ザ・グレート・展開予測ショー

そんな彼の日常


投稿者名:HF28号
投稿日時:(05/ 3/ 2)



 昼休みを終えて5時限目。腹の虫も収まってつい瞼の落ちるこの時間。横島は、通路を挟んで右隣に座る動画同好会幹部の『声優にならないか!』との熱烈勧誘を断って大きな欠伸を1つ。情報処理教室の定員は22名。そのせいで、ピートや愛子は隣の第2教室だし、やたら影が薄い虎もそうだった気も。それにこの教室は居るとそれだけでいつもにも増して頭がふにゃふにゃするのだ。

「よっぽどメチャでクソな操作をしなけりゃぶっ壊れないから、テキトーにテキトーに」

 基本のkの字から教えて先生という懇切丁寧な授業、それが高校のPC教室(必須科目)。この教諭、既に精神的疲労が一山越えてるらしい。苛立ちこめかみをピクつかせ、物凄く投げ槍ちっくな授業である。

「せんせーっ!」

 前方3列目の女の子がしゅたっと手を挙げ大きな声で。

「どこが分からないのか判りません―――っ」

――――こいつバカか?アホじゃねーな、馬鹿だ!!!!基本操作を手取り足取り1からひたすら簡単に誰でも出来るように教えているのだよ。それを、アンタ解からん?ハッやる気皆無なんじゃん!?君にはさっき、教えただろ?変換の仕方から、F7キーの場所まで。同じところを同じ生徒に何度も何度も教えるなんて耐えられん!!これで可愛くなかったら――――――

 ((あーあ・・・))

 霊力や邪気と無意味に交流あるこのクラス。彼らの殆どは教諭の放つドス黒オーラを察知していた。

「で、えーとどこがわからんのか?」

 それでもニコヤカにサワヤカに、今まで築いたイメージを崩さないように話しを聞く教諭。

「ええっとぉ」

 にこにこにこ。彼女は窓を最大化して、改行の時に出るマークを消したいらしい。ひたすら、これ以上無く、ただただ、て〜〜い〜〜ね〜〜〜い〜〜〜〜〜に〜〜〜〜〜〜〜〜〜説明を繰り返す。

「また、判らなかったら遠慮なく声をかけてくれ」
「はい。ありがとうございました」

(こういう事を教えるとき、誰もが一度は通る道さ。諦めないよ、僕)

 教諭が心にも無い決心をして、キラリ、と眦を輝かせた。狭い通路を颯爽と歩き備え付け大型ホワイトボードのところまでたどり着くと

「せんせーっ」
(・・・・またか)

 二度あることは―――やめよう。無益だ。怒りの四つ角を引っ込め、彼はまた同じ生徒のところへ。今度はローマ字の大文字入力になっているのが気に食わないようだ。これまた優しくきっちりきめ細やかに教えます。

((がんばれ))

 教諭の背中に生温かい無声声援が突き刺さった。男性教諭に声援(念)を送る趣味なんざ持ち合わせちゃいない連中はその苦労をいいことにPCで思い思いの時を過ごしている。横島も言うに及ばずネットに繋いでいた。

(そういえば、美神さんのファンサイトって在るのか?)

 全国のバイク好きが集う老舗サイトを徘徊中、管理人の日記に名前が登場したのを見てなんとなく思いついた。

 思いつけば気にもなるもの。

(『GS美神』、と)
 タタンッと軽いキータッチで打ち込み、Enter。瞬く間もなく検索完了。

(C−WWW?)

――ファンページ。『GS美神極楽大作戦』の2次創作等

(在るんだなあ・・・)

 と感心しきりの横島。コチッとクリックすると、神通棍を構えた漫画版美神令子がこっちを素敵に見ている絵が目に入った。

(似ているよなーさすが椎名先生)

 GS美神令子監修コミックシリーズ『GS美神極楽大作戦』中〜後期の絵だろうか。雰囲気が良く出ている。サイトの素地は白、題字はちょい黄な赤。題字にあわせたのか他のコンテンツも赤白系にすっきり纏められていて見やすい。

 インフォメーションを流し見してから、創作紹介の『ザ・グレート展開予想ショー』をなんとなく開く。ルールもさーっと読み流し(理解してから入りましょう)、ページ狭しとみっちり詰まった作品群の過去ログに向かう。







 ※



「は!?な、なんだココは!?」

「ここは過去です。文珠のちからで逆行したようです」

「え。ええええええええええ――――――――――――――――――――――ッッ!!!!?????」

 小隆起もとい、小竜姫様はまさかの事態に、あはは、と笑ったのだった。



 ※



 些細なすれ違いから歪みが生じた横島と美神。

「もう・・・やめにしない?横島クン」

「―――っ」

 西条が、あの男が来てから美神が変わった。俺は、それでも、それでもと

(ナイトになれない丁稚奉公のバイト野郎が敵うわけねーじゃねーかッッ)
 判って、いた。そんな事、とっくに判っていたのに――――――

「俺は・・・っ」



 ※



 今日は楽しい初デート。デジャブーランドに繰り出した魔鈴めぐみと横島忠夫。

「あ、マッキーキャットだわv可愛いvv」

 魔鈴が指差したマッキーの目の色が前触れ無く変わった。

「いい女、連れているやないけワレェェェェェェェェェェェェェェェッッッ!!!!!」
「きゃあああっ」

 腰を掴まれ、ぐるんっとマッキーの肩に担がれた魔鈴。

(―――――この子まさか)はっと何かに気づいた魔鈴。

 慌てて追いかける横島。

「俺の女だ!!ドチクショ―――――――――――――――ッ!!」



 ※



 幾多のバトルを乗り越えて、世界大会にまで来たチームシロ。

 「いくぞ、タマモ!!」
 「臨むところよ、シロ!!」

 チューンは最高だ。このベイなら伝説の『あの男』に勝てる!!

 歓声渦巻く世界ベイブ〇ードスタジアム。この階段を登った向こうに

((勝ってみせるわ(でござる)横島(先生)!!))

 奴が居る。



 ※



『霊力を上げてヨコシマ!!霊力を上げなきゃ魂が、命が消えちゃう!!』

―――――ルシ・・

『死なせない・・・どんなことをしてもよ―――』

――や、め――――――――――――

ヨコシマに『私』を送る。ヒーリングなんて出来ない私に出来る最大の・・・

――――――ッッ

想いが流れてくる。だからこそ、俺は止めなくちゃいけない。

「――――――な、やめ、ろ。ルシオラ・・・」
『ヨコシマ!?』

気が付いた!けど、ヨコシマは――――――――・・・
























「サボるの?」
「うひやぁぁぁっ!?」

 首筋に冷たい手が当って珍妙な声を上げた横島君。

「せっかく、面白い授業しているのよ!燃えなくてどーするの」
「いえ、あの・・・ねえ」

 足元に転がっているそのPCらしき残骸は何?とか、何故彼女用のPCはシステムから独立しているのかな?とかとっても気になる。

「えーと何々・・・」




――――霊力を上げなきゃ魂が、命が消えちゃう!!

――――死なせない・・・どんなことをしてもよ―――



「あら?これって・・・」

「ああ、隊長たちがルシオラたちが人間界で暮らせるように世間についた嘘だったな」

「懐かしーと言っても、まだほんの1年ちょっとしか経っていないのよね・・・」

「合法的に住むには、一度指名手配を掛けて死んで、蘇ったことにしなくちゃマズいかんなぁ」

 ICPOの魔族指名手配にはそう言う性質があるそうなのだ。

「けど、コミック版って随分脚色があるんでしょ?」

「西条がエリート禿でズラとか?」

「ピートが野菜聖人で」

「隊長が胸パッド」

「それにアシュ様がコスモプロセッサを使えちゃったって立ち読みしたけど」

「重力とかイロイロあるかんなー。あの形状で造ったら、発動さす瞬間にバッキリ行くし」

 事実、マンション屋上で仮組みしたら壊れたっけ。

「ぷっ」

 と思い出し笑いをするルシオラ。その時、がびーんっとなったソロモンのまっちょがよっぽど面白かったらしい。

「でも、半ノンフィクションが売りな漫画だから、結構周りが騙されてくれてて・・・」

 顔に影。上に教諭。其のこめかみ痙攣中。

「お・れ・の・じ・ゅ・ぎ・ょ・う・が―――聞けないのかい?横島」
「お、俺指定ッスか!?」

 ルシオラはっ?!思わず隣を見る横島。

「やっぱり、改造は浪漫ですよね、先生!」
「はっはっは、判っているわね、芦」
「ええ。ビバメカ愛。メカに愛が無ければどうするんですか」
「君とはイヅレ」
「ええ、望むところですわ。オフ会の徹ガン・・・付き合います。ヨコシマと」
「・・・・・ちっ(横島は要らん)」

 ちゃっかり紛れ込んでいたPCに長けた女国語教諭と話に華を咲かせていた。

「ルシオラ――――――――〜、ヘル―――――――――プッ!!」
「ノーよv自己責任」
「そんなあああああっっ」

「覚悟は良いか?横島」

 教諭は片手を包む封印の黒手袋を外しにかかる。経文が聞こえるのがソレっぽい彼はかつて、かの地で地獄先生をしていたそうだ。

「鬼の――――」

 しかし、横島の悲劇を回避するツワモノが。

「せんせーっ」

 にこにこにっこり。
 天使の微笑みで再び声を手をあげるクラスの女子。

 萎えたよ先生。手?うん、封印しなおしました。


「えーと、ね」

「はいv」


 偽りの笑みでニコヤカな教諭。

 ぽっと頬を染め個人指導を喜ぶ女子生徒。

 こっちは愛が芽生えない。


「徹ガン、徹夜でガ〇ダム・・・」

「ええ、来週、事務所のバイトが無い日よ!予定入れといたの!」

 この笑顔に騙されている気がする横島だけど

「ま、俺もロボ物好きだしなあ」

 いっか。

「やった!ヨコシマとって前から夢だったの!!」

「そうか」「そうよ」「そうなのか」「そうなの」

 愛ですなあ。

 ところで授業はいいのか?
 気にしちゃいけない。それが宇宙意志(あるのかよ?!)






 終わります




筆者注:ここに登場したGTY過去ログ例はHF28号製です。きっと過去ログにありませんので念のため




あとがき
1999年に現役高校生だったらば、最低でも中学生の時点で授業でPCに触れているろうから、この時点でもある程度扱えると思われます横島君。それから、ガ〇ダムも地獄先生もついでにPC他も知識がうっすいので、キャラや意味使いが違うんじゃ!?とかっていうグサグサなことは言わんでくだされ。いや、ホントにイロイロごめんなさい

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