ザ・グレート・展開予測ショー

天使の心。悪魔の心。


投稿者名:蒼空
投稿日時:(04/12/14)

人は、何かを得るには、等価のものをし払わければならない。
お金が欲しければ、それにみ合った労働が必要なように。
生きる為に。動植物を殺すように。
世はすべて等価である。



かつて、三界を巻き込んだ大きな事件があった。
一人の、悲しき魔神が起こした『アシュタロス大戦』である。
悲しき魔神、アシュタロス。その真なる願いは、死。
ゆえに反乱を起こした。死ぬことを願って。
これも等価。死ぬためにすべてを捨てる。
そして、魔神の願いを叶えた少年もまた、世界を救う為に、等価のものを支払った。
彼の最愛の人、ルシオラ。
だが、世界は何を支払った?
少年は、世界を救いたい。大勢の仲間を救いたい。
その為の等価が、ルシオラ。
救ってもらった世界は、彼に何を支払った?
答えは、何も。
等価を支払ったのは、彼だけ。
世界に絶望し、恨み、憎み、愛した。
大切な仲間がいるから。彼女が残した世界だから。
だがある日、彼は壊れた。



彼、横島はいつもの日常を済ませ、寝床についていた。
何気なくテレビを見ていると、急に猛烈な睡魔に襲われた。
次に目を覚ました時、知らない部屋にいた。体を縛られ。

「ん?な、なんだこれ!?ここ、どこだ?」

しばらく呆然としていると、ドアらしきところから誰か出てきた。
その人物に、横島は心当たりがあった。
美神美智恵。美神令子の母。

「気がついた?横島君?」
「隊長!!これはどういうことですか!?」

横島は、何が何だかわからないといった顔だ。

「アシュタロス大戦。私達は辛うじて勝利することができたわ。
でもね?こんなことがもうおこらないって確証はないでしょ?
そんな時のための切り札が必要なの。あなたの、文殊という切り札がね。
わかる?」
「な!?」

横島には、美智恵がなにを言っているかがわからない。
いや、わかりたくなかった。
そして、美知恵は更に続ける。
これが、彼女の最後の言葉となった。
「後ね、横島君。あなた、危険なのよ。魔族因子を取り込んだ人間。
いつ覚醒し、暴走するかわからない。それに、後のことは心配しなくていいわよ?
あなたは、アシュタロス大戦での英雄にしといてあげる。
あの魔族の女のことも黙っといてあげるから」

この言葉を聞いて横島は、切れた。
次に横島が目を覚ました時、そこは荒野だった。
横島を中心に半径1キロはクレーター状になっていた。
この日から横島は、世界に対して、対価を求めた。
自分が世界を救った事と、等価値のものを。



ー五年後ー

世界の人口は半分の30億まで減り。主要な都市も半壊。
神族魔族も討伐隊を向かわせるが、ことごとく返り討ちに合い
横島が人間だけしか狙ってないこと知り、ここ数年は、静観。
そして今、魔人と呼ばれる男と、人間(一部妖怪)が対峙していた。
かつてのアシュタロス大戦の主力GSとシロとタマモ。
彼女等(彼等)が誰も欠けずにいるのには訳がある。
横島が避けたのだ。かつての仲間達を。
横島が彼女(彼)等に会うのも五年ぶり。

「久しぶりだな。みんな」

横島が口を開き、話かける。
「・・・」

対するGSメンバーは押し黙る。
沈黙。
「・・・なんで・・・」
「?」
「なんでなの?」
「何がです?」

沈黙を破り、口を開いたのは、美神。
横島とは最も古くからの付き合い。
そして、あの女の娘。

「きまってるでしょ!?何でママを殺したの?
なんで人間を殺すの!?」

もはやそれは、悲鳴にも似た叫び。
それに横島は、静かに、尋ねる。
「美神さん。等価交換ってご存知ですか?」
「?何かを得るには何かを支払わなければいけないってやつ?」

美神は答えるが何が言いたいのかわからないと言った顔だ。
他の人も似たような感じだ。
「そうです。
生きるために動植物を殺すこと。
お金の為に働くこと。
分かりますか?」
「ええ」
「ある時、一人の悲しき魔神が反乱を起こしました。
その魔神の願いは、死。
魔神は死ぬという願いを叶えるために、自らの命という等価値のものを支払いました。
そして、その魔神を倒した少年は、世界を救うための等価を支払いました。
最愛の人という、少年にすれば世界と天秤にかけられるほど大事な者です」
「!?」

横島が話し始めたころはみんなわからないというった顔だったが
横島がここまで話た時、漸く理解した。
横島の言いたいことが。
「結果、世界は救われました。少年が大事な者をなくしたおかげで。
しかし、救ってもらった世界は、少年になにかを支払いましたか?
答えは、NO。
そのことを理解した少年は決意しました。
彼女。ルシオラと等価値になるまで、殺すことを」

みんな、あまりのことに声が出ない。
だが、横島が纏っているものは分かる。
それは、狂気。
「それで、まずはママを殺したって言うの?」

美神が俯き、尋ねる。
「違いますよ」

横島はそう言い、あの日のことを教える。
皆、信じられないと言った顔だ。
そして横島は続ける。
「あの女はね?教えてくれたんですよ。
人間など、ルシオラと比べる価値もないとな!?」

そして横島は笑う。狂気を纏って。



横島の話を聞き、皆思うことは様々だ。
特に、横島を慕い先生と呼ぶ少女、シロは。
「先生。どうしてでござるか?どうしてそんなこと・・・
拙者、拙者先生のことが・・・」

そこまでシロが言たとき、横島が口を開く。
「シロ。お前は俺に何かしてくれたか?
毎日散歩にも付き合ってやったよな?
お前はおれに何をしてくれた?」
「そ、それは・・・」

横島の問いにシロは口篭もる。
そして、あの横島がそんなことを言うのが信じられないでいる皆。
「あんたねぇ!いいかげんにしなさいよ!!」

美神が切れた。
そんな美神を見ても、横島は淡々と言う。
「美神さんもです。俺はあんたのためにあんなに頑張ったでしょ?
死にそうな目にあっても。
でも、美神さんはおれに何をしてくれました?」
「!っ!?」

そして皆理解する。
今の横島になにを言っても無駄だと。
「さぁ、始めようか」

戦いが、始まった。


戦いは、一方的だった。
横島の力に。
南極での、対パピリオ戦で使った作戦は、横島が文殊で【遮】って各個撃破。
皆一撃で戦闘不能。
今は美神との一対一。
「あんたと真剣にやるのは二度目ね」
「・・・シュミレーション特訓の時ですか?」
「ええ。あの時は負けたけど、今度は勝つ。絶対に」

美神の言葉を聞き、僅かに横島が微笑む。
「いきますよ」

美神の神通鞭が横島を襲う。
横島はそれを紙一重で避け、少しずつ近づく。
横島もう少しというところまで近づき、一気に間合いを詰めようとした瞬間、
美神の神通鞭が神痛恨に変化し、横島を上段から襲う。
美神が決まった!と思った瞬間、気を失った。
「ふ〜。さすが美神さんだな」

あの瞬間、横島は一瞬の内に美神の背後に移動し、首筋に手刀を繰り出した。
残っているのは、シロとタマモ。
アシュタロス大戦の英雄達は皆戦闘不能。
「拙者、先生と戦いたくないでござる」

シロは泣き、タマモは、
「一つ、聞いていい?」


質問する。


「何だ、タマモ?後、泣くなって、シロ」
「横島は、どうしてルシオラじゃなくて世界を選んだの?」
「ルシオラのこと知ってんのか?」
「まぁ、少しだけ」

横島は、タマモがルシオラを知っていることに驚いたが
また、話し始める。
「そ〜だな〜。ぶっちゃけ俺は世界を救ったつもりはない」
「?」

横島の言葉にタマモは思う。
(矛盾してる?)
「俺はな?世界なんていうどこの誰か知らないやつの為じゃない。
美神さんやおキヌちゃん、ピートにタイガー、雪乃丞。仲間達を救いたかったんだ。
もちろんシロもだぞ?タマモは・・・まだいなかったな」

横島の言葉にまた、シロは泣きだす。
「じゃー世界に等価を求めるの、間違ってない?」
「俺の気持ちはどうあれ、結果的に俺は世界を救った。
今、その支払いを世界に求めてるだけだ」
「そっか。やっぱりあんたは止めないとね。
その狂気を」

横島は微笑む。
「タマモは戦う理由を見つけたな。
シロは・・・」

その言葉に、シロはビクッ!と震える。
「拙者は・・・拙者も!先生を止めるために戦うでござる」
「見つけたな」

横島は笑う。悲しいような、嬉しいような顔で。
「横島忠雄が一番弟子!犬塚シロ、参る!?」
「金毛白面九尾の狐、タマモ。あなたを、解き放ってあげる」

しかし、
「どうした、シロ?まだまだ収束率が甘いぞ。
タマモも。そんな狐火じゃ駄目だ」

シロとタマモの攻撃に横島は余裕で避ける。
「はぁ!」
「燃え尽きろ!」

シロとタマモのコンビ攻撃は、悪くない。
悪くないどころか、人界でこれ以上のコンビ攻撃はないだろう。
それでも横島には、通じない。
「駄目だ駄目だ。もっと力を注げ。集中しろ。
限界を超えろ」

まるで二人を指導するように横島は避けつづける。
「そろそろ最後だ。俺も全力で行く。お前達も、限界以上の力でこい」
「生涯最高の一撃を食らわすでござる」
「九尾の狐の全妖力を叩き込む」

その言葉に満足し、
「行くぞ!食らえ、神魔刀!?」

神力と魔力が混ざり合い、その相乗効果で絶大な力を生む刀。
「はぁ!犬塚流桜吹雪!?」

桜吹雪のような連撃。
「食らえ!煉獄火炎!?」

それはまさに、地獄の業火。
三つの力が衝突し、そして・・・




今でない未来。
「ねぇ〜おばちゃん。魔人横島のお話して」
「はいはい。それは昔々、悲しい一人の魔神から始まったんだ。
そしてね・・・」


この世はすべて等価交換。
何かを得るには、何かを捨てなければならない。
その願いが大きいほど、大事な者を・・・。



ー後書きー
急に等価交換という言葉がよぎり、
勢いだけで書いちゃいました。
・・・考えなしって駄目ですね(反省)
次はもうちょいマシなの書きたいですね。

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