ザ・グレート・展開予測ショー

英雄のその後…-5-妙神山!


投稿者名:熊
投稿日時:(04/12/12)

「よっ…ふた「ヨコシマ〜!」

正門に戻り鬼門に話しかけようとした時、

門が内部から開かれ(というか吹き飛ばされ)パピリオが横島に抱きついてきた(というかタックルだ)。

(あ…たしかここって内開きだった様な…)

滞空時間の間に下らないことを考えている間に背中が岩に叩きつけられた。

「ヨコシマ〜!ヨコシマ〜!やっぱりヨコシマでちゅ〜」

「あ、ああ…元気そうだな…パピリオ…

今度からはもうちょっとソフトに喜びを表現してくれると、とてもうれしいんだけど…」

すりついて来るパピリオの頭を撫でる。

「パピリオ!サボっちゃ駄目!って…横島さん!」

「あ、小竜姫様、ご無沙汰してます!相変わらずお美しい!」

パピリオに抱き付かれているため何時ものように手を握りに行くことはできない。

「お久しぶりです…横島さん…ところでパピリオ横島さんに迷惑でしょ…離れなさい」

「むっ、小竜姫、そんなことないでちゅ!それにパピリオの言った通りヨコシマが来たでちゅ!」

「何言ってるんですか!たまたまでしょ!一ヶ月前も横島さんが来た〜!ていって修行をサボって!」

「そんなことないでちゅ!

ヨコシマとベスパちゃんだけは近くに来たらわかるんでちゅよ!

嘘なんて付いてないでちゅ!」

「まあまあ…二人ともここは俺に免じて…」

ガーとにらみ合う二人に横島が仲裁に入る。

「ヨコシマがそう言うんなら…」

「横島さん…ハァー分かりました…

今回はお一人の様ですけど…どうなさったんですか?」

「ああ…今事務所に依頼が余り無いから休みをもらったんですよ…

それで、で許可が頂ければ2〜3日パピリオの相手をしようかな〜と」

「そうでちゅか!さすが元パピリオのペットでちゅ!

きちんと恩を覚えているんでちゅね!じゃあじゃあ!

一緒にゲームして一緒にお風呂に入って一緒のお布団で眠るでちゅ!」

すでに遊ぶ気満々のパピリオに手を引かれながら小竜姫の方に目で許可を求める。

「…分かりました…せっかく横島さんが来てくれたんですから許可します…た・だ・し!

ゲームは良いですけどお風呂やお布団で一緒に寝ると言うのは駄目ですからね!パピリオ!」

「行き遅れのオバちゃんがうるさいでちゅ…」

「パピリオ!!!」


〜小竜姫side〜

「全く!誰が行き遅れのオバちゃんですか!

私の同期だってまだ結婚なんてしている方が珍しいです…多分…きっと…」

パピリオの駆けていった方を睨みながら不意にため息が出る。

一緒に暮らしてまだ大して時間が経っていないけどあんなに嬉しそうなパピリオを見るのは初めてだ…

横島と仲の良かった事は知っていたが、正直接した時間はそんなに長くない筈だ。

なのにあんなに懐いているのを見ると少なからず横島に嫉妬を覚える。

「…って、馬鹿のこと考えていないでお茶の用意でもしよ…」

そお思い直しキッチンに足を向ける。

簡単な茶菓子と緑茶を用意しパピリオの私室へと足を運ぶ。

「だー!また負けた!」

襖を開けると横島の叫び声が聞こえた。

どうやら'げーむすてーしょん'といわれる人間のゲーム機で遊んでいるようです。

「馬鹿な…あの時より格段に強くなっている…」

「…パピリオが強くなり過ぎまちたか…敵が居ないというのはむなしいでちゅね…」

そりゃ、修行サボってゲームばかりやってればうまくもなるでしょうね…

横島さんが帰ってらみっちり修行を付けること心に誓い二人に声をかける。

「二人とも…ちょっと休憩しませんか?」

「あっ小竜姫様、ありがとうございます」

「げっ…小竜姫」

「随分熱中しているようですね」

'げっ'とは何ですか!'げっ'とは…

「いや〜前にパピリオとハマっていたゲームの最新版が出たんですよ…

前は俺の方が強かったんですけど…」

「そんなに面白いんですか?」

「小竜姫にはわからないでちゅ。さ、ヨコシマ続きをやるでちゅ」

私と横島さんが話しているのが気に食わないのか横島さんの腕を引きゲームの続きを要求する。

「ちょっと待ってくれ…俺もお茶を飲みたいから…そうだ!小竜姫様もやってみませんか?」

「はっ?」「えっ?」

私とパピリオの驚きの声が重なる。

「ちょ、ちょっと待ってください…私ゲームなんて」

「仲良くなるコツは自分の土俵に招くより自分から相手の土俵に行くことですよ…」

断ろうとする私に横島さんがポツリと耳打ちする。

「小竜姫…怖いなら逃げてもいいんでちゅよ?」

何を?と横島さんに問う前にパピリオが私に喧嘩を売ってくる。

「…誇り高き竜族が敵前逃亡などしません!それが例えゲームだとしても…」

「へ〜え…無謀さだけは認めて上げるでちゅ…」

「ほざきなさい…」

………
……


「な、何でですか!どうして!」

私とパピリオとの決着は直ぐに付いた。

一方的に嬲られ私のキャラはやられてしまった…しかも画面にはパーフェクトの文字が踊っている。

「…結果の分かった勝利程虚しいモノはないでちゅね…」

「納得いきません!再戦を要求します!」

「ふふ…愚かでちゅね…」

………
……

「もう一回!」
………
……

「まだです!」
………
……


自慢ではないが私は神族の中でも優秀な部類に入ると思う…

韋駄天の技である超加速を会得し弟子を取らないことで有名な老師の弟子にもなった…

なのに…なぜ…どうして…

「なんで〜!」

「…そろそろ諦めたらどうでちゅか?」

「うう……パピリオ!何かずるしてるんじゃないですか!」

「…自分より格下の相手にそんなことする筈がないじゃないでちゅか」

そう言ってパピリオがはぁ〜とわざとらしくため息を付く…

「でも!でも!そうじゃなきゃ説明が付きません!

同じキャラで同じ様に動いたのに何で私ばかりダメージを食らうんですか!」

「当たり前でちゅ。技を出すタイミングは臨機応変に変えるものでちゅ。

小竜姫の様に毎回同じパターンで出してればガードやカウンターを取るのは簡単ねちゅ…ようは単純なんでちゅ」

「単純…そ、そんな…」

その言葉にガーンとショックを受け私にパピリオが更に追い討ちを駆ける。

「そろそろお腹が減ったでちゅね…負け犬で単純な小竜姫ご飯を作るでちゅ」

「…っく!」

視線で人(魔族?)が殺せたら…という位パピリオを睨んでいると、

不意に私が持ってきたお盆が目の前に現れる。

「はい…そこまで…」

「よ、横島さん」

「ヨコシマ!」

「二人とも随分熱中していたね」

この言葉を聞いて穴が在ったら入りたい程の恥ずかしさを感じだ。

「す…すいません…直ぐ食事の支度をします!」

「ああ!もう、できてますよ!」

「えっ?ヨコシマが作ったんでちゅか?」

「ああ、結構自身があるんだぞ…なんせ20ね…

ゲフンゲフン20ヶ月は自炊をしていたからな…ウン!」

「…なんかビミョーな言い方でちゅね…まあいいでちゅ…じゃぁヨコシマの腕前を見せてもらうでちゅ!」

「ああ、存分に見てくれ!あっ、

パピリオ悪いけど箸とか茶碗がどれ使っていいか分からなかったから先に行って用意していてくれないか?

俺もトイレ行ったら行くから」

「分かったでちゅ!」

パピリオが部屋から出るのを見計らってクルリと横島さんが私の方を向く。

「あっ…す、すいません…お客さんである横島さんに料理をさせてしまって…」

「いえ…そんなの気にしないでください。それよりどうでしたか?」

「えっ…?」

「パピリオです…まぁ傍から見てると大成功のようでしたけど…」

ドキリとするような笑顔を私に向けてくる。

「ねぇ…小竜姫様…子供と上手く付き合うコツは子供の視線に立って物事を見ることです…

上から見渡してアレやれコレやれでは上手くいきません…」

確かにあんなに長くパピリオと一緒に居て笑ったりしたのは初めてだ。

あっ…私は今ようやく理解した…

ようは私とパピリオの仲を取り持つためにワザワザこの場を用意してくれたのだ。

いくら本人のためだといえ修行修行では上手くいかない相手のことを理解し相手に理解して貰わなければいけない…

そう横島は言っているのだ。

「…ありがとう…ございます」

正直恥ずかしい…私の1/10も生きていない横島さんにこんな大切なことを教えて貰うなんて…

「いえ…気にしないで下さい」

やさしい笑顔を浮かべていた横島の目が一瞬ギラリと光ったよな気がした。

その瞬間体が無意識に拳を放ち…

「お礼は体ゴハッ!」飛び掛ろうとした横島さんの顔面に見事命中した。

「全くもう!」

何て状況が読めない人かしら!ああいう時は後ろからやさしく抱きしめたりすれば私だって…

って!キャー私ったら何考えてんの!

「ほら!横島さん!パピリオが待ってますよ!」

自分でも分かるほど真っ赤な顔を誤魔化すため、

伸びてりる横島さんを引きずり食堂に急いだ。


〜追記〜

横島さんの作った料理はとてもおいしかった…

なんというか…私の女としての自信とプライドを粉砕するほどに…はぁ…

〜追記2〜

「み、右の…生きておるか…」

「ああ…なんとかな…」

「なぜ、我等がこんな目に…」

「言うな…左の…これは脇役の宿命だ…」

「しかし…小竜姫様にまで無視されるとは…」

『ウォーーー』

その夜、悲しき脇役の慟哭が妙神山に響いく。

「五月蝿いでちゅ!」

だが…それもドンと言う鈍い音の後直ぐに聞こえなくなった…

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