ザ・グレート・展開予測ショー

海外極楽大作戦![その1]


投稿者名:桃子
投稿日時:(05/ 1/ 7)

1.


「バリ旅行五泊六日の旅ご招待〜!」

横島は耳を疑った。
「おいコラおっさん、本当の本当にアタリなのか!?嘘いってんじゃねーだろう な!?」
思わずむんずとそのおっさんの襟首をつかむ横島である。


その日、横島はとあるスーパーで夕食(インスタントラーメン)の買い物をし、福引の券をもらったのであった。
どうやらいつもより騒がしい出入り口が福引コーナーとなっているようだ。
せっかくもらったんだしやってみるか、と、横島はふらりとおばちゃんしか並んでいないその列の最後尾に並ぶ。
そして横島は壁の張り紙の文字に軽い衝撃を覚えた。
「一等・・・バリ旅行?」
なぜこんな小さなスーパーの福引なんかでそんな豪華な賞品が当たるのか・・・。甚だ疑問である。
しかしまわりのおばちゃん達は、バリの熱気に包まれていた。
「ま、券は一枚しかもらってないし一等なんてあたらんだろ・・・ハズレでもポケットティッシュがもらえるしな」
ボソリとつぶやいた貧乏くさい独り言とは裏腹に、脳裏には「もしバリが当たったら、その間学校とバイトはどうしよう?」などと考えていた。
中には一人で十数回もクジを引くおばちゃんがいる。一体いくら買い物をしてきたのだろうか。
ハズレが続く中、いよいよ横島の番がまわってきた・・・。


「大当たり〜!」
ガランガランと鐘を振り回す店員のおっさんに、横島はくってかかった。
「マジか、マジでバリなのかっ!?」
襟首をつかむ手に力が入り、おっさんは苦しそうに顔をゆがませるが、それでもおっさんの首は縦に振られる。
「やったぞーーーーーーーーーーー!!!」
おばちゃん達に囲まれる中、歓喜の叫び声をあげ会心のガッツポーズをする横島に、開放されたおっさんは旅行の詳細が書かれた書類を差し出した。
「そこに書いてある日時は変更がききませんので、くれぐれもご注意ください。キャンセルは記載してある日付までに必ずご連絡をお願いします」
横島はその書類にザッと目を通したが、有頂天であったため、上の空であった。
おばちゃんたちの羨望の視線を背後にあびながら、横島はスキップしたい気持ちを抑え、スーパーをあとにした。


常夏の国、バリ島。
(さて、今年はどんなやつがくるかな・・・?)
(去年は大した事なかったな。もっと力のあるやつじゃないと楽しめないよ・・・)
(どんなやつがこようと、最後は食ってしまうだけさ・・・!)
どうやらバリには不穏な空気が漂っているようだ。


一生分の運を使い果たしてしまったかのようなスーパーの福引であったが、ふと我に帰った横島は、一つの壁にぶち当たった。
バリである。
五泊六日である。
書類に記載されてる日時はちょうど春休みにさしかかっているので、学校の方は問題無い。
GSのバイトも普段ほぼ毎日出ているのでたまに一週間くらいの休みをもらっても大丈夫だろう。
いや、そんなことはさして問題ではない。
では何がそんなに問題なのか。
横島はもう一度書類を見直した。

「バリ旅行五泊六日ペアご招待  ※必ずお二人でご参加ください」

「誰といきゃいーんだ・・・」
横島は頭を抱えた。
ピートは唐巣と除霊の仕事が忙しいらしい。それにGメンになるべく勉強も熱心なようだ。
タイガーもこれまたエミと仕事の予定がギッシリで忙しいとのこと。
雪之丞は今どこにいるのかもわからない。
果てしなく女好きな横島だが、二人きりの旅行に女の子を誘うのはかなりの度胸がいる。
しかしこのままタダのバリ旅行を水に流すのはもったいなさすぎるのであった。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa