〜 『キツネと羽根と混沌と』 第20話 〜
投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(04/12/28)
〜appendix.19 『愚か者の選択』
澄み渡る石英の床。深い黒夢。
静寂に包まれたその場所は、優しく、導くように男を招き入れた。
決して明けることのない夜空には、煌々と上弦の月が輝いている。
幻想的な、どこか現実離れした光景・・それらは彼に、“死“を容易に連想させる。
「水晶の迷宮に、銀の乙女か・・。この世の見納めとしては、悪くない風景だ。」
老木のごとく枯渇した声。
目の前に降り立つスズノを見つめ、フェンリルは―――――否、その年老いた人狼は、深々と一つ嘆息をする。
先刻までの荒々しい様相とは一変し、その瞳には理知の光が宿っていた。
「・・・!・・やはり、まだ意識が・・・」
老魔族の声を聞き、スズノの顔が目に見えて明るくなる。
安心したように息をつくと、そのまま無防備にフェンリルの元へ近づこうとして・・。・・魔狼はわずかに苦笑した。
「じきに、俺の自我など消えてなくなるさ・・。君こそさっきは名演だったな。」
「・・・・・。」
キョトンとしたスズノの顔。しかし、彼の言葉の意図を汲み取ったのだろう・・すぐさま申し訳なさそうに頭を下げてくる。
その表情に邪気は無く、フェンリルの笑みをさらに深くさせた。
・・・3日前、件の公園で事件を起こした時も思ったが・・。この少女は・・・。
(・・闘いにくい、な・・)
柔らかな、真摯とさえ言える光を放ち、こちらを見つめてくるブルーサファイヤの瞳。
いざ戦闘が始まれば、この瞳が悲しみの色で縁取られるのだろう。・・彼には、それがひどく罪悪感を伴うものに感じられた。
「あの・・1つ、訊いてもいいか・・?」
「なんなりと。」
ポツリと、銀髪の妖狐が声を漏らす。
彼女は気づいているのだろうか?目の前の魔獣の正体に。
数日前、自分を瀕死にまで追いやった爆弾魔。数多の命を奪ってきた裁かれるべき罪人。・・いや、それが分かっても、きっと彼女はこう言うのだろう。
「・・どうして、そんな姿に・・。もう元には戻れないのか・・?」
泣き出しそうに歪んだ顔。
やはり、自分の見立てに間違いはない。この少女は、優しい娘だ。愚直なまでに他人のことしか考えない・・優しい娘。
だから自分はこう答えよう。彼女を嘲る嘲笑を作って・・。
「《力》だよ・・。」
・・と。
「・・・?」
案の定、少女は顔を上げた。その先の言葉を期待しているのだろう。
せめて相手の目的が分かれば、説得の糸口が・・。そんな、淡い希望にすがった甘い考え。・・可哀想になるほど甘い。
「・・俺が欲しかったのは力だよ。戻ることもできないし、戻るつもりもない。」
「?・・力・・力を手に入れて・・その後は?何がしたいんだ・・?」
もどかしそうな問いかけ。あぁ・・やはり君は分かっていない。
『後』。俺に残された時間の中に、そんなものが入る余地は存在しないのに・・。
「それは、力持つ者が抱く疑問だ・・。違うかね?」
「・・?」
笑って答える。言わんとすることが理解できないのか・・少女はひたすら困惑の表情を浮かべ続ける。
そのしぐさは、滑稽と言うほか言いようがなかった。
「私がこんな姿になったのは・・力が欲しかったから。目的は、今後も力有る者で在り続けること。」
「で、でも・・それじゃあ・・」
―――――「俺が何故、爆弾魔などを始めたのか・・それも教えてやろうか?」
「・・・・・。」
食い下がる少女の声をさえぎり、饒舌な口を振るう。今日の自分はいつになく雄弁だった。
脳内の無意識が、一体、何を考えているのかは知らないが・・。
ひょっとすると残したいのかもしれない。俺は・・俺が生きていた、何か証(あかし)になるものを。
「・・俺は・・霊波を持たない人狼だった。」
大した盛り上がりはない、そう前置きして話を始める。
事実、その通りだ。その証拠にこの物語は、たったの2行で・・尻切れトンボのように終わるじゃないか。
「・・・お前に想像できるか?」
「・・・・え?」
「霊気を持たない魔族というものが、どれだけ惨めな存在か・・。想像できるかと訊いているんだ!」
「!?」
「俺は・・耐えられなかった!月の加護を受けた、人狼族の暮らしの中で・・一人だけ取り残されていくことに・・!
嫌だった!霊波刀1つ作れず、同族から見下されることが!
だから里を出た・・ネオサインが『ムカついた』から、なんとなく街を『燃やしてみた』!」
・・。
口にしてみれば、自分でも情けなくなるほど呆気ない。笑えるほどに薄っぺらい理由だ。
俺がやったことは、ただの腹いせ。いつか仲間を見返してやろうと・・必死で学んだ膨大な知識の・・その一端を使って・・。
これでも自分では満足していたつもりだった・・霊波はなくとも、それなりに世間を騒がせる自分の存在に。
見下していたつもりだった・・誰にも知られることなく、ただ無為に日々を送り続ける、かつての仲間たちを。
・・・しかし、その実・・。
「・・・俺は・・・力が欲しかった・・・。」
結局、それが本音だった。
今まで頑なに否定し続け・・・老いを迎えるまで、顧みようともしなかった、ちっぽけな原点。
各地を転々と渡り歩き、飽き切るほどに罪を重ねて・・。人生の黄昏時になって、自分が『ふりだし』で足踏みしているだけだったことに気づく。
・・・・そこに待っていたのは、悪魔の誘惑だった。
―――――――ねぇ、強くなりたくない?
空を舞い散る灰色の羽根。
混沌を名乗る女が提示してきたもの・・・それは、あまりの魅力的な条件。
―――――――人狼のハシクレなら、フェンリルぐらい知ってるでしょう?私ね、その霊体破片を持ってるの。
正直に言おう。
血が躍った。一度は諦めていた《力》・・それも、神にも匹敵する強大な力。
そんな力を、俺が手に出来る!神になれるのだ!この俺が・・!
―――――――・・召喚の準備は、もう整ってるの。私には妖刀にも勝る最高の触媒が備わってる・・満月も近い・・。
あと必要なのは、フェンリルの肉体を構成する『素材』だけ。
―――――――ねぇ・・イケニエになってよ・・。
・・・。
・・・・・。
「俺は・・二つ返事で応じたよ。そして今、こうして君の前に立ちはだかっている・・そういうわけだ。」
銀の少女を見つめ、俺は静かに瞳を細めた。
空を覆い尽くさんばかりの、圧倒的な巨体が揺れる。見るがいい、このたくましい腕を。見るがいい、この強靭な脚を。
俺を愚か者と罵る者も居るかもしれない。しかし、それでも構わない。
力さえ、力さえ手に出来るなら・・・俺はあえて、『愚か者の選択』をしよう。
「・・・。」
「『くだらない』・・とは言わないんだな、君は・・」
やはり泣きそうな顔。
俺を哀れんでくれるのか・・それとも、ただ悲しいのか・・。
こうやって自分たちが対峙していることが。目の前の相手が・・・もはや拳でしか止められない存在だと、そう知ってしまったことが・・。
「私には・・あなたの気持ちが、分からない・・。」
少女がつぶやく。白銀の霊気に触発され、水晶の壁がざわめき立つ。
そして・・続ける。
「だけど、これだけは言える・・。私には、今あなたが一番だと思ってるモノより、もっと大切なものが一杯あるし・・それはあなたも同じ。
これから絶対に見つけられる・・!」
「・・・・・。」
――――――――・・
「―――――力よりも大切なもの・・。それもまた・・力持つ者のみが抱く心理だよ。」
・・2つの力に震撼する、幻影の世界。
刹那、巨大な炎の嵐が巻き起こり、闇夜に魔狼の咆哮が木霊した。
◇
横島忠夫は走っていた。
赤い非常灯が灯る平坦な通路を、蟲たちの群が覆い尽くす。
十では利かない・・三十、四十・・あるいは百。爛々と輝く硬質の双眼が、一斉に侵入者へと向けられる。
「てめぇらに構ってられるほどヒマじゃねえんだよ!どきやがれ!」
足を止めず叫ぶと、横島は蟲たちの足元に1つの文珠を投げつける。
『柔』と記されたその珠が、閃光を放った・・・その直後。一帯の床がグニャリと歪み、クッションのように沈み始める。
『キィィイイイイイイ!?』
一体につき、数トンはあるであろう蟲たちは、自重に吊られ、思うような身動きを取ることが出来ない。
混乱し、もがき続ける彼らをかわし、横島は器用にも移動を再開する。
軽快にクッションの床を飛び跳ねながら、一気に管路の奥へと走り去り・・・。
・・・柱の影。
そこには彼の様子を眺めるように、一匹の蝙蝠(こうもり)がぶら下がっていた。
カサカサと音を立て、その蝙蝠は、横島の後を追跡する。
まるで監視・・蟲たちには目もくれないその姿は、一種、奇妙と評することさえできた――――――――。
―――――――――・・。
そこは、不浄の玉座にして、荘厳なる神殿。
とこしえの瘴気が立ち込める、すべての生命を呪う大地・・。城内を闊歩する屍たちは、口々に生有る者への冒涜の言葉を吐き散らす。
狂気の発端。
全てのアンデットの頂点に君臨する不死の王は、薄笑みを浮かべ、祭壇の中央に鎮座していた。
ところどころから包帯が覗く、褐色の長いローブ。
引きずるように動きながら、彼女は虚空に向かって言葉を紡ぐ。声を上げて嗤う不死王の手には、拳大の水晶球が握られていた。
『愉快じゃな・・文珠とは、かような事も出来るのか・・』
神界、魔界・・両界から失われて久しい文珠の力。『ほぼ』唯一と言っていい、その使い手である青年は、水晶の中を必死の形相で走り回っている。
一部始終を観察しつつも、彼女の瞳は冷ややかだった。
いかに文珠の使い手といえど、所詮はこの程度・・人間の域を出るものではない。
《ただ面白い》・・それが彼女の率直な感想だ。
・・・・・と。
「違う」
その時、闇の中から声がする。
姿は見えないが・・ただ、起伏の無い無感動な声だけが・・王の広間を反響し・・・。それに不死王は喉を鳴らした。
『ほぅ・・口を開くとは珍しいな・・。違う、とは?』
「文珠にあのような真似は出来ない。物理法則への干渉・・完全に能力の限界範囲を逸脱している。」
感情というものが、著しく欠如した男の口調。
しかし、その平坦なトーンの中に、わずかな驚きが垣間見える。それ程に意外なことなのか・・何にしろ、滅多に見れるものではない。
『ふん・・お前が言うのだ、間違いないのだろう。では、アレは何だと思う?意見を聞きたい。』
「さぁ・・。おそらくは、あの男自身気づいていない、一種の能力だろうが・・。
何であれ、文珠はただの媒介役に過ぎない。彼の持つ特殊な『何か』が、文珠という『わかりやすい形』を利用して表出た・・それだけだ。」
・・しかし、それにしても奇異な話だ。
素人目にも分かることではないだろうか?彼の、あの横島忠夫が今、やってのけたことは・・霊能の力を超えた域にある現象だ。
本人はおろか、周りの者すら気づかない。気づくことができない。・・それとも『それ』も作用の一端なのか。
『本人すらも無自覚の力、か・・。面白いな・・この横島忠夫という男・・まったくもって興味深い。』
初めて彼を見かけたのは・・すでに随分と昔の話。
彼女たちの狩り場の1つである、街の一角。美神除霊事務所の門を、横島がはじめて叩いた時のことだ。
・・また五月蝿いハエが一匹増えた。美神という害虫の親玉につきまとう、下らぬ人間。・・最初の印象はそんなものだった。
しかし・・。
それがじょじょに滑稽なモノと映るようになり、時を重ねるにつれ、それは驚愕・・・やがては戦慄へと姿を変える。
―――――――何故、死なない・・?
生まれる1つの困惑。
霊能力など何一つ備わっていないはずの、無能な男が・・数多の悪魔を、あまつさえメドーサほどの高位魔族と闘いながら・・何故?
また、その奇異に周囲の人間は何の疑問も差し挟まない。
『横島だから』。
その一言だけで全てを片付け、当然のことと『思い込んでいる』。それは本人自身も言えることだが・・。
・・ほどなくして、彼は文珠という強力な力を手に入れ・・そして・・・。
『妾(わらわ)は・・アシュタロスが起こした反乱において、1つ腑に落ちないことがあるのだよ・・』
虚空を見上げ、不死王がつぶやく。
絶え間なく流れる不浄の霧と、魔神をも威圧すつ規格外の魔力。それらは、彼女の王国の象徴でもある。
『宇宙の反作用。《アシュタロスという異物を排除する》。それが、宇宙の意思だったというのなら・・。
最後の、あの横島忠夫の選択はどう説明する?』
アシュタロスはあの時、横島忠夫にこう言った。
――――結晶を渡せ!今すぐ返せば、お前とルシオラを新世界のアダムとイヴにしてやろう。
・・・・。
『確率の問題だよ・・。あの場に居た人間の中で、アシュタロスに結晶を渡す可能性が最も高かったのは・・一体、誰だ?
美神令子や、氷室キヌ・・・奴らにさえ渡っていれば、何の不安要素もなく破壊できたものを・・。
よりにもよって何故、横島忠夫に?宇宙の反作用がそんな分の悪い『賭け』をするか?ナンセンスだ。』
・・加えて、と不死王は思う。
アシュタロスとは兼ねてからの浅からぬ縁がある。彼女はあの魔神の気質というものを、十二分に理解しているつもりだった。
『一見、冷酷そうに見えるが・・アシュタロスは、あれでなかなか義理堅い男だ・・。案外。本当に約束を守ったかもしれんぞ?
横島忠夫をアダムに、ルシオラをイヴに・・』
・・それはそれで存外、面白い新世界になったかもしれない。
無論、そうなる前にいざとなれば自分か・・もしくはドゥルジが阻止しただろうが。しかし、それにしても・・。
「つまり、こう言いたいのか?あの時、どちらの選択肢を選んだところで・・・」
『結局、横島忠夫だけは生き残る運命にあった・・』
無言の影の眼前で、不死王はケラケラと笑い続ける。
どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか・・。アシュタロスが消滅した今、その答えを知る者は誰も居ない。
『まぁ、あくまでも仮説だ。仮に、横島忠夫が《何か》によって守られているのだとしたら・・。その《何か》、確実に頭がイカレているな・・。
世界の命運より、一人の男の生死を優先する、狂った《何か》』
主神さえも介入できないという、宇宙の反作用・・。それに干渉し、一体あの男に何をさせようというのか・・。
興味が尽きない。そして、ひどくシンパシーをくすぐられる。
『フフッ・・今見た限りでは、横島忠夫がドゥルジ側に回るのは、ほぼ確定と言っていい・・。
つまり、いずれ妾(わらわ)に牙を剥く・・「お前」との激突も、避けられんということだ・・』
「・・・・。」
『見てみたいものじゃな・・。この世で唯二人、文珠を操る者たちの・・闘いというものを。』
「・・・・。」
影は何も答えない。
しかしその時、不死の王国の天空に・・青白の雷鳴が轟いた。
けたたましい落音。次いで、一筋の紫電が暗闇を照らし・・視界が目映い光に包まれる。
ぼんやりと、幽鬼のように浮かび上がったのは、闇に溶けるようなダークスーツと・・・
「・・・・。」
幻霊《ファントム》の仮面を被った・・1人の奇妙な男だった――――――――。
◇
〜appendix.20 『 voice 』
今まで当たり前だと感じていた絆が・・・ある瞬間から馬鹿げたものへと変わる。
そんなことはよくある話だと、彼は昔、そう考えていた。
他人へと歩み寄る・・人と人とが結びつくこと。
それは、ただその人間の在り様(ありよう)を受け入れることとは、勝手が違うものだ。
在り様・・それはむしろ枝葉。
本当に重要なのは受け入れることではなく、他人の感情・考えにまで踏み込んで、理解しようと努めること。
その時になって初めて・・人は個という最小単位を脱ぎ捨てることができる。・・もしくは、そうだと錯覚できる。
“情“や“愛“と呼ばれる、形無い何かによって惹かれ合い・・・。
・・だからこそ、と彼は思う。
だからこそ、それはひどく脆く・・そして壊れやすいものなのではないだろうか?
思慕、友情・・幾つもの形無いモノによって築かれた砂上の楼閣。
終わらないものなど無く、まして絆など・・・・崩壊の音とともに生まれてくるようなものだ。
・・・・。
そう、思っていた。
・・昨日までの常識が、今日通用するとは限らない。そんなことは知っている。
だが『知った』ところで、『信じる』者など何処にも居ない。
逆に聞きたいぐらいだ。
数秒前まで何不自由なく歩くことができた、足元の大地・・。それが崩れることを恐れるあまり、一歩を踏み出せないものが、何処に居る?
居はしないのだ、そんな者は・・・!
「・・『信じて』ないから・・僕はまだ縋って(すがって)いるのかもしれないな・・失ったはずの、絆という楼閣を・・」
それも、もうすぐ・・殺意の奔流に押し流され、息を潜めてしまうのだろうが・・。
・・・・。
「暗い・・・。」
この場所も、行き着く場所も、真っ暗だった。
どうしてこんなにも暗いのだろう?少し前の自分は、もっと別の・・・とても眩しいものを見ていた気がした。
初夏の日差し、教室の風景、空の青・・・・彼女の笑顔。
『西条君・・・あの子を、ユミールを・・・守って、あげて・・』
『許さぬよ・・貴殿だけは・・』
「どこ・・?寒いよ・・・お兄ちゃん・・?』
―――――――・・お前は、覗いてみたくないのか?世界の深淵を・・。一度触れれば、ヤミツキになるぜ?
・・・。
「・・・っ!」
彼は、小さく歯噛みした。
唇が切れ、乾いた口内に血の香りが漂う。まるで全身が沸騰するかのように・・鼓動が昂ぶる。
ならば、今は全てを闇に委ねよう。
どこまでも暗く、果てしなく冷たい・・・鋭利なまでに研ぎ澄まされた、殺意の世界。
頃合いもよく、『迎え』が出向いてきたのだから・・・――――――――――
――――――――・・。
「3年ぶり・・・だな。」
再会?邂逅?
放たれた声に、そんな感慨は宿っていない。全ては必然・・ずれた斜線は、いつかどこかで交わるものだ。
「実感が湧かないな・・。僕は、お前の顔を忘れたことなど、一日たりとも無かったよ。」
「くくっ・・嬉しいことを言ってくれるじゃないか・・」
ヒタリ、ヒタリ・・と。
距離が縮まる。開きすぎて、埋めることが馬鹿馬鹿しく感じるほどに離たれた溝。
交差するのは憎悪と嘆き。過去はどうあれ、今は・・。抜き放たれた霊刀が、2人の関係を物語っていた。
それら全てが・・
「・・必然、か。」
わずかな沈黙。しかし、それさえもすぐに終わる。何の前触れも無く、終わるのだ。
終わりの先に見るモノは・・・無幻の闇――――――――――。
・・・瞬間―――――!
静寂の全てを無に帰す剣閃が、凶悪な煌きとともに闇を薙ぐ。
同時に漆黒を切り裂く、黒い刃腕。意思を持つかのような、白蛇と黒蛇が、互いの喉笛を喰いちぎり・・・。
鮮血。衝撃。そして轟音・・・・。
殺意の波動が空間を揺さぶる。飛び交う血滴が、紅水晶の花を咲かせる・・・。
それら全てが必然――――――――!
「会いたかったぜぇ・・西条・・」
「間下部・・・貴様は殺す・・・!」
形無いものは『カタチ』を変えて・・・蒼ざめた大気を朱に染めた。
『あとがき』
・・激突!(笑)
どうも〜今年最後の投稿になります。かぜあめです。ここまでお付き合いくださりありがとうございました〜
今シリーズのメインバトル・西条VS間下部戦がついに開幕ですね〜
そして、今までの全80投稿の中で最も重要な(←強調)今回出てきた横島のナゾ。
・・だって、冷静に考えたら絶対おかしいですよ、横島は(笑)不死王が言ったことそのまま筆者の疑問です。
アシュタロスの上にドラム缶が落ちてきたのが宇宙の反作用なら、その拍子で横島の手に渡った結晶もやっぱり・・そう考えるのが自然ですよねぇ・・。
不死王編の敵キャラまで出てきて・・まぁ、次シリーズは横島が過去との決着を着けるお話なので・・。
彼は横島の合わせ鏡です。横島と同じ力、同じ過去を持ちながら全く別の道を歩んでる人・・みたいな(笑
あと予想外だったのが、スタッフ内で爆弾魔が大人気です。(なんと支持者が6人中3人)
動機や目的が割りと身近に感じられるそうで・・う〜ん?(笑)
横島だったら、きっとスズノとは違った反応を返したんでしょうね。「甘えんな!」みたいな・・(笑
というわけで、2005年ももうすぐですね〜。来年一杯かけても、キツネシリーズは120%終わりません(笑
長い長い不死王編が待ってますし・・。何はともあれ、来年も頑張ります。
次回はタマモ&ドゥルジさまが大ピンチ!!えっちぃシーンは・・まだ、かな?出来れば次回入れてみます(汗
それでは〜皆さん、よいお年を〜
今までの
コメント:
- いや・・色々な意味で激動ですね今回。
詳しくはコメントが得意な方にお任せするとして、久しぶりに小説読んでて身震いしたかも。男率が高いので次回はヒロインズにも出番を。西条VSイーターは燃えの一言! (ヘイゼル)
- …読んでいて、思わず身体が震えました…。
人狼が実はちょっといい人?みたいなところで、少し悲しそうな結末になるんでは?と思いましたね〜…。
それにアシュタロスが義理堅い……ベスパとアシュタロスの回想の話を思い出すと、「確かにそうかも」と、思わずにはいられませんでした。
横島が何故死なないという疑問では、一度だけタコ魔族『ヌル』とか言うのに殺されても結局、助かりましたしねえ?
あ〜、あとは文殊使いが、不死王(そういや女性だったんだ…)側に存在するとなると、横島との激闘が期待されます。
西条と間下部の戦いは、少年漫画では王道な熱い戦いが待ち受けているんでしょう。
それでは長くなりましたが、次回(ドゥルジ様)を楽しみにしてまっす! (超毒舌者)
- う〜〜ん、西条が熱いぜ。横島の活躍は当分先みたいだし、西条の激闘が終わったら
いよいよドゥルジ様のハァハァシーンなのかな?
とりあえずは、ここまで格好良い西条にとことこん極めて欲しいです。 (ぽんた)
- まさか椎名先生のギャグをこう使うとは(笑
今シリーズからコメントしてるのにこういうのも何ですがこの終盤独特の盛り上がりはかぜあめさんならではですね。来年もがんばってください。
》かぜあめさんとアースさんへ
ドゥルジのイラストはどっちかというとここの煩悩の部屋に送った方がいいのではないかと。night talkerさんの画像掲示板だと反応が返ってくるか、正直かなり微妙です(やはりそこは他ページなので)。
煩悩の部屋ってオリキャラ駄目なんですかね、ううむ・・。 (T)
- あの爆弾だって、立派な力だと思ってみたり。
まあ、本人がそれを信じられなきゃ、コンプレックスの解消はできないか。
(ふと、「力が、力が欲しいんだーっ!」と叫ぶ妖怪コンプレックスを想像してしまった(苦笑)) (キリュウ)
- 因縁、思惑…それぞれの想いや考えが交差し合いぶつかり合って…と、どの闘いもそれぞれに”熱い”展開になってますね…これは燃えます。
横島君の謎…
これはGS好きな方なら誰しも一度は考察したコトがある事かと思います…得にアシュの絡んできた事件における、横島君の存在はあまりにも…
その”謎"に対し、かぜめさんは、どんなこたえをみせてくれるのか…楽しみにしております。 (偽バルタン)
- (NLB)
- 神界には太宰府天満宮の学問の神様がいますよー<神魔界から失われて久しい
ただまぁ何十万年?と生きてる彼女にしてみれば生まれて千年にも満たない神様なぞよく知らないのかも知れませんが。
さておき。横島の謎に取り組みますかー。
例えば時間移動に必要な霊力を産むには雷の電力を変換しなければならないのに、
霊力の塊である文珠で起こした雷でそれが行えるというのは、
仮に霊力→電力→霊力の変換効率が100%であったとしても、
作中でも一度に五つ程度は生み出せた文珠一つの力が美智恵の全霊力を上回ることになりますからね。
まぁこのあたりは一度に引き出せる力の強さ(アシュ戦前で300マイトだったか)と力の総量の関係もあって
そう単純な話ではありませんが(HH臭い話になってきたぞw)。
果たして雷の文珠一つで時間移動出来たのかも解らないし。
しかし力そのものが目的とはとち狂ってますな。
まぁ地上最強を目指す男だって似たようなものですが。
「世の中には手段のためならば目的を選ばないという様などうしようもない連中も確実に存在するのだ」
ってところでしょうかね(笑)。 ()
- 自己の価値観と欲求にしたがって、周りも自分すらもどうなろうとも突き進んだ。と書くと漢ですな、爆弾魔w
おだやかな心境になってますけど、多分それはもうある意味終わっちゃった存在になってるから、なんでしょうねぇ…
そして裏側ではやっぱり陰謀臭いお話がw まだ膨らみます、このお話。どこまで行くのか。 (MAGIふぁ)
- イラストはここ投稿できたんでしょうか? 投稿の仕方が解らないんですが・・・・ 横島を生かしているのは神や魔を超えた「超越者」みたいなもの難でしょうか。西条vsイーターも楽しみですが・・ (アース)
- てゆ〜か!!いきなり登場してくれましたね!♪横島のライバルが!!
しかも、『彼は横島の合わせ鏡です』っていう設定が、またアツイですね〜♪
幻霊《ファントム》の仮面を被った1人の奇妙な男ですか!!物凄くカッコ良いですね!
今すぐにでも『仮面の男』のファンになってしまいそうですね☆☆
ま〜横島にとっても『仮面の男』が本当の意味でのライバルって感じですね・・・
でも仮面男って、今は不死王側に付いているけど属性としてはどうなんでかね??
混沌の勢力でも無さそうやし、かといってドゥルジ様の勢力でも無さそう・・・・。
『仮面の男』の正体と、その目的は今後、ジワジワ見えてくるんでしょ〜ね♪♪
ま〜とにかく、かぜあめさん2004年、ホントお疲れ様でした!!
2005年も楽しみにしているので宜しくお願いします!!! (GTY)
- やっと追いつきました追いつけました(駄目)
お話の方、エライ事になっていますね(笑)
感想の方もしっかり書きたいのですが、印象に残るシーンが多すぎて何処から
書いて良いやら・・・。なので、新キャラやスズノはほかっておいて(コラ)
西条カッコ良いですよ。ツボ突かれまくりでもー・・・
そして全体における描写も、シリアス感を高めてまるで絵で見ているようでした。
勉強になります。次回も楽しみにしております。何とか追いついていきますので(苦笑
>アースさんへ
煩悩の部屋はもう新規投稿を受け付けてなかったのではないかと思います。
この界隈で絵が見れるとこというと、マリあんチャット内にアップローダが
ありますけれど、置く方も見る方も一度は入室しないといけないのが人によっては
難点でしょうか。自信がないので間違ってたらどなたか訂正お願いします(爆) (龍鬼)
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