ザ・グレート・展開予測ショー

吟詠公爵と文珠使い3


投稿者名:アース
投稿日時:(05/ 2/ 1)

興味を持ったきっかけは何だったか?
人類唯一の文珠使いだから? アシュタロスを出し抜いた男だから?
初めはそうだった。だから、会いに行った。だが、戦って彼の魂に触れ、驚く。その強さに。そして、どこか懐かしい空気。彼の纏う空気は、遥か昔に自分の前から消えてしまった『彼』と同じもの。魔族の癖に人も魔も分け隔てなく接し、女好きの癖に相手を選んで一歩引いている所。そして、『彼』は魔族から見ても、底知れない闇を抱えていた。いつしか、『彼』に惹かれていることに気づいた時には、もう彼はいなかった。

(なんで、今頃になって『奴』のことを思い出すのか・・・・?)
そんな、ゴモリーの回想を打ち切るかのように声がかかった。

「あいつに会ってきたかい?」
「ああ、お主の言った通り面白い男だったよ」
(同時に懐かしさを感じたよ・・・)
後半の呟きは声に出さずに、彼女は答える。
「物好きだねえ。わざわざ人界に行って来るなんて」
「性分だ。気になることがあるとじっとしとられんのだ」
似た者同士だと相手の女性はカラカラと笑う。(彼女は、相手ほど単純では無い
と思っていたが)
「そうかい。あたしから見ても不思議な奴だよ。ペットだったのに、姉さんが惚れてそして・・・・・」
最後の方は声のトーンが落ち、言葉にならない。口に出すと涙が出そうだったから。

「じゃあ、あたしは本隊に戻らなきゃいけないから。あんたのハーブティーはまた今度だな」

「ああ達者でな。べスパ、死ぬなよ」
「誰に言ってるんだい。体は頑丈だよ、あたしは

そう言って、彼女、べスパは飛び去って行った。

「さて、どうしたものか」べスパが飛び去った後、急に暇になる。ゴモリーは同じ魔神として、アシュタロスとは交流があった。主君の過去に興味を抱いたべスパと話す内に、べスパとは階級を超えた友人になっていた。べスパのサッパリした性格というのが、彼女にとって好ましかった。

その彼女が去った今、何をするか。魔界に友人は多いが、特に会いたいわけでもない。大体、アシュタロスの叛乱以降、魔界は静かなものだ。

    いい意味で「平和」悪く言えば「退屈」ということである。

「人界にでも行ってみるか・・・」
確か、人界にはドクター・カオスとか言う錬金術師がいた。研究資金に困ったとかで、財宝を見つけ出すために自分を呼び出したのだ。色々な意味で強烈な男だった。おそらく、まだ生きているだろう。自分のことを覚えていればだが・・・・

ちなみに、人界に行くのは禁止されてはいない。条件はただひとつ。

      『大きな揉め事をおこさないこと』
あの大乱以降、規制をきつくしすぎるとよくないということで、一部反対はあったものの神界の了承の下、許可された。

加えて、横島。彼もカオスに負けず劣らず、強烈な個性の持ち主だ。この二人がいれば退屈はすまい。

そんなわけで、ゴモリーは早速出かける準備を始めた。

その頃、横島は・・・・

「あー、腹減ったあ・・・」餓死しかけていた。

三日前、彼を除く除霊事務所の面々が社員旅行に行ったのが切っ掛けだった。彼の雇い主は脱税の達人。そのため、税務署の目を誤魔化すために、社員旅行も豪華に海外だった。最初は、横島も誘うつもりだったのだが、プライドがエヴェレストより高い彼女のこと。気恥ずかしくて言うことも出来ず・・・・

「あんたは留守番。二週間留守にするから、給料も無し」口ではこう言いながらもお土産は弾んでやろうと考えていたりする。

他のメンバーはと言うと・・・
「お土産期待しててくださいね」おキヌ
「拙者、先生の分まで楽しんでくるでござる」シロ
「油揚げが無いのは残念だけど、楽しんでくるわ」タマモ

全員、横島がバンダナをしていないことは「旅行」の二文字に消されてしまったようである(気づいても、イメチェン程度にしか思わなかっただろうが)

横島の状況を聞きつけた美智恵が、事務所に来ていくらかの『軍資金』を手渡してはくれたものの、成長期の彼の腹を満たすには不十分だった。

先程、事務所を訪れた西条が『安心したまえ、横島君。令子君は、僕が幸せにしてあげよう。安心して餓死したまえ』などと戯言をほざいたので『幻』の文珠を応用して、魔鈴と美神の間に挟まれて重圧に押しつぶされる幻を見せてやった。

そして現在、西条はというと・・・
「違うんだ。令子君、これは彼女達は・・・・」目の焦点が合わず、うわごとを言っている。当分、帰ってこないだろう。どうやら、過去の記憶まで掘り起こしたらしい。

「さらばだ。西条、お前のことは二秒で忘れるわ」横島は、西条(だった物)から目を離し、これからどうするかの思索に没頭した。
ここまで、やっておきながら西条の財布に手をつけない辺り彼を善人ととるべきか、悪人と断ずるべきか微妙な所である。


      コンコン

窓のガラスを叩く音。
「ん?」
外を見やると窓に止まっているカラス。そのカラスは、口に手紙を加えている。彼の身の周りに、こんなことが出来そうな人物はたくさんいるが・・・・

「その手紙は俺に?」横島の問いに、カラスはコクリと頷く。

手紙を受け取り、開いてみると中身は『彼女』からの食事の知らせだった。

そのころ西条はというと・・・・
「許してくれ。令子君、僕は決して・・・・ガフッ」
まだ帰ってきてなかった。


ネットカフェから、送ってますが時間の関係でここまでしか送れません。最初のゴモリーの独白は、今後の横島の伏線になる予定。あと西条ファンの皆さん、ごめんなさい。私の中で彼の扱いはこんなのです。書きたいことの半分も書けてないような気が・・・多分横島の設定は今までに無いものになるかと・・・

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