ザ・グレート・展開予測ショー

24-hour (中編)


投稿者名:MIZU
投稿日時:(04/12/24)



「城子さん、今日は大事な話があるんだ。」

「どうしたの、忠吉さん?急に改まったりなんかして・・・・・・」

「実は・・・・俺と結婚して欲しい!一目見たときから想ってたんだ。俺と君は運命の赤い糸でつながれてるって!!」

「・・・・・・・・・・嬉しいっ!私っ、私ッ!!!」

「え、城子さん、じゃあ!?」

「ふつつかものですが・・・よろしくお願いしますっ!」

「城子さん!!」「忠吉さん!!」がばぁ!    チャーチャチャーチャチャーチャチャーチャーチャ〜〜〜♪





「はぁ〜〜〜〜・・・・・・」

「何ため息なんかついてんのよ。辛気臭いわねぇ〜。」


午前8時。備考:あの後微妙な雰囲気のまま帰宅。現在一度家に戻った横島を除いた事務所のメンバーで食事。


見てて恥ずかしくなるようなTVを見ながらため息を吐くシロ。落ち込んだシロを気遣うことなく睨みつける美神。

タマモは無関心といった感じで味噌汁をすすっている。が、うっとうしかったのかリモコンを取りプチッとTVの電源を落とす。


「くぅーーーー、先生と喧嘩してしまったんでござるよ〜〜。」


涙目で誰かかまってくれといわんばかりに嘆くシロに美神除霊事務所の良心が優しく語り掛ける。


「大丈夫よシロちゃん。何があったか知らないけど横島さんやさしいだからちゃんと謝れば許してくれるわよ。」

「むぅ〜、そうでござろうか?」

「えぇ・・・・そうだ。良かったら何があったか教えてくれないかしら?力になれるかもしれないし。」

「おキヌ殿〜〜。」


その優しさには横島が一体何をしたのか。場合によっては彼へのまかないに一服盛るつもりでいる裏の顔が作者には見えた。

ちなみに作者は【白すぎず、黒すぎず。ちょっぴり暗めの灰色おキヌが1番だ!】というこだわり(?)を持っている。


「実は今日の散歩で・・・・が・・・で・・・・・・・となったのでござる。」


シロが今朝起こった事情について語る。ちなみに彼女は抱きつかれた前後のことはショックのせいで語るのを忘れていた。

事情を聞いたおキヌがなんだ、どの程度か。と2種類の安心感を抱きつつシロへの励ましの言葉を考える。


「そうだったんだ。んー、暫くは散歩はできないかもしれないけどそのうち横島さんも忘れて付き合ってくれるようになるはずよ?」

「さ、散歩が暫く出来ないでござるか・・・!しかしここは先生のためにも少し我慢でござる・・・」


きゅーんっ、と小さくなるシロをたまもがチラっと覗う。するとシロの首筋にほんのりと赤くなった部分があった。

たいして気にするほどのことでもないように思えたが、そこからほんのりと何かが匂う。嗅ぎなれた臭いだ・・・・・

そういえばそろそろあの男が出社する頃。少しからかってやるとするか。


「シロ、あんたその首筋どうしたのよ?赤くなってるわよ。」

「あぁ、これは先生に舐め上げられたんでござるよ。いやぁ、恥ずかしくって掻いてたらこうなってしまって・・・・・」






                           ひゅ〜〜〜・・・・・・    


今、確かにこの部屋の室温は下がった。もっとも、思い出したように照れ出し、赤面した顔を手で覆い隠してる少女はそれに気付いてはいないが。


「え、え〜っと、シロちゃん?それは一体どういう「おはよーございまーッス!!」


おキヌが詳しく問いただそうとしたそのとき。まさにお約束というタイミングで自業自得ではあるが不幸な少年が事務所へと顔を出した。

まさか、今朝自らが生き延びるために取った行動がこのような事態になるであろうとは、一体誰が予測したであろうか?(読者の皆様を除く)

それでは、僭越ながら彼の身に起こる惨劇を横島視点で解説させていただこう。

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午前8時3分。備考:居間はシロの発言により硬直状態。そこへタイミングよく(?)現れる渦中の人。

「おはよーございまーッス!!」


俺、横島忠夫は今日も元気よく挨拶をした。アルバイターである身分上こういう所はしっかりとしてなくてはいけない。

おや?なにやら様子がおかしい。今は確かに真冬だ。しかし彼女がこの季節暖房をつけずにいる等と言うことがあり得るのだろうか?

第一ここは外よりも寒い。それに美神さんとおキヌちゃんが固まっている。が、首を“ギ・ギ・ギ・ギ・ギ・ギ”と音が出るようなぎこちなさでこちらに向けている。

はっきり言って怖い。否、見た目だけではないのだ。この雰囲気、俺は知っている。俺が何かしたことがバレた時だ。・・・・・・・どれだ?

確かに昨日俺は美神さんの下着を盗んだ。しかしそれは仕方が無いことだ。昨日の除霊で俺は霊力を使い果たした。

霊力の供給源が煩悩である以上、これは雇用者からのボーナスとしては当然のことであろう。

確かに昨日俺はおキヌちゃんに抱きついた。しかしこれは仕方が無いことだ。昨日の除霊で彼女は俺の方へよろけて来た。

彼女が巫女服を着ている以上、これは俺に対するアプローチと考えるのは当然のことであろう。    ってか嫌がってなかったじゃんか。

確かに昨日俺は偶然タマモの着替えを見てしまった。しかしそれは仕方が無いことだ。彼女は昨日、敵の攻撃で水浸しになった。

彼女が変身をせずに事務所で服を着替えだした以上、これは覗いて欲しがってると理解するのは当然のことであろう。

確かに昨日俺はシロのシッポを握った。しかしそれは仕方が無いことだ。昨日の晩飯の後彼女はソファーで丸まっていた。

横に座っていた俺にピシピシとシッポを当てている以上、これはいじってくれと解釈しても当然のことであろう。

うむ、昨日の俺には否がない。とすれば今日・・・・シロとの散歩のときか?否、俺は被害者だ。

ねぎらいの言葉をかけられこそすれ、このような視線を向けられる覚えは無い。

今朝、シロとの散歩に付き合い、崖に振り落とされ、シロに抱きつき、帰宅・・・・・・・ん?

今朝、シロとの散歩に付き合い、崖に振り落とされ、【シロに抱きつき、首筋を舐め上げ】、帰宅。






こ、これかぁあああ!!!!

そう理解した瞬間、俺の顔が引きつる。その表情が後ろめたいことをしたという決定的な証拠となったのだろうか?室温が一気に跳ね上がる。

ふっ、と美神さんが居なくなったかと思うと俺の下方で今まさに大地を踏みしめ、ガゼルのごときキレのあるアッパーを繰り出さんとするなにかが見えた。

本能に刷り込まれた恐怖から身動きがとれず、クリーンヒット。頭が後ろに押し出される、というよりは引っ張られる感じで後方へ吹っ飛ぶ。

壁にぶつかるかと思いきや、そこには・・・・・霊!?人工幽霊1号か!かすかな笛の音を聞きながら人型に姿を現した事務所の守護者にラッシュを叩き込まれる。

右頬、左のわき腹、顎、鳩尾、左頬、右のわき腹、また鳩尾。それぞれ右フック、左ボディーブロー、右アッパー、右エルボー、左裏拳、右ボディーブロー、左キックの

順である。

回転を使った無駄な動きの無い攻撃により大ダメージを受ける。その衝撃で元の位置に吹っ飛ばされる。そこには神通棍に霊力を注ぎ終わった美神。

大きく振りかぶり、俺の体と美神さんとの距離が約1〜2Mになったそのとき、勢いよく振り下ろされた霊気の鞭にて地面へと叩きつけられる。

俺は、(シロに引っ張られているときよりも早いなぁ。)と、思考回路が逝ってしまった状態でどくどくと血が流れ出るのを感じていた。






そこで、俺の意識は途絶えていた・・・・・・・・・








午前8時5分。備考:横島、美神に叩き起こされる。


「で、説明してもらおうかしら?」


刺々しい。顔には井形マークまで浮かんでいる。隣でおずおずとこちらを覗っているおキヌちゃん。笛が見えてるよ?ちゃんと隠さなきゃ。


「うう・・・堪忍やー!しかたなかったんやぁー!!死ぬときくらい女の胸の中でって思ったんやー!」


女々しいほどに泣きじゃくる横島。いつもなら美神も呆れだす頃だが・・・・今回は何と言っても『舐め上げた』のだ。

いつもとは違う雰囲気に横島もちょっぴり困惑気味である。(当社比1,42倍)


「ほぉ〜〜、それで仕方なく舐・め・上・げ・たってわけね!!」

「違うんや〜〜・・・・死ぬ前に一度女の味を知っておきたかったんや〜〜。」

「きわどい発言をするんじゃないっ!!」

「ぴぎょあっ!」


本当にきわどい発言をしてしまった横島にとどめの一撃。

しかしまだしばき足りないといった感じの美神だったが、ふと時計を見るとそろそろ仕事の準備をしなければいけない時間だった。


「ふぅ〜〜、さて。そろそろ仕事の準備をするわよ!!横島君、この紙に書いてある道具をちゃんと用意しときなさいよ。」

「はいッ!不肖横島忠夫、倉庫へ行ってまいりますッ!!」


確かに先程までに致命傷を受けていたはずの横島。やはりこの者の回復力は尋常ではない。

よっしゃ、これでもうしばかれずに済む〜、と逃げるように部屋を出て行こうとするが・・・・・


「あ、仕事が終わったらさっきの続きだから。逃げたら承知しないわよ?」

「は、ははははは!!嫌だなぁ美神さん、この僕がそんなことするはずないでしょう?さ、早く行かなきゃっ!!」


再度倉庫へと向かう横島。彼の顔では目の幅で涙が流れていたとかいないとか。



PM5時42分。備考:除霊後、横島を一通りしばき終えすっきりした美神。かすかな笛の音は今回もまた横島の脳裏に響いていた。


「ふぅ、今回も荒稼ぎさせてもらったわ〜♪さ、何時までもこんなとこにいてもしょうがないし帰りましょうか。横島君ももう家帰っていいわよ。」

「お・・・お疲れ様ッした・・・・・・・・・ぐふっ。」バタン。

「横島さん、もうあんなことしちゃ駄目ですからね!・・・・・味見程度なら何時でも私がさせて上げますから。キャッ、言っちゃった♪」タッタッタッタッタ・・・


今度はおキヌの口からきわどい・・・というかモロな発言があったようだが、気を失った横島の耳には届いていないようなのでまぁいいだろう。

ほんのりと赤く頬を染めたおキヌが顔を覆いながらコブラに乗り込む。潰れた蛙のようなものを残して車のエンジン音が遠ざかっていった・・・・・・・











※後書き※
どうも、MIZUでございます。
わかっています、わかっているんです。文章が短く、小走り気味だということは・・・・・
なんとなく思いついた手段で場面を時間で区切っていたのですが、完全に裏目だったようです。
兎にも角にも中編でございます。前中後足しても長くは無い程度の作品で終わりそうなんですが、
このペースでの投稿が自分の中では一番いい感じに仕上がるペース(?)なので、どうかお許しくださいませ。

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