ザ・グレート・展開予測ショー

魔法使いの少年


投稿者名:TRY
投稿日時:(04/12/25)


「横島さんどこいったんだろう?」

合鍵で入った部屋には誰もいなかった。

・・・ちょっと寂しい。

昨日のクリスマスパーティーが終わった時に、

「明日、夕食作りに行きますね」

って言ってあるからそんなに遅くならない内に帰ってきてくれると思うけど。

現在の時刻はお昼を少し過ぎた頃・・・・早く来すぎたかしら?

でもなぁ、掃除、洗濯、夕食の準備。

やる事は沢山あるし、丁度いいよね?

時間あまったらゆっくり横島さんとお話出来るし

うん、問題なし♪




 トントン  

      ことこと


「〜〜♪ 今日の料理も喜んでくれるかな〜♪」

いつも喜んで食べてくれる横島さん

私に向けてくれるあの笑顔

あの笑顔を見れるなら何度だって料理を作ってあげたくなる。

「うん、ばっちり♪」

味見した料理に思わず笑みがこぼれる。



お料理は横島さんが帰ってきてから最後の仕上げをするだけになったので

テレビを見ながらお茶をすする。

テレビから流れてくる夕方の再放送のドラマ

一度見たせいか聞き流してる感じだ。

「・・・このドラマ、こんなにつまらなかったっけ?」

前に見た時はもっと面白く感じた気がするけど

なんでだろ?

ぼ〜っとしていたら何時の間にか部屋を染める茜色。

横島さんにとって特別な色。

ふっと寂しさが胸をしめつける。

「・・・横島さん・・遅いなぁ・・ちょっとその辺を探してこようかな・・」

思わず口から漏れた言葉

う〜ん・・・・適当に歩いて見つからなかったら戻ってこよう

すれ違いになっても、少しくらいの時間なら平気だと思うし。

「うん、そうしよう」

私は戸締りをして部屋を出る。




「あ、横島さんだ」

歩いてたら楽しそうな子供達の声が聞こえてきたので、ふらふらと公園まで来て中を覗いてみると、子供達と遊んでる横島さんを発見した。

ふふ、ついてるかも♪

「横島さ〜〜〜〜〜ん」

「あれ? おキヌちゃん?」

呼びかけるとこっちに気づいてくれたようで、

横島さんが子供達に何かを言ってから来てくれた。

「どうしたの? こんなところで」

ひく←頬が引きつった気がする

「ちょっと横島さんを探しに」

「へ? なんか用事?」

ひくひく←頬が引きつってる

「ええ、でも忘れてるならいいです。小鳩さんに食事をあげちゃいますから」

「・・・あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、わ、ご、ごめん」

ふぅ、まさか忘れられてるとは思わなかった・・・さすがにちょっとショック。

「いや、その、あいつらと遊んでて・・・その、えっと」

  ギロリ

「子供のせいにするのは、どうでしょう?」

「うぅ、ごめんなさい。許してください」

はぁ、しょうがないなぁ。

今日は許してあげよう・・・私って横島さんにあまいかな?


「それで何やってたんです?」

「あぁ、あいつらとサッカー見たいなものをね」

そういって横島さんが指差した方には5人くらい

男の子と女の子が球を蹴って遊んでいる。

雪が降るほどではないけど、

結構寒い中元気に遊んでいる子供を見るのは微笑ましかった。




子供達が元気に遊びまわっている広場。

その広場を見渡せる位置にあるベンチに座っる。

子供達を時折眺めながら、二人で学校であった出来事とかを話していると

「うぁぁぁん」

泣き声が聞こえた。

慌ててそっちの方を見ると一人の男の子を皆が囲んでいる。

その男の子は膝をかかえて蹲っていた。

「ありゃ、やっちまったか?」

横島さんと私は急ぎ足で子供達の方へ向かう。


私は膝を抱えてる子の近くにしゃがみこみ、傷の具合をみる。

血は出ているが幸い大した事ないようだ。

患部に手をかざしてヒーリングを開始する。

「おキヌちゃんがいてよかった」



   ドックン



私の隣で様子を見ていた横島さんが小さな声で呟いた。

『おキヌちゃんがいてよかったろ?』

以前にも言ってもらった言葉

もうずっと前のこと

でも、色褪せることなくに鮮明に思い出せる。

特別な言葉。

「おキヌちゃん? どうしたの?」


「・・・ふぇ?」

「いや、ヒーリング終わってるみたいだけど?」

隣で苦笑している横島さん。

あぁ、また思考の世界へ旅立っていたのか・・・

この癖って治らないのよねぇ(しくしく)

「いえ、何でもないですよ。えっと・・・もう痛くないかな?」

横島さんにそう答えて怪我をしていた子供に怪我の具合を聞いてみる。

「うん!! ありがとう、お姉ちゃん♪」

元気よく返事をしてくれる子を見て安堵した。



「さて、そろそろ帰ろうか。お前らも早く帰らないとな」

「あ、もう暗くなっちゃいましたね」

冬は日が沈むのが早いなぁ

子供達とサンタさんの話とかパーティの話をしているうちに結構な時間になってしまったようだ。

「うん・・・今日も雪降らなかったねぇ」

さっき転んだ男の子が、ちょっと残念そうにしている。

「ほむ、んじゃ。皆で目を瞑ってお願いしてみ、
 もしかしたらサンタのおっさんが叶えてくれるかもしれんぞ?」

「クリスマス過ぎちゃったのに?」

「いいから、叶ったら凄くラッキーだろ? 
 叶わなくても別に損するわけじゃないんだからさ」

「横島さん?」

横島さんは子供っぽい笑顔で唇に人差し指を当てる。

あぁ、この人は本当に・・・・

子供達が目を瞑ってお祈りするように手を組む。

横島さんの掌には文殊が1つ

それは淡い光を放ってその力を解放し始めた。

      ふわり
          ふわり


「「「「「・・・・わぁぁぁぁ」」」」」

私と子供達はゆらゆらとゆっくり降りてくる雪に見惚れている。

それは幻想的で・・人をひきつける魔法のように私達の心を掴んで離さなかった。



「終わっちゃった」

私達は夢心地で余韻にひたる。

あぁ、素敵だったなぁ。

「ほら、本当にもう帰らないとな?」

横島さんが、ぼんやりしてる子供達に優しく語りかける。

その表情は本当に素敵で・・・あぁ、今日は凄くラッキーな日だ♪

絶対忘れないで覚えておこう







「気をつけて帰るんだぞ〜〜〜〜〜」

公園前で急ぎ足に帰っていく子供達を見送る。

子供達は、一生懸命手を振って答えてくれた。

「子供を見送る親って・・・」

こんな気持ちなのかな?

ってキャ〜〜〜〜〜、私ったら、私ったら〜

「ん? おキヌちゃん、顔赤いけどさっきの雪出したせいで風邪でもひいた?」

心配そうに私の顔を覗き込んでくる横島さん

あぅ、顔に体中の血が集まってるような気がする。

「な、なんでもないでふ」

「でふ? まぁ、俺らも帰ろうか? おキヌちゃんの料理楽しみだなぁ」

「はい♪ 今日の料理も頑張ったから自信あるんです♪」

そうして二人で横島さんの家へと歩きだす。






「横島さん♪ またあの子達と遊ぶ時は誘ってくださいね♪」


そして、また私に魔法をかけてください・・・

       
貴方の事をもっと好きになる魔法を

               ね、素敵な魔法使いさん♪



☆☆☆あとがき☆☆☆

はじめましての方、はじめまして♪
覚えてくださってる方、お久しぶりでございます♪

大体半年ぶりにSSを書きました^^;
楽しんでいただけたでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたら幸いです♪

今年もあと僅か・・・皆様体にお気をつけて
よい新年を迎えられますように

では、失礼いたします^^
 

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