ザ・グレート・展開予測ショー

吟詠公爵と文珠使い11


投稿者名:アース
投稿日時:(05/ 2/15)

現地に到着し、予約していたホテルにチェックイン。既に真夜中に近く、さらに長旅の疲れやら時差ボケやらで、状況説明を受けるのは明日になった。

砂川に割り当てられたのは、205号室だった。
彼女は、運ばれてきた食事を食べ終え、シャワーを浴びることにした。

シャアアアア・・・・
軽く体を洗った後、シャワーのお湯に打たれる。

(ふむ、このお湯の暖かさが心地よいな・・・・)

彼女の白い肌に、お湯が跳ね返り丸い雫を作り、流れ落ちる。
(シャワーを浴びた後は、ワインでも飲むとするか・・・)



さて、横島と西条に割り当てられた207号室では・・・・

こんな場面で煩悩魔人である横島が、覗きを決行するだろうと思いきや・・・・決行しなかった。このことに驚いたのは、無論、彼と同室になった西条。彼が覗きに行くことを想定して、霊剣ジャスティスを携え、待機していたのだが・・・・・
横島は、何故か、ノートを広げ、高校の宿題の数学の問題を解いていた。



(馬鹿な・・・・横島君が、覗きに行かず、しかも勉強しているなんて・・・)
何だか、失礼千万な評価をされている横島だが、今までの彼の行状からすると至極当然といえる。

「よ、横島君。砂川さんの入浴を覗きに行かないのかな。今までの君なら、相手の入浴時間を何故か察知して、覗きに行ったはずだが・・・」まるで、天変地異の前触れのような口ぶりの西条。

「あのなあ。俺だって、いつまでも危ない橋を渡ったりしねーよ。覗きは、もう卒業したんだよ」何の感慨も感じさせない口調で、横島は答える。

確かに、あの戦い以降、彼のセクハラ行為は極端に減っていった。さらに、女性に対する目がかなり、冷めたものになったのもその頃からだった。女性の依頼人を見ても、襲い掛からなくなり、美神の入浴を覗くことも少なくなっていった。ピートのモテモテぶりや、彼女持ちの雪の丞やタイガーを見ても、彼の顔に、嫉妬の表情は浮かばなくなったという。

(彼から、煩悩を取ったら、こんな感じに・・・・むしろ、これが彼の本質なのか・・・)
優しいと同時に、無感情。相反する性質を持つのが、横島忠夫という男なのだろうか。

『最近、除霊の時、横島さんは冷たい凍ったような笑みを浮かべることがあるんです。その時はむしろ、横島さんの方が怖いです・・・』
以前、不安げにおキヌが語ってくれたことがあった。



そう、彼は心が『立ち直った』わけではなく、『凍り付いている』だけなのではないか。心の氷を解かせる女性。その女性こそが、彼と共に歩む資格がある女性だろう。残念ながら、該当する女性はいそうも無かったが・・・・



(横島君の心は、令子ちゃんから離れている。令子ちゃんを手に入れるのなら今だが・・・・フェアじゃないな)
横島の心の傷に付け込むようで、嫌だったが、美神と自分が結ばれるにはこれしかないだろう。

(ひとまず、このことを考えるのはやめよう。泥沼になりそうだ。装備の点検でもするか)
西条は、頭を振って、思考を切り替え、装備の点検を始めた。






ふと、嫌な風の匂いがした。
「夜風にでも当たってくる」
装備の点検をしている西条に言い残し、横島は左手に魔剣ゲヘナを持って、部屋を出た。

コツコツと高い靴音がホテルの廊下に返る。魔剣の携帯についてはGS協会より、美智恵と唐巣神父の承認の下、許可が下りていた。ゴモリーから譲り受けてから、一月もしていないのに、何十年も前から、使っていたかのように手に馴染む剣。

(嫌な気配があったんだけどな・・・・)

ホテルの周りは深い森に覆われ、月光以外の光源は見当たらない。


シュラン

涼やかな音を響かせ、剣を抜く。剣に月光が反射し、怪しく輝いた。

そして・・・・
何の前触れも無く、横島は剣を横なぎに振り抜いた。

ズバッ!!

確かな手ごたえ。剣には紫色の血がこびりついている。

「少しは骨のある奴がいるわけか・・・・」剣に付いた血を拭いながら、呟く声には驚きも恐れも無く、ただ『楽しみが増えた』という冷たい闘争心のみ。



横島は、魔剣を鞘に収め、ホテルの中に戻っていった。

そのころ、砂川の部屋では・・・・

ワインを軽く飲んでいた砂川。

「ん? あいつ、フラフラと何を・・・」
窓からホテルの外にいる横島を見つける。そして、彼に襲い掛かる影。一瞬、槍を持ち、窓から飛び降りようと身構えるが・・・・・

横島が、魔剣を振り抜き、傷を負わせたらしく影は逃げ去った。

「どうやら、撃退に成功したか。だが、単なる落盤事故というわけではなさそうだな」安心すると同時に、新たな疑念がわきあがっていた。

そんな彼女の手元には、暇つぶしに読んでいた新聞のスクラップ記事。

その内容は・・・

『怪奇!!  子供が消える。数年ごとに起こる悲劇!! 両親の怒りと悲しみの叫び!! 第二次大戦の呪いか!?
奇怪な影を目撃』というものだった。

その頃の西条
「えーと、これは・・・こっちに」
まだ、装備の整理が終わっていなかった。




後書き 私の横島に対するイメージでは、彼から煩悩を取り去ったら、こんな感じになるのではと・・・・あと彼の心の波は不安定です。冷たく暗い部分が出て来たり、明るくなったりなど・・・ゴモリーとの触れ合いで少しずつ落ち着いてくるかな?   横島に襲い掛かった敵はそれなりに強いです。(あくまで、それなりにですが・・・・)

砂川のサービスシーンに始まり(各自ご想像ください)、西条の思考と葛藤、新たな敵の影で終わりました。前話と一緒に投稿予定でしたが、手直しを加えたので、遅れての投稿と相成りました。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa