ザ・グレート・展開予測ショー

横島とおキヌ[終]


投稿者名:NEWTYPE
投稿日時:(00/ 5/ 9)

ふっ・・・正体をばらしましたか・・・。
本当に役に立ちませんね・・・キカイダー。
あなたには荷が重過ぎましたね・・・。
一端に名をなのるなど・・。
あなたには後で正義の鉄槌を・・・・・おっと失礼!
先に話を書きましょうかね。つまらないですけど読んでいただければ・・・。
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「ぐ・・・うぐ・・・」
横島はいまだ絶望の淵にいた。
「横クン、いつまで泣いてんの!」
その時美神の明るい声が聞こえた。
「!美神さん・・。」
美神は黙って横たわっているおキヌを見やった。
「ったく、いつでも自分のことは二の次なんだから・・!!」
「全部見てたんスね。」
「まあね。」
「それで美神さん、おキヌちゃんは・・死んじゃったんスか?
俺・・信じられなくて・・。」
「・・・大丈夫、死んでないわっ!」
「本当ですか!?」
「ええ・・!!横島クン、アンタ文珠「滅」をおキヌちゃんに投げたって言ったわよね。
あれで実際に滅んだのはバナロスの魂だけなのよ。その証拠におキヌちゃんに外傷は無いでしょっ。」
「あ・・そう言われればっ!。」
「でも・・だったらどうしておキヌちゃんがこうなっちゃったんですか!?」
横島がおキヌの冷たい腕を握って見せた。
「・・おそらく「滅」でバナロスが消し飛んだ時の衝撃でおキヌちゃんの魂もいっしょにどこかへ飛ばされちゃったのよ。今ごろこの体を探してさまよっているか、もしくはショックで気絶してるかも・・・・。」
「じゃ、じゃあどうすれば・・!?」
「安心なさい。おキヌちゃんの体に直接私の霊波を送ってみるわ。そうすれば、おキヌちゃん私に気づいてここに戻ってこれると思うの。」
美神は言い終わるとそっとおキヌの唇を口で塞いだ。
「み・・美神さんっ一体何を・・?
「・・・この方法が一番手っ取り早いのよ。」
美神が霊波を送り込むとおキヌの体から眩い霊力の帯びが出現した。
「フゥ・・・・。」
美神は唇を離すと、ドッと床にへたり込んだ。
「まぁ・・、これで大丈夫でしょ!!。」
「あ、ありがとうございます美神さん!!・・・よかったな、おキヌちゃん!」
横島はまだ意識の戻らないおキヌの体を優しく抱き起こした。
美神もやれやれといった感じで見ている。
だが、すぐに横島が顔を引き締め美神に寄って来た。
そして・・・
「美神さんっ!」
(ちょ、ちょっと何なのよ一体!?)
「美神さんっ!」
「は、はい・・」
美神は真顔の横島に見つめられているだけで体中から力が抜けていった。しかし・・・
「おキヌちゃんが目覚めませんっ!」
「・・・・・・・・・・・・へ!?」
「だから、おキヌちゃんが全然起きないんですよ!」
「あ・・そ、そうなの・・・・。」(・・なんだ)
予定通りの展開に美神は少しガックリした。
「そうなの・・じゃないッスよ!!どうするんですか!?」
「そ、そうね!ちょっと待って、今考えるから。」
(う〜ん・・おキヌちゃんをなんとかしなくちゃ。私の霊波でも気づかないってことは・・・もしかして幽体のまま気絶しちゃってるかもしれないわ。・・だとしたら厄介ね。おキヌちゃんに何か強烈な刺激を与えながら霊波を送り込まないと。・・・!!横島クンなら・・・ダメ!それだけは絶対ダメ!・・・でもこれしか方法が・・・・)
美神はウーンと唸りながら頭をポリポリ掻いている。
「どうです、美神さん?」
「・・方法が・・無いわけじゃないわ。」
「どうすればいいんスか!?早くしないと・・」
「・・・アンタが・・・私と同じことをするのよ。つまり、その・・キ、キキ、キスをしながら体内に霊波を送り込むの・・・!?ちょ、ちょっと横島クン!?」
見ると既に横島がおキヌと口を合わせて霊波を送り始めていた。
その横島の必死の姿を見ていた美神は複雑な気持ちになった。
「プハーーーー、・・・こ・・・これで・・・え!?」
ドサッ
「ちょっと、横島クン!?」
「・・・・・・」
どうやら霊波を放出し過ぎて先に気絶してしまったようだ。
「アンタ、相変わらずバカねー。やり過ぎよ!」
美神が呆れたようにつぶやく。
と、その時・・・
「ん・・んん・・・横島さん、横島さんどこ?・・・!あれ、ここは・・・私・・・・
生きてる・・・?」
「あ、気がついた!?」
「み、美神さんっ!!私・・・私・・・。」
おキヌの瞳が徐々に濡れていく。
「ほらほら泣かないの!それもこれも横島クンががんばってくれたおかげなのよっ!」
「・・・やっぱり・・・横島さんでしたか・・。」おキヌは納得したような表情で床に目を向けた。その目に気絶している横島の姿が入り込んだ。
「横島さんっ!?たいへん!美神さん、横島さんが倒れてますよ!?」
「だからそれはね・・・」
美神はおキヌが倒れてからのいきさつを簡単に説明してやった。
「そう・・・そうだったんですか・・・。私・・いつも助けられてばっかりで・・・。」
おキヌの表情が急に暗くなっていく。
「そんなに気にすること無いわよ。おキヌちゃんだってネクロマンサーの笛で私達を何度も助けてくれてるじゃない。困った時はお互い様でしょっ・・・それに、このコーナーじゃアンタ一番人気あるみたいだし。もっと自分に自信持ちなさいよ!」
「・・・最後の方はよく分かりませんでしたけど、励ましてくれて有難うございます美神さん。おかげで少し元気が出てきました。」
おキヌの顔から僅かに笑みがこぼれた。
「全く・・すぐ落ち込むんだから・・。さてと・・・おキヌちゃん、私これから次の仕事行かなきゃいけないから。後のこと頼むわね。」
「え、でもまだ横島さんが・・・」
「・・・アンタ達、まだ乗り物とか全然乗ってないんでしょ!?」
「え・・・?どうしてそれを・・・?」
「(しまったー!)さ、さ〜ね?あ、早く行かなくちゃ!それじゃお願いね!」
美神が足早に去っていこうとする。
その時、美神のそそくさした態度を見ていたおキヌが何かを理解したように口を開いた。
「美神さん・・・ありがとうございます!」
後ろを向いたままやれやれといった仕草をとる美神。
「おキヌちゃん・・・今日だけよ!」
「はい、分かりました!」
会話を終えると美神は足早に帰っていった。(あ〜あ、私もお人好しよね〜)
その後姿を見送るおキヌ。(美神さん、今日だけ楽しませてもらいますね。)


おキヌは美神を見送ると、まだ気絶したままの横島にゆっくりと歩み寄った。
そして、耳元につぶやくように優しく語りかけた。
「横島さん・・・また私助けられちゃいましたね・・・。普段は皆からバカとかスケベとかよく言われてるけど・・・いざという時は本気で私達を守ってくれる・・・。」
おキヌは言いながら横島の前髪を優しく掻き揚げた。赤いバンダナが汗で湿っている。
「私は・・・横島さんが本当は誰よりも優しい心を持ってることを知ってます。横島さんて、うまく自分の気持ちが表現できないんですよね。でも・・・そういう優しいところや
不器用なところ全部含めて私、横島さんのことが好きみたいです。
横島さんは私のこと妹のように思ってるかもしれないけど・・・もう少し私の気持ちに気づいてほしいです。でも・・・今は楽しいから満足です。こんな頼りない私ですけど・・
これからもよろしくお願いしますね。」
言い終わるとおキヌはそっと横島に口付けした。
その時、横島の体が微かに動いた。
「こ・・ここは・・おキヌ・・ちゃん・・?」
「あ!横島さん気づきました!?」
「お・・・・おキヌちゃんっ!!」
 ガバッ
おキヌに思いっきり抱きつく横島。
「えっ!?」
「良かった・・・本当に生き返ったんだな、おキヌちゃん!」
「ちょ、ちょっと横島さん!?」
急に横島に抱きつかれて耳まで赤くなるおキヌ。
「・・・・・・」声に出しはしなかったが横島は泣いていた。
「横島さん・・・」横島の温もりを肌いっぱいに感じ取ったおキヌは黙って体を預けることにした。こうして二人は抱き合ったまま束の間の再開を喜び合った。
二人の様子を静寂だけが見つめていた・・・。
一分後・・・


「よ、横島さん苦しい・・・」
「え・・あ・・ご、ごめんっ!」
自分のしたことに気づいて思わず後ずさる横島。顔が真っ赤だ。
「いえ・・・」おキヌもほんのり顔を赤らめている。
しばし沈黙する二人・・・。
「そ・・・そう言えばさぁ美神さん何処に言ったんだ。さっきから居ないようだけど?」
「あ、美神さんなら先に帰りましたよ。まだ仕事が残ってるからって。」
「美神さんも薄情だよなー。助手がこんな目に遭ってるって言うのに。」
「何言ってるんです!私達に気を遣ってくれたんですよ!」
「え、そうなの?」
「もう・・・。」
こっち方面には鈍感の横島に、ただただ呆れるしかないおキヌ。
二人はとりあえずお化け屋敷を出ると、近くのベンチに腰掛けた。
「・・・それにしても本当に良かったよ。」
「美神さんと横島さんのおかげですよ。いつも迷惑ばかりかけてごめんなさい。」
「そんな、気にすんなって。・・おキヌちゃんてさ、何だか側に居てくれるだけで俺達元気になれるんだよな。安心できるってゆーかさ。それに・・おキヌちゃん守るのは俺の役目だし。そりゃ昔はあんまり頼りなかったかもしれないけど、今はかなりマシになっただろ!?」
「横島さん・・・」
おキヌの胸に再び熱いものが込み上げてくる。
その時、横島が何かに気づいたようにハッと顔を上げた。
「そうだ、おキヌちゃん!そう言えば俺達まだ全然乗り物とかのってないんじゃ・・・。
せっかくフリーパス券買ったのに(俺の金じゃねーけど)。・・げ、あと30分で閉まっちまう。・・どうするおキヌちゃん、これから乗りに行くか?時間あんまり無いけど・・。
「はい、喜んで!!」
おキヌはニッコリ笑うとギュッと横島の腕にすがり付いた。
「お、おキヌちゃん!?」
「さあ、行きましょう!」
「あ、ああ。」
おキヌは立ちあがるとテレる横島を引っ張るようにして駆け出した。
「ちょ、ちょっとおキヌちゃん!」
急に走り出したおキヌに足がまだおぼつかない横島。
その時、ふとおキヌの後姿が目に入った。
「・・・やっぱりかわいいよなー。」
「え?何か言いました?」
クルッとおキヌが振り返る。
「あ・・いや、何でも無い。さ、行こう!」
「?・・はいっ!!」
満面の笑みで答えるおキヌ。
(ドキッ)横島はその笑顔にしばし見とれてしまった。
そしてこの時、今まで有耶無耶にしていた横島の感情に確実に変化が起こり始めていた。


 




 














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