ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…4


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 1/30)

(やっちまった…)

怒りに任せ半ば本気で戦ってしまった。

陰念にやった事自体は後悔していない。

自分を幾ら馬鹿にされても笑って受け流せるが、

あの言葉はダメだ…俺にとって絶対に許す事が出来ない事なのだから。

だが、チラリと周りを見る…この戦いを見ていた殆どの者が驚きの表情を浮かべている。

特にピートなどの知り合いは顕著だ…美神さんの方は怖くてまだ見ていない。

まあ客観的に見ると魔装術と言う強力な術の使い手を一方的に圧倒し、倒してしまったのだ仕方が無い。

『すまん!心眼!』

『な…なんだ?』

俺の先ほどの態度のせいだろうか…少しどもりながら返事をする。

『悪いが、美神さん達つうか美神さんに何とか言い訳してくれ!』

『何!?』

『このままじゃ不味いんだよ!だから…何だ…ほら!

お前に強化術を教えて貰ったけど暴走したとかさ、適当に誤魔化してくれ!』

『ちょっちょっと待て!!』

『じゃあ!俺は気絶するから後を頼む!あっ!

そうそう後俺を医務室に連れて行くように言ってくれ、

そうすれば暴走したって言うのが少しは信じて貰えると思う、じゃあ!信じてるから!後よろしく!』

言うが早いか俺は'気/絶'の双文珠を使いさっさと気絶する。

『おい!こら!何勝手な事を!』

御免…心眼…俺、本気で詰問しようとする美神さん相手に嘘突き通す自信ないんだ。

薄れゆく意識の中、美神さんと対じする心眼に心から謝った。


目覚めて見れば…4


「ちょっ…ちょっとどうしたの!?」

いつの間にか背後に回っていた美神が行き成り崩れる横島を見て驚きの声を上げる。

まあ…文字通りの意味で締め上げようとしていた矢先崩れ落ちれば驚きをするだろう。

「…美神殿…心配は無い」

「なっ…誰!?」

「私は心眼と言う…こやつが小竜姫様から賜れた物だ」

「…なるほど…意思が有ったのね…で…横島君は大丈夫なの?」

「無論…こやつが身体強化の術を暴走させただけだ…命に別状は無い」

心眼のこの言葉に美神はホッと胸を撫で下ろすが直ぐに顔を引きしめる。

「身体強化の術や盾のこと…今の戦いの事洗いざらい話して貰うわよ…」

「それは構わんが…その前にこやつを医務室に連れてってくれないか…少し治療が必要…だと思う」

「分かったわ…ちょっと冥子!」

心眼の言葉に頷いたかと思うと、

リング上で勘九郎に止めを刺された(別に死んではいないが)陰念を治療している冥子を呼ぶ。

「令子ちゃん〜呼んだ〜?」

「横島君が倒れたの…治療お願い」

「え〜でも〜この人も〜大変なんだよ〜」

大型犬のような式神に舐められている陰念を指しながら反論する。

「そいつは他の人に任せて手伝いなさい!」

「え〜でも〜そう言うのは良くないと思うの〜」

「…ああ!もう!分かったわ!横島君はこっちで運んでおくから早く着なさいよ!医務室にいるから!」

これ以上責めて式神でも暴走されては困ると思ったのだろう。

「うん〜ごめんね〜令子ちゃん…後で〜絶対行くから〜」

「じゃぁ待ってるわ。ピート!タイガー!横島君を医務室まで運んで!」

「はい」「了解ジャ」

倒れた横島の様子を見に来た二人を目ざとく見つけすぐに指示を出す。

エミは人の弟子を勝手に使うんじゃないと美神に文句を言っているが本気で止める気はないらしい。

………
……


「で…説明してくれるんでしょうね」

「う、うむ」

美神の迫力に少し飲まれながら心眼が頷く。

「先ほども言ったがこやつが身体強化の術を操り損ねたのだ」

「それは聞いたわ…私が聞きたいのは何で横島君がそんな術を知っているのか…

何で操り損ねたのかよ」

「術は我は教えたからだ…暴走の原因は単にコヤツの力量が不足していたからだ」

端的に答えるがそれに納得するような美神では無い…

「アンタ…横島君に制御できない危険な術を教えたってこと?

……いい根性してんじゃないの…三角巾の分際でひとんちの丁稚にそんな危険な事させるなんて」

「いや!ちょっちょっと待て!コレには理由があるのだ!えっと…そう!先ほど戦った男、陰念はメドーサの手下だ!」

「…何ですって!」

「戦いの前に陰念がコヤツを挑発している時口を滑らせたのだ…

そのため口封じに試合中殺されそうだったので仕方なく教えたのだ」

「…白竜会だっけ?…確かに今小竜姫様が調査に行っているけど…

本当に繋がってたなんて…でも何で私に言わなかったの!言ってくれれば失格に出来たかも知れないのに」

「いや、何か証拠が有った訳ではない…こやつ一人の証言ではそれは無理だ」

「それにしたって…棄権するなり対策は出来たでしょ…」

「いやそれはこやつが『美神さんは「敵前逃亡なんて情けない真似したら恥かくのは私なんだからね!!」

って言われるのが落ちだ…もし勝手に棄権なんぞしたらこっちの方が命に関わる』と言って棄権はしなかった」

「このクソ餓鬼!!」

本当はこんな事は言っていないのだが面倒ごとを押し付けられた心眼のちょっとした仕返しだ。

横島にとってちょっとで済むか分からないが…

「じゃあ、あの盾は?」

「…霊力を凝縮させたモノだと言うことしか分からん。こやつが起きたら聞いてみたほうが良いだろう」

美神の「…そう」と短い返事の後、陰念の暴走はコヤツにチャクラを破壊されたためだろうと心眼が付け加え話にひと段落着く。

それと同時に医務室のドアが開いた。

「令子ちゃん〜来たよ〜」

「あっ!冥子遅い!」

「ごめんね〜でも〜コレで急いできたんだよ〜」

「それはいいわよ!ちゃっちゃと横島君診て…」

〜診察中〜

「え〜とね〜横島君怪我はしてないんだけど〜足とか手の筋肉が〜

プッチンプッチン切れてるの〜起きたら〜と〜っても痛いと思うの〜原因は〜体の限界以上の力を出したからだと思うわ〜」

「なるほど…心眼と言った事が一致するはね…命の危険は無いんでしょね?」

「それは大丈夫〜」

「そっ…じゃあ横島君の面倒は冥子に任せるわ。私達は試験会場に戻るわ…

ほら!ピートなんか次の試合、雪之丞とか言う白龍会の奴でしょ?」

本当ならばすぐにでも横島を詰問したいだろうが、

今は横島の事よりメドーサの方が優先順位の高いと考えたのだろう。

それを察したのかとりあえずみんな美神に従い医務室を後にする…

が、何を思ったかドアから出ようとした美神が急に至極真面目な顔で冥子の方を向いた。

「忘れてたわ…冥子、もし横島君が起きてあなたに襲い掛かってきたら手加減は要らないわ…

式神全部と遊ばせる事を私が許可するわ…そりゃ思う存分遊ばせてあげてね♪」

笑顔を浮かべそう言い切る美神とそれを笑顔で了承する冥子に心眼は一人(?)底知れない恐怖を感じたと言う。

………
……


「う…俺…どうしたんだっけ?…ってうお!」

「あ〜横島君起きた〜?」

「めっ冥子さん!えっと…ここは?ってか何で??」

「えっと〜ここは医務室だよ〜横島君が倒れたから〜私が治療していたの〜」

「いえ…そうじゃなくて…なんで冥子さんがこんなに俺と顔を近づいていたんですか?」

そうなのだ起きた早々横島が驚いた理由は相手の息使いが分かるような距離に冥子の顔が有ったからだ。

「え〜とえね〜横島君の顔が〜可愛かったから〜」

「はい?」

「だから〜寝ている横島君の顔が〜可愛かったから〜ホッペを〜プニプニしてたの〜」

(………………長い付き合いだけど…相変わらず行動原理の分からない人だ…って言うか…女としての危機感は無いのか??)

美神とのやり取りを知らない横島は心の中でそう呟く。

「あ〜立たない方がいいと思うよ〜」

ベットから身を起こそうとしていた横島に冥子が制止するが少し遅かった。

「はい?……ギャーーー!!!」

「まだ〜腕しか〜ヒーリングが出来てないの〜それに〜足の方が酷いから動かすと痛いと思うよ〜」

(…わ、忘れてた…文珠の'強化'の影響が有ったんだ…

やっぱ、文珠での身体能力強化は反動がデカイ…後少し…遅いです。冥子さん)

横島が余りの痛さに中途半端な体勢で固まっていると、

「ショウトラ〜」と言う声と共に横島の足を式神がペロペロと舐めだす。

(あっ…凄い…さすが専用の式神、シロやタマモとヒーリングの威力が違うな)

「どお〜?」

「あっ…ありがとうございます。もう大丈夫です」

「でも〜まだ直ったわけじゃないから〜無理すると直ぐ痛くなるから気をつけてね〜」

「分かりました…あの…今試合はどうなっていますか?」

「え〜とね〜…今ピート君が戦っている頃だと思うわ〜」

その言葉を聞きながら横島がベットから起き上がり試合会場に行こうとする。

が…

「あっ…横島君〜その格好で行くのはマズイと思うわ〜」

「はい?」

冥子に言われ自分の姿を見て見るとトランクス一丁の姿の自分が居た…

「え〜と」

言葉を捜している横島を他所に「着替えはそこよ〜」と冥子がベットの横を指す。

「ありがとうございます……………………………すいませんが…

着替えますのでちょっと外へ出てていただけますか?」

「う〜ん…お姉さんのことは〜気にしなくていいですよ〜」

ニコニコと服を持った横島を見ている冥子に控えめに言うが効果が無い。

(お、お姉さんって…精神年齢じゃ俺の方が年上だし…

肉体年齢だって5歳と違わないんだぞ?)

まあ今までトランクス一丁で居たのだから今更だと言えばそれまでなのだが…

余談だが、当然冥子の前で着替えられるわけも無く、

ベットの周りに副え付けられている着替え用のカーテンの中で着替えた。

………
……


『フム…あのまま行っていたら面白かったのにな…』

試合会場に向かう途中、横島の頭に心眼の声が響く。

『何言ってんだ…あんな格好で出歩いたら前みたいに警察に追いかけられちまう…』

『前?…お主、前にもあんな格好で人前に出た事が有るのか?』

確かに横島は何度か警察官に追われた事はあるが露出狂として追われた事は無い。

『あっ…イヤ!…そんなことある訳無いだろ。てっ言うか飛び出す前に教えてくれよ』

『ふん!面倒ごとを押し付ける主にそこまで世話を焼く義理も無いわ』

『うわ…主って割りに扱い悪い…』

『ほざけ、お主には過ぎたくらい気を使っているわ、ところで、先ほどの術の事だが…』

『あっ、悪い試合会場に着いた…その話はすご〜く暇なときでも何時か…』

あからさまに話を逸らした横島だが確かにもうすぐ試合会場だ。

………
……


試合会場に通じるドアを開けると共にドドドドドドドドド!!!!という霊波砲が着弾する轟音が聞こえる。

どうやらもう直ぐ決着が付くようだ。

「うわあああっ!!」

悲鳴と共にピートがリングに叩きつけられる。

『ピート殿!』

(…ピートの負けか…ピートには悪いが史実どおりだな)

そう打算的なことを考えながらも直ぐに決着の着いたリングに向かいピートの状態を確認する。

意識は無いものの怪我自体は大したことが無いその事にホッと胸を撫で下ろと同時に心の中でピートに謝罪する。

横島は勘九郎の横槍によってこうなる事を知っていた。

なのに黙っていたのだ…怨まれても仕方が無いだろう。

(これじゃ'あの人'のこと言えないな…)

以前ルシオラが死ぬのを知っていたにも拘らずそれを黙って見捨てた人…そのことを横島は思い出した。

(「言い訳もしません…貴方が私を怨むのも当然でしょう…でも…私は後悔していません…

アレが最善ではなくとも最良の結果だったと思っています…」か)

横島があの時…感情に任せルシオラの死を責めた時に聞いた言葉…絶対に分からないと思っていた。

分かりたくないと思っていた考え……

だが…今はその意味が分かってしまう…そんな自分が横島は少し悲しかった。

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