金銭的な依頼は余り期待できないけど学ぶモノはとても多いと思う。

俺のした修行ってどちらかと言うと一気に霊力を上げる邪道的なもんしかやってないから…で、どっちがいいと思う?」

「そんれならば何を悩む?唐巣殿の方にするべきだろ」

「えっ…そんな簡単に決めていいのか?その…情けない話だけどそれだと、余り良い暮らしが出来ないぞ?」

そうなんのだ、横島が一番気にしているのは心眼の存在だ。

流石に心眼に三食カップメンやソルトライス、チョコライスはさせたくないし、

女の子なのだから今のように横島の服を強引糸で縛ったような物ではなく。

出来れば良い服なども着せてあげたいと思っている。

「馬鹿者…相棒であるお主が命を掛けると言うのに我がそんな馬鹿を言うと思っておるのか?

我の事を気にかけてくれるのは嬉しいが、命を懸ける程の目的なのだろ?

ならばそちらを優先しろ…それに我とて子供ではない…自分の食い扶持程度なんとかする」

(子供ではないって…それは無茶だろう…それにどうやって何とかするんだ?)

横島は心眼の言葉に引っかかりを覚えたが口に出すような愚かな真似はしない。

心眼はまだ霊能力は使えないが心の眼という名前と小さな体格に似合わずパワフルなのだ…そう、横島の命を脅かす程に…

「……お主…何か無礼な事を考えていないか?」

「…イ、イイエ」

「…なぜ片言なのだ?」

「…………………………リョウシンガナルニアニイルカラデス」

「……………………………………ま、そう言う事にしておこう」

今回は見逃してくれるらしい。

「じゃ、じゃあ、俺…唐巣神父に弟子入りの事頼んでくるから」

「ウム…気をつけてな」

この機を逃がさず横島はさっさと逃げに入り、ドアから出て行こうとするが、心眼が思い出したかのように呼び止める。

「あ…そうそう」

「?どうした心眼?」

「次は許さんからな?」

「…………」

心眼が浮かべた外見に似合わない妖艶な笑みは横島には鬼の嘲笑に見えたという…

まあ、そんなこんながあった後、唐巣神父に会い土下座する勢いで…と言うか土下座をしながら弟子入りを願った。

あまりやりたくなかったが、時給255円でこき使われ、生餌や味方バリアーとして使われている事、

美神の性格ではマトモな霊力指導が受けられない可能性(史実)が高いという事を上げ、

泣き落としのように唐巣神父に頼ったのだ。

唐巣神父も美神の性格を良く知っている人物のため、

横島の事を嘘だと否定できずに(別に横島は嘘など付いていないが)どをするべきか悩んでいたが、

話を聞いていたピートの『先生…僕からもお願いします』と言う横島の肩を持つ発言で決着は付いたのだ。

親友の助けもあって、横島はめでたく唐巣神父に弟子いりできたのだ。

が、当然喜んでばかりも居られない…もう一人、弟子入りの件を伝えなければいけない一番の強敵が居る。

〜回想終了〜


「もう!他の人の弟子になったんです!!」

胸いっぱいに吸い込んだ息と共に話の確信を一気に吐き出す。

その言葉を聴いた美神が今までの威圧感が嘘のようにピタリと止まる。

そう…まるで嵐の前の渚のように…

「…あっあの…美神…さん?」

恐る恐ると言った様子で横島が声を掛けるが行き成り美神が笑い出す。

「うふふ…また…エミの所?自分の弟子が受からなかったから'私の弟子'に手を出したのね…」

『別に美神に何も教わった事など無いですよ〜』などと言ったら狂気に染まった今の美神に間違いなく首と体が泣き分かれをするだろう。

「ち、違います!エミさんの弟子じゃあないです!」

「…えっ?…じゃあ…冥子の所ね!」

「いえ…唐巣神父の所です」

「……美人のシスターでも入ったの?」

(うう…やっぱりそう言う印象なんですね…)

心の中で滂沱の涙を流しながら、用意していたいい訳を美神に伝える。

「違います…心眼が唐巣神父の方が良いって言ったんです」

「…何…それは私の方が先生に劣ってるとでも言いたいの?」

少し落ち着いていた美神の雰囲気がまた剣呑としたものへと変わる。

「ち、違いますよ!美神さんが世界最高のGSである事は間違いないと思います!

相性の問題だそうです!俺はどうも道具と相性が悪いらしいんで、

道具を中心に除霊をする美神さんより唐巣神父に師事した方が良いらしいんです!」

「…………」

美神の記憶では『馬鹿でスケベで役に立たない横島を、曲がりなりにも一人前以上の働きをさせた最高のアイテム』

と言う認識を持っている。

その心眼を引き合いに出されては簡単に無視する事は出来ない。

さらに美神自身フル装備で、普通に唐巣神父と戦えばかなりの確率で勝つ事が出来るだろうが、

神通棍も無い完全な無手の状態では逆に負ける可能性が非常に高い事も分かっている。

「…横島さん本当に止めちゃうんですか?」

今まで黙っていたおキヌが恐る恐ると言った様子で横島に確認する。

「…うん…もう唐巣神父にも頼んじゃったし…」

横島の答えを聞きておキヌが'しゅん'となる。

心なしか浮いている高度が何時もより低くなったような気がする。

「あ〜の美神さん…それで、図々しいと思いますが一つお願いがあるんですけど」

「…………何よ」

「唐巣神父はもうピートを弟子に持ってますんで、

え〜とたまにで良いんですけど美神さんと除霊を手伝わせて貰いたいんですけど…お願い出来ませんか?」

横島とてこのまま美神達との関係が薄くなってしまって良いと思っている訳ではないので、

出来るだけ事務所に出入り出来る理由を作って置きたいのだ。

「……………」

「美神さん!私からもお願いします!」

「………当然、時給なんて私出さないからね」

そう言ってプイッとそっぽを向くが、横島の気のせいかもしれないが何処か嬉しそうに見える。

「はい!ありがとうございます!」

「良かったですね!横島さん!」

そう言って二人が手を取り合う。

「ありがと…おキヌちゃんには世話になってばかりだな…」

「いえ…私なんて大したことなんて…」

「そんなこと無い!おキヌちゃんに助けられてばかりさ」

「横島さん…」

そんなやりとりをし真っ赤になって照れるおキヌを尻目に、

美神が黒い気を発しだすのも時間の問題だった…

………
……


「横島君…今日は暇なんでしょ?」

「ふ、ふぁい…」

あの後美神にシバかれ顔が二倍位に膨れ上がったため声が変だ。

「アンタのためだと思って簡単な依頼を取っておいたのよ…全く無駄になる所だったわ」

そう言って一枚の依頼書を机から取り出す。

「ギャラは20万。ま、こんなセコい仕事、何時もなら断るんだけど、あんたの修行のために受けといたのよ…感謝なさい」

(これが、20万の仕事?幾らなんでも低すぎないか?)

サッと書類に目を通し感想だ。未来では横島自身仕事を請負、仕切った事が何度もあるので当然相場位知っている。

「あの…美神さん…この依頼もうちょっと取れるんじゃないですか?」

「えっ?」

「この依頼を見ると完全に1フロア使い物に成らなくなっているじゃないですか

…しかも駅前のオフィス街の一等地ですし、もう2.300万位取れるんじゃないですか?」

「なっ何でそう思うのよ」

「え゛そ、そりゃ今まで美神さんの除霊を近くで見てきたんですよ

…それに美神さん毎回『今回のギャラは!』って言ってるじゃないですか…ですからおうよその相場くらい判りますよ」

驚きの声を上げる美神に横島はまた疑われたのかと思いすぐそれらしい言い訳をする。

「そ、そう、確かにもっと取れそうね」

美神は美神で依頼料をガメようとしているのがばれたのかと思い声がどもったのだ。

「じゃ、じゃあ大阪人の交渉術でキッチリ200万以上取ってきますから」

「それは駄目!交渉を見習いに任せるわけには行かない

わ!私に任せて横島君は除霊をしてきなさい!」

「えっ…でも、それですと…どの位まで経費を使って良いのか判らないんですけど」

「うっ…そ、そうね200万まで許可するわ」

「えっでも…「もう!口答えは許さないわ!それに心眼も居るから楽勝でしょ!?残った全額上げるわ!」

別に横島は少ないと言いたかった訳ではなく200万全てつかったら収益が無くなってしまうのではないかを危惧したのだ。

だが、美神は横島がまだ依頼料のことを言及するもと勘違いし、ヤケッパチ気味に話を切り上げる事にしたのだ。

「わっ判りましたけど…その、心眼はもう居ないんです」

「はあっ?どう言う事よそれ?」

横島にそう言われ今更ながら何時ものバンダナをしていない事に気が付き驚きの声を上げる。

「何でも、俺の試験の間だけのサポートだったらしく昨日お別れをしました」

「…じゃぁアンタ素人と同じって事?」

「そっ、そこまで酷くないと思いますけど…」

「何言ってんの?アンタが試験で勝ち残れたのは全面的に心眼のお陰なんでしょ?」

「あっ、はあ…まあ」

横島が自分で記憶を改竄したのだから余り強く言うわけには行かない。

「う〜ん…ちょっとアテが外れたかな…まっ、何とかなるでしょ」

躊躇したものの結局美神のGOサインが出て『GS見習い横島忠夫の初仕事』となったのだ。

………
……


「どうしますか…横島さん」

(本当…どうするか)

横島とおキヌの少し先に今回のターゲットである悪霊が居る。

横島にとってあの程度の悪霊を倒すなど分けは無いが、当然『サクツ!』と倒すわけには行かない。

(…やっぱりオーソドックスに破魔札で倒したほうが無難かな?)

「お札を使うんですか?」

「うん…それが一番確実だと思うから」

荷物の中を物色し始める横島を見ておキヌがそう推測した。

「1万円…に5万円…何時も使わないような安いお札が多いですね…」

「いや…おキヌちゃん…こっちなんか100円に50円なんて物もある…あの人はこんなのもん何に使うつもりなんだ」

(50円って…紙代の方が高いんじゃないのか?)

そんな事を考えながら50円のお札をおキヌに見せるが彼女も余りの安さにコメント出来ないようだ。

「あっ…横島さん、神通棍もありますよ!」

「ありがと、おキヌちゃん…でも…俺じゃ使えないよ、心眼があれば大丈夫だったろうけど」

そう苦笑し横島は高額の札…50万と100万と書かれているお札を持つ。

(さてと…どっちを使うべきか…50万ので大丈夫だと思うけど余りお札って使ったこと無いんだよな…)

未来でも横島は見鬼君以外のお札や神通棍と言った除霊道具は使ったことが無い。

多分大丈夫だとは思うが念のためという考えと、余り安いお札で除霊をして怪しまれるのは御免被りたいからだ。

「よし!決めた!100万にする!おキヌちゃん今から俺行って来るから大丈夫だと思うけど気を付けてね!」

「はい…横島さんこそ気を付けてくださいね?」

「了解」

そう返事をした横島は、隠れていた瓦礫から一気に飛び出す。

一応悪霊の方も横島に気が付いたらしいが横島の方を見るだけど特に何もせず破魔札を顔面に喰らい四散した。

「って弱!」

余りの呆気なさに少々拍子抜けをしたものの横島の勝ちだった。

(これだったら10万でも良かったかも…)

まるで自分の事のように喜んでくれているおキヌを尻目に横島はそんな現金なことを考えた。


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〜あとがき〜

K.Mです。

「目覚めて見れば…9」を読んでくれましてありがとうございます。

前回前々回と文中の言葉がキャライメージと合っていないという指摘をいただきました。

出来る限り直したいと思いますのでよろしければ感想の所にでも具体的に書いてもらえればと思っています。

(具体的に書いてもらえれば『ああ、確かにこちらの方が自然だな』と思いますので…)

書いていただければ多少は違和感の在る言葉が減る(?)と思いますので気が向いたらお願いします。

〜追記〜

よろしければ「目覚めて見れば…10」出せた時も読んでください。

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