ザ・グレート・展開予測ショー

吟詠公爵と文珠使い8


投稿者名:アース
投稿日時:(05/ 2/14)

三局の戦いの二つ目。キリストを告発した堕天使に対するのは凄絶な過去を持つ女、半身に闇の血筋を持つ青年、そして往年の力を取り戻した神父である。



光に包まれ、 醜い獣ではなく、真の姿である美しい堕天使となるベリアル。

「さあ、始めるとしよう」言葉使いが変わり、神々しさまで感じさせる。殆どの人間が見たら、ひれ伏すかもしれない。

だが・・・・・

「子供だましはそれぐらいで十分だ。ベリアル、いくら姿を変えようと貴様の本性は透けて見える」文珠の効力によって、若返った神父の冷然とした声が響く。

「家畜以下の人間の分際で、吠えるなギイ!!」本性をむき出しにしたベリアルの嘲笑。
「その家畜以下の人間にやられたのは、どこの誰だったかな。悪魔にも痴呆症があるのかね?」嘲笑を嘲笑でもって返し、マルボロのタバコを取り出し、火をつける。

「口の減らない神父だギイ。後悔させてやるゼイ」
「やってみるがいい」
紫煙を吐き出すと、タバコを投げる。

半分になったタバコが地に落ちる。それが、合図となった。


ベリアルの鋭い爪が、迫る。顔がこすれるか否か、コンマの差でかわし・・・・

「悪魔ベリアル。主の膝元より立ち去れ!!」
聖書に「力」を集め、敵の頭へ、叩きつける。

ベギイ!!

ふらついたところへ、さらに懐に隠し持っていた銀のナイフ。
ドスッ
脇腹に刺さる。
「図に乗るんじゃないギイ!!」元もとの能力が違うため、大した効果は無い。

腕を振る。だが、かわされる。その繰り返し、霊波砲を撃っても、翼を矢のように飛ばしても、たくみにかわされ、受け流され決定打を得られない。かれこれ一時間が過ぎる。
(当たればそれで終わりなのに・・・・何故だギイ)
悪魔の焦燥が募る。神父に気を取られ、エミやピートのことを忘れていた。いつでも、殺せるという油断もあったが。

神父にとって、ベリアルが人型になったのは好都合。なぜなら、彼の本当の戦い方に適しているため。過去、ベリアルとの一件で、自分は力不足だと実感し、力を磨き、それでもあきたらず格闘能力を磨いた。そんな中で出会った一つの武術。質実剛健、実践的なその拳法は、彼の気風にあっていた。今までは、その力を使わずにいたが・・・・

(今、使わずにいつ使う・・・・)
「これでも、食らうがいいギイ!!」
迫ってきたベリアルの爪をかわし、懐へ飛びこむ。爪が頬をかするが、お構い無しに・・・

バギイッ

震脚で地面が割れ・・・・
「ハアッ!!」
神父の右手が、ベリアルの胸に叩きつけられ、衝撃でベリアルが二、三メートル吹き飛ぶ。猛虎硬爬山。八極拳が一手。正直言って、余裕の無い戦いだったが、彼にとっては譲れない戦いだった。

「今だ! エミ君」
「分かってるワケ!!」ピートのバンパイアミストにエミは紛れ、機会をうかがっていた。
実体化し、叫びと共に、エミは吹き飛ばされたベリアルに「銀の棒状の様な物」を投げつける。

それは、真っ直ぐベリアルの元へ飛んでいき・・・・

見事に突き刺さった。

「グギャアアアア――――!!」耳をつんざくような悲鳴を上げる悪魔。引き抜こうとしても、しっかりと食い込み、悪魔の本質たる黒い「何か」を削り取る。

「何なんだ、これはギイ!!!・・・・」のたうちながら、ベリアルが叫ぶ。
「これは、ヴァチカンに保管されている悪魔殺しの武器の一つ『裁きの杖』だ」
 
『裁きの杖』、それはヴァチカンの中で非公式の部署が管理している武器の一つ。
使用者の一つの念を、力ある言葉で増幅し、その力でもって悪魔を滅ぼす。今回、唐巣がある筋に手を回し、借り受けたものだった。なぜ、隠蔽されているのかという理由は、込める「念」は何でも良く、例えば「異教徒を殺す」というものでも良く、過去に魔女裁判等で使われたからであった。できれば、使うのは遠慮したかったが、ベリアルに対抗できそうなのは、これしかなかった。


今回の作戦は、単純だった。神父が囮となり、ベリアルの相手をする。その間に、エミが「裁きの杖」に念を込め、力を練り上げる。ピートは、エミのガードに徹する。この作戦を聞いた時、ピートは危険だと反対した。しかし、神父は頑として譲らず、「私なりのけじめなんだよ」と寂しげに笑った。

ベリアルはかなり、弱っているとはいえ、まだ余力はある。

「まだ、終わりじゃないギイ!!」全方位に翼の弾丸を降らそうとする。
だが・・・・
「いいや、終わりだ。ダンピール・フラッシュ!!」ピートの放つ聖光。
「今度こそ、終わりなワケ!!」エミの呪殺の剣。

二人の攻撃を受け、よろめくベリアル。

さらに・・・・・
「わが師の敵、これを受けろ」
神父の銀ナイフが、中枢を貫く。

「グげエエエ・・・・・人間が」
ベリアルは、断末魔を残し、灰となった。

「終わりましたね、先生」
「ああ・・・・」
愛弟子の声に、神父は今の気分をかみ締めるかのように、返事をした。

(これで、ようやく貴方に顔向けが出来そうです。師匠)
以前のベリアルを封じる際、自分を庇って命を落とした師。最後まで、自分の身を案じてくれた師。

今度、墓参りに行って報告をしよう。

「ベリアルを退治したので、安心してくださいと」


後書き
戦闘描写がうまくいかない。神父の過去が、うーん。皆さん、ご満足いただけたでしょうか。次は、いよいよ横島が出ます。 もうすぐ、忘れ去られていた美神達が復帰します。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa