ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…3


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 1/22)

「良かったわね。横島くん」

試合が終わって客席に戻ってきた俺に向かって美神さんが言う。

「運が良かったんですよ…俺何もやってませんし…」

「それでも勝ったんですからいいじゃないですか」

美神さんの横にふわふわ浮いているおキヌちゃんが少し興奮した様子で話しかけてくる。

「そうよ…運も実力の内…プロでも重要なファクターの一つだわ」

「ありがとうございます…やっぱりそう言ってもらうとうれしいですね…」

「そうですよ!後一回勝った横島さんGSですよ頑張ってくださいね♪

私も頑張って応援しますから!!」

「うん!…ありがとおキヌちゃん」

「で、二回戦の相手って誰なの?」

「あっはい…確か…忍者風の女の人だったと…」

「へー調べたんだ…」

俺の言葉が以外だったのか美神さんが驚いた声を上げる。

「そりゃ…俺だって勝ちたいですから…少しは相手の事位調べますよ…」

確か次の相手って人を切りたがる人だったんだよな…ああ…やだな…

「そう…なら明日の試合も頑張りなさいよ!」

「はい」


目覚めて見れば…3


「どうするか…」

時間は既に真夜中と言っていい時間だ…

横島はバンダナを外し東京タワーの特別展望台の上に寝転がり夜空を眺めている。

この時代に来て初めてゆっくりと出来る時間が出来た。

横島は迷っていた…こうしてここにいることは本来有ってはならない事だろう…

本当なら小竜姫等に相談しなんらかの対応を取らなければならない筈だ…

だが…当然神・魔族が未来を知っている横島をそのままにして置く分けがない。

最悪横島と言う存在を抹消しに来るかもしれない。

よしんば抹消は避けられても記憶をは消されるだろう…

それも良いかな…と考える事も無くも無いが…

踏ん切りが付かない理由がある。

「ルシオラ…」

初めて自分を好きだと言ってくれた女(ヒト)…

自分が命を掛けてでも助けたかった女(ヒト)…

自分を命を掛けて助けてくれた女(ヒト)…

正直最初はとても辛かった…だが7年は長い…

辛い記憶を辛い思い出に変えるには十分な時間だった…

前ならば感情の赴くままルシオラを助け様としただろう…だが、

今では冷静に判断出来てしまう…

…今の横島にはルシオラの魂が自分の中にあるのがハッキリと感じられる。 

たとえこのままこの世界に残りルシオラを助けたとしてもそれは良く似た別人でしかない…

…感情に任せルシオラを助けたとしても後で後悔するだろう…ようは自己満足でしかないのだから。

だが…だからと言ってルシオラ見捨てると言う選択肢は無い…

それと大きな問題もある。

横島の中にある魔族因子だ。

修行のためかまたはその他の要因かは分からないが

今はとても安定している…

無論このまま何事も無い可能性は無くも無いがその可能性はかなり低いだろう。

場合によっては明日にでも魔族になったり肉体が四散する可能性もある…

そのためルシオラに会う前に横島の命が尽きる可能性もある…それでは意味が無い。

だが…

「『後悔するならおてめえがくたばってからだ』か…」

以前横島がアシュタロスのエネルギー結晶を破壊したときに口にした言葉が甦る…

「ふー……後悔するのは出来ることを全部してからでも…出来るか…

ルシオラ…今度はもう少しましな未来にしてやるからな…」

例え自己満足で当ても…

………
……


「準備はいいな?ルールは一回戦と同じだ」

そう言って審判がリングから離れる。

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」

『第2試合、横島選手 対 九能市選手! 初め!!』

カン!

と言う軽い音と共にすぐ相手から離れる。

「あら…そんな離れてしまって…私って魅力ないですか?」

「いや〜…その外套の中に隠している物が無ければ是非接近戦を挑みたいんだけどね…」

横島がそう言うと氷雅はニヤリと笑い外套を脱ぎ捨てる。

「まさか抜く前にバレるとは思ってませんでしたわ…見かけによらず良い腕をしてらっしゃるのですね…」

「あはは…お褒めに預かり恐縮です…で、ご褒美としてその物騒な物を使うのを止めてもらえません?」

「ふふふ…ご冗談を…」

そう言って氷雅がスラリとヒトキリマルを鞘から抜き構える。

(や、ヤバイな…この体じゃ霊力無しで勝つことは無理だ…

あ…もっと体術でもしっかり覚えればよかった…どうしょう…)

ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

氷雅の素早い剣撃を何とか避けるが横島も浅く切られる。

「まさか全部避けられるとは思いませんでした…ならば…」

そう言うと氷雅は刀を腰貯めに構え短距離走の様な速さで突っ込んでくる。

横島も何とか避けようとするが体が動きに付いて行けず足が絡まりリングに倒れてしまう。

(ヤベ!)

『右へ体を捻ろ!』

反射的に聞こえた声に従い何とか体を捻るとその横を刀が通り過ぎタン!と澄んだ高い音を立てる。

『蹴りを放って距離を稼げ!』

「くっ!」

横島の放った前蹴りは避けられたが声の指示道理距離を稼ぐ事が出来た。

『……サンキュ…心眼…マジで助かった…』

『フン…あのままでは本当に殺されそうだったのでな…それは我の本意ではない…

だが、何故霊力を使わない…霊力さえ使えばあの程度女、物の数ではないだろう』

『俺には目標がある…その目標を達成するためにはここで力を見せる訳には行かないんだ…

だから…頼む!力を貸してくれ!』

『…その目標とやらはお主の命より大切なのか?…』

『うん…』

『………分かった…私も出来る時まで全力でサポートすることを誓おう…』

短い言葉だが横島の覚悟の程を悟ったのか心眼がそう答える。

『ありがと…』

『フン!本来、我はそのために生まれたのだ気にする事は無い!』

(もしかして…照れてる?)

少し慌てたような心眼の声に横島はクスリを笑う。

『何を笑っている!敵に集中しろ!』

『了解…』

そう答え横島は顔を引き締め氷雅に意識を集中する。

氷雅の方は必殺の一撃を避けられたためか、距離を離し警戒しているようだ。

『で…心眼どうすれば良い?』

『短期決戦しかあるまい…持久戦はダメだ…

ヒットアンドウェイで体力を削られてやられるのが落ちだ……………

そこで…お主…我のことを信じることが出来るか?』

『当然…』

カッコ良く言い切る横島だが直ぐに後悔する事になる。

『ならば…では目を瞑れ…』

言われたように横島は目を瞑る。

『鼻でフンフン言いながらくるくる回るのだ!』

「ちょっと待て!」

あまりのことに思念ではなく大きな声で叫んでしまう!

『なんだ?我を信じると言う言葉を嘘だったのか?』

「いや…そんな分けないだろ!信じているさ!だが、幾らなんでも恥ずかし過ぎる…」

少しトーンを落とした心眼に慌ててフォローする。

『お主、目的のためなら命すら掛けるのだろ?ならばプライドなど小さな事だろう…?

それともどこぞの貴族のように命よりプライドの方が大切なのか?』

「…そんなことは無いけど……だが…」

『それとも先ほどの言葉は嘘だったのか?』

「…………………………わかった…」

『ウム…それでいい…ああ…それとな…先ほどから思念ではなく思い切り声に出してるぞ…お主』

力なく項垂れていた横島がガバリと頭を上げて周りを見てみると周りから何とも言えない視線が突き刺さっていた。

厄珍等「遂に脳みそに蛆が湧いたのね」や

「前々からちょっとおかしかったアルが遂に壊れたヨ」と言いやがている。

まあ、命がけの試合の最中に行き成り大声を上げ、

訳の分からない事を一人で口走っていれば当たり前と言えなくも無いが…

『ウム!…もうお主に守るようなプライドも有るまい…さあ!やるのだ!』

横島の中で何かが崩れる音が聞こえた。

「…あは…あはははは…上等!やればいいんだろ…やってやるさ!!あはははは!!!」

横島の尋常でない迫力を見て氷雅も構え直す…が、もう横島の目に氷雅は写っていなかった。

「フン!フン!フン!フン!フン!フン!フン!フン!」

「なっ!?」

行き成り目を瞑りフンフン言いながらくるくる回る横島を見て、

最初は目を丸くし絶句するのは氷雅だったが、

直ぐに怒りのボルテージが加速度的に増して言った。

「ば、馬鹿するのもいーかげんにあそばせ!!!!!」

『ここで手を叩け!』

パン!!

心眼の指示通り行動した横島の手の中に冷たい物が収まる。

「ぬお!?」「な!?」

真剣白刃取りされた氷雅は元よりした横島も驚きの声を上げる。

「成るほど…先ほどまでの奇行は挑発でしたのね…確かに一杯食わされました…

でも、このまま押し切ってしまえば同じことですわ!!」

横島が目で違う!違う!こんな事したくなかった!!と訴えるが、

当然氷雅には通じる分けもない。

『おい!心眼!これからどうすりゃ良いんだ!?正直この状態は長く維持できない!』

『何とかして刀を無力化するのだ』

『何とかって!!そんな無責任な!』

『仕方あるまい…霊力を余り使わず今のお主の身体能力では、

武器を持ったこやつに勝てる可能性は低い。

ならば何とかして武器を無力化するしか方法はあるまい?』

『いや!疑問形で聞かれても困るって!こんな状態でどうすりゃいいんだよ!』

『この手の武器は霊力さえなくなれば脆いモノだ…何とか相手の気を挫様な事をするのだ!』

挫様な事…横島の脳裏に以前の「のっぴょっぴょーん!」と言った自分を思い出した。

(アレをやるのか…いいさ…目的のためならプライド位…俺のプライドなんて…プライドなんて………)

「の…の…の」

「の?」

「の…のっぴょっぴょーん!!!!」

真面目な顔をして'の'を繰り返す横島を訝しいでいた氷雅だがこの言葉でガクリと力が抜け、

それと同時に持っていた刀が半ばで折れる。

「しまった!」

『ウム…これであやつは近づいて来るしかあるまい…

きたら霊波でカウンターを食らわすぞ』

『なら最初からそうやってくれよ!!そうすればあんな恥ずかしいことをやらなくて済んだのに…』

『馬鹿か?…お主は力を隠しているのだろ?こやつは体術に優れている…

不意をついても霊刀で迎撃される可能性が高い…それでは大したダメージにならん…

それとも霊刀を叩き折るほどの霊波を出すのか?そんなことをすれば隠しきれるわけないだろが…

武器を失い接近戦を仕掛けてきた所で不意を付いたカウンター…

これならば弱い霊波でも効果が大きく、仕留める事が出来る』

『ぐっ…』

心眼の言っている事は確かに理にかなっている…そのことは横島にも分かるがどうも心情的に納得が行かない…

『来るぞ!』

心眼の警告で氷雅の方を向く…

これでもう横島の仕事はけば終わりだ。

(「魅力は女の魔力の一つ」って聞いたけど…何であんなに薄着や露出の多い服で戦うんだ?美神さんもそうだけど…

別に薄着にするだけが魅力を出すわけじゃないのに…

それにあんなに肌を出しちゃ接近戦じゃ不利だし…幾らなんでもヒールの高い靴で戦うってのはどうかと思うよな…

まあ、目の保養にはなるちゃなるけど…)

とそんな下らない考えていると、

飛び掛ってきた氷雅が心眼から放たれた霊波によってリングの外へと弾き飛ばされ

ワァァァァァ!!!!と言う歓声と共に勝敗が付いた…

………
……


「やったじゃない横島君!!」

声共にいきなり後ろから美神に背中を叩かれる。

「あ…美神さん」

「何…反応が鈍いわね…合格したのよ!GSよ!もうちょっと喜んだら!?」

「そうなんですけど…なんと言うか…実感が湧かなくて…」

そう言葉を濁す横島だが、

美神の後ろの方でエミがめっちゃ睨んでいるのが見えるのだから仕方がないといえるだろう。

「あーの…ちょっとトイレに…」

これ以上ここにいると二人のの巻き添えを食う可能性が高いと考え、

一言残すとそそくさとその場を離れる横島だった。

ジャーーーーーー……

「はー…」

(もう試験に合格したしそろそろ負けるか…)

昨日から精神の消耗が激しくかったため、

そんなこと考えながら先ほどの試合の血を落としていると…

「お、あいつ横島って奴じゃないか?」

「あら、ホント…雪之丞のお気に入りね」

(勘九郎と………誰だっけ??)

「お前が美神玲子の弟子だってなぁ…」

「お〜い…凄んでいる所悪いんだけど…アンタ誰?」

「だからっていい気になってんなよ!次の相手は俺なんだ…」

横島の言葉を無視し完全に自分の世界に入っている。

「あのさ…お前小学校の通信簿で人の話を良く聞きましょうって書かれなかったか?

俺がきいてんのは名前だよな・ま・え」

「てめ試合が楽しみだぜ…こいつでてめぇを切り刻んでやるのが楽しみだぜ!」

ドガァァァァァァァァァッ!!!!

その言葉と共に体から出た霊気の触手が洗面所を破壊する。

「へっ、ビビって声も出ねぇか?そんなんじゃ女に持てないぜ」

ぎゃははと下品な笑い声を上げる。

「は…全く質問の答えになってね…

てーか聞いてないだろ…名無し君…それに確かにモテモテって程じゃないけど名無し君よりモテたと思うぞ…」

「誰が名無しだ!俺の名前は陰念だ!」

「因縁?変わった名前だな…」

「発音が違う!因縁じゃね!陰念だ!」

(単純…)

「アンタ…勘九郎だっけ?大変だね…こんな舎弟持ってると苦労するだろう…」

陰念の言葉を完全に無視し勘九郎に声を掛ける。

「あら…あたしの名前は知っているのね?」

「まあな…」

「ふ〜ん…あっ質問の答えだけど…出来の悪い奴ほど可愛いって言うじゃない?」

「って無視すんな!聞けよ!何で勘九郎の名前は知ってて俺の名前を知らないんだ!

勘九郎も誰が出来が悪いんだよ!ってか俺は舎弟じゃね!!」

陰念が白い顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

「え〜でも…偉そうにギャアギャア騒ぐ奴ほど弱くて下っ端ってのが相場じゃん?」

「テメ!!」

「止めなさい!陰念!!」

今にも襲い掛からんばかり陰念を勘九郎が何とか押しとどめる。

「うるせい!!!テメーに命令される覚えはねーんだよ!!俺に命令できんのはメドーサ様しか」

「陰念!!!!!!」

先ほどとは比べ物にならない程の声量で勘九郎が怒鳴る。

(前は余り話さなかったけど…コイツ…本当に馬鹿だな…)

蒼い顔をした陰念を見ながらそんなことを思う。

「馬鹿を手下に持つと大変だな…」

「さ、さあ?何のことかしら…」

「誤魔化さなくて良いよ別に審判にタレこもって訳じゃないし…

どのみちタレ込んでも今のじゃ証拠不十分で無理だよ…

それにアンタだったここで俺を殺す訳には行かないだろ?

大騒ぎになっちまうもんな…」

不穏な雰囲気を出している勘九郎にそう言い残し、

横島は壊れた洗面所を跨ぎその場を後にする。

………
……


「さて…どすうるか…ちょっと挑発しすぎたな…

あれじゃワザと負けるにしても無傷って訳には行かないよな…」

「お主…負ける心算か?!」

リングに向かいながら呟いた横島の言葉に心眼が反応する。

「まあ…もうGS資格も取れたし…良いかな…って思っただけだよ」

「何を言っておる!ワザと負けるなんて戦いに対する冒涜だ!そんなこと我が許さん!」

「わわ…声が大きいよ…」

思念ではない大きな声で叫ぶ心眼を横島が慌てて諫める。

「ならばそんな馬鹿なことを言うな…」

「ああ…分かったよ…」

(まあ…確かに雪乃丞を倒して自白させないといけなかったんだよな…

余り歴史を変えると俺のアドバンテージが無くなるから陰念に負けてやるわけにわいかんか…)

………
……


「横島…手前はここでぶっ殺してやるよ…」

「ふうん…因縁ちゃん…あの後メドーサに怒られちゃったのかな?」

「テメエ!」

リングに入って早々陰念が横島を挑発しようとするが逆にからかわれる。

「こら…無駄口を叩かない!…よし、準備はいいな?ルールは今までと同じだ」

お決まりの台詞を言い審判がリングから離れる。

「絶対殺してやるからな…」

「はいはい…あんまり同じ台詞をはくと安っぽく聞こえるよ…」

「クッ!!テメエ…そういえばお前さっき俺よりモテるとか言っていやがったな…

テメエ見たいな奴に惚れる奴なんてそうとう見る目が無いクソみてな女なんだろ?」

「…あっ?…今…何つった?」

今までヘラヘラとかわしていた横島の顔がピシッと固まる…

「へっ…何度でも言ってやるよ…テメエみてえな奴に惚れる女なんて救いようのねえクズ女だつったんだよ」

からかわれ続けた陰念が一矢を報いる積りで言った言葉だったが、

思った以上に横島に効果を発揮したため調子に乗ってしまったのだ…

『第3試合、横島選手 対 陰念選手!初め!!』

「ずあ!」

開始早々陰念が霊波を放つがバンダナから発せられた霊波によって相殺される。

『おいコラ!何を呆けておるか!』

陰念の攻撃に何も対応を取らなかった横島に対し心眼が文句を言うが…

「潰す…」

『おっ、おい?!何を言っておるのだ!こら!正気に戻れ!』

心眼のがなり立てる思念を無視し横島は右手に双文珠を出し、口元を隠すような仕草と共にそれを口の中に放り込む。

書き込まれた文字は'強/化'だ。

「チッ…ふせゲハッ!」

双文珠で強化された横島は凄まじい踏み込みで陰念との距離を詰めたかと思うと、

強烈な一撃を陰念の顔面に叩き込んだのだ。

顔面から血を流す陰念を見下ろす横島には、

今までの軽い雰囲気は全く無い。

「立てよ…」

そう小さく呟くと陰念の顔を蹴り上げる。

「なっ…嘗めんじゃね!」

蹴り飛ばされながらも陰念が体中至る所から横島に向けて霊波を一斉に放つが、

恐ろしい速さで背後に回られ後頭部を踏みつけられる。

「ほら…ぶっ殺すんじゃ無かったのか?」

「うるせ!!」

今度は前面だけでなく背後を含めた体中から霊波を放出する。

横島も今度は流石に攻撃する隙が無いと見たのか一足飛びで距離を離す。

「もう、泣いても許してやらね!!ぜってー殺す!」

「鼻血出して頭踏まれる奴の言うことじゃないな…」

「黙れ!!」

『おい!お主!奴の波動がおかしい!何かとんでもない術の用意をしておるぞ!』

心眼が警告を発している間に陰念が気合と共に魔装術を纏う。

『!…おい!』

『大丈夫…』

『大丈夫…って!…あれは魔装術といって悪魔と契約し一時的に自らを魔物に変える術だぞ?!なめて掛ると危険だ!』

(ふん…霊気が全く物質がしてない…これを魔装術?おこがましい…)

心無しか涙声になっている心眼の思念を無視しそう心の中で呟く。

「くらえ!!」

そう叫びながら陰念が横島に拳を振り下ろすが横島は避ける気配は無い。

ドン!と言う音と共にこの試合を見ている観客の殆どは横島の死を確信した。

おキヌは言うの及ばず美神も悲鳴混じりに横島の名前を呼ぶ。



「ば、馬鹿な!」

陰念の大きな拳を横島は左手に掲げたサイキックソーサーで受け止めたのだ。

「どうした?そんなデカイ格好して一発で終わりか?」

「くっ!」

「逃がすかよ…」

体勢を立て直すためか後ろに下がろうとする陰念に向けて横島はサイキックソーサーを投げつける。

雪乃丞の魔装術をぶち抜く威力を持ったものだ…

当然それより数段劣る陰念の魔装術が防げる道理は無い。

魔装術の1/3程吹き散らされた状態で結界際まで吹き飛ばされる。

「ば…馬鹿…な…」

「殺しはしないさ…けど…当分はベットの上にいな…」

いつの間にか間合いを詰めた横島がそう呟き、

拳と共に握りこんでいた双文珠…'暴/走'を叩きつけ、

陰念は前と同じく魔獣となり決着は付いた。

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