ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 61〜母の決断〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(05/ 2/ 9)

横島はドアの前で一つ深呼吸して自らを落ち着かせた。このドアの向こうにいる相手は
求めて会う機会を増やしたい人では決してないが、今回はどうしても会う必要がある。
事前に在室は確認してあるので、後は自分が部屋の中に入るだけだ。

「失礼します」

そう断って中に入りその人がいるであろう場所に目を向けると、反対側を向いた
馬鹿でかい高そうな椅子の背もたれが目に入って来た。

「どこを見てるの〜私はここよ〜横島君〜」

声のした方を向くと来客用のソファーに座ってにこやかにこちらを見ている六道理事長がいた。
何時もの執務机にいると思い込んでいたので見逃していたらしい。
そう、ここは六道女学院の理事長室で会いに来た相手は理事長その人であった。

前日、三人目のメンバーが冥子に決まった。本人もやる気充分だし実力も申し分無い。
だが一つ冥子が他の二人と違うのは六道家の一人娘だという事だ。万が一後継ぎを無くして
六道家自体がどうにかなった場合、日本経済に与える悪影響は軽視できないとまで言われている。
ある意味、日本を裏から支配しているような観のある名家の後継ぎを本人が希望したので
というだけで危険な戦場に連れて行くのは抵抗がある。せめて当主である母親の耳には入れておく
べきだと思ったのだ。あの戦役での横島の処遇とそれについて何のフォローも無かった事に対する
両親の憤りは未だ記憶に新しい。それと同じ事を自分がする訳にはいかない。

事前に何も言わず、後になって危険な事を娘にさせていた、と知らされるのは不愉快だろう。
もし理事長が否と言えばその決定を受け入れるつもりだった。母親にはそれを言う権利がある。
情無い話だが、横島はそれについて自分で判断がつかないでいた。これが美神であればここまで
深く悩まないだろうと思う。何せ殺しても死なないどころか、魂をバラバラに分解されても
”シリコン胸”の一言でこの世に甦って来たような人だ。心配するだけ馬鹿を見る。

あんなものを基準にした日には世界中の誰もが不合格になってしまうのだが、なまじ美神の事を
良く知る横島だけにどうしてもそこに基準がいってしまう。それでは誰を持って来ようが不安だろう。
横島は一つ頭を振り意識野から美神の事を追い出してから理事長と向き合った。

「突然ですみません、実はご報告しておくべき事が出来ましたんで」

そう前置きして、総ての事情を詳しく話した。この人相手に下手な隠し事はするだけ無駄だ。

「それで〜肝心の冥子は〜何て言ってるのかしら〜」
「何と言うか、やる気満々です」

昨日の様子を思い浮かべながら正直に答える、嘘をついて良いような相手ではないので尚更だ。

「横島君から見た〜冥子の実力は〜どうなのかしら〜」
「強いです、信じられないくらいに。あの状態で時間を区切れば、多分俺や雪之丞よりも」

実際に闘った感触を思い出しながら、意見を述べる。あと少しあの攻撃が続いていれば
間違い無くまともに喰らっていたはずだ。こちらが本気で倒しに行かない限り。

「横島君にとって〜、あの娘は〜信頼できるかしら〜」
「今迄は理想の上司でした。でもこれからは更に共に闘う仲間としても頼れる人だと思います」

あれだけの強さを秘めているのであれば信頼に値する。理屈ではそうだ。

「あの娘も〜随分成長したのね〜嬉しいわ〜」
「理事長が指導されたそうですね、正直驚きました。初めて本物の天才を見た
気がします。努力し続ける天才を」

美神もある意味手段を選ばずに自身の成長を求める天才だが、短時間での成長の幅が冥子の方が
大きいような気がするのだ。今迄怠けていた分それだけの余地が残されていただけかも知れないが。

「だったら〜心配いらないでしょう〜? あの娘の意志に〜任せるわ〜」
「確かに実力に関しては心配無いですけど、一つだけ心配なのが優し過ぎる性格なんです」

あれほどの強さを身につけたのを目の当たりにしても踏ん切りがつかない理由がこれだった。
勝手な思い込みかも知れないが、容赦無く敵を殲滅する冥子の姿がどうしても浮かばないのだ。

「優し過ぎるのは〜貴方も同じよ〜、実力は〜充分なのよね〜」

やけに何度も確認したがるのが多少気にはなったが、親の立場からすればどれだけ心配
してもし過ぎという事は無いのだろうと思い、気にしない事にした。

「それは間違い無いです、今のあの人に勝てそうな人間なんて、五人もいないでしょうね」

「それだけ聞ければ充分よ〜後は本人に任せるわ〜、がんばるのよ冥子〜」
「たークン、冥子嬉しい〜初めて頼って貰えるのね〜」

「え? え? え?」

今の今迄気付かなかったが、背中を向けていた理事長席に冥子が座っていたらしい。
普通に座っていたのなら、いくら何でも気付いたはずだが完全に気配を絶っていた。
どうやら冥子に対する横島の評価はまだ低かったらしい、反省する事しきりだ。

「完全に気配絶ってましたよね?」
「そうよ〜”気殺”って言うの〜」

気殺であれば横島も使えるが。まさか冥子が会得しているとは思わなかった。
自分の霊気を完全にコントロ−ル出来ていなければ使えない技だからだ。
どうやら無意識のうちに上から冥子を見ていたようで、赤面するしかない。

「所長! すんませんでした! 俺は所長の実力を見誤ってました」

腰から90度の角度に上体を曲げて深々と謝罪した。これはケジメだ。

「良いのよ〜無理もないから〜、これからは〜認めてくれるんですものね〜」
「はい、改めて宜しくお願いします」

三人で闘う時は全力で冥子を守る、そして心からの信頼をこめて自分の背中を任せる。
横島の覚悟はようやく固まった。後は勝率を少しでも引き上げる方策を考えねばならない。


六道幽子はそんな二人の様子を無言で見守っていた。前日冥子から魔族討伐の話を聞かされた時は
さすがに悩んだ。何せ相手が悪すぎる。話を聞いただけだがおそらく、かのメドーサ以上の難敵だろう。
普通なら一も二も無く反対しただろう、だが冥子が始めて自ら苦難へ立ち向かう決意をしたのだ。
頭ごなしの反対はしたくない。更に同行するのが横島と雪之丞とあれば、これ以上ない人選だ。
残る問題は冥子の実力だ。同行する二人がある意味人外の戦闘力を誇る為足手纏いになりかねない。

冥子の同行が逆効果になるようなら意味が無い。その為、掛け値無しの評価が聞きたかった。
横島から面会の申し入れがあった際に冥子を潜ませたのはその為だ。横島の本音での評価が
最後の一押しだった。もし横島の評価が否定的なものであれば、冥子が我を張る事も無いだろう。
そして好意的な評価であればこの上無い自信を与えてくれる事だろう。それは得難い財産になる。
そしてそれは幽子の判断基準にもなる。勝ち目が薄ければ反対するつもりだった。

無論むざむざ二人を見殺しにするつもりは無い。財力に物を言わせ美神親娘だろうが唐巣だろうが
エミだろうが強力な助っ人を何人でも送り込むつもりだった。得難い人材である二人を見殺しにする
つもりなど毛頭無い。だが六道除霊事務所単独でやれるならそれが理想的だった。

幽子にとっても大きな決断だ、賭けるものは娘の命、係っているのは娘の未来。
順当に行けば親が子より先に死ぬのは必定、何時までも庇護を与えられる訳ではない。
その時に一人で立てるだけの強さを身につけていなければ、どの道ろくな人生にならない。
どこかで試練を受けなければならないのならば今こそが”その時”だろう。

事業だけに限らず人生において、常に安全策だけを取れる訳ではない。時には危険を承知で賭けに
出る必要もある。自分一人の事であれば迷う事も無いのだが、我が子の事ならそうもいかない。
ディーラーは運命の天秤、チップは娘の命と六道家全体の命運、レイズは既にリミットに
達している。ホールドは論外、コールするしかない。後はショウダウンの結果を待つばかり。
リスクとリターンを見比べて、勝負する価値は充分にある。更に幽子の決断を後押しするのが
横島と雪之丞の存在だ。人界最強を誇る二人に冥子の実力が追い縋るのであればこの三人を
超えるユニットは人界に存在しない。この戦力で勝てないのであれば人間には無理だという事だ。

「横島君は〜これからの〜準備はどうするの〜」
「あ、出来れば暫く授業の方を休ませて欲しいんですけど」


三人での超加速コンビネーションを煮詰めたかったのでその為の訓練をしたかった。
最初は連絡を受けてから妙神山の加速時空間を使わせてもらうつもりでいたが一刻も早く
訓練を始めて死角を無くし、勝率を上げたかった。幸い妙神山にはパピリオという最強の
スパーリングパートナーがいる。武器戦闘なら小竜姫や斉天大聖もいる。いくら敵が上級魔族
といえど斉天大聖より強いとは思えないので何とか見通しが立つまで特訓するつもりだった。

「事情が事情だから〜構わないわよ〜」
「じゃあ明日から〜たークンと〜お出かけね〜」

物見遊山に行く訳ではないのだが、口調が軽いからといって思いも軽いという訳でもないだろう。
だがそうなると何件か抱えている未解決の依頼の事が気になった。出来ればキャンセルは避けたい。

「そう言えば〜昨日の夜の〜8時くらいだったかしら〜唐巣神父から〜電話があったの〜」

冥子が突然関係無さそうな事を言い出したので面食らっていると、唐巣からの電話の内容は
急な用件等で果たせない依頼がもし先々であるようなら遠慮無く唐巣にまわすように、という
助言だったそうだ。唐巣の人柄を考えれば別に不審な申し出ではないがタイミング的に偶然とは
思い難い。だが誰も唐巣にこの件を伝える暇など無かったはずだ。理事長も心当たりは無いらしい。

取り敢えず冥子と二人で理事長室を辞して唐巣の教会を訪ねる事にした。改めて依頼を廻す事を
頼むのとそのお礼、そして今回の件を誰から聞いたのかも興味があった。
二人並んで校門を出ようとした処で、呼び止めるような声が掛かった。声の主は氷室キヌだ。

話し掛けてきた内容は、横島達の事情を聞いて何とか力になりたいと思い、自分でも出来る事を
考えた結果普段の除霊を手伝えば少しでも六道事務所の面々(特に横島)の負担を軽くする事が出来る
のではないかという結論に達した。だが他の事務所の仕事を保護者である美神に無断で手伝うのは
まずいと思い美神に相談した処バッサリと切って捨てられたそうだ。曰く、正式な依頼も無いのに
美神事務所のメンバーが動くのは、周囲から安く見られるので認められないそうだ。

そこを何とか、と粘ったそうだが結果は玉砕。おキヌの実力、と言うより、性格では難攻不落の美神城を
陥とすのは無理だろう。少しぐらい融通を利かせてくれても、とゴネてもひと睨みされてお終い
だったそうだ。その後一晩悶々としていたが取り敢えず力になれない事を詫びたくて待っていたらしい。

「おキヌちゃん〜それって何時頃の話〜?」
「えっと、確か7時頃だったと思います」

横島と冥子は何となく唐巣が事情を知る事になった経緯が解ったような気がしていた。

「おキヌちゃん、昨日の8時頃に唐巣神父から所長宛に電話があってね。後回しに
なりそうな依頼は神父の所に廻すようにって言ってくれたそうだよ?」
「えっ? それってどういう?」

そういきなり言われてもピンと来ないのかおキヌは怪訝そうな表情をしている。

「令子ちゃんは〜優しいから〜好き〜」
「もうちょっと解り易いと、こっちも助かるんスけどね」

二人の言葉からおキヌも理解が到ったようだ。

「じゃあ、もしかして美神さんが?」
「だと思うよ」

事務所のポリシーを守るのは大事だが、おキヌの願いも叶えてやりたい。悩んだ末、唐巣に
話したのだろう。それも素直に相談したのではなく、それとなく六道事務所の現状を話して
唐巣が自分から言い出すように仕向けたはずだ。美神ならそれくらいお茶のこだろう。
そして唐巣も敢えて美神の思惑に気付かないふりをしてそれに乗ったのだろう。
何だかんだと言っても唐巣は弟子である美神には甘い処がある。

そういう事情であれば尚更、唐巣には直接会って詳しい事情の説明と迷惑を掛ける詫びを
言っておかねばならない。おキヌも同行を希望したので三人で行く事になった。


唐巣の教会にて説明と詫びを行ったが巻き込まれた当の本人は屈託が無かった。

「そういう事情があったのかね。美神君は一切そういう事は言わなかったからね」

苦笑混じりでそうこぼすだけで迷惑そうな表情すらしない。元々、現在年度末まで六道除霊事務所が
行っている弱者救済キャンペーンは唐巣の信念にも合致するもので常々助力したいと思っていたそうだ。
おキヌに対しても弟子の性格は先刻承知なので気に病む必要は無いと慰めてくれていた。
また、実際に魔族と闘う三人の方が余程大変なので気にする事は無いとまで言ってくれた。
つくづく頭の下がる人である。礼代わりにもならないが、せめてピートの現状だけでも伝えておいた。

「そういう状態なのか。まあ心配いらないだろう、ピート君なら大丈夫。高く飛び上がる為には
低くしゃがみ込む必要がある。夜明け前こそ最も闇が深い。その程度には僕は自分の弟子を信じているよ」

その口調からはこの場にいない弟子への深い信頼が感じ取られ、それ以上は何も言えなくなってしまう。

「君達こそ充分気をつけたまえ。老婆心ながら一つだけ忠告しておこう。闘う時には躊躇うな、
躊躇いが残る間は闘うな。余計な口出しかも知れないがそれだけは肝に銘じておいてくれたまえ」

唐巣の様子からすると、横島よりも主に冥子に対する忠告のようだった。冥子もそれは
感じたのか口の中で何度も復唱している。
横島は先の発言をした時の唐巣の表情の変化が気になっていた。それまで穏やかな笑みを
湛えていた顔が一転して冷徹なプロのソレに変わっていた。小竜姫の意見を思い出す。

「そう言や小竜姫が戦闘力なら唐巣神父ってやたらと推してましたけど」

そう告げると唐巣は困ったよう表情になった。

「ああ、小竜姫様は若い頃の私の事を知ってるからね。思えば無茶をしたもんだ。
照れ臭いからくれぐれもその頃の事を小竜姫様に聞いたりしないでくれたまえよ?」
「解りました」

そう答えながらも機会があれば絶対に小竜姫様に聞こうと思っている横島だった。
神父の”無茶”には非常に興味が湧く。本当にまずい内容なら小竜姫も言わないはずだ。

教会からの帰り道でおキヌがどうしても何か力になりたいと言うので思いつきで言ってみた。

「じゃあ無事に帰って来たら久しぶりにおキヌちゃんの作ったご馳走が食べたいな」
「解りました! ってやっぱり私じゃそれくらいしか出来ないんですね」

おキヌが落ち込んだように溜息をついているので慌ててフォローを入れた。
おキヌの料理はおキヌにしか出来ないもので頑張った自分達へのご褒美としては申し分無い。

「俺が絶対に帰らなきゃいけない理由を作りたいんだよ、一つでも多く。
万が一諦めそうになっても自分を奮い立たせる事が出来るようにね」

「私の料理が理由になるんですか?」
「もちろん! おキヌちゃんの世界一のご馳走を食べない内は死んでも死にきれないよ」

そう答えるとおキヌが嬉しそうな顔で頷いてくれたので内心ホッとしていた。
魔鈴のようなプロを知る横島としては些かの誇張はあるが別に嘘は言っていない。
おキヌの作る料理には技術だけでは出せない”温かさ”があるのだ。


結局次の早朝六女の校庭に集合するように冥子から言われ、もう一件別の用事を済ませてから
帰宅して待ち合わせの件を雪之丞に伝えた。留守中はタマモと銀一だけになるがおキヌが
時々様子を見に来てくれる事になっているので心配無いだろう。

次の日の早朝、横島と雪之丞は指定通り学院の校庭で冥子を待っていた。

「別に何処で待とうが構わねえだけどよ、何で校庭なんだ?」
「さあ? 迎えの車でも来るんじゃねえの?」

横島も冥子に言われた通りにしているだけなので答えようが無い。
だがわざわざ校庭を指定しておいて車というのも考えにくい。

「それとずっと気になってたんだがよ、その大荷物はいったいなんだ?」

雪之丞が言っているのは横島の持つ板状の物で長さは人の背丈程もある。
出掛ける時からチラチラと見ていたが待っている間暇なので聞いてきたのだろう。

「ん? これはな〜、お宝等身大小竜姫様パネルだ」
「はあ?」

怪訝そうな顔をしている雪之丞に横島がかいつまんで事情を説明した。会ったばかりの人間の
頼みでそんな面倒を引き受けるのを物好きと思っているのだろうがそれだけでもない。
今無人の横島の部屋の壁には今持っているのと同じ物と、更に限界まで引き延ばした
小竜姫笑顔バージョンが貼ってある。家族写真はフォトフレームに入れて机の上だ。
そんな会話をしている時に空から爆音が降ってきた。見上げるとヘリコプターが降下してきている。

「おい横島、まさかアレか?」
「まあ、六道家だからな〜」

校庭に着陸したので近付くとドアがスライドして冥子が顔を覗かせた。二人が急いで乗り込むと
すぐに浮かび上がり一路妙神山へと針路を取る。空の旅は流石に早くアッと言う間に到着した。
山門から少し離れた場所に降り立ち門へと向かう。こんな交通手段で来た人間など前代未聞だろう。


「まったくうるさい来訪者じゃのう右の」
「まことにのう左の」

鬼門達がブツクサ言っている中から小竜姫が出て来た。雪之丞と横島に目線で挨拶をして
その目が冥子のうえで止まった。三人目の人選が意外だったのだろうか。

「お世話になります小竜姫様、今日も変わらずにお美しい」

横島がすかさず走り寄りながら挨拶をすると、相手も挨拶を返してくれたが
その後の反応が予想外だった。

「六道冥子さんでしたね、早速貴女には鬼門の試しを受けていただきましょう」

横島は一瞬耳を疑った。決戦前に訓練に来る事は解っているだろうと思っていたのだ。
それを普通の一介の修行者と同じ扱いをされるとは思わなかったので控えめに異議申し立てをした。

「貴方達二人と共に闘うのであれば、最低限でも簡単に突破出来なければ足手纏いでしょう」

そう言われては返す言葉も無い。第一冥子がここで負ける心配も無い。

「じゃ所長、思いっ切りやっちゃって下さい」
「解ったわ〜思いっ切りね〜」

そう言ってる間に鬼門達が進み出てくる。小竜姫が間に立ち開始を宣言する。

「始め!」
「「行くぞっ!」」

「みんな〜出てらっしゃ〜い」

その後は見るまでもない、流石に鬼門達が気の毒になったほどだ。
十二神将の一斉攻撃はさぞかし堪えた事だろう。

「6秒、新記録ですね。まさかこれ程とは・・・ 良いでしょう三人共中に入って下さい」

半ば呆れたような小竜姫の声に導かれて三人が門をくぐる。これからがチーム戦の仕上げだ。


「ううう、エライ目に会ったのう。生きとるか右の?」
「あんな強い奴が修行に来んでも良いじゃろうにのう、左の」


鬼門達の半死半生の呟きを聞いていたのは妙神山を吹きぬける風のみだった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(あとがき)
バトルに入るまでの展開が遅いとのご指摘があったような気がしますが、どうしても
六道母の心情は書いておきたかったのでこうなりました。
実際に闘うのは次の次ぐらいからかな〜?

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa