ザ・グレート・展開予測ショー

華麗なる激情


投稿者名:GAULOISES46
投稿日時:(05/ 1/31)




「・・・給料日前やっちゅーのに、おキヌちゃん就学旅行だもんなー・・・」

いつもの様におキヌの料理をアテにバイトに励んだ横島は、上記の理由で夕食

にありつけなかった。おキヌがいなかった違和感に気付かなかったあたり、迂闊だと言える。

美神に泣き付いたら、「私は今日はママとひのめと外食♪久しぶりにパパが日

本に帰ってくるから。」

との返答。

連れて行ってくれと頼みたかったが、ウキウキしている美神を見ると、流石に

家族水入らずを邪魔できるほど野暮ではないので渋々引き下がった。


思い足取りで玄関まで来ると、タマモがこっそりと話しかけて来た。

「・・・・・・私がゴハン作りに行ってあげようか?」

神の一声だった。

この際、きつねうどんだろうがいなり寿司だろうがむしろ大歓迎だ。

話を聞くと、おキヌが自分の留守中の為に料理を教えてくれたのだと言う。

おキヌちゃん、やっぱりアンタは女神だった!!

時間かかるから先に行って作っておくと言うので、鍵を渡して適当に暇つぶし

をする。

食事が確保できたなら空腹もまた楽しいモノである。

待ち遠しく思いながらコンビニで暇を潰し、一時間ほど経ってから家に帰る。

アパートが近付くごとにスパイスの香ばしい匂いが漂っている。

「このカレーの匂い・・・もしかしてウチか!?」

簡単な料理であるにも拘らず、久しく口にしていないカレーの味を思い出すだ

けで、横島は顔をほころばせた。










ドアを開けると、予想通りカレーの香りが充満していた。

だがココで予想外の事態が起きたの。横島が眼にしたのは、
















大小様々な鍋5つを使い切った大量のカレーだった。















「・・・なんですかコレわ?」

横島が問いかける。

「見て解らない?カレーよ。」

タマモが、何を当たり前のことを?と言わんばかりの眼で見る。

ゴミ箱をに目をやると、ルーの空箱が捨てられている。

「・・・なんですかコレわ?」

空箱を手に取り再度尋ねる。

「知らないの?ルーの箱よ。」

無知な者を見るかのようなタマモ。

「・・・なんで三つもあるんですか?」

「一種類だけじゃなくて、何種類か混ぜた方がいいのは常識よ?」

横島は思った。




コイツ、料理するの初めてだ・・・。




三種類の空箱は、同じ銘柄の辛口・中辛・甘口。

コレはブレンドと言っていいのだろうか?

そしてこの量。

1人暮らしの彼には過ぎたモノだ。

少なくとも一週間は三食カレーを食べ続けねばならないだろう。

しかも、所有する5つの鍋は全部カレーで埋まっている。他に料理のしようが

無い。

元々滅多に料理なんてしないけど、インスタントラーメンすら作れない状況で

ある。

仕方が無い。とりあえず一週間分の食事は確保されたのだ。ココはプラス思考

で考えよう。

お茶を淹れようとヤカンを手に取ると其処にもカレー様がいらっしゃった。










・・・俺にバチカンのカレー星人になれっちゅーんかい・・・。







「どうしたのよ?熱いうちに食べてよ。」

キラキラと眼を輝かせるタマモ。文句の一つも言えそうに無い。

「いっただっきマース!!」

もう自棄だ。

これから始まるカレー染めの生活を思いながら、横島はスプーンを取りガツガ

ツと食べ始めた。


「・・・美味い。」

「ホント?!じゃなくて、当たり前じゃない!この私の得意料理なんだから!




事実、美味かった。

流石はこの東洋の島国で「初めての料理」と同義とまで言われるカレー。

誰がどんな風に作っても不味く成りようが無い料理、カレー。

何処かの特務機関の作戦課長は例外と言われているが、食べているとやっぱり

それは嘘だろうとまで思うカレー。

ビバ・カレー。

ハイル・カレー。

東洋・西洋の文化を結集させたスパイスの賜物、カレー。

一週間後にはバンダナの替わりにターバンを巻いてメッカに向かって礼拝して

いるであろう自分を想像しながら、横島はインドとイギリスの人、それとカレ

ーをココまで簡単に美味しく作れる料理に加工してくれたハ○スの業者さんに

感謝した。



横島は後に述懐する。色んなカレーを食べてきたが、









油揚げ入りのカレーを三食一週間食べ続けたのは、アレが最初で最後だろう、

と。









頼むから最後にしてくれ、と切実に。








後に、「ヨコシマは凄い勢いでカレーを食べてた」とタマモから聞いたシロが、カレールーを大量に持って横島宅を襲撃したとかしないとか。



ギャフン



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