ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 56〜質疑応答〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(05/ 2/ 1)

ワルキューレが去った後、急に部屋の人口密度が下がったような気がした。
それだけ強烈な存在感を放っていたのだ、シロと不動は大きく溜息をついていた。

「何か僕達の事、最初から最後まで無視してたね、あのヒト」
「失礼なおなごでござるな、先生に対していきなり鉄砲を撃つなど」

まるきり相手にされなかったのが不満だったのであろう二人が口々にこぼしている。

「すまんな二人共、ワルキューレは自分に厳しい分他人にも厳しくてな、まだマシな方だぞ?
俺なんか最初の頃、ブッ飛ばされた挙句に二階から地面に放り投げられたからな」

横島としては苦笑しつつもそう言うしかない。だが、あの時のワルキューレの言葉が
あったからこそ妙神山に出向いて文珠を手に入れたのだ、今ではその事に感謝している。
だが今この二人に納得させるのは無理だろう。

「それに拳銃の弾ぐらいなら大丈夫と思ったんだろ? ライフルで狙われたら堪らんがな、
アイツは狙撃の腕も超一流だから」

以前美神を暗殺に来た魔族の刺客を一撃で仕止めたのは印象深い。

「ふん、飛び道具にばかり頼るようではなっとらんでござるよ」

シロの好みから言えば当然とも言えるし、魔族の戦士など初めて見るのであれば仕方が無い
事ではあるが、良い機会なので教えておく事にした。

「あのな〜、アイツが本領を発揮するのは白兵戦の時だぞ? どっちかって言や銃器類を
使ってるのは闘争や殺戮の衝動を抑える為らしいからな」

以前そのような事をジークあたりから聞いたような気がしたので補足しておいた。
そう言われても二人はピンと来ないようで頻りに首を傾げている。
結局自分達に解り易い例えで聞くしかない。

「そんなに強いんでござるか?」
「とんでもなく」

「先生とならどっちが強いんですか?」

不動からの質問には正直考えこんでしまう。初対面の頃は比較するのも馬鹿馬鹿しい程の
力の差があった。だが今の自分の力もあの頃とは比較にならない。

「う〜ん、やり方次第かな? お互い正々堂々とは無縁だしね、実際に闘ってみないと・・・」

結局正直に思う処を述べておくに留めた。

「凄いですノー横島さん、ワシはとてもじゃないがそがぁな事は言えんですジャー」


タイガーにとって魔族と闘ったのは南極決戦での対パピリオ戦が初めてだった。
香港の時などは力不足の為に呼ばれもしなかった。南極の時も全員のサポートに廻り、
実際に”闘った”という実感はあまり無い。確かに集団戦においては重要な役割を果たした
と自分でも思っているが、影が薄かったのは否めない。サラリと魔族と単独で闘える事を
示している横島との差を改めて実感した。

「別に一人でやる必要は無いだろ? 個人で敵わなけりゃ数で押せば良いんだし、
勝ち目が無いのにツッ込むなんて馬鹿馬鹿しいだけだろ?」

それは至極当然の事、戦力が足りなければかき集めれば良い。力の無さは道具で補える。
脆弱な生物である人間が地球上で最も繁栄しているのは、道具や武器を生み出す知恵を持ち
それを有効に使いこなして天敵を撃ち滅ぼしてきたからだ。尤も今ではその力をお互いに
向け合い、同族同士で殺し合う地球で唯一の愚かな種族に成り下がっているとも言えるが。

「でっ、でも以前先生は、拙者を守る為に絶対に勝てない相手にも向かって行ったではござらんか?」


シロの脳裏には今でも自分の為に強大なフェンリルに闘いを挑んだ横島の雄々しく勇敢な
後姿が灼き付いている。勝ち目の有無に関わらず大切な者の為に闘う、あの時の横島の
姿勢こそがシロの追い求めてきた理想の武士の姿だった。

「あ〜、あん時ゃ俺も若かったってか馬鹿だったな〜、死ななかっただけで儲けだな。
ガムシャラに突っ込んでもどうにもならない、常に勝つ可能性を探さないとな。
覚えとけよシロ、深く考えずに闘ってるようじゃ早死にするか・・・一番大切な者を
守れずに喪う破目になる、お前にはそんな想いを味わって欲しくないんだよ」

淡い笑顔から語られるその言葉は穏やかな口調ながらも逆らい難い何かを秘めていた。
シロにとっては、亡き父が先に逝った妻の思い出を語る時の様子を髣髴とさせるものだ。
何かを言わなければ、と思っても言葉が出て来ない。隣の不動も同様だ。
粗方の事情を知るタイガーは俯いたまま黙っている。
そんな場の空気を払拭するかのように小竜姫が口を開く。

「横島さん、軽々しく魔界へ行くなどと言っても大丈夫なんですか? あそこは好戦的な
者達が多いと聞き及んでいますよ?」
「あ〜、俺は礼と詫びに行くんであって、別に喧嘩しに行く訳じゃないですから。
ヤバくなったら逃げますよ、逃げ足には自信ありますから」

逃げるだけならどうにでもなる。その場で最も強い相手の能力を文珠でコピーして逃げれば良い。
かつて同様の手段でアシュタロスさえ出し抜いた事もあり、そこらの魔族相手なら逃げ切る自信はあった。

「小竜姫は心配し過ぎなのねー、その辺りはワルキューレが配慮してくれるだろうし
定住するような事も有り得ないのねー、妙神山は彼の家みたいな物だから。
今の小竜姫はまるで頼りない弟を心配するお姉さんみたいなのねー」
「なっ? わ、私は師として弟子の身を案じているだけです」

ヒャクメのからかい口調に小竜姫がやや過敏に反応している。心なしか頬の辺りが紅潮している
ように見える。横島としては”頼りない”部分には心当たりがあり苦笑するしかないが”弟”のように
思われているのは何より嬉しい事だった。つい先程の重い空気が何時の間にか無くなっていた。

「あっ、そうだ! 僕先生に聞きたい事がいっぱい出来たんですよ」
「拙者もでござる! それにそちらの神様の方にも紹介して欲しいでござる」

和らいだ部屋の空気に力を得たかのように二人が口々に言ってくる。
ワルキューレに無視され続けたのでその分、ヒャクメにはきちんと紹介して欲しいのだろう。

「ああ初めましてなのねー、私は神族のヒャクメ、小竜姫の親友で横島さんは人間の男性
では初めて出来た親友なのねー」
「拙者横島先生の一番弟子、犬塚シロでござる」
「僕は横島先生の二番弟子、不動明音です」

横島は三人が交わす挨拶を聞きながら、自分は何時の間にヒャクメの親友になったのだろうと
考えていた。神族の間で友達がいないのは持って生まれた能力特性上仕方が無いのだろう。
何もかも心を読まれるというのは普通は耐えられないだろう。小竜姫のように一切の裏表が
無いか、かつての横島のように考えた事を端から口にするような人間なら別だ。

横島の事を友達と思ってくれてるなら、別にその事に異存は無い。ただし先程弟子達が
言っていた”聞きたい事”については黙っていて欲しかった。色々と秘密にしていた事を
先程話題にしてしまったような気がする、また文珠を使って記憶を消すのはいくら何でも
人格無視だろう。話せる部分は話して、マズイ部分は誤魔化すしかないだろう。その為にも
ヒャクメには暫く黙っていて欲しかった。それが伝わったのか相手も小さく何度も頷いている。

「それで? 聞きたい事ってな何だ?」
「それが、聞きたい事だらけで何から聞けば良いのか・・・」

一気に湧き上がった疑問が多すぎて、頭の中で整理がつかないのだろう。

「んじゃ質問は無しって事で・・・」
「そんな殺生でござるぅ〜」

考えの整理がつかないならランダムに気になる順に聞けば良い。そこに思考が行き着くように
刺激を与えたつもりがシロには難しかったようだ。仕方無く、一人づつ気になる事を聞くように
促すと二人揃って更に考え込んでしまった。


不動は横島に言われて自分の記憶を確認していた。アシュタロス戦役に関する公にされた
情報の整理にも繋がる。あの戦役では初期において横島は人類の敵として報道され世界中の
憎悪を一身に受けていた。後日掌を返したようにスパイとして敵方に潜入していたという
事実をニュースで見て、自分とそう年も変わらないような男が魔族の本拠地に潜入するなど
眉唾ものだと思っていた。だが横島の実力を知る今ではその事には不思議は無い。

逆にその後の展開に一切名前が出なかった事の方が不思議に思えてくる。
押されっ放しだった人類が、美神美智恵の機転により反攻のきっかけを掴み、核ジャック以降の
一連の闘いの流れに関する報道では常に美神令子が中心に置かれバックアップ役として前面に
出ていたのはGメンの西条だった。他にも日本GS界のトップクラスが全員協力しており
日本のトップはそのまま世界のトップであるという事を知らされ、日本の心霊大国ぶりが伝わった。

だがその中に横島の存在は一切認められなかった。不動なりにその辺の矛盾を整合させて
考えていたのは、潜入時に負傷をしてその後の闘いに参加できなかったのではないかという事だ。
負傷に関する報道などは一切無かった、と言うよりスパイ報道以降、まるでそんな人間は
初めから存在しなかったかのように扱われていた。先程の話の内容からすると敵ごと殺されかけた
ような事を言っていたのでその時に負った怪我が原因だったのかと思っていた。

あれ程の実力の持ち主がそんな原因で活躍できなかったのであれば、他人には言いたく無い
だろうと思い聞くつもりは無かった。だが真相は不動の知る事実とは全く違うようだ。
先の魔族の話が事実なら横島こそが世界を救った真の英雄であり、どれ程褒め称えられても
足りないくらいだ。魔神を倒し世界を救ったのであれば人類の救世主といって良い。

だが現実には横島の一切の功績は誰にも知られる事すら無く、学院では化け物扱いさえされている。
今隣に座っている大男でさえ、英雄として報道されていた。尤も人気は総てピートに持って
行かれたが。連日しつこいぐらいにメディアに露出していたが、その時に報道されていたGS達の
中で雪之丞を除けば横島と互角に闘える者がいるとは到底思えない。どうしても真実を知りたかった。

「ズバリ聞きます、魔神を倒した真の英雄は先生なんですか?」
「英雄かと聞かれたら答はノー、アイツに止めを刺したかと聞かれたら答はイエス」

不動には意味が解らない、魔神を殺したのであれば紛れも無い英雄ではないか。

「サッカーのごっつぁんゴールは解るな? あれと同じで偶々俺が止めを刺す役を担っただけだ」
「それでもやっぱり英雄には違いないと思いますけど?」

不動にとってはそうとしか思えない、他の誰にも出来ない事を成し遂げたのであれば
間違い無く横島こそが英雄と呼ばれて良いはずだ。

「違うよ、本当の意味での英雄は他にいる。”彼女”こそが俺の命を救い、世界を守り、
人知れずひっそりと消えていった」
「彼女って?」

まだ知られていない優秀なGSがいたのかと思い確かめたくなった。
それだけ優秀な人間が犠牲になったのであればニュースにならないのはおかしい。

「名をルシオラ、元はアシュタロスの生み出した魔族だったが最後は世界を守って
死んでいった。今の世界が存続しているのは総ては彼女のお陰だよ。俺は彼女の遺志を
継いで最後に手を汚す役割を果たしたにすぎない、そんな奴が英雄な訳ないだろ?
だから俺の名前は一切表に出ないようにしてもらったんだよ」


気をつけていてもルシオラの名を出す時に声が震えるのはどうしようもなかった。
パピリオのしがみつく力が強くなり、タマモも力づけるように手を握ってくれている。

「でもどうして魔族が仲魔を裏切ってまで世界を守るんです?」
「そうでござる、そもそもどうしてそのおなごは人間側に寝返ったんでござるか?」

話したくない部分はどうにか誤魔化すつもりだったが、残念ながら何も思い浮かばない。
口車には自信があったのだが、ルシオラが絡むとそうも行かないらしい。情無い限りだ。

「そこまでよ二人共、アンタ達が知りたかったのはヨコシマが何をしたかでしょう? 
そのヒトが何を考えていようが関係ないはずよ」
「「だって!」」


二人にしてみればそういう訳にはいかない。好奇心からも知りたかった。
だがタマモにとっては許せるものではない、三人の間で視線が火花を散らす。

「そっ、それよりワシは知りたい事があるんジャー。さっき10年修行したと言ってた意味を教えて欲しいんジャー」


タイガーとしては何とか話題を変えたかった。横島の癒えない傷は聞くだけでも辛い、もう一度
横島の口から語らせるのは避けたかった。年端もいかない少女に聞かせるのもマズイだろう、哀し過ぎる話だ。

「あ、それも気になる、小竜姫様がさっき”長い年月”繰り返したって言ってたのを
聞いた時から引っ掛かってたんだけど、10年も修行したんですか?」
「それだと変ではござらんか? 拙者が先生と初めて会ってから1年もたっては
おらんのに、それ以前に10年もの修行をしたんでござるか?」

興味の対象が他に移ったのは助かるが答え難い事には変わり無い。小竜姫も自分の失言を悟り
苦い顔をしているが、ルシオラが絡まないのであれば口車全開で乗り切れるだろう。
だがシロと出会う以前に修行していたというのは無理があり過ぎる、ある程度事実を言うべきだろう。
仕方無く妙神山の加速時空間の事を説明した、外界の一ヶ月程の間に10年が過ぎた事をだ。

「じゃあ、今の横島サンは27歳という事ですかいノー?」
「随分若く見えますね、タイガーさんより若く見えますよ?」
「以前会った時と外見は全く変わってないようにしか見えんでござるよ?」

三人の疑問は当然だろう、事実自分の外見は10年間で全く変わっていない。

「まあ、若作りしてるのもあるんだが、こりゃ文珠使いならではの特性でな、
霊力の流れを100パーセント操れるんで外見年齢をある程度誤魔化す事も出来るんだよ」

文珠使いなど人界に横島一人だ、確かめようにも方法が無い。何せ古い文献にかろうじて
名前が載っているぐらいで詳しい事等誰も知らない。当然それを作る人間に関してもだ。
こうなると真偽を確かめたい人間達としては神様に視線が集まる事になる。

「その通りなのねー、他人には及ぼせないけれど本人の外見年齢ならコントロール
できるのねー、文珠を作る事に較べれば簡単なのねー」

ヒャクメが良いタイミングで口裏を合わせてくれる。何の打ち合わせもしていないが心が読める
というのはこういう時に便利だ。事も無げに嘘をつくヒャクメの神族にあるまじき振る舞いに
小竜姫が呆れたような顔をしているが、無論指摘するような真似はしない。

「え〜、他人には出来ないんですか? 残念だな〜」
「そうでござる、拙者のぷりちーさを留めて先生を悩殺したかったでござるよ」

未だ年若い少女の身とはいえ将来にかけて若さを保つという事に興味があるのだろう。
女心とはそういうものらしい。ならばそちらの方に話題の重点をずらせば良い。

「食生活を含めた生活習慣に気をつけるだけでも若さを維持できるはずだぞ?
興味があるなら今度俺の先生に聞いといてやろうか?」

「本当ですか? お願いします」
「それより先生の先生とは誰でござるか?」

生活習慣を健全に保ち食事に気を使えば体の内面から改善されるはずだった。
料理に関しても、食材と調理に気を使えば美味しくて効果絶大になると教えられるている。
不動は食い付きが良かったが、シロは妙な処が気になったようだ。だがそれはシロだけではなかった。

「横島さん、貴方は人界で誰に師事しているのですか? 貴方をこれ以上伸ばす事の
出来る存在がそう易々といるとは思えません」


小竜姫にとっては聞き流せない話だった。横島は自分の愛弟子だ、その力は既に人間の範疇を
大きく超えている。そんな段階から更に他に指導者を求めたという事であれば自分の指導に
足りない部分があった可能性もある。是非詳しく話を聞きたかった。

「小竜姫ヤキモチは良くないのねー、横島さんの先生は魔鈴めぐみ、
現代の魔女と呼ばれていて小竜姫も名前と顔は知っているはずなのねー」

魔鈴めぐみの名であれば小竜姫も知っている、確かアシュタロス戦役の時も協力していたはずだ。
既に失われて久しい中世の魔法を独力で復活させ、稀有な才能を持つと聞いている。
確かに天才なのだろう、人間の中にあっては。だが今の横島に魔法など必要とも思えない。

「横島さん、今の貴方は老師の下で仙術、陰陽術、体術を極め私やパピリオとの闘いを通じて
戦闘スタイルを確立しています。今更全く別系統の力を手にしても混乱しませんか?」

小竜姫が心配しているのはそこだけだ。横島のスタイルは変幻自在だがやはりベースになる
術は技はある程度まとまっている。基本的に大陸から発祥した術をベースにしている為
西洋魔法を取り入れて今の完成度が落ちないかが心配なだけだ。ヒャクメが言っているような
ヤキモチなどでは断じてない。弟子の育成に心を砕くのは師として当然の務めなのだ。

「別系統の力っていうのかな? 力とはちょっと違うような気がするんですけど」
「力でなければ何だと言うのです? いったい貴方は何を指導されているのですか?」

横島が何かを思い出すような表情で言って来るのを横目で見ながらヒャクメの顔が目に入る。
それは仕掛けた悪戯が効果を発揮するのを待っている悪童の表情と大差無いもので、どうやら
横島が指導を受けている内容は自分の想像とは随分違っているのだろう。だがそうなると想像し難い、
魔法使いに魔法以外の何を教わるというのか、最悪の可能性としては運命への干渉が考えられるが
それをやろうとするには横島は世界の修正力について知り過ぎている。息を呑んで答を待った。

「何をって言うか料理ですけど? 後俺って自分の事が良く解ってない部分がある
らしいんでその辺も含めて、常識と絡めて色々と教えてもらえる事になってるんですけど」
「はあ?」

小竜姫にとっては想像も出来なかった答だ、ヒャクメの浮かべる会心の笑顔を睨みつけながら
周囲を見ると殆どの者が毒気を抜かれたような顔になっている。唯一の例外がタマモだった。
と言う事はタマモは背後の事情を知っているのだろう、そして平然としているどころか
誇らしげなのはタマモの為に横島が動いているという事なのだろう。
それに人界の常識に関しては確かに自分では教え様が無い。誰だろうが自分よりはマシだろう。

「丁度良いから今日の夕飯は俺に作らせて下さいよ、新しく覚えた料理を披露しますから」
「あ、だったら私も手伝うわヨコシマ、せっかくだから兄妹合作でやろうよ」

横島の提案にタマモが追随する。小竜姫は自分が腕を振るうつもりだったが
二人がそう言うのであれば断る理由も無い。

「良いでしょう、貴方達は客ではなくここの身内ですから遠慮無くお任せします」


小竜姫の発言によって質疑応答の雰囲気が一掃されたので、横島は全くの別の話題を
切り出す事ができた。主たる目的の一つでもある。

「小竜姫様、最近知り合った男友達に頼まれたんですけど写真を撮らせてもらえませんか?」

横島は赤坂竜一からの頼まれ事を忘れていなかった。何となく彼とは親しくなれるような
気がしていたので、是非とも願いを叶えてやりたかった。だが、

「お断りします」

にべも無かった。取り付くしまも無かった。身も蓋も底も天井も壁も無い断りようだった。




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(あとがき)
文字数制限の絡みで中途半端な終わり方ですみません。
話の流れ方等に不備や不自然な点等ありましたらご指摘の方お願いします。

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