ザ・グレート・展開予測ショー

愛の歌その3


投稿者名:tara
投稿日時:(05/ 1/13)

泣きじゃくる声が聞こえる  

透き通るようなソプラノ

思えば最期はいつもそうだったわ

ジブンの為にジブンを裏切って

………………………………

…………………あれ?……

……何でワタシはジブンを殺せたの?……

……ジブンを守るために生まれてきたんじゃないの?

……分からナイ、ワカラナイ……


……オモイダセナイ……





トッテモ ダイジナ コトナノニ







………………
…………
……

人の想いには霊力が宿っている。
こんな生き物がいたら怖い、こんない生き物がいたら面白い、こんな生き物がいたら倒せるわけがない。
口伝なり活字なりで広がって、一定のイメージが確立した瞬間、妖怪が生まれるのだ。
人の心が顕実化した種族。

それ故に。



生まれても尚、彼等の在り方は容易く人に左右される。






(まずい!、まずい、まずい!!)

タマモの位置を特定して走り出した直後、横島は諦めそうになってしまった。
自分以外の誰かが文殊を発動したのを感知したから。
ひたすら祈る。

(頼むッ!タマモッ、待っててくれッッ!!)

思い出す。
初めて小竜姫と老師から合格点をもらった文殊を、アイツへの初めてのプレゼントにしたこと。
アイツのことだけを考えて練り上げた、今の自分の実力の全て。
アレにはどんな無茶もやってのける力があるだろう。



……最悪が、頭をよぎった。

(ッ!!しまった!!)

動揺して集中力を途切らせてしまう。発動していた4つの文殊が消えた。

その途端、全身から汗が噴きだす。前方に膨大な妖力。
タマモのようで、何か違う。だが間違いなくタマモのそれ。

(何でこんな近くに来るまで気づかなかった!?)

その理由は横島が『タマモを』探しすぎたからだ。四個もの文殊をタマモを探すことだけに充てたため、
知らず知らずのうちにそれ以外からの波動をカットしてしまっていた。

「……金毛九尾かッ!?……タマモッ!!!!」


やっと見当が付いた。
少し頭を利かせば分かることじゃないか。
自分の愚かさが恨めしい。

妖力が急激に衰えてゆく。

ひた走る。

眩い光。

横島は泣きそうな顔でその中に飛び込んだ。




………………
…………
……

「怖い、怖いよヨコシマぁ……」

思わず彼の名を口にしてしまった。

(……もう最低ね、私)

勝手に逃げたくせに助けを求めて。卑しい女。
また一つ、自分が嫌いになる。

『カレナら もうスグ クるわヨ』

今の私は異常だ。霊圧はもう小竜姫に届こうかというのにその勢いは一向に弱まる気配がない。
そして何より、

『そんなニ コワいなら ワタシを うけイレレば いいのに』

徐々に鮮明に聞こえてくる、コイツの声が恐ろしい。

『いッタジャない。そういうふウニ できてるって。ラクになれルワよ』

……急がないと、喰われる。


『かれなら うけいれて くれるわ』

…………囁かれるたび心が折れそう。


『あの 暖かさを 忘れられる?』

………………別にいいかな、なんて思っちゃう。



(……そうよ、ヨコシマならきっと許してくれ……)


『何より、


              また喪って、彼が耐えられると思う?』


「………………………………」

『どうしたの?フフッ?』

勝ち誇った笑い。
腸が煮えくり返るところだけど、

「忘れるところだった」

感謝してあげるッ!!!!

『…………ッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!』

文殊を握り締める。

『やめなさいぃぃぃッ!!!!!』







何でヨコシマから逃げ出したの?


アイツがどんなに優しいか


アイツがどんなにあったかいか


アイツがどんなに臆病か


「私は知っているから」


一度喪っただけでボロボロになっちゃうようなアイツに


「私はニセモノしかあげられないからッ」



…………アイツがホントは











愛するより愛されたがってたコト









「私は知っちゃったからッッッッッ!!!!!」


『お願いだからやめー「還ッ!!」』


「私じゃ駄目なのよ」


文殊が輝きを放つ


ヨコシマの霊力に包まれる


ヴィジョンが流れ込んできた


「…………………………」


(……アイツほんっとにワタシのことしか考えてないじゃない……)


泣く


嬉しくて涙が出るのはこれで二度目だ






ん?


ああ!


ヨコシマが泣いてる


「ヨコシマ?」


「       ッ!!   ッッ!!」


聞こえない


残念


時間がない


最期なんだから言っちゃおうかな







「愛してくれてありがとう」






……違うでしょ


私ってホントかわいくないわ



「さよなら」




taraです。
しょうもないもん長々とすみません。
改行多くてすみません。
多分後一回で終わります。

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