ザ・グレート・展開予測ショー

英雄のその後…-7-妖狐!


投稿者名:熊
投稿日時:(04/12/14)



「ハー…最近やたらと仕事が増えたような気がするな〜しかも一人で…

普通の人間なら過労死してるぞ…全く…一日10件なんて幾らなんでも多すぎよ…」

愚痴りながらも慣れた手つきで霊符を作成していく。

本当ならば美神から貰えば良いようなものだが、それでは余り役に立たないのだ…

本来、符とは本来、使い手の霊力が高ければ高い程威力が上がる。

だが横島の場合は勝手が違う、霊力がバカ高いにも関わらず素人に毛が生えたような威力になってしまう。

いや、符だけではない、神通棍、霊体ボウガン等、

除霊道具に代表される全ての道具と相性が悪い。

相性が悪いと言うか殆ど素人と同じにしか使えないのだ。

その事に気が付いたのは天心五行正需法を習い始めたとき斉天大聖手製の符を使ったときに判明した。

有る程度のレベルに達している術を行使する時には何かしら触媒が必要になる。

その触媒の殆どが使えないということに頭を悩ませた斉天大聖が、

苦肉の策として横島に自作の符を作らせたのである。

が、結果は大成功だった。

符自体の力は拙いも関わらず初歩とはいえ天心五行正需法を起動させたのである。

斉天大聖いわく

『確かに人の作った符より自分で作った符の方が相性がいいがここまで両極端な奴も珍しい』

だそうだ。

まあ、そんな理由でセカセカと作っているのだ、

だが実際の所除霊自体で使った数はほんの枚数程で殆どが自主訓練で使用されるのが現状だったりするが…

「よし!完成!」

明日は久振りに大きな除霊らしいそのため多めに作ったので肩が凝った。

「あ〜…近頃、美神…前にも増してがめついよな…」

そうなのだアシュタロスの事件で一時依頼が来なかった反動か、

前ならば絶対受けなかった様な小さな除霊まで受けているのだ。

その殆ど(というか全部)を横島へ丸投げするのである。

「ハァーなんか疲れた…今日ももう寝るか…明日も早いし…」

………
……


「じゃあ、確認ね。私とおキヌちゃんとが結界で包囲し、ゆっくりと狭めていく…

横島君が罠に誘導して止めを刺す…了解?」

「で、でも…それだと、横島さんだけ危険だし…大変じゃないですか?私も一緒に…」

「いいよ、おキヌちゃん…俺なら文殊もあるから大丈夫だよ」

「でも!」

「俺のためにこんなに真剣になって…うう…本当におキヌちゃんはええ子や…」

「ほら!おキヌちゃん行くわよあんたも馬鹿な事言ってないでさっさと行け!」

「あんたは少しは心配せや!」


〜横島side〜

「横島君、そっちに行ったわよ!」

「横島さん!気を付けてくださいね!」

俺は、美神さんの準備した結界のそばで気配を殺し待っている。

あ〜やぶ蚊が多い…し…なんかやだな〜

正直、今回の除霊は腑に落ちない点が多い…凶悪な妖怪だという割りに瘴気が殆ど感じられないし…

お役所から回ってきたにしても契約の罰則事項が多すぎる……



そろそろか…

微弱ながらも妖気を感じる…ガサッ!!

「よしゃ!かかった!」

穏行を解き一気に罠の地点に走るとすぐに'凶悪な妖怪'が見えた。

「なっ…狐…?」

横島が見たのは右後ろ足を引きずり必死に罠から抜けようとしている子狐の姿だ。

「横島君どう?捕まえた?」

チッ!何が凶悪な妖怪だ!

心の中で悪態をつく…時間が無い!自分の良心に従い直ぐ行動を起こす。

「火行をもちて仮初の形を成さん…木行をもちて欺くものまやかしを成さん」

取り出した符を用い罠にかかった妖狐そっくりの即席式神を作成する。

「乱暴ですまん…少し大人しくしててくれよ…」

次に子狐を文殊の'隠'と'癒'の文字と一緒に背負っていたザックに放り込む。

間に合った…そう思ったのも束の間、直ぐに美神さんの近づく気配がする。

「吸引!」

そお言うと先ほど作った即席式神が御札に吸い込まれる。

「横島君!良くやったわ!直ぐ燃やして!」

「でも…」

「早く!」

っく!本気かよ!

そお思いながらもポケットからライターを出し札を燃やすした。

どういうことか美神さんに問い質そおとするが、

その前に大勢の人間がこちらに向かって来る気配を感じそちらに意識を向ける。

しばらくするとオカルトGメンの制服を着た一団とその後ろに見知った顔…美神 美智恵 隊長と西条がいた。

「令子!九尾の狐はどうしたの!?」

美神隊長の言葉に無言で札の燃えカスを示す。

それにすぐさま近づき調べようとする。

まあ、まず分からないだろう…

即席式神を調べられればばれるが吸引した札…しかも燃えカスを調べても絶対に分からない。

「っく!アンタって娘はどうして無害な妖怪まで退治するのよ!」

「美神さん…無害ってどういうことです?」

その言葉を聞いて怒っている隊長とは正反対におキヌも顔を青くする。

「お金が好きなんだもの!しょうがないじゃない!

それに対象を知ったのは契約しちゃってからなんだもん!

契約破棄するにはドエライ違約金を払わなくちゃならないんだから!!」

…言うに事欠いて又金かよ…

俺とおキヌちゃんの態度を見てか、隊長が実は…といって詳しい事情を説明をはじめた。

………
……


「じゃあ…本当に退治する必要なんてなかったんですね?」

俺の言葉に隊長が悲しげに首肯する。

ああ…なんか感情がささくれてくる…

「ま、まぁ実際はそうだけど…退治しちゃったんだからしょうがなが無いじゃない?

それにどのみちあんだけ追い回したんだし恨まれるのはアンタって事で…ね?」

『(美神さん!)(令子!)』

ハハハ…といった調子で俺の肩を叩く'奴に'におキヌちゃんと隊長の鋭い声が飛ぶ

「う、うるさいわね!やっちゃたモンはしょうがないでしょ!ほら撤収!撤収!帰るわよ!ほら!」

………
……

………
……


〜Others side〜

あの後、横島は一言も発さず帰途に着いた。

車の中で何度も気を使ってくれたおキヌちゃんには悪いとは思ったが…

そういえば、おキヌちゃんも今回のことが相当頭に来たらしく抗議も兼ねて少し隊長の元で世話になるそうだ。

それで俺はといえば…

「いてっ!」

自宅で子狐とにらめっこしながら途方に暮れていた。

帰って直ぐザックから出したのだが…指先をガブリとやられた。

幸い食いちぎられるようなことは無かったが血がダクダクと流れ出たし…

まあ、山の中で追い回され怪我をさせられザックなんかに放り込まれれれば仕方が無いだろう…

「ほ〜ら敵じゃないよ…」

引きつりながらも笑顔を浮かべゆっくりと手を伸ばして治療をしようとするがザリときっ掻かれる。

既に横島の両手はボロボロだ。

「どうしたもんかな…」

そう声に出すと同時にグーとお腹が鳴った。時計を見ると既に9時近い…

「…え〜と確か…この辺にごん兵衛が…」

ああ…そうだコイツのメシも考えんと…つうか何食べるんだ?

さっき貴重なウィンナーをやったけど食べなかったし…狐って肉食だよな…?

それとも信用されてないからかな?

そう思いながらキッチンの隅に在ったごん兵衛にお湯を注ぐ。

少しするとおいしそうな匂いが辺りに漂い始める。

ピクッ!

?反応した…?

試しに蓋を取り麺を子狐の前で突付いてみる…が反応が無い

次に上に乗っかっている大きな油揚げを突付い…ピクッ!…反応が有るようだ。

俺は剥がした蓋の裏に油揚げを乗っけ差し出してみる。

最初は油揚げの前をウロウロしたり匂いを嗅いで見たりしたが直ぐにかぶりついた。

「おーいい食いっぷりだな…ってか狐って本当に油揚げが好きだったんだ…」

カップうどんとしては大きな油揚げだったが飢えた狐の前では大した量ではなく直ぐに食べ終わってしまった。

あ〜油揚げの買い置き何て無かったよな…等と横島が考えているとポッンッ!と言う軽い音がし、子狐のいなくなった。

「へ、変化?」

先ほどまで子狐がいた場所には12〜13歳の美少女が出現した。

横島の守備範囲ではないが本当にかわいらしい女の子だ。

「勘違いするな!食べたのは妖力を取り戻す為だけ!

アンタの軍門に下ったわけじゃない!」

犬歯をむき出しにし威嚇をする。

「軍門って…まあまあ…そんなに熱り立つなよ…なっ?」

「ふざけんな!お前もあの女の仲間だろう!目的は何!?お金?名誉?それとも私の体?!」

「…まあお金が無いけど名誉何ていらないし可愛いとは思うけどまだ俺の守備範囲じゃないから…」

「…アタシを馬鹿にしてるの?」

先ほどの様に声を荒げないが迫力がある声と共に横島を睨み付ける。

「そお言う分けじゃないけどし、本当なんだけどな…まあ、理由はどうであれ一応命を助けたんだから少しは信用してくれよ…」

「…」

「沈黙は肯定と取るよ?…で名前は何て言うんだ?俺は横島…横島 忠夫」

「…タマモ」

短くだが横島の声に答える。

「タマモかいい名前だな…」

「…」

「ハァー…なあ…タマモこれからどうする?」

「あのクソ女に復讐するに決まってるでしょ!」

「無茶」

間髪いれずに横島が突っ込む。

「なっ!」

「残念だけど美神さんとタマモじゃ勝ち目が無いよ…それくらい分かってるだろ?」

「煩い!やって見なきゃ分かんないでしょ!」

「森の中なら兎も角ここじゃ…」

「煩い!煩い!煩い!!やっぱりアンタも敵!」

タマモがそう叫ぶと横島の目の前にいきなり青々としたプールが広がる。

「幻術!?」

この時横島は一つ間違いを犯していたタマモを怖がらせないために符の一切を持っていなかったのだ。

目の前に広がるプールを全力で泳ぎたくなる気持ちを抑え幻術を破るべく術を組み上げる。

「土行を持って金行を足らしめる…鍛えし刃を用い木行を哭さん!

まやかしを打ち破らん!理に従いて真実を写さん!」

符という触媒えお持っていればこの程度の幻術タイムラグ無しに打ち破れるが素手の状態ではそうも行かない。

横島が幻術を打ち破った時にはすでにタマモの姿は無かった。

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