ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…7


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 2/19)

横島魔女(?)裁判は心眼の助けもあって、取り合えず何とか凌ぐ事に俺は成功した。

あの二人を乗り切る事が出来れば、

事情を良く知らないピート達ならば小竜姫様から貰った心眼の御蔭で通るだろう。

当然あそこにいたおキヌちゃんも人工幽霊も改竄済みだ抜かりは無い。

後で二人に「何か隠してない!」と攻められ、理由を聞くと「何となくです!」と言って小突かれたりしたが許容範囲だろう。

まあ、メドーサの事も気になるが今はどうしようもないのでそう考えると一応の決着は付いたと言える。

その後、美神の事務所で夕食をご馳走して貰い…今は東京タワーの特別展望台の上に居る。

今回は心眼も一緒だ。


目覚めて見れば…7


「で…先ほど…小竜姫様達に何をやったんだ?」

「うん?…ああ、ちょっと今回の記憶をね…」

「おい…そんなことして大丈夫なのか?」

横島の曖昧な言い方に心眼が心配そうに聞き返す。

まあ「記憶をね…」なんて曖昧な言い方をされれば不安になるのもしかたがないだろう。

「大丈夫…記憶って凄く曖昧なモノなんだ。

記憶は真実に沿ってだけど八割以上が自分で都合の良いように常に改竄してる…で、

今回俺の活躍は俺の実力じゃなくて心眼の力の御蔭だって言う記憶に変えただけだから…良い事じゃないけど、

心眼が心配してるような危険な事は何も無いよ」

まあ横島自身覚えていないが未来で美神に'忘'の文珠を何度か使われたことがあるのだから問題は無いだろう…

「…ウムそうか…だが、そんな事ができるのなら我の助力等要らなかったのではないか?

それに我の記憶を消せば良かったのではないのか?」

「う〜ん…あの方法は万能じゃないんだ…多分何度も効果が薄れるだろうし、

やるとしても霊力や意識を集中されると旨く行かない可能性が高いんだ、

特に小竜姫様なんて神様なんだからね…それと心眼には誓いを立てちゃったからさ」

「いや…そうか…」

「…………」

「…………」

「…………」

心眼の短い返事を最後に沈黙が続く、心眼としては弱みに付け込んで説明を要求したのでかなり居心地が悪いようだ。

「そ、その…つ月が綺麗だの」

「…そうだな綺麗な満月だな」

「…………」

「…………」

「…………」

(か、会話が続かん)

何とか間を持たそうとする心眼だが横島の気の無い返事にすぐに潰えた。

何とかこの息苦しい沈黙を打破しようと考えを巡らせている心眼に横島が唐突に口を開いた。

「で…説明だったよな…」

「う、うむ…いや…話したくないなら無理にと言わんぞ」

心眼の願い通り会話は始まったが余り良い内容の会話ではない。

あの時は心眼は文珠に驚いていたため、余り冷静ではなかった。

まあ、言ってしまえば美神達の勢いに乗って問い詰めてしまっただけである。

「いや、大丈夫…まあ、全部話す訳には行かない無いけど、そこはカンベンな…

そうだな…まず分かっているかもしれないけど火角結界は文珠を使って止めた入れた文字は'故/障'」

「なんと…本当に文珠だったのか…まさか人間に使える者がおったとは…

だが、本当にそうなのか?疑う訳ではないが…文珠と一つに付き一文字しか入れられないのでは無いのか?」

「普通の文珠はね…」

そう言って横島は双文珠を出し掌で弄ぶ。

「…お主のは特別だと言うのか?」

「…少し話したかも知れないけど…凄く大切な女(ヒト)が居たんだ…それこそ命を懸けて守ろうとした。

でも、実際はその相手に命を救われたのは俺の方…笑っちゃうだろ?

死にかけた俺のために自分の霊基構造を差し出してね」

「…なるほど…霊波の種類が自分のものと相手のものの二種類になり変質したからか

…だがそれは一時的なものではないのか?」

「ああ、そうだよ…だから頑張ったんだ。

自己満足だって分かっているけど、自分が強くなれば俺に命をかけてくれたアイツの価値が上がると思ってさ…

前とは違って一度使ったら消えちゃうけどな…」

自嘲する横島を見ていた心眼がに一つの懸念が浮かぶ。

「まさか…おぬしの目的とはその者の復活か?」

「……安心してくれ…目的は確かにアイツに関係のあることだけど、今はそんな無謀な事は考えてない」

無謀…確かにそうだろう。

霊体や幽体ならまだしも、輪廻の輪に戻っていった者を復活させようとすることはこの世の理に逆らう所業だ。

もし、そんなことをしようものなら三界を敵に回し、死すら生ぬるいと思われる罰を食らうだろう。

まあ、実際は輪廻の輪に戻ってなど無いのだが当然そんなことは心眼に分かるはずも無い。

まあ、『ルシオラを復活』が無謀である事には代わりは無い。

今はという横島の言葉に多少驚きはしたもののその言葉に心眼は安堵する。

「…今はこれだけしか話せない」

「今は?」

「そっ…今は………何時かキチンと話すさ…目的も含めてね…それまで手伝ってくれないか?勿論やじゃなければだけど」

「………それは、相棒としてか?」

「そっ………相棒として」

「……相棒…か、すまん…それは、無理だ…」

「えっ?あっ…いや…気にすんなって!

お前の都合を考えないで俺が勝手に言っただけなんだから…「そうではない…寿命なのだ…」

慌ててフォローする横島だがそれを遮り心眼が言葉を紡いだ。

「……寿命?」

「我は試験でお主をサポートするためだけに生まれた…いや、作られた道具なのだ…当然、役目を終えればそれで終わりだ…」

「ちょ、ちょっと待て!何だよそれ!行き成り何言ってんだよ!!道具!?お前には意思があるだろ!」

「意思の在る無しは関係ない…道具は道具だ…お前とて壊れた道具は捨てるだろ?…それと同じだ」

「何寝言言ってんだよ!全然違うだろ!今すぐ小竜姫様に頼んで…」

心眼自身はとても落ち着いた口調で慌てる横島を諫めようとする。

「寿命だと言っただろ…如何に小竜姫様とてそんなことは出来ない…まあ、

その気持ちだけは素直に感謝しよう…正直生まれた意味は余り無かったかもしれないが

…まっ…お主と過ごせて中々楽しかったぞ」

「…心眼」

「…お主の目的が何なのかは分からんが頑張れよ」

辺りに在った'しんみり'とした雰囲気が流れる。

心眼としては、道具であるはずの自分をパートナーと呼んでくれた…

さらに何とか助けようとまでしてくれる…道具である自分には過剰な心遣いだと思っている。

が…

「勝手な事言いやがって…決めた!お前は俺が貰う!」

横島のこの言葉によって'しんみり'とした空気が一気に霧散する。

「…………はぁ?」

当然、心眼は横島の言っている事が分からない。

「心眼はもう役目を終えた'道具'なんだろ?なら俺が直して使っても問題ない!

そして俺の目的を手伝ってもらう、いや!あきらめる奴に選択の余地無し!絶対手伝わせる!!」

「な………に?………そ、そんな事出来るわけ無いだろ!」

次第に言っている事の意味が理解できてきた心眼が横島に向けて叫ぶが全く聞いていない。

「単体で生きられる様にするにはエネルギーからか?

心眼は小竜姫様の竜気をエネルギーにしてるんだよな……いや…

それとも'俺の試験のサポート'で心眼の存在はバンダナに括られてる見たいだからその因果を…」

(こやつ…本気か!)

実際に行動に移すための方法を考え出す横島に、驚きと言うかある種の恐怖を覚える。

「おい!心眼!お前の寿命は何時までだ!」

「うえっ?…あ………多分今日までだと思うが…」

「時間が無いな」

美神の所を出た時間と話していた時間を考えると、もう11時は回ったいるだろう。

「よし!じゃあ…今からやるぞ!」

「……何を?」

状況から考えて分かりきったことだが心眼の理性がそれを認めるの拒否している。

「何…って…分からないのか?心眼を一人で生きられるようにするんだよ」

「分かるわ!いや…分かりたくも無い!お主こそ何をやろうとしているのか分かっているのか?」

少し笑い、ヘラヘラした口調の横島に心眼の怒りが爆発する。

横島がやろうとしている事は独立した生命体への移行…少し違うが魂の製造に他ならない

三界でもほんの一握りの上級神族と魔族にしか出来ない事を高々人間がやろうとしているのだ。

「何が?」

「おぅ…おぬ…」

「それとも…このまま消えたいの?」

怒りと驚きのため旨く言葉が出ない心眼の言葉を遮り真面目な口調で切り返す。

「なっ」

「心眼が本当に'やだ!'…って言うならあきらめるけど…本当にそれでいいの?生きて見たくないの?」

「…………良いわけ無いだろ…我だってもっと生きてみたい…お主の相棒としてお主の助けをしたい…だが!」

「なら…信じて欲しい…術は絶対に成功させる…でも、

心眼自身が信じてくれないと成功しない…ほら…'まだ未来は決定されていない'だろ?信じてくれ」

「……………ここでその言葉を持ってくるか…卑怯も者め…ここで諦めれば我が嘘を付いた事になるではないか」

前に横島を励ました時の言葉を持ち出され少し拗ねた口調で心眼が答える。

そして、本当に小さな声で「お主を信じる」と付け加えた。

………
……


「じゃぁ説明するよ…本当なら色々と準備が必要なんだろうけど、分かんないし調べる時間も無い。

だから全部文珠で代用する。局所的とは言え理を捻じ曲げられるから十分だと思う」

双文珠、文珠合わせて十数個の文珠を出現させる。

「最初は'魂'と'幽/体'で、霊体を…次に'魄'と'実/体'で肉体を作る。

で'魂/魄'で二つを結びつけ

'反/映'と'最''適''化'で霊体と肉体を心眼に一番適した形に作り変えるこの作業の時心眼の形が決定される。

その後、'転/生''移/動''定/着''独/立'

で心眼の意識を移し変え一つの独立した生き物となる。

一様手順としてこんなもんだけど、実際にやる時は最終的に全て並列に起動することになる。

二十一字、十一文字の同時起動なんてやった事無いから正直どうなるか分からない」

「…ふん…愚問だな…我は信じるといったのだ」

先ほどとは違い何時も通りの調子を取り戻したようだ。

そうなると、横島の心の中に一寸した悪戯心が鎌首をもたげる。

「あっ…頼むからゴキブリとかムキムキテカテカのオヤジに何てなるなよ?」

「なっ!そ、そんなモノに我がなるものか!!」

「え〜そんなの分からないじゃん」

横島の言う通り確かに可能性としては皆無ではない。

「我が、我がそんなモノに適している?…止める…やっぱり止める!我はここで朽ち、名誉ある死を!」

少し錯乱した心眼を笑いながら'浄'と'聖/域'で辺りを浄化し残った文珠を'護'や'結/界'、'制/御''補/助'と言った文字を込め辺りに散らす。

これで下準備は完了だ。

「よし!準備完了!って何時まで錯乱してんだよ」

「ゴキブリ何ぞになったらすぐその場で命を絶つ!!」

「おいおい…それじゃ意味無いだろ」

多少からかい過ぎたかなと考えながらバンダナを外し二十一個の文珠で作った円の中央に置く。

「うるさい!その時はお主も道連れだ!」

「いや…そんなに心配しなくても大丈夫だって…」

「…本当か?」

「ああ、信じてくれ…じゃあ始めるよ」

「…ううゴキブリは嫌だ〜、せめて犬か猫辺りに…」

「信じて無いじゃん!」と言う言葉を飲み込み術を起動させるべく意識を集中する。

もしここで失敗すれば横島に取ってこの場所でまた大切な者を失うことになる。

(ルシオラ…力を貸してくよ…)

そう祈りゆっくりと霊波を放出し起動を開始する。

'魂'と'幽/体'を起動、続いて'魄'と'実/体'。

'魂/魄'を中心に五つの文珠が溶け合いように集まり一抱え程の光の玉を形成する。

(少し辛いけど、問題ない)

そう判断した横島が次の工程へと移る。

'反/映'と'最''適''化'

横島の意思に従い二つの文珠が光の玉へと入っていくと同時に一気に制御が難しくなった。

文珠で生成したモノを文珠で強引に変容させようとしているのだ。

難しいのは仕方が無いだろう。

崩れそうになる光の玉を必死で制御し何とか球状を保とうとする。

「おい!大丈夫か!無理をしては駄目だぞ!」

真っ青な顔をしている横島に向かって心眼が声を上げる。

(うっさい…こうゆう時に無理しないで何時無理すんだよ!)

内心でそう叫びながら一気に制御すべく一気に霊力を放出する。

その甲斐あってか瘧(おこり)の様に震えていた玉が徐々に落ち着きを取り戻す。

「はぁはぁ…心眼!うっさい!人が真面目に集中している時に声なんか掛けんじゃねえ!」

「なっ…何!我がせっかく心配しているのに!」

「うっさい、余計なお世話だ!お前はそこでゴキにでもならない様に祈ってろ!行くぞ!!」

「ばっ馬鹿者!そんな事を言っている場合か!もう止めろ!死ぬぞ!!」

確かに横島の顔は青を通り越してもう白と言って良いだろう。

先ほどの'反/映'と'最''適''化'で予想以上に霊力を使いすぎたのだ。

これ以上霊力を使えば命の保障が出来ない。

だが、それは自身である横島が一番知っている事だ。

(一瞬だ…一瞬でも安定すれば心眼は新しい命として生まれ変わるはず)

「…もう、あんな思いはしたくない…」

その横島の決意とも取れる呟きで起動した'転/生''移/動''定/着''独/立'の四つの双文珠が心眼共に光の玉に飲み込まれた行った。

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