ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 1/ 9)

目覚めて見れば…1

「ここは…」

布団の中から見覚えの有る天井を見上げていた。

え…と…何が…起きたんだ…

霞が掛った様な頭を振りながら辺りを見回す。

「俺の…部屋…?」

ゴミ置き場のように汚いが、間違いなく横島の部屋だ。

布団からモゾモゾ抜け出し考えて見る…がどうも記憶がハッキリしない。

「え〜と…確か…妙神山にいたんだよな俺…」

そうだ…妙神山で修行をしていた筈だ。

口に出して反芻することで少しずつ記憶が戻ってくる。

アシュタロスの戦いから約7年…美神にも認めて貰え、

相場よりもかなり低いものの社会人といては十分な給料を貰えていた。

GSの仕事も順調で少し前にS級GSとして認められた。

順調だった横島に一つの異変が起きた。

魔族因子の暴走だ。

本来魔族の霊基構造を人間が取り込むなどと言う事はありえない、

もしそんな事をしようものなら人間の体が耐え切れず死んでしまうのだ。

だが、横島の場合ルシオラが自らの意思で霊基構造を提供した事と横島自身の高い霊力の御陰もあり

何とか今まで大丈夫だったのだがここに来て限界が来た。

その解決策として一番簡単なのが魔族になることなのだがここで問題が起きた。

文珠だ。

文珠は小規模ながらもアシュタロスのが作成したコスモプロセッサーと同じことが出来る。

人間である横島が使う分には大したことは出来ないが魔族になるとそういうわけには行かない。

しかも横島自身の霊力も高くルシオラの霊基構造を持っているためかなり高位の魔族になる可能性が高い…

もし魔族となった横島が文珠を使い三界に牙を剥いたらアシュタロス以上の災厄になるだろう。

その事が神・魔族の間で問題になり一時は横島抹殺の意見が大勢を占めた程だ。

だが小竜姫を始め横島に親しい神・魔族の尽力と、

神・魔族の最高指導者の、『アシュタロスを倒した最大功労者をアシュタロスの事件が原因で抹殺するのは忍びないと』

と言う判断で最悪の結果は回避された。

そのため横島は魔族の霊基構造を自分の霊力で押さえ込まなければならなくなった。

その修行でもう1年程妙神山に厄介になっていたのだ。


〜回想終了〜

「で、確か…文珠の修行中で…って何でここ(自宅)に居るんだ?」

Q1.小竜姫様お茶目で気絶しているか寝ている間にここに運んだ…?

Q2.全ては夢…?

Q3.夢遊病で自分で気が付かない間に帰ってきた…?

Q4.テレポーテーション?

A1.小竜姫様は真面目なためこんなことをやる可能性は皆無

A2.幾らなんでもそれは無いだろう…

A3.鬼門達に止められるつうか妙神山から何キロあると思ってんだ!

「ま…可能性として高いのは文珠の制御に失敗してテレポートってとこかな…」

現状をそう認識し少し考える。

本来なら直ぐに小竜姫様に連絡し妙神山に帰らなければならないのは分かっている…

だが微妙な立場の横島はここ一年妙神山の最深部の聖域にこもりっきりだったため小竜姫様と老師以外に会っていない…

せっかく町まで来たのだ久しぶりに美神達と会って行きたいと思う…のは当然だろう…

「少しだけなら…いいよな…」

そう呟き美神除霊事務所に向かうため自宅を出た。

………
……


「…何かおかしいな…」

事務所までの久しぶりの道のりを最初は懐かしみながら歩いていた横島だがなんと言うか…

違和感を感じ首をかしげる。

「…まあ一年以上離れてたんだ…当たり前か…」

そんな事を考えていると目的の事務所が見えてくる近くまで来ると見覚えのある黒服の二人組みがいた。

「おお横島…」

「鬼門?あっちゃ…もしかして小竜姫様も一緒か?」

「?無論だ。今、美神殿と話しておられる」

(直ぐに居場所は特定されるとは思っていたがまさかこんなに早いとは…

これじゃ、ピート達に会えないか…)

「そっか…二人とも手間掛けさせたな…すまん」

横島はそう神妙な顔で二人(二鬼?)に詫びを入れ事務所に入る。

「あ奴…何を言っておるんだ?」

「さな…分からんが…なんと言うか…雰囲気が変わったような…きがするが…」

「確かに…小竜姫様の名前を聞いたら飛んで喜ぶと思ったんのだがな…」

後に残された二人(二鬼?)はう〜んと頭を抱えだす。

当の横島はそんな事に気が付くはずも無く。

応接室のノブのてを掛け深呼吸を一つし勢い良く開ける。

「お久しぶりです!美神さん!」

応接室に入ると予想通り小竜姫と美神の姿があった。

「アンタ何言ってんの?それを言うなら私じゃなくて小竜姫様にでしょ」

「えっ…あっ…すいません小竜姫様…」

「いえ…お久しぶりです…横島さん」

そういってかわいらしい微笑みを浮かべるが今の横島にそれを見ている余裕は無かった。

「お久ぶりって…えっ?何を言ってんですか?」

「……はあ?アンタこそ何いってんの…アンタが小竜姫様と会ったのって天龍童子の時が最後でしょ?」

「あ…えっ?何を…えっ?…そうだ…おキヌちゃんやシロやタマモは…」

「?おキヌちゃんは今お茶を用意してるけど…シロやタマモって誰?」

「………はい?」

横島が絶句していると。

「あっ!横島さん!おはようございます…」

不意にキチンに繋がる扉が開きおキヌの声が聞こえる。

「おキヌちゃん?…あ〜…と…何で浮いてるのてーか幽霊?!何で?!」

「はい…幽霊ですけど…どうかしましたか?」

横島の態度にキョトンとした様子で答える。

「なんかコイツ変なのよ…まあいいわ、小竜姫様、話の続きをしましょう」

「はい…といっても、もう大して話す事は無いんですけど…

まあ、そんなわけでGS試験でメドーサの手下が潜入しているはずなので、

美神さんにも手伝っていただきたいのです。無論報酬は出します」

「ええ、この美神 玲子にまかせて。

報酬さえあれば大魔王だって倒してやるわ♪で…報酬の件なんだけど魔族が相手なのよね…」

「ええ…分かっています。その分も当然上乗せします…」

「よし!!だから神様の依頼って好きなのとね♪」

………
……


「コラ!横島!何時までボーとしてるのよ!」

料金の交渉を終えホクホク顔の美神が横島を軽く叩く。

「あっ…はい…スイマセン…」

一応返事はするもののどう聞いても生返事だ。

「…ちょっとアンタ本当に調子でも悪いの?」

「いえ…本当に大丈夫です…」

「本当に?」

「……」

大丈夫だとは言うがいつもと比べ余りに鈍い反応のため美神も少し心配そうだ。

(ちょっと待てよ…GS試験って言ってたよな…でもって…おキヌちゃんが幽霊で…シロとタマモも居ない…

こんな大掛かりなことしてワザワザ俺を担ぐ事しても意味が無いし…まさか…本当に…過去??)

まあ、横島自身現状を把握するために一杯一杯ため美神の心使いには気づいていないが…

「横島さん…」

「えっ!…あっはい!」

一応の結論が出たところで小竜姫に名前を呼ばれたので反射的に顔を挙げ返事をするが、

「アンタ…私を無視して小竜姫様には返事するって…どうゆう了見?」

「す、すんません!ちょっと考えることが有ったもんで…」

慌てて謝る横島にフン!とそっぽを向くだけで拳などは飛んでこなかった。

「話を続けて良いですか?」

「あっ…すんません小竜姫様」

「ふふふ…いいですよ…なんか横島さん謝ってばかりですね」

「すんません」

「ほら♪」

「うっ…」

横島と小竜姫の間にほのぼのとした雰囲気が流れるがとても不機嫌そうな美神『小竜姫様』と言う声で一気に霧散する。

「すみません…コホン!では、横島さんメドーサを憶えていますか? 以前、天龍童子殿下のお命を狙った…」

「メドーサって…コギャルみたいな格好した奴でしたっけ?」

「あんた誰と勘違いしてんの…あのムカつく年増ヘビ女でしょ?」

(あっ!そうだまだ若返ってないのか!もう覚えてないよそんなこと…)

心の中で泣きを入れながら何とか誤魔化す。

「え〜と…乳がでかくい奴でしたっけ?」

「そうだけど…まあ、アンタらしい答えね…」

「メドーサの次の動きがわかりまして、どうやらGS業界のコントロールを企んでいるようなんです」

「まあ分かりやすく言うとアイツの部下がGSになるなんて警察とマフィアが手を組むようなもんよ」

「はい、美神さんの言う通りです。なんとしても阻止しなければなりません…

情報ではとりあえず息のかかった人間に資格を取らせる様です。

でもまだそれが誰なのかまではわかりません…

そこで美神さんに受験生として潜りこんでもらい中に怪しい奴がいないか調べて貰います」

「それって…危険じゃないですか?」

今まで黙っていたおキヌちゃんが控えめに聞いてくる。

「大丈夫よ!私があんなヘビ女の下っ端にやられるわけ無いじゃない…

それにもしヤバくなったら小竜姫様もいるから大丈夫よ」

「そうですか…」

美神の言葉を聴いておキヌがホッと胸を撫で下ろす。

「そうだ!横島さんも受けて見ませんか?GS試験」

『はい!?』

良いこと思いついちゃった♪といった様に言う小竜姫と同時におキヌと美神が驚きの声を上げる。

「小竜姫様…こんなアホにできるわけが」

「いいえ!そんなことないですよ…修行場であった時から思ってたんです。

ひょっとしたら横島さんて隠れた素質があるかも〜って」

「う〜ん…本当にそんなの有るのかしら…ほら!アンタからも何か言いなさいよ!」

(そんな…前は何て言ったっけ?)

「え…と、受けて見ます…」

「本気!?受験生同士の戦いも有るのよ?」

「はい…まあ…記念に受ける位なら大丈夫だと思いますし…」

「横島さん!頑張ってくださいね!私頑張って応援します!」

ぐっ!と拳を握り締めおキヌがそう宣言する。

「はいはい、アンタがそう言うなら別に止めないわ…ま、一次試験で落ちるでしょ」

多少不満げだが美神も一応許可をする。

「横島さん、そのバンダナ何時も身に着けてますよね?」

「えっ?はい大抵は…」

「そうですか…じゃあ試合の時も身に付けてくださいね」

そう言うと横島の頭を引き寄せて、小竜姫はバンダナに口付けた。

(あっ…良い香りだ…って!)

小竜姫の柔らかく甘い香りが横島の鼻腔をくすぐり、一瞬トリップするが直ぐに我に返りザー小竜姫からみを引き離す。

「修行もしていない状態でいきなり試験に向かわせるのも危険ですから、そのバンダナに私の竜気を授けたんです」

「だ、だからって行き成り…」

昔の横島なら絶対にしなかったこの反応…これがいけなかった。

「アンタ誰…」

静かながら底冷えしそうな声で美神が横島を睨んでいた。

「体調のせいかと思っていたけど…違うようね…

もしかしてまた、カオスが横島クンの体を使っているのかしら?」

「いえ!本当に横島です!」

「嘘ね…横島クンは欲望と下心の権現なんだから…

あんなに紳士みたいな真似するわけ無い物…直ぐ化けの皮えお剥いで挙げるわ…」

決して声を荒げず、笑顔で言い切る美神に横島は今まで感じた事の無い恐怖を覚えたと言う。

「安心して…殺すような下手は打たないから…」

「イヤ!本当に待っ…小竜姫様!おキヌちゃん!助け」

パタンと軽いドアの閉まる音と共に美神に引きずられた横島の声は聞こえなくなった。

助けを求められた二人は美神の迫力にただ見送ることしか出来なかったよ言う…

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