ザ・グレート・展開予測ショー

悲しき魔神


投稿者名:蒼空
投稿日時:(05/ 1/ 3)

かつて、一人の魔神が、世界に反乱を起こした。



世はデタントの時代。
神族が正義であり、魔族が悪。
永遠を義務付けられた悪役。それは茶番劇。
永遠に勝ってはいけない。負けなくてはいけない。
それは喜劇による悲劇。
我慢ならなかった。
永遠の茶番劇の悪役など、我慢ならなかった。
アシュタロスが他の魔神より優れているのは、知能。
それも、三界一と言っていいほどの。
ゆえに絶望した。
死ぬことも許されない、永遠の悪役。
魂の牢獄。まさに、逃れることのできぬ、牢獄。
ゆえに反旗を翻した。
この牢獄から抜け出るために。
世界を敵に回しても、自由が欲しかった。
世界の統治者になるか、死か。
二つに一つ。
願わくば、死を。

日本で言う、平安時代までは順調だった。
後千年。二十世紀の世紀末には願いが叶う。
そんな矢先に、初めて生み出した造魔の気配が二つに増えた。
面倒な事になる前に始末する事にした。
それがいけなかったのだろうか?
長年掛けて作った、魂の結晶を奪われ
私も未来に飛ばされた。
私は激怒した。なぜ、私が作り出した造魔なのに私の邪魔をする!と。
だが、どこか納得もしていた。
私は、創造主に反旗を翻した。ならば、その私が生み出した造魔。
娘とも言っていいメフィストも、私を裏切っても当然では?と。
それがどこか、うれしかった。

その後の調査で、メフィストは人間に生まれ変わり、既に死亡していた。
ならば、メフィストが転生した時が、計画を実行する時。
あの場に、メフィストと一緒にいた女がメフィストの転生体だろう。
魂が同じだった。だが、手がかりは時間移動能力者ということだけ。
まだまだ先は長い。
私の願いが叶うのはいつになるだろう?

部下からの報告で、美神美智恵という人間が時間移動能力を持っている事がわかった。
部下の仕向けた刺客、ハーピーを撃破したことも。
そしてその娘が、刺客として仕向けた三鬼を撃退した時、作戦を始めた。
殺してはいけないので、刺客を送るのも禁止した。
そして、この時のために生み出した三人娘に、美神令子を捕らえるように命じた。
私は、移動要塞兵鬼『逆天号』に魔力を送るため、眠りについた。
もしも、この時にもう少し考えていれば、違う結果になっていたのだろうか?
三人娘も裏切ったメフィストも、私の娘だということを。
三人娘の長女。ルシオラが裏切るのも、必然だったのかもしれない。
私も、無意識に望んでいたのかもしれないな。

南極での戦い。正直驚いた。
神族魔族より遥かに劣る人間が、私を出し抜いたのだ。
さらに、メフィストの生まれ変わりである美神令子が、力の差にも臆せず向かってきた事。
正直、嬉しかったね。

遂に美神令子の魂を捕らえ、魂の結晶でコスモ・プロセッサを起動させた。
だが、人間達の悪足掻きも続いた。
特に美神令子は、足掻いて足掻いて、最後まで足掻き続けたね。
そして、横島という人間の小僧に、魂の結晶を砕かれた。
今思えば、あの小僧には、辛い選択をさせてしまったね。
世界か恋人か。本当に申し訳ないと思うよ。
まぁそれで、私の願いの一つ、三界の統治者という願いは潰えた。
残る願いは一つ。自らの死。私の、真の願い。

究極の魔体を起動させてから記憶はないんだが、うまくやってくれたようだ。
両最高指導者の許しも得、私は魂の牢獄から抜け出せた。
これでやっと死ねる。転生もしない魂の消滅。
私の望んだ事だ。後悔はない。うれしく思うよ。
ただ、唯一の気がかりは、あの少年だ。
横島忠雄。唯一の犠牲者たるルシオラの恋人。
私の我が侭から、彼には酷い事をしてしまった。
こんな私が祈るのも筋違いとはわかっているが、
あの少年、横島忠雄とルシオラが、来世で幸せで在らん事を。
我が娘達よ。ありがとう。
そしてメフィストよ、すまなかった。

そして、反乱を起こした魔神、アシュタロスは消えた。
彼が最後、何を考え、想っていたかは、誰にも分からない。



ー後書きー
今回はアシュタロスです。
私的には、アシュタロスが完全な悪役とはどうしても思えません。
ので、今回書いてみました。
短くてすいません。
矛盾点在りました指摘お願いします。

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