ザ・グレート・展開予測ショー

吟詠公爵と文珠使い10


投稿者名:アース
投稿日時:(05/ 2/15)

ヨーロッパ某所。ある廃鉱山の付近。
「美神さん、ここはかなり危ない気が・・・・」
「何、言ってるのよ。おキヌちゃん、この仕事ギャラは日本円に直して五億よ。五億」
意気込む美神に対し・・・・
おキヌはため息をついて
(せっかく旅行に来たのに・・・)
旅行先で、鉱山に巣食う魔物や悪霊を何とかしてくれという依頼を受けたのだ。ギャラの高さに目のくらんだ雇い主に刃向かうことも出来ず・・・


「中は魔物の気配でいっぱいでござる。うー、腕が鳴るでござる」
「馬鹿犬。先走ってくたばるんじゃないわよ」
「犬じゃないでござる!!」
斥候に行っていたシロとタマモの報告を受け、美神は頷く。

「OK。装備もバッチリ。食料は一週間分持ったわね。この仕事が終わったら、食事おごるわよ!!」
「肉がいいでござる」
「あたしは油揚げがいい」
獣っ娘コンビも気合を入れ・・・・おキヌも不承不承ながら頷いた。
(横島さん、どうしてるかなあ・・・)
彼女は、日本にいる想い人の顔を思い浮かべた。

そして、事件は起こる。


美神達が、鉱山での依頼を受けて三日後。
日本
妙神山でのベリアル達との死闘から四日後。あと二、三日で美神達が帰ってくるという時。
ちょうど冬休みに入り、横島は、魔鈴の店で昼食をとっていた。

「魔鈴さんの料理は、相変わらず美味いなあ」
「ふふ、ほめても何もでませんよ、といいたいところですけど新メニューのシチューをどうぞ」魔鈴の頬は、かすかに赤い。

もっとも、横島は彼女の表情に、全くに気付きもせず・・・・
「ありがたくいただきます」
シチューを食べ始める横島。それをニコニコ見つめる魔鈴。
二人の平和な空間。そんな空間を打ち破るかのように・・・・


カララーンとドアの呼び鈴を鳴らし、西条が入ってくる。
「横島君!!」
「おい、どうしたんだよ。西条」
血相を変えている西条に横島は戸惑う。

「令子ちゃん達が旅行先で事件に巻き込まれた!!」
「何・・・!?」
西条の言葉に、横島は言葉を失う。

「ちょっと失礼するよ」西条は横島の席の向かいの席に着き、資料を手渡す。

そこには、美神が旅行先のヨーロッパで、高額ギャラにつられて依頼を受けたこと。そして、現場の鉱山が落盤事故を起こし、彼女達がその中に閉じ込められたという報告が為されていた。

「なんてこった・・・・」
「今朝、報告が届いた。現場はドイツの廃鉱山で、その中に巣食う魔物や悪霊を除霊するものだった」
「除霊している最中に落盤事故が起きたと・・・・」

西条が重々しく頷く。
「彼女達は、装備は充実してたし、食料も一週間分は用意してたそうだから、当分は持つと思うが・・・・」
どのみち、ぐずぐずはしていられない。
現場であるドイツのGS、Gメンは別の事件で手が離せないという。

「俺達が助けに行かなきゃならないわけか」オカルトGメンの人員として西条、彼女達の身内として横島、あともう一人か二人腕利きが欲しいところだ。唐巣神父とピートは教会の再建があり(費用についてはベリアル達の賞金でまかなった) エミは別件で無理。魔鈴は店がある。雪の丞は弓と修行(中身はデート)残るは・・・・・

「落盤事故か・・・・物騒な事故だの」二人の横から、やや古風な女性の声。
「起きたのか・・・」
「砂川さん」
魔鈴の店で半居候化している魔神ゴモリーこと砂川志保が、いつもの黒スーツに身を包んで立っていた。
横島は、西条にはゴモリーのことを砂川志保というGS(実際に免許もち)で、古風な家の生まれなので言葉使いも古くさいのだと説明しておいた。今の所、彼女の正体を知っているのは横島、唐巣師弟、エミ、カオスとマリア、この店の主の魔鈴、そしてハヌマンだけであった。

「うむ、おはよう。といっても、もう昼に近いが」彼女は苦笑する。

「さて、砂川さん。すまないが、僕達に同行して令子ちゃん達の救出に協力してくれないか」西条自身、砂川の実力を感じ取っている。あくまで「人間」としてのものであるが。

「別に構わん。特に用事も無いのでな」あっさりと彼女は了承する。
「で、場所は何処だ?」
「ああ、ドイツのある地方のブレジ銀山というところだ。向こうへ行く手段として一番手っ取り早いのは飛行機だろうな。Gメンの権限でファーストクラスの席で行ける」

「わかった。まずは準備を整えて、その後出発だな」
その後、細かい打ち合わせをし、出発は二日後となった。
「しかし、美神さんも懲りないよなあ。前にも、高いギャラにつられて痛い目見てるってえのに・・・・」魔鈴の店からの帰り、過去の記憶を振り返りながら、横島は苦笑交じりにため息をついた。無論、心配ではあるが、彼女達とて、只者ではないのだ。おいそれとやられるわけは無い。そう、自分に言い聞かせ・・・・横島は自分のアパートへ急いだ。

出発当日

横島は、空港で西条や砂川と合流し、Gメンの手配した飛行機に乗り込んだ。席の配置としては、窓際に横島、その隣の通路側に砂川。横島の後ろの席に西条といったところである。
「しっかし、流石Gメン。飛行機の指定席、しかもファーストクラスとはなあ」バンダナを外し、黒いスーツに身を包んだ横島が呟く。
「感謝したまえ、横島君。こんな機会は二度と無いかもしれんぞ」横島の案外整った正装に驚きながらも、嫌味を口にする西条。
「け、言ってろよ。お坊ちゃん公務員」西条の嫌味もサラリと流した横島は、改めて現場の概略を記した書類に目を通した。
それによると、現場であるブレジ銀山は、17世紀までは盛んに銀が産出していたが、その後は振るわなくなり、また鉱山内での事故も多発するようになったので、閉山されたとのことだった。長い年月の間に、鉱山内で死んだ人間の霊が集まり、魔物が棲みつくようになってしまったらしい。

「依頼主は、鉱山周辺を買い取った事業家だ。別荘を建てようと思ったら、近くに魔物の巣窟があって、安心できない。そこで・・・」
「あー、成る程」言葉を切った西条に対し、横島も納得する。
ただでさえ難易度の高い仕事なのに、暗い鉱山内という悪条件が重なり、手を焼いていたところに、旅行に来ていた美神が大金につられて引き受けたというわけだ。
「魔物相手の戦闘となると、おキヌというネクロマンサーの娘は危ないのではないか?」自分の手元の資料を見ていた砂川が、口を挟む。確かに、普通の死霊ならともかく、魔物相手だとネクロマンサーの笛は効果が薄い。まして、死霊が相手でも説得が通じない場合があるのだ。こういう場合、直接的な戦闘力の弱いおキヌは危ない。最近では、その弱点を克服する道を模索してはいたが・・・・

「ああ、無事でいてくれるといいんだが・・・」横島は、手のひらにじっと汗が浮かぶのを感じた。そして、他のメンバーのことも気にかかる。
「令子ちゃんに会ったら、うかつに高額のギャラにつられてうかつに引き受けないように、言わなくては・・・・」西条が、額に手を当てて沈痛な表情で呟く。
「あの人が言うこと聞くかなあ」横島としては非常に疑問だった。何しろ、タマモの一件で懲りたかと思えば、ユニコーンの角に目の色を変えていた彼女のことだ。金銭関係で言えば、自分よりも学習能力が無いのではと思えてくる。
「病気では無いのか?」砂川の指摘も案外的ハズレではなさそうだ。
「それについては、隊長から最後通告が出てる。次こんな事態に陥ったら、脱税のことで税務署に密告するそうだ」ご丁寧にそれに関する書類まで用意し、弟子の西条に持たせているあたり、美智恵も本気らしい。

[間違いなく、七つの大罪の中で『強欲』は当てはまりそうだな]
「あと『傲慢』も入るかもな」
砂川の言葉に、横島も苦笑交じりで応じる。出来れば否定したいのだが、外面についてはほとんど事実のため、出来そうも無い。
「何にせよ、無事でいてくれるといいんだが・・・・」
「ああ・・・・」
西条の言葉に、横島も口数が少なくなる。本音を言えば、心配でたまらないのだが、敢えて軽口を言ってごまかしていた(もっとも、内容に関しては真実だが)
しかも、現場のブレジ銀山は現地のGSやGメンですら、手を焼くような場所。時間も人員も足りない。
「全ては、向こうに着いてからわかること。今から慌てても身が持つまい」
美神達と面識が無いためか、または生来の性格か、その両方か、砂川の声は落ち着いたものだった。もっとも、彼女の冷静な声のおかげで、かえって横島と西条は気を落ち着けることが出来た。それに、彼女の声には『お前達が、そんな状態では助けられるものも、助けられんぞ』といった意味が込められていた。
二人は、彼女の声に込められた気遣いを読み取り・・・
「そうだな。現地に到着するまで、眠るとしよう」西条はアイマスクをつけて、眠りに着き・・・・
「本番に備えて、腹ごしらえだな」横島は、機内食を食い始め・・・・
「ふむ、『デビル○ン』の悪魔は・・・・アイツか」砂川は、悪魔の名前を入れるクロスワードパズルを始め・・・・(オイ)

それぞれの時間が過ぎていく。




その頃、鉱山内での美神一行・・・・

「ふふふ、キツネ鍋ってのもいいわねえ」(ちょっと錯乱中)
「キャ――――美神さん、しっかりして!!」
「た、食べられるなら横島に・・・・」(ポッ)
「何言ってるんござるか。女狐――――!!」
違った意味で、ピンチだった。



後書き  さて、バトルから離れてこんな話に・・・・
砂川志保様の解いていたクロスワードパズルは実在しました。どっかにいってしまいましたが・・・・・『デビルマ○』の主人公は・・・・・誰でしょう。
あと横島の服装についてですが、黒いスーツに揃いのネクタイですが(バンダナも無し)これは、横島の内面的な変化も暗示してたりします。『吟詠公爵と文珠使い』(←妹による命名)では横島はこの服装を通していくことになるかと・・・・・(服装が変わった理由付けは後ほど) この話(鉱山事件)の前後で、西条×美神フラグが立ちます。(多分)

ついでに、砂川志保ことゴモリーのプロフィールを・・・・
身長172cm バスト86 ウエスト56 ヒップ87 外見年齢21歳〜24歳くらいですが、実際は、5千年から8千年くらいを生きてます。横島との恋愛要素は今のところ皆無ですが、一応メインヒロインです。  ちなみに元魔界軍特殊部隊大佐で、数十年前に退役。元軍属だけあり、実は色々扱える。(銃とか、爆弾とか) 家族として姉が一人いるが、もう長いことあってなかったりする。

戦闘スタイルとしては、槍を主武器とし、卓越したスピードと技の精度で勝負するタイプ(ダイの○冒険のラーハル○みたいな感じでしょうか)

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