ザ・グレート・展開予測ショー

24-hour (最終話)


投稿者名:MIZU
投稿日時:(05/ 1/ 8)


午後6時2分。備考:横島覚醒。


「・・・・いててて。あの人は加減というものを知らんのか?」


頭を抑えながら立ち上がる横島。そこにはすでに誰もおらず、これからどうしたものかと少し考え込む。

ふ、と思いがよぎった。先ずは腹ごしらえだ!!と。


「お、こんなところにポン・ピポーペがあるじゃねぇか。んじゃインスタントラーメンでも買いだめしとくか・・・・」


最近放火で巷を賑わせた某大型ストアー・・・・では無い。決して。

することが決まっため、先ほどまでの怪我が嘘のような軽い足取りで店へと向かう。

店内に入るとそこは商品の山、山、山。この手の店は、初めて入ったときは目当ての商品の置き場を探すのが一苦労である。


「んーっと、ラーメンラーメン・・・・・・・・ん?」


彼が目をとめた先にあるもの。大まかに仕分けされた商品の上にかかってあるプレートには「登山用具」と書いてあった。


「そういやぁ、今日の散歩でロープ切れちまったんだっけ?しゃあねぇから買っとくか。」


彼は確かに今日、散歩はしないとシロに言っていたはずであるが、既にそれも日課と化していたためにそのようなことを言った要因まではいちいち覚えていないようであ

った。


「げ、ロープって結構高いんだなぁ〜。」


以前のロープはシロが用意したものであった。なにやら「自分で編んだのでござるッ!」と誇らしげに語っていたが、

今日び、縄を編む少女など探して容易に見つかるものではない。なお、作者が縄を編むシロを想像し、「逝ける!!」と叫んだことは言うまでもないであろう。

ロープをかごに放り込むと、次はラーメンを探し出す。ちょろちょろと店内を歩き回るがなかなか見つからない。

結局店員に聞いてみることでようやく見つけることができ、一種の敗北感を味わいながら会計を済ませ、店を後にした・・・・・


午後8時58分。備考:横島帰宅。


「あぁ〜〜〜、疲れた・・・あんだけ歩いたのは久しぶりだな・・っとお湯お湯。」


心地よく・・・は無く、ただひたすらに疲れただけの体を動かして湯を沸かす。湯が沸くまでの間にどのラーメンを食べるか選ぶ。

この時間は何物にも邪魔されたくない、至福のひと時である。

やがて湯が沸いたことを確認し、今の自分の胃袋が求めているであろう、選びに選び抜いたラーメンに湯を注いでいった。

・・・・・・・・・・・勝負はここからである。

室温、湿度、果ては気圧までをも肌で感知し、このラーメンが一番自分好みになる直前を待つ。

歴史的名言である、

「乾燥状態からノビるまでの一瞬の隙間。短時間しか食べられないからよけいにおいしく感じるのよね。」

とは、誰が残した言葉であるかは改めて知るまでもないであろう。

部屋の空気が一瞬変わった。その刹那を見逃さずに超加速寸前のスピードでふたをめくる!箸を割る!!


「いただきますっ」


自分以外には誰も居ない部屋に向けて放たれた言葉。寂しさを感じる間も無く底に溜まっているであろう粉末スープをかき混ぜる。

スープが均等に混ざったのを勘で理解すると、彼は常人の範疇を超えたスピードで麺をすすりだした・・・と思いきや既にスープを飲み干している。

彼は知ることはない、後世に「人界最強のIR(インスタントラーメン)食人」と呼ばれた一人の男が存在することを。


「ふぅ、美味かった。もう喰えねぇや・・・・・・・・・・・・・・・・zZZ」


先ほどの「いただきます」からこの「もう喰えねぇや」まで、その間わずか4,7秒。

横島は余韻に浸りながらも、襲い繰る睡魔に抗うことなく、ただ身を預けていった。


午後9時6分〜。備考:横島睡眠中。


「せんせ〜〜〜っ」

「ん、シロ。どうしたんだ?」

「今日は先生にお願いがあって来たのでござる。」

「また散歩か〜?すまん、今日は疲れてるからパス。」

「違うでござるよ〜。ただ先生に大人にしてもらおうってだけでござる。」

「そっか〜、大人にねぇ〜〜。シロもそんな年に・・・ってええええぇぇぇぇぇえぇえぇえぇえぇえぇえ!?」

「心の準備はバッチリでござる!後はもう先生のちょっぴりの勇気だけでござる。」

「いや、あのな?世間が未成年でロリコンが美神さんで犯罪が冷たい眼差しで・・・」

「意味不明でござるよ。」

「堪忍やー!わいはロリコンやないんやーー!!」

「大丈夫でござるよ〜。ここは夢の中でござる。」

「ホンマはええやつなんやーー!!・・・へ??」

「夢の中には世間も法律も未成年もロリコンも美神さんも犯罪も冷たい眼差しもないでござる。」

「・・・・ってことは?」

「おーるおっけーでござる。」

「・・・・ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー。」

「・・・・・」

「・・・・」

「・・・」

「・・」

「・」

「」

「うぉーー!シローーーー!!」

「キャン♪優しくしてね?」













「先生、子供が出来たでござるよ。」

「そっか〜、ま、夢のなかだし!!」

「・・・夢じゃないでござるよ?何言ってるんでござるか。」

「へ?いや、さっき夢の中って・・・」

「あれは先生を落とすための嘘でござる。責任とってくださいね?あ・な・た♪」

「ははは、夢さ・・・ほら、頬っぺたつねっても、痛い!?」

「横島君、見損なったわ。」

「み、美神さん!?いや、これは」

「不潔です!横島さん!!」

「おキヌちゃんまで!」

「ふぅ〜ん、横島ってそんな趣味あったんだ。近寄らなくて良かった。」

「タマモーーー!!」

「はっはっは、良かったじゃないか!人狼となら犯罪にはならない。ま、世間の目は厳しいだろうがな。頑張りたまえ!!」

「あ、こら、西条!待ちやがれーーーー!!」

「あなたっ、名前は何がいいかな〜??」

「あ・・・あ・・・うわぁ〜〜〜〜〜〜!!!シロー!!」



「キャン!!びっくりしたでござるよ〜・・・」

「うるさいっ、こっちがびっくりじゃ!!・・・って、え??」






午前4時42分。備考:横島起床。シロ、横島宅不法侵入。


「いや〜、ビックリした。やっぱ夢だったんだな〜・・・危ない危ない。」


先ほどの出来事がやはり夢だったたと知って安心する横島。横にシロが居ることにはさほど関心が無いようだ。


「せんせ〜。一体どんな夢を見てたんでござるか??」

「あん?それはな、シロが人狼で犯罪にはならなかったけど世間の目が・・・・・ってシロ!?何でここに!?」

「どんな夢でござるか・・・」


訳がわからないといったシロ。そのシロが目が覚めたときにここに居るということに驚く横島。

目が覚めたときに横に居る。一緒に寝た?・・・・寝た!?

横島の脳裏に先ほどの夢がフラッシュバックする。あれはもしかして前半は夢じゃなかったのか?


「あの〜、シロさん。一体いつ頃からそこにいらっしゃったのですか・・・??」

「え?ついさっきでござる。急にシローって叫ぶから驚いたでござるよ。」

「ついさっき、か。良かった、ほんまによかったーーー!!」

「??」


さっきの夢がほんとうに夢だと知って喜ぶ横島であったが、何故ここにシロが居るのかをまだ聞いていない。


「んで、なんでシロはここに着たんだ??」

「え、それは・・・・その・・・・・・・・」


実はシロ、昨日の事を謝りに来たのだが、こう唐突に問われては言い出しにくい。

ここは何とかして誤魔化し、あとでさりげなく謝ろうと思い、とっさに出た言葉。


「と、ところで先生!!さっきの夢のことを詳しく教えてくだされ!」

「ん?だから俺がシロと子供が出来て世間が冷たい目で・・・・・・・・・・はっ!!」


突然のシロの問いに素直に答えてしまった。

シロは夢の内容を聞き、どういう反応をするだろうか。重い首を、音を出しながら横へと向ける。

シロニストな読者の皆さんなら彼女の反応はご想像の通りであろう。さぁ皆さんご一緒に!!































「拙者が・・・・先生と・・・・・・・ワォーーーーーン!!!」


お疲れ様でした。


「せ、先生・・・拙者もう心の準備はできているでござるよ。」

「い、いや、シロさん??」


シロは夢を現実へ、という意気込みをこめた眼差しを横島へと向けた。

一方横島は先ほどの夢の内容が鮮明に思い出されて動くに動けない。


「・・・・子供の名前は何がいいかな?」

「うわぁ〜〜!?そ、そうだ、シロっ、散歩へいこう!うん、それがいい!!んじゃ下で準備してくるから!!」


逃げるように、というか本気で逃げて下へと走っていった横島。結果、シロはぽつんと取り残されることとなった。


「あぁー、先生・・・・・・」


せっかくのチャンスが、とうな垂れるシロ。しかし、先ほどの横島の言葉を思い出す。

散歩だ。横島のほうから散歩へ行こうと言ってくれた。昨日あれだけのことがあり、今日彼女は謝ろうとここへ来たが、その謝罪もなしに。


「やっぱり先生は優しいでござる♪」


意気揚々と横島が待つ下へと向かう。普通なら女が勇気を出して取った行動をないがしろにされては機嫌は悪くなるだろう。

しかし、彼女はシロである。昨日のこともあり、今日は散歩はないものだと思っていたのだから横島のあの一言は嬉しかったのだろう。


「せんせ〜!早く散歩に行くでござるっ♪」

「まぁ待て。昨日ロープキレちまっただろ?昨日買っといてやったから早くこれつけろ。」


と、そのロープを見たとき、シロの目の色が変わった。潤んだ瞳をよりいっそう潤わせていそいそとロープを体に巻きつける。


「こっちは結べたぞ〜。いいか、今日こそ俺が止まれといったら止まれ!!今日言うこと聞かなかったら保健所連れてくからな!」

「わかってるでござるよ〜♪」


横島には可愛そうだが、シロはいつもより早く走るだろう。

彼が選んだロープをいとおしそうになで、シロが叫んだ。


「さぁ〜、今日も飛ばすでござるよ〜。」

「ま、まて、止まれって行ったら止まるんだろうな?」

「・・・・・逝くでござる。」

「逝くなぁーーー!!」




彼と彼女の関係。ただの師弟関係では終わらないだろう。

彼と彼女の間は、不恰好ながらもしっかりと繋ぐ役割を持つ、赤いロープで結ばれているのだから・・・








※あとがき※
MIZUでございます。もはや何もいえません。が、言わせて頂きます・・・
最後のくだり。これを書きたいがためにこの作品を作りました。
赤いロープを見て「シロと横島」がとっさに連想されたのが事の始まりでした。
正月などもあり、投稿が遅くなってしまいました。
どうか見捨てずに辛口なコメントをお願い致します。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa