ザ・グレート・展開予測ショー

GS新時代 【鉄】 其の四 5


投稿者名:ヤタ烏
投稿日時:(05/ 1/17)



薄暗い闇の中を留美抱えて汰壱は出口を目指した。
このアトラクション・・・GS体験ツアーはかなりデカイ
立てられた当初からデカかったが人気が出るにつれてどんどん拡張工事をしていったそうだ。
そして最終的にはこのデジャーブーランドで最もデカイ建物になっている。

必死になって走り続けるがただ一つ気掛かりになったことがあった。
相手が追って来ていないのだ。
あれほど不気味な感覚迫ってきているのであればすぐに気付けるが、先程感じたあの大蛇が絡みつく様な悪寒は感じれない。
なにわともあれ、それは好都合だった。今時分がすべきことは一刻も早くここから逃げ出すことである。
正直言って先程対峙した時は生きた心地がしなかった。

あの闇の底のような邪悪な目は見た事がなかった。
随分前からあちこち喧嘩をして、いろんな奴の目見たが、何処にもあんな眼をした奴はいなかった。
ヤクザやチンピラ・不良と呼ばれる悪党とも違う、純粋に何かかが違う恐怖感がそこにはあった。


・・・・・・人間・・・・・・

(あんな人間がいるのか?)
恐怖を振り払うかのように、汰壱はスピードを上げた。


薄暗い闇に一筋の光が見える。

(出口だ!)

僅かばかりの安堵とともに出口に走りよる。





















バキイイイン


「ぐわっ!」

突如汰壱の身体は見えない壁に阻まれ強引な力で後方に弾き飛ばされた。
とっさに留美を傷つけない様に庇う。





「結界!!??そんな馬鹿などうやって張りやがったあの野郎」
予想外の事実に思わず声を荒げた。

それもそのはず、このアトラクションの至る所には霊力を封じる結界が施されている。
それもかなりの高出力でほとんどここでは霊気を発することすら出来ない。
現に汰壱は白蛇が霊力が使えないのをこの眼で確認もしているのだ。
だが今時分たちの生還を阻む物は間違いなく霊気の結界・・・・・・

どうなっている・・・・

即座に考えられる可能性を検索する・・・・・・

ピンポンパンポーン

不意に間抜けな館内放送の音が辺りに響く。

『アーアー、ッオホン・・・ハローハロー皆さんご機嫌いかがかな?
こちらは白蛇です・・・非常に非−常に残念だが君たちを外に出すわけにはいかなくなった。
本当に残念だよ・・・私としては約束さえ守ってくれれば君は見逃してもよかったんだがね。』

「じゃーこのさいですから全員見逃してくれよ」

『はははははは・・・そいうわけには行かないな・・・・それじゃ、死んでくれたまえ』
最後の言葉おそろっしく冷え切った響きだった。

「最後に聞かせくれよ、どうして結界が張れたんだ?ここじゃ霊術は使えないはずだろ」


『・・・・・簡単な話さこの中では使えないが、外でなら当然使えるものさ、この建物すべてを外から結界で囲んだのさ・・・
簡単だろ、あっ言っておくが破ろうなんて思わないほうが良いな君の力じゃどうやってもあかない代物だよ・・・・。
まっこの空間じゃ君も霊力はつかえないか・・・・ではさようなら』


ピンポンパンポン

律儀にもう一回鳴らして放送が途絶えた。


「あんにゃろー」
汰壱は歯噛みした。

正直言って驚いた、まさか相手の力がこれ程のものとは・・・
タマモやシロと同じような感想を浮かべた。
完全に裏目に出た・・・・正直言って相手がこの建物を囲うほどの規模の結界をこの短時間でやるとは・・・
あくまで推測の域を出ないのだが式神・・特に符術式神などにおける霊力を持つものを媒体・依代するタイプにはそれ自身を
結界の柱として、大規模に展開する事が出来ると・・何かの本で読んだ記憶があった。

(しかし普通ここまでやるかよ・・・・)
発想のスケールで負けた。

そんな言葉が汰壱の頭に響く。

さてどうしたものか・・・・

自分でも意外なほど汰壱の頭は冷えていた・・・・・・状況は悪いが先程より悪いわけではない。
ハッキリいって霊能力勝負になれば100%勝ち目はないが、この空間内ならば相手も霊能力の一切は封じられる。
それゆえ、ここでは純粋な力での空間になる。霊能はテンでだめだが純粋な体術・格闘技にならば自分は自信がある。
それにセオリーに乗っ取れば相手は符術式神(結界師)だ、何らかの武器は持っているだろうが接近戦になれば
こちらに勝機がある。大概の場合は式神使いは自身の格闘戦は苦手である。
それは自分の義理の母の令子の友人である六道学園の理事長(六道 冥子)が証明していた。
そのぶん式神の力は半端ないほどの力があるが・・・・・
ついでに言うと汰壱の担任の鬼道も格闘術の方は得意でないそうだ。

だがそれでも、それでも勝率は限りなく低い・・・・あの感覚・あの眼・・・尋常の事ではない。

しかしあきらめなければ勝機はある。

手に持ったシロとタマモが封印された玉を調べてみる・・・・
生憎ながら、封印が解ける兆候などは見受けられなかった。
二人が無事か中の様子を覗いて見る

ジー

「????なんで犬と狐がなかに・・・」


赤いメッシュの入った銀色の犬(狼です)

金色の九本の尾のある狐

中ででなにやら騒いでいる。

じー

どこかで見た事がある。(汰壱は二人の獣化した姿見た見た事がありません)

中の二匹がこちらの視線に気づいたのか何やらこちらに吼えている。
物は試しと思い、球に耳を当てがう。

こんなもので聞こえたら苦労はしないが何事も試してガッテンだ。

「わん・わんわんわんわんわんわんわん」    (汰壱大丈夫でござるか?)

「きゅーん・きゅん、コーン」      (早く逃げなさいあんたのかなう相手じゃない!)    

「ワオーン」              (気つけるでござる何か来る)

「フッー!!シャー」          (なにボサッとしてるの早く逃げて時間を稼いで)





















まずいな











































「なに言ってんのかさっぱりわからん」



ズル


中で二匹の獣がこけていた。


生憎汰壱には動物の言葉が受かるような便利な能力はついていない。

蛍花あたりの感受性の強い霊能力者ならば何言っているのか判るはずだが、
元から霊能力の殆ど無い汰壱のはどだい無理な話である。

じっー
留美が心配そうにこちらを見て(睨んでる)いる。
(睨むなよ、仕方ないだろがわかんねぇんだし)

汰壱はバツが悪そうそうに頭をかいた。




このまま出口近くでジッとしている訳にもいかない。
とりあえず場所を移動する。西洋風の街中を歩きながら汰壱は相手が次に何を仕掛けてくるか考えた。
先ほどの会話から察するに間違いなくこちらを殺しに来ると考えるのが、普通だが問題は相手がそれをどうしてくるかだ。

感情にとらわれず冷静な思考で物事に対処する。
それが前回の獅子猿で学んだことだった。
最後にはひのめと蛍花に助けられるという惨めな結果に終わったが、あの死闘は間違いなく汰壱を成長させた。
命を落す寸前ではあったが、それを乗り越えたとき確実に自分は強くなれる。
ならばこの試練も見事に生還して、さらに強くなってやる。

こんな状況にもかかわらず不謹慎ともいえるが、汰壱の眼には野望の光が燈り始めたていた。




しばらく歩いただろうか
不意に汰壱は歩みを止めた。
足音が聞こえる、どこからともなく。



一・・二・・・・・三・・・・・・・もっといる・・・式神・・・違う・・・人間じゃないな・・・・殺気がねぇ
なんだ・・・前か?・・・・いや後ろ?・・・・・・・・・やばいまた囲まれた。・・・
ちくしょー俺って成長してねー・・・・・三十体てところか・・・・・



トカレフを左手にヤッパを右手に持ち構える。汰壱の様子を見て留美は汰壱のうしろにへばり付ている。

徐々に姿が見える。

「!?ロナルド・ドッグだ」
留美が驚いたように叫んぶ、皆に大人気デジャブラーンドの看板マスコット、デッカイ犬のロナルド・ドック

みんな大好きロナルド・ドック

みんなのヒーロー、ロナルド・ドッグ

ちなみにロボット、ロナルド・ドッグ

「やあこんにちは、僕ロナル」


パン!
汰壱発砲!!
ロナルドはドタマを吹き飛ばされました。

「おっさん!だめじゃない!!」

「あっすまん二回撃つの忘れた」
拳銃での射撃の基本は必ず二回引き金を引く、そうする事によって飛躍的にトドメの刺す確率が上がるとか・・・・

「いやそうじゃなくて 何でロナルドを撃つのよ!!」

「俺がマッキーの方が好きだから」

「ボケボケかい!」

ロナルドの屍?を踏み越えて次々と姿を現すロナルド軍団一見無害なその姿だが、手に持っているのは禍々しい凶器ばかり

「鉄パイプにハンマーにチェーンに角材・・・消防用の破壊斧に釘バット・・・・・・おっ特殊警棒まで
・・・・・・なんで栓抜き持ってるやつまでいるんだ?」

「わーい、ロナルドいっぱい」
留美はうれしそうだ。状況が判っているのだろうか?・・・


一列に並ぶロナルド軍団、手に持った凶器がとってもミスマッチだ。
「「「「「「やあ!こんにちは僕ロナルド・ドッグ一緒に遊ぼうよ」」」」」」
一言そう叫ぶと汰壱&留美目掛けて雪崩のごとく押し寄せた。

ドドドドドドド!!!



「きやがれ!営利主義の回し者ども」
突出している二体に狙いをつけて発砲

腕が吹き飛び、頭が吹き飛ぶ

腹に風穴が開き、足がもげる

ちょっぴりスプラッター
「おらおらどうした!犬ころロボ、全部スクラップにしてやらぁあああ!!」


遠距離にいるものはトカレフで仕留め、近づいた者は【任侠道】と体術を駆使して、粉砕し撃破して前々と道を作る。
「命(たま)とったらぁ!!」
パン! パン!! パン!!!
「往生せいや!ごらぁあああ」
ドス! ザク!! ドグシャ!

なんだかヤクザの出入みたいになっている。


「があっ!」

ズガッ!!
振り下ろしてくる角材を、壱の踏込みの上段突きで粉砕し
溜めた力を弐の踏込みで中段に捻り込むように打つ、大して硬くも無い軽量チタンを無理やりぶち抜き、中の配線を
毟り取るように引きずり出す。

ブチギュブチチ

「ぶっ潰れろや」
ショートして火花を上げながら地に臥すロナルド(角材)


破壊斧をぶん取りハンマーで殴ろうとしてくるロナルドの攻撃をかいくぐり、ドタマに叩き込む

バカン!!
一撃で行動不能になる衝撃にあえなく止まるロナルド(ハンマー)

「はははははは!!どうしたぁこんなもんかボケェぇぇぇぇ!!!」

ヤッパ(任侠道)を腰に挿し破壊斧を振るいながら、皆のマスコットを破壊して回る本編主人公
何か恨みでもあるのだろうか・・・・・
しかし戦闘用ですらない、アトラクション用のロボットなんぞに遅れを取るような、やわな鍛え方はしていない。
機能を完全に破壊するのではなく、効率よく行動機能(腕や足)を破壊して回る。

ロナルドの首が転がり
愛くるしい手が飛ぶ。

尻尾が飛ぶ

ファンシーなのにスプラッター
留美は後ろで呆然としている。
かなりの数がいたロナルドであるが徐々にその数が減らされていく。


三体が上に飛び二体が正面から突進してきた。

意外と身軽なロナルド・ドッグ

趣味はアクロバットとさロナルド・ドック

ロナルド(チェーン)×2が鎖を投げ付けてくる、回避をしようと足を動かそうするが、急に足が動かなくなる。

「なっ!!」
破壊したと思っていた。ロナルド(角材)が汰壱の足をがっちりホールドしていた。
しまった!

そう思うまもなく身体に鎖が巻きつき動きを封じられる。しっかりと各々が鎖を持って自らが固定している。
迫る上空の三つの凶器 (特殊警棒・釘バット・鉄パイプ)
「おっさん!あぶない!」
留美の叫び声。





「なめるなあああああ!!」


巻きつけて動きを封じている、二体のロナルドを鎖で強引に振り回し、勢いそのままに上空の三体に叩きつけて、
迎撃&撃墜して五体いっぺんに壁に叩きつける。


ドグシャアアア!!

空になったマガジンを交換、最後の弾層を込めて全弾残りにくれてやる。
撃って撃って撃ちまくる。
パンパンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!!























辺りに静寂が戻る。
「はあ、はぁ、はあはあ、はあっは」
汰壱の息は乱れ、服はボロボロあちらこちらに小さな傷を負ってはいたが、致命傷はないようだ。
どうにかこうにか留美を守りきったようだ。

辺り一面スクラップの山と化していた。
累々屍の山さらすロナルド軍団。

これもある意味、屍山血河になるのだろうか・・・・・・

等と、どうでもいいことを考えつつ、ヘタリ込んでいる留美に近づこうとしたその時だった・・・・

ドス

何かわき腹に硬い衝撃を感じた、斃れそうになるのを踏み留まり耐えるが
最初に感じた衝撃は徐々に明確な痛みとなって汰壱を襲った。

「ぐっ」

肺から空気が漏れる。


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ

頭の中で警戒音が鳴り響く、食らってしまった。

油断した・・・斃し切って一息つこうとした所を伏兵の最後の一体に突かれてしまった。

マズイマズイマズイマズイズイマズイ

「ぐはっ・・・いてぇ」
「おっさん、しっかりして」
膝が崩れる立っていられない・・・それほどの痛みだ。
汰壱のすぐ後ろには無表情の笑顔を貼り付けたロナルド・ドッグが汰壱を刺した凶器を持って佇んでいた。






































栓抜きを持って




・・・・えっ!?・・・・わき腹を見る出血は皆無・・・・・・・・・ってゆうか何処にも怪我はしていない


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・栓抜き?」
「うん・・・栓抜きだよおっさん・・」

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ダサ」






「紛らわしいんじゃこのボケェェエエエエエ!!!!!」


哀れ、ロナルド(栓抜き)は必要以上に汰壱に破壊されましたとさ。




「あーびっくりした」
ほっと胸とわき腹をなでおろしている汰壱を見て留美は思った。
(この人本当に大丈夫かな?)
っと


子供は何時の時代も正直だ。
今度こそ動く者はいなくなった、ようやく一息つけるかとおもったその刹那だった。













ぞわっ

それはまさしく鳥肌が立つという感覚だった。
雑魚を一蹴して気分が高揚してきたところに浴びせ掛けられた。

絡みつく様な殺気

混じりけのない恐ろしい、虚無の闇からやってきた。

恐るべき殺気。

整えたはずの呼吸がまた乱れ始める。

息を吸うたびに自分の命が縮められるそんな感覚。

その殺気のまえでは全ての生殺与奪は自分の権利と主張するような、恐ろしいほど暗い殺気。

止まらない冷や汗。

止まらない恐怖

止まらない震え


体中の細胞が逃げろ逃げろと喚き散らす。

「やあおひさしぶり・・・・そしてさようなら」

殺気の主が微笑をたたえて、しゃべった。





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