ザ・グレート・展開予測ショー

望み


投稿者名:蒼空
投稿日時:(04/12/27)

あなたは、何を求めるの?


「まったくもう、無茶すんじゃないわよ」
「大丈夫ですか?横島さん?」
「大丈夫ですよ。美神さん、おキヌちゃん」

今日の除霊は美神、おキヌ、横島の三人で行っていた。
その除霊中に横島が怪我をしたのである。
その怪我もおキヌを庇って負った怪我であるが。

「はい、ヒーリング終わりました。それと、ありがとうございます」

そう言っておキヌは礼を言う。

「いいって、おキヌちゃん。おキヌちゃんに怪我がなくてよかったよ」

横島はいつもどうりの笑顔で答える。


美神除霊事務所。横島は既に帰宅済み。
居間では美神、おキヌ、居候のシロ、タマモがお茶を飲んでいる。

「ねぇ、シロ、タマモ。あんた達が横島君と仕事してる時、変わったことない?」
「変わったことでござるか?」

美神の問いにシロが分からないと言った顔で答える。

「例えば?」

シロの変わりにタマモが問う。

「そうねぇ、女の依頼人にセクハラしないとか、ギャグしないとか・・・怪我が多いとか」
「「う〜ん」」

シロとタマモが真剣に考え込む。

「セクハラはいつもしてるでござるし、ギャグのない先生は先生じゃないでござるよ」
「そ、そぅ」

シロのあまりと言えばあまりの言い草に美神も冷や汗を流す。
なまじ否定できないだけに。

「たしかに怪我は多いけどそれもいつものことでしょ?」
「タマモちゃん達との仕事の時も横島さん怪我してるの?」

タマモの言葉にいままで黙っていたおキヌも口を出す。

「ええ。だいたいが私かシロを庇ってだけどね」
「そうでござる」

タマモに賛同するようにシロも答える。

「やっぱり」
「何がやっぱりなの?」

わかったと言ったふうな美神にタマモが不思議そうに尋ねる。

「それよりも!仕事中に横島が怪我をしないように見張って欲しいの」
「美神殿!?それはまさか先生が・・・好きなのでござるか?」
「ちがうわぁ〜〜!?」

シロのボケに美神が真っ赤になって怒鳴る。
怒りの為か、それとも・・・

「と・に・か・く!?横島が怪我、というか無茶しないように見張って」
「お願い。シロちゃん、タマモちゃん」

シロは横島が怪我をするのがイヤなので深く考えず頷く。
が、タマモはどこか納得いかない顔をしている。

「理由、聞いていい?」

タマモはそこまで美神とおキヌがムキになるので理由を聞いてみたかった。
シロも聞きたそうにしている。
美神とおキヌは言っていいのかわからずにしていたが、

「いい?これから話すことは横島君の前では言っちゃだめよ」

そう前置きし、話し始める。
アシュタロス大戦。GS史では歴史上最大の戦い。
美神が話したのは大まかなこと。
特に、ルシオラのことについてはほとんど触れていない。
無意識に避けていいるふうにもとれたが。
おキヌも悲痛な顔をしている。

「そんなことがあったでござるか」

シロは素直に感心する。

「でも、その話と横島の怪我とどう関係があるの?」

タマモは納得いってない模様だ。

「今の横島君・・・危ういのよ」
「危うい、でござるか?」
「そう、危ういの」

それを聞き、タマモは深く考える。

数日後。今日の仕事はタマモと横島。

「大丈夫だったか?タマモ?」
「大丈夫」

今日も横島は怪我をしていた。タマモを庇って。

「さぁ〜て、報告は明日にして帰るか?」

横島えのヒーリングも終わり、横島がタマモに問い掛ける。

「そうね。ついでに狐うどんおごって」
「おいおい、またかよ」

横島はそう言いながらもタマモに狐うどんをおごってやる。

「ねぇ、今から遊びにいっていい?」

うどんも食べ終わり、帰路に着こうとした横島にタマモが聞く。

「おぅ、いいぞ」

横島も快く了承する。


横島の部屋。
タマモと横島は楽しく話していたが、しばらくしてタマモが横島に問い掛ける。

「ねぇ、アシュタロス大戦で何かあったの?」

今日タマモが横島の部屋まで来たのはこれを聞くため。
美神に聞いた話も確かに事実だろうが、何かを隠しているようだった。
いや、隠しているというより、避けているような感じだった。

「美神にも聞いたわ。でも、それが全てとはどうしても思えないの」

そう言って美神に聞いた話を教える。
横島はその話を聞いて、悲しみとほんの少しの怒りを覚える。
ルシオラのことが、ほとんど抜けているのだから。

「確かにその話は事実だが、全てって訳じゃないな」
そう言って横島はタマモに抜けている部分を教える。
儚くも、強い光を放っていた蛍の話を。
逆天号での生活。
味方の裏切り。
ルシオラ達の寿命。
南極での戦い。
短くも幸せだったルシオラとの生活。
コスモ・プロセッサの始動。
ルシオラとべスパの戦い。
ルシオラが命を助けてくれたこと。
最終決戦。
その中で聞いた、ルシオラの死。
そして、来世での願い。
話し終わった時、横島は無表情だった。
だが、タマモには横島の魂が叫びを上げているのが分かった。

「でも、ルシオラは横島の子供に転生できるんでしょ?」
「それはない」
「どうして?」

タマモはそう尋ねるが、本当はわかっていた。
おそらく・・・

「ルシオラの霊基が俺の人間の霊基に吸収される形で融合してるんだ」

やっぱり。タマモは思った。

「俺は、ルシオラを殺し、転生の可能性さえ潰したんだ」
「そんな、確かに仕方なかったで済ませれないかもしれないけど
そんなに自分を責めないで、横島」

これは、正真正銘タマモの本音。
しかし、横島には届かない。

「お前に、何がわかるんだ!?」

横島から殺気が漏れる。

「私は・・・」

タマモは横島に掛ける言葉が見つからない。
その間も横島の独白が続く。
それは、あまりにも悲しい魂の叫びだった。
皆がルシオラがいなかったように振舞う毎日。
かつての日常を振舞う自分。
ルシオラの犠牲の上にある世界。
あの戦いで横島が得たものは、哀しみ。
タマモは、美神の危ういと言う意味が今分かった。
横島は、壊れかけてる。

「横島は、何を望んでるの?」

何故か、そう問うタマモ。

「俺の求める物は、死に場所」

その時、部屋が光に包まれた。
その光の光源には、

「文珠?」

文珠が浮いていた。
横島はタマモを見るがタマモも驚いているのでタマモがしたのではない。
その文珠には文字が浮かび上がっていた。
その文字は”伝”。
横島の頭に声が聞こえる。

「これが発動したってことはお前は死を望んでいるんだろう?
だがな?その原因はなんだ?裏切りか?ルシオラがいないからか?
もしも、周りの皆の態度だとしたら、まだ諦めるのは早いんじゃないか?
話し合え。想いをぶつけろ。そして、信頼しろ。
みんなお前のことを思ってのことなんだ。今からでも遅くない。
よく考えろ」
「だ、誰だ・・・」
「俺はお前。たくさんある可能性の一つだ」

横島がそう呟くとその声が答え、光も消える。

「な、なんだったの?」

どうやらタマモには今の声は聞こえなかった様だ。

「タマモ、事務所に行こう」

横島はタマモの問いに答えずそう言う。
つき物が落ちたような晴れやかな笑顔で。
その笑顔を見て、タマモの頬が朱に染まる。

「置いてくぞ〜」
「あ!待ってよ!!」

それから十年後。
誰よりも強く、優しい世界最高のGSがいた。
そのGSは、後にこう語る。

「俺がこうしてここにいるのも、仲間が
信頼できる皆がいたからです。
俺が求めるのは、皆の幸せです」

あなたの望みはなんですか?



ー後書きー
なんだか良く分からんものになっちゃいました。
もっとタマモとラブラブして欲しかったんですが。
・・・全然ですね。

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