横島忠夫 再び修行中!!@ 後編
投稿者名:Kureidoru
投稿日時:(05/ 3/ 4)
セリフの語尾の妙なタメに疑問と不安を持っている横島に美神は続けてとんでもない事を言い放った。
「・・・ただし、この仕事中はあんたの得意技の『栄光の手』と『文珠』は使っちゃ駄目よ」
「「「ええッ!!?」」」
予期せぬ発言に驚く横島達。
「裸で南極を横断しろ!」と言っているようなこの発言に動揺の色を隠せない。
「か、勘弁してくださいよ!!スキーじゃあるまいし手ぶらで悪霊退治なんか無理ッスよ!!?」
「そ、そーですよ!いくら横島さんとは言えさすがに死んじゃうんじゃ…」
「美神殿!そんなに・・・そんなに先生の事が嫌いでござるのか!?」
「ずずーー…。ちゅるるる。」
おキヌの「死ぬ」という言葉に反応して「死ぬのイヤーーーッ!」とか言っている横島に呆れながら美神が続ける。
「あんた達ねぇ・・・話は最後まで聞きなさいよ。文珠とかは使っちゃ駄目だけどその代わり神通棍とか破魔札とかを使って除霊しなさい」
「え・・・霊アイテムを使うんですか?」
「そうよ。いくらなんでも自分の弟子を死地に行かせるほど私だって酔狂じゃないわよ」
日ごろから死に直結しそうな程の行いをしてくるクセに・・・!
横島の脳裏に今の発言への疑念と怒りが横切るが、口に出せば今すぐ死地に赴く事になりそうなので黙っていた。
なんだか泣きながらワナワナしている横島の代わりにおキヌがフと思ったことを質問する。
「それにしても美神さん、文珠はともかくとしてなんで『栄光の手』まで使っちゃ駄目なんですか?」
「いい所に気がついたわね、おキヌちゃん!」
ニヤリと笑う美神に一同の頭に?が浮かぶ。
「この修行はそこが一番の肝なのよ。さっきも言ったけど、GSという職業は常に死と隣り合わせな職業よ。だからいかなる場面にも柔軟に対応できなきゃいけないわ」
そう言いながら机の上に置いてある神通棍を手にとる。
カキンッ
ブゥゥゥゥゥン・・・
霊波を送らせて眩く光る神通棍を構えながら美神は続ける。
「もし、戦いの最中に文珠のストックが切れたら?相手がこちらの霊波を抑えてくる奴だったら?敵にトドメを刺す時にこっちの霊力がスッカラカンになっていたら?戦いに待ったは無いわよ?こんな時、どうするの横島クン?」
「そ、それは・・・;」
そんな場面に今まで何回か遭遇してきた横島は過去どんな行動をしてきたかを思い出すと冷汗しか出ないのであった。
「それに、あんた除霊で吸引する時の破魔札や『見鬼くん』はともかく、まともに霊アイテム使ったことないでしょ?」
「う・・・い、一度だけ神通棍は使いましたけど・・・」
「たった一回なんて使った内入らないわよ・・・。あんただって腐ってもGSなんだからそろそろ霊アイテムくらい使いこなせるようになんなと駄目よ」
「そ、そーりゃそーですけど;; なにしろ今からッスよね?まだほとんど使ったことも無い物で除霊・・・」
「何、不安なの?あんたらしくないわね〜」
シュゥゥゥゥ・・・
出力の落とした神通棍をしまいながら、なんだか初々しい反応にくすくす笑ってる美神。
対する横島は半ば現実逃避ぎみに真っ青になりながら何やら
「ルシオラを転生させていないのに、こんな所で死ねん・・・!それ以前に経験の無いままなら、なおさら死ねん・・・!!」
とかブツブツ呟いてる。
「え?いつも美神がやってるようにすればいいじゃん。何を恐れてるんだ?」と思ってるソコの貴方!
これが横島にとってどんだけヤバイ事なのかを例えで言うと、、、
『剣道の達人が「竹刀の代わりにバットを持って、ぶっつけ本番で試合出て勝って来い!負けたら死刑!!」と命令されているような状態』
ってぐらいヤバイんだと形容すればよろしいだろうか?(うわ分かりにくい・・・)
青くなっている横島を見て追い討ちを掛けるかのごとく美神が続ける。
「あ〜後、除霊の時は勿論だけど、身を守るのにも文珠の使用は禁止よ」
「マ、マ、マジッスか;;;!!?」
「これも修行よ、修行♪結界の一つも描けないでGSなんて口が裂けても言えないわよ♪」
明らかにこの状況を楽しんでる美神をよそに横島は・・・・・あ、口から魂が出掛かってる。
哀れ横島。17年という短い生涯を今日この日に終ようとしている・・・。
「あ、あのー・・・よ、横島さん?頑張ってきてくださいね?」
「そ、そーでござるよ!先生がそう簡単にやられる訳ないでござるよ!」
「まぁ、生きて事務所に帰ってきなさいよ?死んでも火葬くらいならやってあげるわ」
その余りにも哀れすぎる姿にキツネうどんを食べ終わったタマモも加えて三人で横島を慰める(?)。
そんな中、美神が輪をかけたように爆弾を投下する。
「何言ってんのよ?あんた達三人も横島クンのアシストで一緒に行くのよ?」
「「「・・・・・え゛え゛え゛ーーーーッ!!!?」」」
予期せぬ火の粉が自分達に降りかかり驚く三人。
「なに大声出してんのよ?もしかして横島クンを一人見捨てるつもりだったの〜?」
うっ・・・;
そんな事を言われると反論出来るハズも無く俯いてしまう。……ただ一人を除いて。
「冗談じゃないわ!なんであたしが横島のために命張らなきゃいけないのよ!!」
「あらタマモ?それじゃあ横島クン死んじゃってもいいの?」
「他人の命より自分の命の方が大切よっ!!」
なんだかバッドエンディング確定っぽい言い方をされてる横島。む、むごい・・・。
だがそれを聞いて黙っていない者が約一名。
「女狐っ!!無礼だぞ!!先生は・・・先生は死んだりなんかしないでござるっ!!!」
「あっそぉ?じゃあ、あんたが私の分まで頑張ってくればいいじゃないのよ」
「き、貴様ぁぁぁ!!先生の事が信用出来ないのでござるか!?」
「んな事言ってないわよ。ただあたしはこの若さで死にたくないって言ってるだけでしょ?そんな事も分からないの?このバカ犬は?」
「全然信用してないじゃないかぁぁぁぁぁっ!!第一拙者は犬じゃなくて狼でござる!!!もう頭きた!この場で叩っ斬ってやる!!!」
「あら?バカ犬ごときがあたしに敵うとでも思ってんの?」
なんだかかなり危険な空気になりつつある二人。まさに一触即発状態である。
さすがにヤバイと思いおキヌが仲裁に入る。
「ちょ、ちょっとシロちゃん、タマモちゃん!そろそ「あんた達いい加減にしなさーーーーーーーーいッ!!!!!!」」
おキヌの声を遮って美神が今までで聞いたことないくらいにデカイ声で一括した。
「ちょっとばかり脅かしただけでしょうが!!いくら霊アイテムを使ったこと無いからって横島クンだってそれなりに強いのよ!?そう簡単に死ぬわけないでしょうがッ!!!」
突然の事にすくみあがる三人。それでも負けじとタマモが反論を試みる。
「で、でも死ぬかどうかの問題なのよ!?そう簡単に・・・」
「あら?従業員兼居候の分際でこのあたしに意見しようっての?いい度胸してるじゃない?」
それを聞かせれてムスッと黙ってしまうタマモ。
ちなみにコトの張本人の横島はすでに一生分の「死ぬ」を言う言葉を聞かされてもはや涙すら枯れていた・・・。
今回のメインの人物を見て自分達の未来が暗いモノだというを実感した三人もなんだか半分くらい魂が離脱しかけている始末。
明らかに目の前の四人の生気が抜けていくのを見て「言い過ぎたか;?」と思った美神が慌てて全員を励ます。
「そ、そんな心配しなくても大丈夫だって!そ、そーいえば横島クン!あんた、タイガーと組んで以前に冥子と似たようなことしたじゃない!!だから今回もきっと平気よ!!」
そう言って以前に冥子の母親から冥子を鍛えなおす名目で式神抜きの除霊のアシスタントをさせられたことをおもむろに思い出した。
ちなみに、あの時の除霊でどれだけ冥子の変わりに自分達が血を流したかを思い出すと一層不安になる横島なのであった・・・。
ボーーン…ボーーン…ボーーン…ボーーン…
突然鐘の音が鳴り出す。
その音がまるで死刑宣告の合図の鐘に聞こえたのかビクッとする四人。
「も、もう四時ね!あんた達そろそろ出発しなきゃ間に合わないわよ!」
「そ、そうッスね。じ、じゃあ死なない程度に頑張ってきます・・・。」
「そうそう、その意気よ!じゃ、頑張ってきなさいねー」
手を振って見送る美神に背を向けて四人は暗い気持ちを拭えずに事務所を出て行く。
その口からはどことなくドナドナが呟かれているように聞こえるが、多分気のせいだろう・・・。
数分後、車庫から哀れな子羊達を乗せたコブラが出て行くのを見て、事務所の窓から見ていた美神は独り言を呟いた。
「・・・ま、私と同じラインに立たないことには始まらないしね。少し荒っぽいけど、ちゃんと頑張ってきなさいよ、横島クン?第一、あの三人をついて行かせるんだし、命の心配はないわよね。 ・・・たぶん」
そう言いながら事務所から離れていくコブラの後ろ姿に対して不器用な優しさを見せた女性は、少しばかり頬を朱色に染めながら一人微笑んでいた。
・・・・・しかし、この時の美神はまだ気づいていなかった。。
この除霊の仕事が美神に対して色々な意味で最悪の結末を迎えることに・・・。
〜つづく〜
<あとがき>
こんばんは〜、Kureidoruです〜。
てな訳で3作目は、「ぎゃく」「ほのぼの」を前作品でやったので
「ぼうけんすぺくたくる」+αをやってみたいと思います。
内容の方ですが、ストーリーがやや強引ですね。反省・・・。
ボケる横島&殴る美神は初めて書きましたが、なんだか読者様と自分の中に温度差がありそう・・・。
その時はご指摘、お願いします。
では、反対表・賛成票、感想、ヨロシクお願いしますね〜。
今までの
コメント:
- これがおキヌちゃんがけがしたというあれでしょうか?横島がマジになるのが楽しみです。美神さんにとって最悪だったというのもそういう意味だと知ってれば心肺ないですし。
その美神さんですが、横島へのタマモの信頼度を見て怒ったところがすごくよかったです。周りはドサクサだったので気づいてないみたいですが、あれって横島がバカにされて怒ったようなもんですよね?感動でした。
横島が除霊作業をすることで冥子ちゃんを引き合いに出した例はとても納得できました。才能だけはピカ一でちゃんと使えてないGSキャラの二大巨頭ですものねえ。言い換えれば使いこなせれば最強キャラになれる二人ですし。
以前アシスタントをやっていたというのもいろんな意味で興味深い記憶です。あの当時の三人が一番実力を推し量るのに最適ですから。はっきりいって霊力量以外役にたってない冥子ちゃんの除霊作業を成功させれた当時の経験はそのまんま今の横島が普通に除霊するための経験値になりますよね。冥子ちゃんがあの時できたことなど全部今の横島なら自力でできますもん。式神抜きですから。
第一話までの過程がわかったから急に話が面白くなってきました。ぜひ続きがはやく見たいです。 (九尾)
- 申し訳ありません。タイトルが似てたので他の作品と間違えていました。
その勘違いに関すること以外はちゃんとこちらの作品の感想ですのでご容赦ください。 (九尾)
- どなどなどーなーど〜な〜。
原作っぽいですねー。サッパリ気にせずにうどんすするタマモが良かったです。
助手の立場の、しかも時給から考えて絶対自腹で道具を調達できない横島に「使ったこと無いでしょ?」と責任棚上げで指摘する美神とか、調子に乗らせてから「あんたなんかが〜」と言いつつシバいて「やっぱり俺なんかが」と思わせる、マインドコントロールする美神とかも。
いや私、美神さん嫌いじゃないですよ? (MAGIふぁ)
- コメントありがとうございます!
>九尾さん
ありゃ、間違いちゃいましたか。
自分は題名は投稿直前に思いつきでつけているんで、似たモノが
あるとは知りませんでした。。。
スミマセン
>MAGIふぁ
気に入ってもらえて大歓喜です。
「原作っぽい」の一言が嬉しすぎて危うく昇天しかけました;;
ちなみに勿論ですが私も美神さん、嫌いじゃないです。
むしろ好きだっーーー!(ぉ (Kureidoru)
- ↑
「MAGIふぁさん」
です;失礼しました〜;; (Kureidoru)
- Kureidoruさん、初めまして。
令子に関しては全くMAGIふぁさんのおっしゃる通りで(笑)。それでもこれがアリだと想えるのは、やはりこの女性の人徳……もとい、このクソ女のバラ撒く宿業なのでしょうね。
まあ忠夫にしても、その辺の重要性に対する自覚が足りなかった面がありますね。徒弟制度に於ける教育とは基本的に「習うものではなく盗むもの」ですから。
ただ、この作品で謂う所の「霊アイテム」がどの程度の範囲を示すのか、もっとハッキリさせるべきだと想いますね。例に有った「神通コン」にせよ、只の棒以上の道具として使うには霊力が必要なはずですし(「愛に時間を!!」参照)、そうなると「栄光の手」や「霊波刀」とどう違うのかが判らなくなっちゃいますので、是非。
ともあれいろいろな意味で不安な4人の行く末を案じつつ、次回を楽しみにしています。 (Iholi)
- Iholiさん、コメントありがとうございます!
どもです〜。
実はIholiさんにコメントもらうの初めてじゃなかったり(ぉ
美神さんについて気に入ってもらえて嬉しい限りです。
美神&横島って書いてて楽しいですしねw
>「霊アイテム」がどの程度の範囲を示すのか
はい、とりあえずですが作品中で違いはハッキリさせると思います。
・・・ハッキリできるかなぁorz (Kureidoru)
- 読みやすく、原作っぽさが出ててとても良いと思いました。
ただひとつ気になったのは…横島何歳ですかねコレw
前編で3年のキャリアとあるし、最後にコブラ運転してるのも多分横島だろうし……
でも文中には17年の人生とあって、少し「?」でした(´・ω・`) (浮雲)
- 浮雲さん、コメントありがとうございます!
>原作っぽさが出ていて
そう言ってくれると助かりますw
拙い文章ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
>何歳?
設定では18歳のつもりです。→アシュタロス戦から早1年
>3年のキャリアとコブラについて
え〜と、、荷物持ちを高校1年からやっていて、現在彼は高3なので計3年です。
コブラは原作「星に願いを!!」でおキヌちゃんでも運転できたので横島も多分出来ると思って書きました。
>17年の人生
こ、心の目で修正してくださいっ;
○複雑〜な家庭の事情で、PCが使えるかどうか不明な土地に引っ越すことになりました。
なので更新ペースが劣悪になると思われますが、どうか生暖かい目で見てやってください;
では、今後とも、よろしくお願いします。 (Kureidoru)
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