ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 51〜小竜姫の苦言〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(05/ 1/22)

「ウオオオォ――ッ!」

シロが雄叫びをあげながら剛練武を相手に切り結んでいる。横島達が入ってきた事にも
気付かないで闘いに集中している。最早敵しか見えていないのだろう。

「す・すごい、あれが本気になった犬塚の闘いなんだ」
「動きは速いですがアレは種族としての力です。せっかくの素質を無駄遣いしていますね。
横島さん、今後の課題ですよ」

呆けたような不動の声と冷静な小竜姫の声が聞こえてくるが、それどころではない。
すぐにでも止めなければならないが迂闊に近付いて剛練武がこちらを敵と認識したら
面倒な事になる。なんとかここから止める方が良い。

「シロ、もうやめろ!お前が闘う必要なんて無い!」
「待ってるでござるよタマモ、お前一人で魔族と闘うなんてさせないでござる」

「良いから落ち着け!タマモに危険なんて無いから!」
「狼は群れの仲間を決して見捨てないでござる。コイツを倒してすぐに行く」

闘いの時の集中力はハンパではない、ましてや仲間の命が掛かっていると勘違いしている
今なら尚更だ。こうなれば力づくで引き離すしかないのかと思えてくるが最後の可能性を試みる。

「コラ――ッ!このバカ犬っ!」
「犬じゃないもんっ!」

どんな集中の仕方をしているのか、それとも耳の構造が特殊なのか「犬」の単語には反応した。
その瞬間に集中が途切れ、剛練武が勝機とばかりに攻めかかるが横島の動きの方が早かった。
神足通で飛び出すと一瞬のうちにシロを抱え戦闘区域から離脱する。シロの動きさえ止まれば
簡単な事だ。一瞬に掛かった横Gに目を回しているが怪我は無いようだった。

そのまま抱きかかえて大きく迂回しながら元の場所に戻った。
小竜姫が禍刀羅守を呼び出しそのままタイガーが二対一の闘いに入っている。

「シロ、タマモは無事で何も心配する必要は無い、良いから落ち着け」
「そうだよ犬塚、タマモは大丈夫だから、今は目の前の闘いに注目しよう」

興奮冷め遣らぬ様子のシロだったが、二人の言葉にようやく落ち着きを取り戻すと
改めてタイガーの闘い振りに注目する。


タイガーは慎重に立ち位置を変えながら闘っていた。同時に2体を相手取らずにすむように
常に禍刀羅守との間に剛練武が入るように動いていた。禍刀羅守の刃状の腕を受けきる
自信は無いが剛練武の岩状の外殻ならば霊波を纏った腕で受けきれる。

横島の見てる前で無様な闘いなど断じて見せられない。正月に見た横島とピートの闘いが
今でも忘れらない。正確には、視認する事すらできなかったが結果だけはハッキリと見て取れた。
人間に較べ、圧倒的な力を誇るヴァンパイアハーフを一瞬で打ち倒したその力量。
俄かには信じられない程だった。確かに以前から強かったのは知っていた。
アシュタロス戦役での敗色濃厚だった状況をたった一人で引っくり返したのだ。
ある意味で魔神をも上回っていたとも言える。

そしてそこに安住する事無く更なる高みにまで至った実力。その理由が大切な”何か”を守る為。
エミからその理由を聞かされた時は頭を殴られたようなショックを受けた。
横島はかつて最も大切な者を守れなかった。その代償として残された世界。
横島一人が大きすぎる犠牲を払ったのだ。

横島はタイガーにとっては第一の友人であり恩人でもある。虎人の血を引く自分に友人などいなかった。
エミにスカウトされて日本に来たが、それは能力を買われての事。確かにエミは良い上司だが
友人では無い。だがエミの好意で高校に通わせてもらったお陰で横島に出会えた。
転入初日には人間扱いさえされなかったが横島だけが声を掛けてくれた。
あの時教えられた女性講座を聞いた時は人生に光明がさしたような気さえしたのだ。
後になって横島も自分同様のモテない君である事が解ったがそれは些細な事だ。
あの時の横島は紛れも無く自分を力づける為にあの話をしてくれたのだ。

暗く、後ろ向きで、対人恐怖症のようだった自分が今ではすっかりクラスに溶け込んでいる。
総ては横島が傍らにいてくれたお陰だ。横島と一緒にならすんなりと人の輪に入っていける。
彼は人間どころか神魔妖にすら差別せずに打ち解けられる。文珠などの特殊能力等よりこちらの
方が余程凄く思える。生まれて初めて”彼女”と呼べる存在が出来たのも彼のお陰だ。
きっかけとなった出会いの場に誘ってくれたのが彼だった。
その後順調に”お付き合い”を続け今に至っている。

経済的には苦しい時が多かったのでデートの時など度々肩身の狭い思いもしたが今はそんな事も無い。
横島が身入りの良い仕事を紹介してくれたからだ。映画に関わる仕事に携わったお陰で数百万の
収入を得る事が出来た。予定外の仕事もさせられたがその分以上に収入も増えた。
彼が制作予算を自分たちのギャラに回すよう交渉してくれたお陰で駆け出しのサラリーマンの
年収以上の収入になった。それも生活苦にあえぐ仲間達の苦境を知ればこそだ。

余裕のある財政状態、仲の良い彼女、快適なスクールライフ、総て彼が与えてくれたようなものだ。
絵に描いたような幸せな日々、それも横島が世界を守ったからこそ過ごせている。
自分は何一つ彼に恩を返せていない。いつか彼の力になりたいと思うが今の実力差では到底無理だ。
共に闘うどころか足手まといにしかならない。自分の能力特性上肩を並べて闘うのは無理だ。
だがこのままでは彼の背中さえ見失ってしまう。せめて彼の位置を視界に収められる場所にいないと
後方からの支援すら出来なくなる。ならば自分の力を底上げするしかない。

悩みぬいた末に師匠に相談した処、示された道が妙神山だった。命の危険はあるが他に選択の余地は無い。
修行は辛かったが横島や雪之丞が受けたものに較べると楽な方だと聞かされて泣き言も一切やめた。
精神感応に頼りきりでしかも安定すらしていなかったが、それを極めた事に加え体術も身に付けた。
力に頼りがちだった以前に較べ体捌きや足捌きを習得したお陰で闘い方の幅も拡がった。
後はその集大成を横島の目の前で見せるだけだ。絶対に勝つ。

事前に剛練武の闘いを見れたのは幸運だった、お陰である程度戦術を考えられた。
あれだけのスピードで切り立てて倒せなかったという事は力押しでは装甲を破れないという事。
ならば外殻に守られてない単眼を狙うべきだろうが、剛練武の陰から禍刀羅守が刃状の腕で
攻撃してくる為懐に潜り込めない。自分の間合いはそのまま手足の長さなので接近戦で潰すしかない。
だがそこまで近寄れない、次第に焦りが募るが横島の助言が脳裏をよぎる、冷静に、落ち着いて、だ。

いっそ発想の転換をすべきだろうか、安全に闘う為に今の立ち位置を保っていたが敢えて火中の栗を拾う。
最も危険な場所から勝機を臨む、それこそが唯一の打開策のように思えてきた。
それまでの方針をかなぐり捨てて2体の真中に入り込む。
当然のように2体が同時に攻撃を仕掛けて来る、その瞬間、

「フンガァ――ッ!全開っ!幻惑精神感応―っ!」

互いを敵として誤認させ、その間をすり抜ける。禍刀羅守の刃が虚しく剛練武の外殻を削り、
剛練武の豪腕が禍刀羅守の刃を砕く。それによりバランスを崩した禍刀羅守にブチかましをかけて、
引っくり返す。その砕けた刃を拾い剛練武の単眼に突き立てる。相手を無力化した後で振り返り
禍刀羅守の逆襲に備えるが起き上がってくる気配が無い。

「それまで!そのコは自力では起き上がれません。タイガーさん貴方の勝ちです、お見事でした」

小竜姫により勝利の宣告が下された瞬間、

「ウオオォ――ッ!やったーっ!ワシが勝ったんジャ―ッ!」

タイガーが勝利の雄叫びをあげる。小竜姫により霊的防御力と攻撃力が底上げされると
そこまで見届けた横島が喜色満面のの笑顔で駆け寄り、肩と言わず腕と言わずバシバシと
乱暴に叩いて祝福している。でかした、よくやった、と手放しの褒めようだ。
タイガーは痛みを気にした様子も無く、何かをやり遂げた漢の満足そうな笑顔で頷いている。

「良いなぁ〜、僕も何時かあんな風に先生に褒めてもらえる日が来るかな〜」
「弱気は禁物でござるよ、しかし死中に活を見出す見事な闘い振りでござったな」

男二人の様子を見ながら弟子達二人が思いの丈を述べていると皆がこちらの方にやって来た。
初対面の者は挨拶をかわすがタイガーは最初シロが横島を襲ったチビだと気付かなかった
ようで驚いていた。不動にしてみれば初耳の話で驚くというより呆れていた。
その様子を見守っていた小竜姫がおもむろに口をひらいた。

「この修練場に足を運んだ以上、何もせずに帰る事も無いでしょう。横島さん、貴方の
お弟子さん達の今現在での真の実力を見せて下さい」


いきなりそんな事を言われて最初は戸惑ったが、小竜姫が弟子達の実力に興味を持っていた事を思い出す。
とは言え直接小竜姫と闘うのは無茶すぎるし互いに闘わせるのも意味が少ない。不動ではまだ
シロのスピードに対応できない。横島が相手をして二人の力を限界まで引き出すのが最適だろう。

「解りました、二人同時に掛かっておいで、普段通りのつもりでね」


もとよりヨソ行きの闘い方など知らないので何時ものやり方でやるしかない。
有利な位置を取る為に横島を前後に挟もうとするが横島はそれを許さない。
常に二人を視界の内に収めるように動き、それぞれが三角形の頂点に位置するようにしている。
どうしても有利に配置取れない二人が業を煮やして攻めかかってくる。

スピードに勝るシロの攻撃回数の方が多いが、合間を縫うように不動の攻撃が横島を目掛けてくる。
だが横島にとっては読み易い為一向に当らない。さしたる時間もたたないうちに小竜姫に止められた。

「タイガーさん、今の闘いを見て率直な感想を言ってみて下さい」


自分の修行は終了したものと思っていたタイガーは一瞬面食らってしまった。常に気を抜くな
という事だろうか、さすがに妙神山は甘くない。だが闘い自体は一部始終を見ていたので
感想を言うくらいなら問題無い。

「そうですノー、シロさんの攻撃は早いケンど動きが途中で途切れるケン避けられ易いノー
明音シャンの攻めは多彩じゃが一つ一つの威力が小さいケン当っても効かなさそうじゃノー」

見たままを率直に語るタイガーを前に二人は声も無い。横島はこれまで敢えてあまり
指摘はせずに自分で気付くように仕向けていたが二人共薄々気付いてはいた。
だが初めて見た相手にまで指摘されるという事はそれだけ自分達の底が浅いという事だ。

「犬塚さんの方は先の闘いと合わせて大体解りました。次、不動さんと一対一で闘って下さい、
ただし横島さんは目隠しをしてです」


そう言われて不動は驚いていたが横島は何も言わずにバンダナをずらして目を隠す。
小竜姫に促されて挑みかかろうとするが、きっかけが掴めない。横に回り込もうとしても
横島はすかさず向きを変えて常に正面で正対してくるし、フェイントは一切通じない。どんな
小細工をしようが相手が見ていなければ何の意味も無い。初めて小竜姫が横島に目隠しをさせた
意図が解り固まってしまう。これでは正面戦闘しかないがそれが通用しないのは解りきっている。

「そこまでで結構です。これで解りました」

小竜姫はそう宣言した後で二人の欠点を指摘していく。最初はシロで、タイガーの指摘通り動きが
直線的すぎる為攻撃の間に繋ぎが無い事、又攻撃自体が素直すぎる為読まれ易い事を指摘する。
だがシロは納得できない、下手な小細工など抜きで常に正々堂々と闘いたいのだ。
その事を小竜姫に申し述べると、苦笑混じりの返事が返ってきた。

「その意気や良し、と言いたい処ですが現実はそれ程甘くありません。正統のみに拘れば
狡猾な相手に遅れを取る事もあります。私自身、不覚を取った事がありますが幸い命だけは
永らえる事ができたので、その苦い経験を糧に自分を高める機会を与えられました」

小竜姫にとっては生き恥ともいうべき経験だが、横島の弟子の為なら躊躇わずにさらす。
同じような不覚を取って欲しくないからだ。小竜姫にとってメド−サを相手に取った不覚は
忘れられない苦い思い出だ。それ以来、より一層の精進を己に律している。一言で正統を
極めるといえば簡単だが、不覚を取らずにすむレベルまで極めるというのは並大抵ではない。
口先だけなら簡単だが実際はそうはいかない。あくまで正統を望むのであれば相応の覚悟が必要だ。


シロにとっては意外すぎる、小竜姫の告白だった。シロから見れば師匠の横島の強さは無敵とも思える。
その横島より強いはずの小竜姫でさえ正統に拘り不覚を取った。ならば自分のような未熟者が正々堂々に
拘るなどとんでもない思い上がりではないのか。シロの思いは千々に乱れる。

「不動さん、貴女は攻め手の多さに較べて技の連度が全く足りていません。
横島さん、いったい貴方はどういう指導をしているのですか?」
「え〜と、一応ルール無しの自由組手に一番時間を割いてます。基本的な訓練は
一人でも出来ますから。複数名いる時にしか出来ない事を優先してるって言うか」

「その事を本人にキチンと伝えましたか?」
「へっ?」

意外すぎる質問に横島は目を丸くする。一人でやれる訓練の内容など限られている。ほぼ基本のみだ。
横島自身、霊気の練り上げや収束などはほとんど無意識のうちに毎日行っている。
当然誰もがそんなものだろうと思っていたのだ。だが小竜姫の言葉を聞いてから不動が視線を
合わせようとしない。後ろめたそうに顔を背けている処を見ると怠っていたらしい。


不動にも言い分はある。基本の修練は効果の出具合が解り難い。無論完全にサボッている訳ではないが
それよりも他の小技の考案や習得に時間を割いているのは紛れも無い事実だ。こちらの方がすぐに
効果の有無が解るので面白くもあり、どうしても偏りがちだった。

「自分が解っている事は他人も当然解っていると思っていませんか?貴方は自分への評価が低過ぎる為
そう思うんでしょうが基本の大切さを本当に理解している者は多くありません。特に若ければ尚更です」

横島としては声も無い。自分如きに解っている事なら不動のようにしっかりした少女や
シロのような生真面目な性格なら当然やっているものと思い改めて指示した事はなかった。

「犬塚さん、貴女は霊波刀を出せただけで満足してませんか?それ以上改良の余地はありませんか?」

そう問われてシロは考え込む。霊波刀を出せた時点で横島にある程度追いつけたような
気になり、後はそれを使った闘い方に熱中して霊波刀自体の改良など考えた事もなかった。

「不動さん、貴女は攻撃を分散させていますが総てが同じ強さです。強弱をつけるなり
根本的な力の底上げを考えるなりした事は無いのですか?」

そう問われて不動は考え込む。強弱をつけた場合、強い方をかわされると損なような気もするが
弱い方が当った時にそれが全力だと敵が思えば油断を誘う事もあるかもしれない。力の底上げは
無論大切なのは解っているが今の力で有効に闘う方法を考える事に重点を置き過ぎていたかもしれない。

「ちょっと待って下さい小竜姫様、こいつらはまだ・・・」
「お黙りなさい、敵に向かっても同じ事を言いますか?今はまだ未熟だから強くなるまで待ってくれと?」

中学生に対してあまりに厳しすぎると思い庇おうとした横島だったが小竜姫の言葉に声も無い。
確かに今のままで実戦に出れば危ない事この上ない。二人がそんな場に出る事など当分ありえないが
巻き込まれるという可能性は常にある。その時に生き延びさせたければ厳しく鍛えるしかない。

横島は顔から火が出るような思いだった。不動の闘い方に興味を覚え簡単に弟子にしてしまったが
自分のような甘い考えの者に人に教える資格など無いのではないか。自分以外の者に教えを
請うた方が二人の為には良いのではないだろうか、例えば美神のような超一流のプロに。

「何やら自己否定の方向に考えが向いていませんか?貴方の悪い癖ですよ?」

いきなり考えている事を見抜かれて狼狽してしまう。そんなに顔に出ていたのだろうか。

「他人を教える立場になって初めて見えてくる事もあります。気付けなかった自分を恥じる必要は
ありません。やり直す気がある限り手遅れという事は無いのです。むしろ今回の教訓を踏まえて
より良い指導をお弟子さん達の為に心掛けてあげて下さい」

小竜姫の言葉を聞いて救われたような気持ちになった。手遅れでさえ無いのならその分
これからは細心の注意を払って指導に当ろう。二度と師匠を失望させる事のないように。


一方弟子たち二人は横島の顔色が生色を取り戻したのを見てホッしていた。自分達の心構えの
足りなさのせいで横島に大恥をかかせてしまい申し訳無さで一杯だった。だがまだ間に合うので
あれば横島について行きさえすればきっと自分達は強くなれるだろうと安心していた。
そのあからさまな様子を見て小竜姫が眉を顰める。これからの横島の苦労は多そうだ。

「どうも貴女方二人には覚悟が足りないようですね。横島さんが何の苦労もせずに
今の実力になったとでも思っているのですか?」

小竜姫の厳しい口調に身を竦ませながら慌てて二人が下を向く。どれほど横島との力の隔たりを感じても
相手が横島であれば仕方が無いと思っていた。無論修行はしたはずだが才能にも恵まれていたのだろうと
考えていた。そうでなければあまりにも常軌を逸して強すぎる。

「横島さん、今から私と立会いなさい。私を殺すくらいの気持ちで真剣にです」
「・・・解りました」


小竜姫の真意は解らないがその目の色はこの上なく真剣だ。ならば応じるしかない。すぐさま四つの
文珠を生成して小竜姫に手渡す。蘇生か治癒用にだ。両手両足を切り飛ばされる覚悟を決めた意思表示だ。
その意志は小竜姫にも伝わりそのまま皆から離れた場所へと歩いて行く。

「文珠を使うのも符術を使うのも自由です、好きなように攻めてきなさい」
「いえ、霊波刀を使った肉弾戦でいきます」

弟子達に見せる以上、二人が参考にし易い闘い方の方が良い。
符術など当分先の話だろうし文珠にいたってはまず不可能だ。
そんな横島の考えが伝わったのか小竜姫が満足そうに頷いている。

「ちゃんと考えているようですね、安心しました。それでこそ私の自慢の弟子です」

小竜姫の言葉を聞いて横島の胸に嬉しさが溢れ出す。自慢の弟子とまで言ってもらえるとは
光栄な事この上ない。こうなった以上は立会いでも失望させないよう全力でやるしかない。
互いの間合い以上の距離を取った二人の間に緊張感が漲りだす。弟子達二人はそれを見て声も無い。
ゴクリ、と唾を飲み込む音が聞こえた。お互いの顔を見合すがどちらでもない。隣に来ていた
タイガーだった。タイガーも一瞬たりとも見逃すまいと一心に見詰めている。

「ううっ、拙者の方が緊張してきたでござる」
「何か見てるだけで怖くなってきたよ」
「ワッシも今の横島サンの本気を見るのは初めてかもしれんですジャー」

そんな三人の発言をヨソに、二人の死合いが始まろうとしていた。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(あとがき)
スランプだ〜、筆が一向に進まないこと。書きたい事は一杯あるのに文章として
まとまりません。他のss書きの方々もこんな経験したのかな〜。
さて、小竜姫様が厳しすぎたかな〜とも思いましたが如何でしょう?


今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa