ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 15〜横島コーチの猛特訓〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/12/ 1)

{妙神山修行場}

小竜姫様が重くて優しい言葉を残してでていった後俺は自分の考えの中に沈んでいた。
そう、俺は俺らしく、ルシオラにそう誓ったはずではなかったか?だが俺には・・・
そんな思考の螺旋に陥りそうになった・が・この二人がそれを許してくれなかった。

「ヨコシマ〜コイツ弱すぎて相手になりまちぇん。交代するでちゅ。」

「ヨコシマッ!ヨコシマは私の味方よね?お願い仇をとってちょうだい。」

いきなり部屋の中に駆け込んで来ると何やら口走っている。二人の後ろから部屋に戻って
きた小竜姫様に事情をきいてみると、パピリオは小竜姫様の戒めを守り、安易に力の行使
に走らずにゲームでの決着を提案したそうだ。タマモも挑まれたらあとには引けず勝負に
応じたらしいが、さんざんゲームをやり込んだパピリオに勝てるはずもなく全敗したらし
い。そりゃそうだろう俺でさえパピリオには負け越してるんだからな・・・

結局タマモの仇を取るべく俺も参戦する運びになった。流石に負ける訳にはいかなかった
のでハメ技まで使って何とか勝ったのだが、今度はどこで様子を見ていたのか斉天大聖老
師まで参戦してきた。こうなると妙神山最強を誇るゲーム猿に勝てるはずもなく・・・

「ホッホッ、まだまだ修行が足らんのう横島よ。」

なんの修行ですか老師?
タマモはいきなり参加してきた老師を不思議そうに見ていたが俺が斉天大聖老師だと紹介
すると本気で驚いていた。そりゃそうだろう。道教の神々の中で最強を誇る顕聖二郎真君
と互角に闘った最強の妖怪孫悟空の実態がゲーム猿なんだからな。

「サル老師でかしたでちゅ!パピの仇を取ってくれたんでちゅね!」

パピリオは大喜びだ。お前俺と遊びたかったんじゃなかったのか?目的を見失っとるぞ。
それからの1週間はゲーム三昧だ。一応俺は合間をぬって冥子さんの訓練プランを小竜姫
様と練ったりもしたんだが、タマモの集中力は凄かった。その上達ぶりは目覚しく俺とは
もう互角だったりする。だがパピリオの壁は厚く、老師は更に遠い頂だった。

パピリオは上達したタマモを負かすのがとても楽しそうだ。その二人を傍から見ていると
とても仲の良い友達同士に見える。考えてみたら二人とも同い年くらいの友達って初めて
じゃないか?(二人とも実際一歳未満だしな)

ああ・・・俺はそんな二人を見ているとやっぱり幸せを感じているらしい。だったらこの
ままで良いのかな? そうだな、それも《俺らしく》だよな。

老師は老師でタマモの事が随分気に入ったらしくゲームのコツなどを色々と教えている。
タマモも凄く真剣な表情で聞き入っている。まるで仲の良い爺さんと孫のようだ。

タマモを見ていて気付いたが妙に小竜姫様にだけ距離を取っているようだ。小竜姫様もそ
の事に気付いているがタマモが保とうとしている距離を受け入れているようだ。???

そんなこんなで妙神山組に下界組が大きく負け越したまま下山の日がやってきた。
俺たちは再戦を約し、小竜姫様には心からの感謝の言葉を贈って俺達は山を降りた。
見送ってくれた小竜姫様の優しい視線が何故かとても印象的だった。

山道を降りていく途中でタマモが話し掛けてくる。
「ねえヨコシマ、帰ったらすぐに同じゲームを買いましょう?このまま負けっ放しなんて
我慢できないわ!」

俺は笑いながらわかったと告げると気になっていた事を聞いてみた。

「なあタマモ、お前小竜姫様のこと嫌いなのか?」

「嫌いじゃないけど・・・ヨコシマこそなによ!あの人に対してだけ全然態度が違うじゃない!」
いや、それは当たり前だろう。あのひとは俺にとっては師匠なんだから。そう言うと

「何言ってるのよ!だったらお爺さんだって師匠でしょう?しかもお爺さんの方が強いっていうのにヨコシマの態度はおかしいでしょう!?」

爺さんってのは老師の事か・・・随分と懐いたもんだが、言われてみりゃそうだよな?

「そうだな、別に老師の事もすごく尊敬してるんだが・・・なんでだろうな?」

「知らないわよヨコシマのバカッ!! もうキライッ!!」

うわっ!これは効いた。タマモの「キライ」はきっついな〜。俺はひたすら謝りながら何
とかご機嫌をとろうとしたが途中でゲーム機とソフトを買って家でその梱包を解くまでタ
マモの不機嫌はなおらなかった。何故だろう?さっぱり解らない・・・





俺の名は横島忠夫。ちょっぴり過労死しそうなあんまり普通じゃない高校生だ。
俺は今、高校生、GS、映画スタッフの3足のワラジを履いている。学校に関しては単に
寝に行ってるだけだから割愛させていただこう。

どちらから話そうか、まずは冥子さんの訓練から話をしてみよう。
六道除霊事務所への初出勤の日、この日はタマモの初登校の日でもあったので俺は自分の
学校はサボッてタマモを送っていった。俺の予想通り六女の制服はタマモにとても良く似
合っていて、お嬢様学校として名高い六女の生徒といえどタマモの半分程も可愛い生徒は
一人もいなかった。

「いいか、タマモ今日から中等部の1年生なんだから頑張るんだぞ。もしイジめられたり
したらソイツの名前と住所を俺に言え、俺が地獄の果てまで追い詰めてやるからな!」

と愛情あふれるアイサツで送り出そうとすると
「もう、わかったから早くいきなよ。今日が新しい事務所の初出勤でしょ?」

といわれてしまった。自分だって初登校なのにわざわざ俺の事を気遣ってくれるなんて、
つくづくとタマモは良い子だな〜。

と・いう訳でやってきました六道除霊事務所。
「お早ようございます六道所長、今日からよろしくお願いします!」

まずはキチンとした挨拶からだ、
「おはよう〜横島君〜所長なんて堅苦しいから〜冥子ちゃんって呼んで〜」

いきなりそれか。これから鍛えなきゃイケナイ相手にそんな馴れ合いができるか!
俺が筋が通らないといって断固拒否すると、腹いせにか、
「だったら〜、た〜クンって呼んじゃうんだから〜。」という事になってしまった。

いっぺんこの人の頭をカチ割って中がどうなってるのか是非、見たいもんである。

そして修行だ、最初にやったのは十二鬼の式神を総て護符に封じることだ。
それからこの人には力の意味を知ってもらわんとどうにもならない。
一番手っ取り早いのは単純な”暴力”だな。要するに素手で他人を殴らせる訳だ。いつも
式神を通じて他人を傷付けてるこの人に自分の手で実感してもらうためだ。もちろんとい
うか殴られ役はこの俺だ。

生まれて初めて人を殴った時に感じるアノ両膝と腰のあたりがガクガクする脱力感と拳に
伝わる肉の感触、そして相手から流れ出る血をリアルタイムで見せつける。かなり悪趣味
ではあるがこの人の過去の暴走で発生した怪我人はこんなレベルではない。無理矢理でも
やってもらた。傍から見るとかなり異様な光景だろうと思う。半泣きで殴り続ける若い女
と無表情で殴られ続ける高校生の男だからな。断っておくが断じて俺に変な趣味がある訳
ではない。

その次は殴られる痛みを知ってもらう。と言っても流石に直接殴るわけにもいかないので
式神を通して実感してもらう。1鬼だけ解放してもらう訳だがまあ妥当な処で一番頑丈な
ビカラだろう。あとは俺とコイツの真正面からのドツキ合いだ。俺は生傷が増えまくるわ
所長は泣きっ放しだわで大変だったが最初のひと月はひたすらこれを繰り返した。

もちろん除霊の仕事も並行してやっている。1日平均5件ていどで難易度はEかD、見習
スイーパーが一人でやるようなレベルだが、達成率の計算には難易度は入らないから片っ端から引き受けだ。1件あたり100万以下の仕事で美神さんあたりなら絶対にスルーするよ
うな仕事だが選べるような余裕も実力も所長にはないので黙々とこなしていく。使う式神
はバサラのみで悪霊をまとめて吸い込んだあとの除霊現場で訓練を続ける。

最初の一ヶ月はこんな感じだったが二ヶ月目からは実戦中心にシフトしていった。式神は
総て護符から解放してある。俺とのペアで除霊を行うのだがまずは俺がガード専門、所長
が攻撃専門だ。要は俺が近づく霊を片っ端からはじき飛ばしている間に所長が敵を殲滅し
ていく、攻撃は一切受けないが目の前を悪霊がバンバン飛び交ってる現場での仕事だった
が暴走は一度も起こさなかった。

次は役割を変えての除霊だ。所長には自分に式神で結界を張って防御に専念してもらい、
その間に俺が霊を祓うというやり方だ。この方が余程楽だったが逆に片付けるのが早く
なりすぎずに所長に恐怖と緊張感を長時間与え続けるように加減する方が難しかった。
おかげで集中力を切らさずに結界を維持する事ができるようになったようだ。この頃の難
易度でCか、稀にBがあったくらいだろう。

この二ヶ月間でちょうど200件の依頼を達成した。理事長が注文通りに安い仕事を優先
して回してくれたので達成率はうなぎ昇りだ。現時点で約81%、理事長のオーダーまで
あと少しだ。難易度を聞かれたら赤面して答えられないようなレベルだが達成率の記入欄
には難易度の記載義務はない。義務が無い以上は問題も無いのだ。更に安い仕事を独占状
態だった為、普通のスイーパー達の恨みをさぞや買ったろうと思うが、逆に一流のGS達
からすると眼中にないような仕事なので全く注意を払われてすらいない。この世界100人
の三流より50人の二流、50人の二流より一人の一流の恨みを買う方が余程怖いのである。

さてこの二ヶ月よくぞ所長が途中で投げ出さなかったと思う(俺もだが)。理由を聞いて
みると本当に本当に免停まで後がなかったのと理事長から相当キツク脅されたようだ。

いよいよ来月からは企業廻りをして営業活動ができる。その際相手の信頼を勝ち取るのが
”達成率”なのである。81%あれば難易度B〜Aぐらいまでの仕事であれば問題ないそう
だ。(と理事長がいっていた。)この二ヶ月間で自分がやった事を振り返ってみると、
目的達成の為には一切手段は選ばない。明確に禁止されていなければ何をやっても良い。
弱い相手の恨みはやり過ごすが強い相手の恨みは絶対に買わない。

このエゲツないまでの反則技的な思考方法は一体誰の影響だろうと考えてみたが結論をだ
さない方が精神の平穏の為に良いような気がしたのでやめておいた。

そう言えば六道除霊事務所での労働条件は破格だった。どうやって調べたのか昔エミさん
が生贄目当てに引き抜こうとした時の条件で年棒二千万円(しかも全額前払い)プラスで
出来高払い。更に社宅としてマンション提供だ。流石にこれは断ろうと思ったのだが六女
の近所でタマモの通学が楽になると理事長に諭された為にすぐに引っ越した。

新居の間取りは4LDKで広さを持て余しているのでタマモに何時でも友達を連れて来い
と言ってあるのだが一度も呼んだ事が無い。友達がいないのだろうか?いやきっとタマモ
の可愛さに周りが気後れして近寄り難く思われているんだろう。




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(あとがき)
ああああああああああ、また映画までたどり着かなかった。
すっかりオオカミ少年になってしまった。 今度こそ、次回こそ・・・

六道冥子をどうすればまともなスイーパーにできるか?
必死に無い知恵を絞って思いついたのが上記の方法です。
ご批判、ご感想お待ちしております。

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