ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 60〜三人目は・・・暫定?〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(05/ 2/ 7)

「てな訳で所長、その時が来たら俺と雪之丞は何日か事務所を空ける事になると思うんで
前倒しで片付けられる仕事は終わらしときたいんですよ」

横島は事情をかいつまんで話して冥子の了承を得ようとした。冥子一人では無理な依頼
(実際には冥子の成長に応じて殆ど無くなっているが)だけでも片付けるつもりだった。

「う〜ん、それは良いんだけど〜まだ話してない事が〜あるでしょう〜?」
「どういう意味です?」

大まかな事情は総て話したので言われている意味が解らなかった。

「今の話だと〜たークンが魔界の依頼を受ける必然性が〜無いと思うのよ〜」

雪之丞にはあっさりと通用したので油断していたのかもしれない。

「ワルキューレの依頼なら俺が断れないのは必然じゃないですか?」

最後の悪足掻きではあるが取り敢えず抗弁してみた。

「たークンが優しいのは知ってるけど〜他にも何かあるでしょう〜?」

別に冥子を侮っていたつもりは無いが完全に意表を突かれてしまった。女の勘は侮れない
という事だろうか。そこまで確信を持たれていては隠しようがない。

「すまん雪之丞、実はお前にも言ってなかった事が一つだけあるんだ」
「何だと? 気に入らねえな、全部喋っちまえよ」

雪之丞の三白眼が睨みつけてくる。横島とて弓と魔理がいなければさっき言えていたのだが。

「実は、この依頼を受けないとパピリオが悲しむ事になる」
「そういう事か・・・」

途端に眉を顰める弓と驚いている魔理を横目で見ながら雪之丞が納得したように頷いている。
魔族の少女を悲しませない為だけに簡単に命を賭ける横島の考え方を二人が理解出来ない
だろう事を解っているのか雪之丞からそれ以上の追及は無かった。

「パピリオちゃんって〜たークンの妹みたいなものじゃない〜だったら仕方無いわね〜」

冥子も横島にとってのパピリオがどういう存在かは知っているので納得してくれた。
それは横島にとっても予想できた事なので驚く事もない。そう、ここまでは、だ。

「だったら私も〜、手伝わなきゃ〜いけないわね〜」
「「は?」」

何故そんな話になるのかが全く解らない。雪之丞も同様らしく同じように驚いている。
横島がパピリオの為に闘う事、雪之丞がそれに加勢する事、と今の発言がどう繋がるのか解らない。

「たークンは〜ウチのコだから〜そのコの妹なら〜私にとっても〜妹みたいなものだから〜」

冥子が心の広い、優しい女性である事は知っているつもりだった。ただそれが魔族にまで
適用されていると思わなかっただけだ。横島の事を身内扱いしてくれているのは解っていたが
そこから先まで適用されるとは予想できなかった。考えてみれば式神十二神将を友として
幼少の頃より過ごしてきた冥子だ、予想しておくべきだったのかもしれない。だがそれだけで
こんな危険な闘いに巻き込むつもりは無かった。いくらなんでも相手が悪すぎる。

「あの、俺の話聞いてました? 下手したら上級魔族相手なんですよ?」
「強そうね〜」

「命懸けどころの話じゃないんですよ?」
「怖いわね〜」

「だったら! ヤバすぎるくらい危ないって解るでしょ?」
「でも〜二人は〜行くんでしょ〜?」

横島は思わず絶句してしまった。確かにどれ程危険だろうが自分達は行くつもりだ。
だが命懸けの闘いに冥子がついて来たがるとは思わなかった。反対するか、二人の
無事を祈りつつ送り出してくれるだろうぐらいにしか思っていなかったのだ。

「二人が普段から〜私に〜嫌な光景とかを〜見せないように気を使ってくれてるのは〜
解ってるわ〜。でもね〜私だって仲間でしょう〜? 何時までもそれじゃ〜いけないと思うの〜」


普段の除霊や妖怪退治などの時、他にどうしようも無くて力づくになる場合もある。
横島は”殺し”を好まないが、相手が理性を無くして一切の説得が通じない場合は速やかに
”処理”する。苦痛を感じる暇すら無いように。その際、凄惨な光景になりそうな時はいつも
二人のどちらかが冥子の視界を塞ぐように動いている。自分の事を気遣っての事であり、
”守られている”、”大事にされている”という実感は心地良いものではあるが、いつまでも
そのままではいられない、という事ぐらいは解っている。

二人が冥子の事を大切に思ってくれているのと同じ、もしくはそれ以上に冥子は二人の事を
大切に思っていた。その大事な仲間が命懸けの闘いに赴くのにのほほんとしているつもりは無かった。
無論足手纏いになるようでは話にならない。自分一人でも修行は続けてきたが今の自分が
二人に較べてどの程度の位置にいるかは解らない。だが近い位置にまで昇っているのであれば
二人に助力し、共に闘うつもりだった。

「良いんじゃねえか? 取り敢えず三人目は所長って事で」
「なっ? お前、さっきは順当なら唐巣神父って言ってたろうが?」


あっさりと前言を覆すような事を言い出した雪之丞に横島が血相を変えて詰め寄った。
雪之丞は冥子の事をそれなりに認めており、単なる”お嬢様”ではないがそれでも自分達のような
馬の骨とは違うので凄惨な光景などは見ずに済むように横島と共に気遣っていたはずだ。

「まあ落ち着けよ、先ずは超加速状態で闘えるかを試してみたらどうだ? って事さ」

今回の闘いに参加する大前提を”超加速状態で闘える事”にしてそれが出来なければ諦めるよう
説得もし易くなるという事だろうか。だが今から普通に妙神山まで行くのは遅過ぎるだろうから
文珠での転移で行くべきだろうか、などと悩んでいると雪之丞から次の提案が出された。

「お前その状態でも文珠を使えば超加速出来るっつったよな? 同じ条件で所長に
出来れば問題無えんじゃねえか?」

確かに竜神の装具の助けを借りて超加速を行うよりも、文珠を使っての方が困難だ。これが出来るのは
当たり前だが世界で横島のみ。他に試した者がいないので当然なのだが同じ条件下で冥子に出来れば
横島と同等の素養があるという証明になる。更にハードルを高くするという訳だ。雪之丞も存外策士だ。
文珠の使い過ぎは小竜姫より戒められているが、無駄遣いではないと判断してやる事にした。

一瞬で三個の単文珠を生成して《超》《加》《速》の文字を刻む、間近で文珠を見るのが
初めての弓と魔理が物珍しそうに息を詰めて見ていた。

「んじゃ所長、屋上で試してみますか?」

そう声を掛け二人で屋上まで移動しようとしたら残りの面々もついて来ようとしていた。

「来ても意味ないぞ、何せ”見えない”んだからな、ここで待ってる間、月面戦闘の
話でも聞いててくれよ。おキヌちゃん頼めるかな?」
「え? 私ですか?」


いきなり話をフラれて驚いたが月面での事を知る者はこの場ではおキヌしかいない。
だが肝心の超加速状態の事は見ていない為、他に何を話せば良いのか記憶を探る事にした。
そうするとあまり楽しくない記憶が甦ってくる。

「話って横島さんがメドーサさんとディ〜〜〜〜プなキスしてた事とかですか?」
「「「「はあ?」」」」

残り四人の声が唱和する。思い出すのはいきなり超加速戦闘に入ったとのマリアからの報告を
受けて心配に胸を震わせながらモニターを見詰めていたら突然目に飛び込んで来た衝撃映像。
何時の間にか仲良くなったよーじゃな、などというカオスの独白も耳を素通りしてしまった。

「お前とメドーサの奴が・・・なあ? 節操無しにも限度があんじゃねえか?」
「たークン〜詳しい話を〜聞かせてくれるかしら〜」

三白眼と潤んだ瞳が横島の方を見据えている。横島にとっては半ば忘れかけていたような記憶なので
尚更狼狽してしまう。あの時は記憶喪失になった事などもあり、その件に関しては深く追求
されなかったので、てっきり美神から真相を聞いたのだろうと思っていたのだがどうやら時限爆弾を
起動させてしまったらしかった。雪之丞にとっては因縁深い相手だし冥子にも聞き流せない名前だろう。
事実を話せば簡単に理解してもらえるだろう、冷静に聞いてくれさえしたら。だがそれには少々時間を
おいた方が良さそうな気がした。だが二人の様子は誤魔化せそうな雰囲気ではない。

「所長、手を出して下さい」

唐突に言われて、つい素直に出してしまった冥子の手に横島の手が重ねられる。二人の掌の間で文珠が
発動し淡く光った次の瞬間には二人の姿が消えていた。壊れそうな勢いでドアが開かれたのが解った
のみで他に視認できた現象は無かった。だが事前知識があった為、それがいなくなった二人が超加速
に入ったせいだというのは残された人間にも推測出来た。

「参ったな、本当に消えちまうとはな」
「すぐに戻ると思いますよ、私達とは違う速さで時間が流れているらしいですから」


毒気を抜かれたような体で呟いた雪之丞に答えながらおキヌがそのまま月での出来事を語っていく。
横島にキスした後で消滅したメドーサがその後若返って復活していた事から考え合わせると
致命傷を負った自分を再生する為に横島の霊力と月の魔力を利用する為一時的に霊基構造を
横島の体内に移したのではないかと思える事などを説明する。

「そんな事出来んのか、って言うかそれだと別にキスに拘る事無いじゃん?」
「キスした事に変わりないです! しかも美神さんから聞いた話だとディープに」

宥めるような口調で言って来る魔理に憤然と言い返してから更に続ける。
その後月神族の女官をナンパしていた事。

「月まで行っても横島のやる事は変わんねえのか」

再度の超加速戦闘の末、危地にあった美神を救い、敵の目論見を砕いた事。

「美神お姉さまの命を救った? それは・・・何て素晴らしい事を・・・」

総てが終わった後の大気圏突入の際、しぶとく生き延びていたメドーサの復讐から逃れる為に
単身闘いを挑み敵を退けた代わりに横島も生身で投げ出されそのまま大気圏突破した事。

「「「生身で大気圏突破?」」」

その後記憶喪失になるが一時的なもので無事元通りに復活した事などを一息に話し終えた。

「そんな真似して死ななかったのか、流石は俺のライバルだな」
「と言うより非常識にも程があるのでは?」
「なあおキヌちゃん、横島さんって本当に人間かい?」

月での一連の詳細を聞き終えた三人から口々にそれに対する感想が語られるが確かに
非常識なうえに人間離れした話ではある。だが一応理由はちゃんとあるのだ。

「マリアさんが冷却剤を吹き付け続けてくれたし竜神の装具を身に付けてたからですよ。
そのうえ更に限界以上まで霊力を振り絞りきった結果何とか生き延びたらしいです」

それでも幾つかの好条件があったにしろ、誰にでも出来るという訳でもない。

「横島さんって本当訳解んない人だな」
「奥が深い、という言い方をすべきかどうか迷う処ですね」

横島の人間離れしたエピソードを聞いて更に首を捻っている二人を見ながら雪之丞とおキヌは
苦笑するしかない。良い加減自分達は慣れてしまったが、横島の非常識さに変わりは無い。



一方超加速状態に入った横島は冥子に話し掛けていた。

「所長、俺の声が聞こえますか? 動けますか?」
「は〜い」

相手が超加速状態に入れたか解らなかったので確認の為に問い掛けてみたがあっさりと超加速に入っていた。

「このまま屋上まで移動します、慌てなくて良いですから集中を切らさないようにして下さい」
「は〜い、あら〜皆止まってるのね〜。時計の針まで〜」

超加速状態で聞く間延びした声というのが何ともシュールだったが気にしても始まらない。
先行してドアを開けそのまま屋上へと向かう。この状態でドアや壁にぶつかったらどうなるか
試してみる気にもなれなかったので慎重に移動した。冥子に注意するのももちろん忘れない。
屋上に着いた段階で最も気になっていた事を確認してみた。

「それじゃ所長、この状態で式神が使えるかどうか試してみて下さい。俺を狙って」
「は〜い、アンチラちゃ〜ん」

アンチラが影から出てきて切りかかってきた。その速さは通常時の相対速度と変わらない。
使役者の状態と等しく式神は動けるようだった。予想外の収穫と言える。

「他のも使えます?」
「サンチラちゃ〜ん」

次はサンチラの電撃が襲い掛かって来た。飛び道具は使えないと思い込んでいたがどうやら
銃器類だけのようで、肉?体から射出されたものなら有効らしい。霊波砲やサイキックソーサーを
投げるのも有効だろう、これでかなり闘い方の幅が広がる事になる。そんな事を考えながら
避け続ける横島を見て冥子がジレたような声をあげる。

「あ〜ん当らな〜い、みんな〜お願〜い」
「どわっ? 十二鬼全部?」

冥子の言葉と同時に十二神将総てが影から出現して横島に襲い掛かって来た。しかも以前見た
暴走と違い的確に横島を狙って来る。火炎、飛針、電撃、斬撃、吸引、体当たりと多種多彩だ。

「嘘だろ? 何時の間にこんな・・・」

今迄は精々六鬼同時の制御しかやっていなかった。それ以上必要になる局面など無かったからだが。
だが十二鬼の同時制御など尋常ではない。天才の家系六道家ではあるがこれ程とは思わなかった。
冥子はと見ると然程余裕のある表情でないが、さりとてまだ限界までは間がありそうだ。
こんな攻撃を無傷でかわせるはずも無く、盾と体捌きで致命傷は避けているが所々焦げたり切れたり
している。このままでは身がもたないので纏めて吹き飛ばそうとした。符を取り出し召喚する。

「唸れ疾風の刃、風精召喚!」

とにかく一旦式神達を遠ざけようとしたのだが案に相違して何も起こらない。間違い無く
風精は召喚出来ているのだが、何の事はない自分達の方が風より早く動いているのだ。

「もう一つ試すか、吼えよ天空の牙、雷精召喚!」

続けて召喚された雷精の電撃がゆっくりと目で追える速度で式神達に迫って行く。サンチラの電撃で
相殺しようとしているが力自体は雷精の方が上なのでそれは出来ない。だからどうと言う訳でもない。
相殺出来なければ避ければ良いだけだ。つまり本人と同調して使役されている式神は使役者と同じ
速度域で動けるが他所から召喚した精霊はこの世界の自然・物理法則の枠内でしか働かないという事だ。

つまり超加速状態において冥子は今の横島より強いという言い方も出来る。無論本気でやり合うなら
他に横島も闘いようがあるが。この状態で横島に使える能力は色々な術を覚える以前のものだけだ。
となると文珠の多用は避けられない、小竜姫の叱責は覚悟のうえで今日から一個でも多くの文珠を
ストックしておこうと決意した。それとは別にそろそろ式神を捌ききれなくなってきたのだが
丁度良いタイミングで幸運が味方してくれた。

「あ〜ん、もう限界〜」

冥子の言葉に一瞬ギクリとしたが、暴走を始めたりはせずにそのまま影の中に式神達は
戻って行った。これは自分の使役能力の持続性と限界を正確に把握している事を表している。
集中が切れたのか超加速状態も解けたようなので横島もそれに合わせて解き、話し掛けた。

「凄いじゃないですか所長、何時の間にここまで?」
「ずっとお母様の指導で〜頑張って来たんだけど〜駄目だったみたい〜」

かつて横島が冥子に教えたものは、力の意味と使い方くらいで純粋な式神使いとしてのものではない。
技術的な面では伝統的な式神使いの血統たる六道家に一日の長があるのは当然だ。驚きなのは
冥子が自分から母親に願い出て式神使いとしての練度を上げる修行をしていたらしい事だ。
天性の才能に地道な努力、それを支える確固たる意志が備われば遥かな高みに至る事が出来るという見本だ。

横島に通用しなかったので駄目だったと思い込んでしまったようだがそれは早計に過ぎる。
相手が規格外過ぎるだけで十二鬼の制御された同時攻撃など雪之丞ですら凌ぐのは困難だろう。
だがそれを言うと益々着いて来ようとするのを止める理由が無くなるので言わないでおいた。

横島は気付いていないが、冥子がここまで強くなろうとしたのは横島の為なのだ。
誰も傍に寄り付こうとしなかった冥子に屈託無く寄り添い、誰もがサジを投げた冥子の成長を
促してくれた。その横島が何時の日か助力を必要とした時に力になれるだけの強さを欲して
辛い修行を続けて来たのだ。足手纏いにならない事を証明して同行を認めてもらえるように。

「部屋に戻りましょうか所長、何時までもここにいても仕方無いし」
「そうね〜残念だけど〜私には今以上の事は無理だわ〜」

今の時点での全力が横島に通用しなかったのがよほどショックだったのか本気で落ち込んでいるように見える。
別に通用しなかったという訳ではなく、反撃の手段を思いつかないまま逃げ回っているうちに時間切れに
なっただけなのだが正直にそれを言う事が出来ないでいた。どうしても冥子を危険な目にあわせたくない
と思ってしまうのだ。往生際が悪い事このうえないと言えよう。




おキヌが月での一連の出来事を語り終えて一同がそれぞれ色んな感想を考えている時に
二人が帰って来た。横島はあちこち焦げたり切れたり、服に穴が空いたりしているが
冥子は完全に無傷だった。だが無傷の冥子の方が酷く落ち込んでいるように見えるのが
皆の気になった。この様子だと超加速状態では冥子はまともに動けなかったのだろうか。

「それで? どうだったんだよ横島」
「うん、色々と解った事がある、収穫は結構あったかな」

そう言って横島が語った内容は、飛び道具は銃器類のみが無効で霊力を使ったものは有効である事。
横島の召喚術は役に立たなかったので昔の戦闘スタイルで闘わざるをえない事などだ。
だがこの場の全員が最も知りたい事を話そうとしない。即ち冥子がどうだったか、をだ。
召喚術が役に立たないという事は、一応使ってはみたという事だ。なら、その相手は冥子ではないのか。

「それで結局所長の適性はどうだったんだよ?」
「どうって言うか何と言うか、う〜ん・・・」

横島の言葉は歯切れが悪い、よほど言い難い内容なのだろうかと思い皆がそっと冥子を見た。

「全然駄目だったわ〜、たークンの動きに何とかついて行って〜十二神将全員で〜
同時攻撃したのに〜通用しなかったんですもの〜」
「「・・・・・・・・・・・・・」」

雪之丞とおキヌは無言で互いを見詰め合っていた。弓と魔理は今の内容が理解出来ていない。
そもそも超加速に関する知識が殆ど無いので仕方が無い事ではあるが。

それよりも先の冥子の発言内容の方が重要だった。
超加速状態で横島の動きについて行けた、その状態で式神を使役した、十二神将全鬼を
同時制御した、クリーンヒットは無かったようだが横島の服は焼け焦げて切れている。
そこから導き出される結論は・・・

「「横島(さん)と互角?」」
「「えええぇぇっ?」」


「えぇ〜〜?」

雪之丞とおキヌの結論に弓と魔理の驚きの声が被さっていく。冥子の声が二拍遅れなのはご愛嬌だ。

「どうなんだ横島?」
「う〜〜〜〜」

「横島さん? 冥子さん強かったんですよね?」
「あ〜〜〜〜」

「たークン〜? どうしたの〜?」
「え〜〜〜〜」

次々に問い掛けられても横島の答は一向に煮え切らない。何とか冥子を危険な場に連れて行かずに
済むようにしたいのだが、一番の問題は冥子本人が行く気満々だという事だ。それを周りが後押しすれば・・・

「何時までう〜あ〜唸ってやがんだテメエは? はっきりしやがれ! どっちだ!?」

噛み付かんばかりの勢いで雪之丞が横島の襟元を掴みガックンガックンと揺さぶっている。
横島は為すがままになっていたが、おキヌの責めるような視線と冥子の涙ぐんだ視線の前に陥落した。

「・・・・・強い」
「よおぉぉおっしゃあぁっ! 三人目は六道冥子っ! 所長で決まりだっ!」


「え〜〜〜、冥子嬉しい〜〜。がんばるからよろしくね〜、たークンも〜ゆっきーも〜」

済し崩し的に押し切られてしまったので仕方無くこの場での説得は諦めるしかなかった。
他に方策を探すしかない。だが横島には何も思いつけなかった。気の進まない一策を除いて。




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(あとがき)
う〜ん、こんな人選で良かったんでしょうか?話を聞いたら冥子ならこう言い出す
んじゃないかと思ったんですが、自然な流れでしたかね?

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