ザ・グレート・展開予測ショー

蛍・導


投稿者名:蒼空
投稿日時:(04/12/ 6)

アシュタロスの起こした反乱事件。通称"魔神大戦"が終結して、はや五年の歳月が流れた。
穏やかな日々が続いていた。
平和な世界。いつもの日常。
だが、そんな穏やかな日常も、ある日唐突に終わりを告げる。
一人の、心に大きな傷を持った青年が、日常を、世界を否定したその時に。


いつもの日常。変わらない毎日。変わらない”俺”。
毎日シロの散歩に付き合って。
毎日悪霊を除霊して。
さりげなくたかってくるタマモがいて。
ヒノメの子守りをして。
依頼人にちょっかい出して美神さんに折檻を受けて。
それをおキヌちゃんが諌めて。
そしておれが謝る。今までどおりに。変わらなく。

分かってる。これが、仮面だってことぐらい。
でも、変わらない俺を、ルシオラが望んだんだ。
今までと変わらないように振舞う自分。
笑顔の仮面でバカやる自分。

そんな日常が、世界が、ルシオラを・・・否定しているようだった。
みんなの、まるでルシオラが”初めからいなかった”ような態度も!
平和な世界も!
変わらない日常も!
すべてが!ルシオラを否定しているようだ!?

誰のおかげで今!生きていられると思ってんだ!?
ルシオラのおかげだろ!!
どうしてルシオラを否定する!!
ルシオラを否定する日常など!世界など!
俺は・・・いらない。


最近、横島の様子がおかしい。
どこがおかしいと聞かれれば困るが、確かにおかしい。そう感じる。
いままでは、夕日を見れば悲しそうな顔してたのに。
今は、なんだか、怖い顔してる。
あの表情から察する感情は・・・憎悪。

横島に対する夕日の意味は知ってる。
一度だけ、横島に聞いたことがある。
だから、横島が夕日を見て悲しそうな顔するのはわかる。
でもなんで?この頃の横島は、夕日を見る時のあんな表情するの?
わかんないよ、横島。


「で、なんでタマモが俺の家にいるんだ?」
横島は、不思議そうにタマモに尋ねる。
「う〜ん・・・なんでだろ?気がついたら近くまで来てたからかな?」
「はぁ〜」
そんな風に答えるタマモに、横島はあからさまにため息を吐く。
「・・・なによ?」
「おまえなぁ、俺だって男だぞ?」
「知ってるわよ」
「・・・はぁ〜」
今のタマモと横島の状態は、横島の布団の中にタマモが潜り込んだ状態。
もちろん、タマモは下着のみ。
「襲われても知らんぞ」
「襲う勇気があるならご自由に」
タマモは知っている。横島は絶対に手うぃ出さないことを。
横島も諦めたのか、はぁ〜とため息を吐いて黙る。
しばらくの沈黙の後、タマモが話し掛ける。
「世界が・・・憎い?」
「!!」
そんなタマモの突拍子もないこと。
しかし、横島の心ろ的確に読んだ一言。
「なんで、そう、思うんだ?」
「う〜ん、なんていうのかな?私と同じだから?」
「同じって・・・今もか?」
「今はそう思わないけど、横島に助けられる前とか、再開するまでかな」
横島の言葉は、タマモと質問に肯定したも同義。
「私と・・・同じ顔してた」
少しして、横島は観念したように話始める。
「正直、憎いかどうかよくわからん」
「なにそれ?」
「ルシオラが命を掛けて守った世界だからな。壊したいとは思わん。
だけどな、ときどき・・・やるせない気持ちになるんだ。
ルシオラがいないのに、今までと変わらない平和な世界。それを壊したいと思う時も確かにある。
だけど、やっぱりルシオラが守った世界だからな。大事な仲間もたくさんいる。
その仲間を守りたいとも思う。・・・矛盾してるよな?」
ハハハッと、横島は力なく笑う。
そして沈黙。
「過去に戻る・・・ってできないの?」
唐突にタマモが言う。
「・・・できないこともないな。だけど、たとえ戻ったとしてもそれは過去じゃない。
良く似た違う世界だ。」
「平行世界(パラレルワールド)ってやつ?」
「そうだな。それも一つの選択肢っだけどな。さぁ、もう遅い。寝るか?」
「うん」
二人は眠りにつく。横島の決意と共に。


ー翌日ー
「美神さん。俺事務所やめます」
いつもの中、横島のこの一言でみんな固まる。
「・・・理由は?給料上げたし不満はないでしょ?」
「そうですよ、横島さん」
「先生!やめないで下され〜!?」
美神の言葉をきっかけにみんな一斉に横島を止める。
横島は、
「もう、決めた事なんです」
「・・・そう。わかったわ」
横島の決意の目に美神が折れる。
「そんな!美神さん!?」
「美神殿!?」
「それじゃーお世話になりました」
おキヌとシロの呼びかけも虚しく、横島は事務所を出て行く。
そんなやり取りを、タマモは黙って聞き、考え込んでいた。


ー空き地ー
「行くの?」
「・・・ああ」
「一人で?」
「・・・ああ」
タマモの問いに、横島は短く答える。
「時間移動してもそれは平行世界。違う世界でしょ?昨日横島が言ってたじゃない!?」
「そうだな」
「わたし、横島のことが好き。だから、行か、ないで」
タマモの泣きながらの告白。
それを聞き、横島がタマモに語りだす。
「ありがとう、タマモ。でもな、だめなんだ、もう」
「なにが?」
タマモには横島が何がいいたいのかわからない。
「俺の中には魔族因子がある。ルシオラが俺を救ってくれたものだ。それは知ってるよな?
でもな?本来、人間の魂と魔族因子は合わないんだ。魔族因子の力が強すぎてな」
横島がここまで言ったとき、タマモにも横島が何をいいたいのかわかった。
「俺の、人間の体には、もう限界なんだ。おれはもう、だめなんだ」
「そんな!イヤだよ、横島。行かないで」
「ごめんな?結構好きだったよ、タマモ」
「!!」
横島の手には、双文殊。
文字は、”蛍・導”。
「”蛍”(ルシオラ)の元へ”導”いてくれ」
「横島〜〜!?」


こうして、魔神大戦を終わらせた、英雄[横島忠雄]は消えた。
たった一人の少女に見送られ。
後に、このことを知った者は涙を流し、来世で会うことを誓う。
数百年後、一人の少年が、除霊事務所で働き出すのは、
また、違うお話。




ー後書きー
なんだか、勢いだけで書いてよく分からない話に。
魔族因子は人間には合わないとおもいましたんで、
こんな感じに。
・・・ごめんなさい(土下座)

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