ザ・グレート・展開予測ショー

クリスマスの小咄 後編(絶対可憐チルドレン)


投稿者名:偽バルタン
投稿日時:(04/12/25)

柏木さんの優しげな眼差しにどぎまぎとしながらも、その言葉に衝撃を受けた…
ついつい考え込んでしまう。

「…嬉しそう?僕が…嬉しそう?」
「…ご自身じゃ解らないのかも知れませんけどね…?」


クリスマスの小咄 後編(絶対可憐チルドレン)


…嬉しそう?…僕は嬉しいのか?
ふと…あの3人娘の笑顔が脳裏をよぎる…
薫の…
『“ぱーてぃー”の準備は全部あたしらがやってやる!だから皆本…早く帰って来いよ♪』
葵の…
『今日は思いっきり騒ぐんや…遅れたらあかんで〜?』
紫穂の…
『…楽しみにしててね?皆本さん♪』

…彼女等の、その異様なまでの張り切り様に…
…興奮し上気した3人の表情に…
僕は不安を感じ、後始末のコトを考えウンザリとしてしまった…
何だか憂鬱な気分にすらなった。
でも…本当に?
…本当にそれだけか?
確かに、そんなキモチはあったけど…違う…それだけじゃないだろう…
『賑やかな夜になりそうだな』って…
…僕は…そう、“期待”していた筈だ…確かに“楽しみ”に思っていた筈だ。

「それに…だからでしょう?皆本さん今日あんなに頑張って仕事をこなしてられたのは…
少しでも早く終らせて…あのコ等の所へ帰ってあげたいって…そう思ってらしたからじゃないんですか?」

柏木さんの台詞にはっとなる…
…そうだ、考えてみれば、誰かと過ごす…誰かと一緒になって騒ぐクリスマスだなんて…
僕は本当に久しぶりだ…何年ぶりになるだろう…

その時、突然理解した。
あぁ、そうか…僕は…

「…そう…ですね…そうなのかも知れません…
僕は…嬉しいんでしょうね。」

不覚にも、頬が緩んでしまう。
僕は、彼女等が待っている家に帰り、彼女等と共に居るコト…共に過ごせるコトが嬉しくて仕方が無いんだ…

「…ねぇ皆本さん…気が付いてますか?
…薫ちゃん達のコト話す時のあなたって…凄く嬉しそうな…とっても“いい顔“してるんですよ?」
「い、“いい顔“ですか?」
「えぇ…その顔見たら、どんなヒトだって解りますよ…
あなたがどんなに薫ちゃん達のこと大切に想ってるのか…
今だってそうです…何だか、こっちが悔しくなっちゃう位…とっても嬉しそうな顔してました。」

こんな当たり前のことに気が付かなかったなんて…
しかもそれを誰かから言われて漸く気がつくだなんて…参ったな…

「…い、いえ…僕はその…」
「あ〜あ…あのコ達が羨ましいですね?こんなに想ってくれるヒトがいて♪」
「…あの…そ、そろそろ勘弁してくれませんか?柏木さん…」
「くすくす…」

柏木さん…何だか、僕よりも僕と彼女達の関係を解っているみたいだ。
…本当に…敵わないな…
気づかせてくれた事、感謝しなくてはいけない…

「…柏木さん?」
「何ですか?」
「…有難うございました」
「いいえ♪それじゃ皆本さん…薫ちゃん達にもよろしく言っておいて下さい♪」
「…えぇ」

そういって、柏木さんは僕のデスクから離れて行った。

…さっきまで僕の中にあった憂鬱なキモチは、いまは綺麗サッパリなくなっている。
帰ったら…今晩は、僕も精一杯騒いで、楽しむとしよう…あいつ等に負けない位。
そんな事を考えながら、帰り支度を始めた…
僕は…一刻も早く、彼女達の待ってる家へと帰りたくてたまらなかった。





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