ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 14〜囚人への恩赦〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/12/ 1)

{妙神山修行場}

「ねえヨコシマ、あの悪趣味な門は何?」

「ん〜?あぁ、あれは2体の鬼が門番をしてて修業に来たヤツの力試しをするんだよ。」

「じゃあ、私達も試しを受けるの?」

「う〜ん大丈夫じゃないかな〜」



「「おお横島ではないか、久しいの。小竜姫様から聞いておる早く入るが良い。」」

「・・・顔パス?」

「そうみたいだな。」
そうして俺達は門をくぐり中へと進んだ。

「え〜っと、小竜姫様は・・・「ヨコシマ〜っ!」 グフッ!!」 ドガッ!

「ナ・ナイスタックル、パピリオ。でも次こそはもうちょっと優しく頼む・・・」

「よく来まちたねヨコシマ今回はゆっくりできるんでちゅか?」

「おお1週間だけな。」

「むう、1週間でちゅか、じゃあその間はパピといっぱい遊ぶでちゅ!」

「ねえヨコシマ、誰?ソイツ」

いかんタマモがなんか機嫌悪そうだ・・・
「タマモ、こいつはパピリオ、俺の大事な友達だ。」

「パピリオ紹介するよ、こいつはタマモ。俺の妹だ。」

「妹?ヨコシマに妹なんていまちたか?第一そいつ妖怪でちゅよ?」

「友達?ソイツどう見ても魔族でしょ?」

えぇっ?なんかいきなり険悪になってるぞ? ど・どうしよう?
「どうしたんですか?横島さん折角来たんでしたら奥へどうぞ。」

あぁっ助かりました小竜姫様。よし、このままなんとかお茶を濁そう。
「おぉっ!小竜姫様、相変わらずお美しい。お会いできただけで心が洗われるようです」

よおっし!ツカミはオッケー!
「フフッ!相変わらずお上手ですね? どうぞこちらへ。」

ふ〜、これで何とかなったって、えぇえぇっ!? 二人とも余計不機嫌になってる?



{茶の間にて}

折角ヨコシマとお出かけだって喜んでたらこんな辺鄙な山に連れてこられた挙句になに?
このニ人?片っぽは明らかに魔族だし残りは・・・神族?いや竜神族かしら?

「横島さんそちらのお嬢さんが?」

「はいそうです。こいつが前にお話したタマモです。今は俺の妹です。」

「タマモ、こちらの方が俺の師匠であり大恩人でもある小竜姫様だ。」

ふ〜んさっきのは”こいつ”で今度のは”こちらの方”・ね・・・

「ヨコシマ!”今は妹”ってどういう意味でちゅか!?前は違ったんでちゅか?」

「あ?ああ、前は違ったけど今は妹で一緒に住んでるってだけだよ。」

「納得できまちぇん!ヨコシマと一緒に住むならパピが一番目でちゅ!お前!あたちと勝負しなちゃい!」

いきなりなにをいってるの?この魔族は?・・・でも、なんか気にいらないわね・・・

「良いでしょう。その勝負受けてあげるわ。」
ヨコシマと一緒に暮らすのは私だけで良いのよ。



〜茶の間に取り残された横島と小竜姫〜

ああっ、二人とも行ってしまった・・・いきなりどうしたんだ?パピリオは?

「しょ・小竜姫様、一体どうしたんでしょう?二人は?仲良くなれたら良いと思って引き
会わせたのに会うなりケンカなんて・・・それにいくらタマモが妖狐でもパピリオが相手
じゃ無事ではすまないですよね?俺、止めてきます。」

そう言ってあとを追おうとしたのだが、

「落ち着きなさい、横島さん。パピリオには無闇に力を振るう事は修行を通じて禁じてあ
ります。心配しなくても大丈夫です。大体ケンカの原因は貴方なんですから顔を出すのは
逆効果でしょうね。」

と言って止められてしまった。まぁヤバイ事にはならなそうで一安心だが今聞き流せない
ようなことが聞こえたような・・・

「お・俺?俺のせいですか?何でですか?どうしてですか?」

「ヤキモチを焼いたからに決まってるじゃありませんか。慕われていますね、横島さん。
ああ人界ではこういうのを”モテる”って言うんでしたね? 大丈夫ですよ、二人共貴方
を独り占めしたくて揉めてますけど根本に”貴方を好き”という共通点があるんですから
互いに仲良くなるのは難しくないと思いますよ?まだまだ子供みたいですから・・・」

そういうモノだろうか・・・まぁ、小竜姫様がそう言うなら・・・

「それで?なにか私に相談があるそうですね?」

「あ・はい、実は・・・」
俺はGSとして復帰する破目になった経緯とその為に引き受ける事になった超難問(冥子
さんの事だ)を説明して途方に暮れている現状からの方針を尋ねてみた。

「達成率を上げるだけなら話は簡単です。その女性を現場に出さずに貴方が一人で除霊を
行えばよろしい。貴方にはそれだけの力があります。ただお話を聞いた限りではその冥子
さんという方を鍛え直して欲しいという事のようですね?」

「どう鍛えれば良いのか、見当もつかないんですよね〜。本人に悪気は全くないんですが
しょっちゅう暴走しては周囲に迷惑をかけまくってますから。」

「貴方から見て冥子さんとはどういう方ですか?」

「素質は天才、やる気なし、根性なし。」
この質問には即答できた。

「・・”力”を持つ資格の無い人というものは確かに存在するんですね。制御されない強
大な力は凶器でしかありません。その人は力の行使がもたらすモノを知るべきですね。」

はい?すいません話が難しくて意味がよく解りません。

「要するに、”傷つける痛み”と”傷つけられる痛み”を自覚させるべきだという事です
その上で力の制御に自信がつけば少しはマシになるのではありませんか?」

「なるほど”痛み”と”自信”か・・・」

「他人に教えるというのは今までに見落としてきた事に気付くチャンスでもあります。教
える側になって初めて気付く事は意外と多いものです。貴方にとっても得るものは多いで
しょう。がんばって下さいね?」

そうニッコリ笑っていわれちゃあ仕方がない。小竜姫様のお陰でなんとか道は見えてきた
ようだ。教える相手は難物だが、少なくとも悪意だけは無い存在だ。やる気も無いが・・

「小竜姫様が教える側になって初めて気付いた事ってなんですか?」

「そうですね・・・自分にとってできて当たり前の事を、”できない”人に教える時の難
しさですね。我々神族は簡単にできる事が多すぎる為、その中に潜む理を見過ごしがちに
なります。その潜んでいた理を見出し自分の中で消化してからでないと相手に伝えるのは
難しいですからね。ですがその事を繰り返しているうちに天地万物に潜む理を感じとれる
ようになりましたよ。」

小竜姫様は事も無げに言ってるが、俺が仙術を通して教えてもらった事を小竜姫様は人に
教える時に自分から気付いたのか・・・さすがは我が師匠。

「横島さん、貴方に聞いてみたかった事が一つだけあるんですが・・・」

???なんだろう?急に表情がかげったみたいだけど・・・
「なんです?」

「力に目覚めた事を後悔したことはありませんか?霊力がなければあの戦いに参加する事
はなかったと・・・思ったことはありませんか?」

あぁ・・・小竜姫様は・・・・
「ありません!それだけは断言できます。俺にこの霊力がなければアイツに出会うことは
ありませんでした。まぁこの程度の力なんで守り切る事はできませんでしたが・・・・・
それでも会わなければ良かったと思った事だけは絶対にありません。だから、小竜姫様に
は本当に感謝しています。おかげでアイツと巡り会う事ができましたから・・・」

「そうですか・・・そう言える貴方が、私には少し眩しいですね・・・」

この際だ、俺も前から聞きたかった事を質問してみよう・・・

「小竜姫様、俺もひとつだけ知りたい事があるんですよ。」

小竜姫様が無言で先を促してくる。
「もし・・・俺が子供を作る前に死んだらルシオラの転生はどうなりますか?」

「横島さんっ!?まさか!?」

「ああ、違いますよ。別に自殺なんて考えてませんから。ご心配なく。そんな楽なほうに
逃げるなんて俺には許されないと思いますから。」

「・・・もし貴方が今のまま死んだ場合は二人の魂は別々に分かれて輪廻の輪の中に戻る
ことになります。ですがもう一度再会できるかはわからないんですよ?」

「俺が以前に出会った魔族の女性は再会を約した相手と千年の時を超えて巡り会うことが
できました。俺もアイツともう一度会うためなら例え千年の時だろうと越えてみせようと
思うんですよ。」

「何故、娘ではいけないのです?貴方の娘として転生すれば確実に、しかも早く再会でき
るのですよ?一度はそれで納得したのではありませんか?」

小竜姫様にはわからないんだろうか? それとも女性の視点から見ているからだろうか。

「誰が産むんです?自分の愛した女の生まれ変わりを別の女性に産ませるんですか?俺に
はそんなこと・・・」

小竜姫様にも言いたい事は伝わったようだが・・・
「・・・仮に別々に生まれ変わって再会できたとしても相手が貴方を選ぶとは限りません
よ?実際にそういう例を貴方はご存知ではないのですか?」

俺がメフィストの生まれ変わりを選ばなかった事を言ってるんだろうけど・・・

「別に選ばれなくても構わないんですよ。アイツからはもう十分に愛情をもらいましたか
ら・・・ただ今度こそ果たせなかった誓いを守りたいだけなんです。」

そう俺は自分には何も望まない。アイツを守れなかった俺にそんな資格はない。アイツに
もらった命が続く限り守れるだけのものを守りたい。そしてこの人生が終わったあともう
一度アイツに会えたなら今度こそ・・・

「来世の自分の幸せまで今から放棄するつもりですか?今の貴方に幸せになって欲しいと
思っている人は大勢いるんですよ?そのまま終身刑の囚人のように自分を罰し続けるつも
りですか?」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「貴方の心の奥が凍りついているのは知っていました。時の流れが癒してくれるのを待と
うかと思っていましたが、タマモさんは貴方の陽だまりになりませんか?パピリオは貴方
に温もりを与えていませんか?・・・私は何の助けにもなれませんか?」

「いえ・・・・」

「自分がルシオラさん以外の女性と結ばれて幸せになるのは許されないと思っているので
しょう?でも幸せの形は一つだけではないでしょう。タマモさんを守り慈しんでいる時の
貴方は幸せではありませんか?パピリオの寂しさを癒し、笑顔に変えた時の貴方は幸せで
はないのですか? 自ら総ての幸せを禁じることはないでしょう?」

そうだ確かにタマモの笑顔を見るのもパピリオが笑いかけてくれるのも嬉しかった。自ら
幸せを禁じた筈なのに無意識のうちに幸福を感じていたのか・・・

俺にもそれが許されるのだろうか?

「横島さん、例え自分で自分の幸せが許せなくても、誰かが貴方の幸せを許さないと言っ
たとしても私が貴方を赦します。だから貴方の幸せが相手の幸せに繋がるようなものなら
探してみても良いのではありませんか?」

二人の様子を見てくるといって小竜姫様が部屋から出て行った。
俺はなにも言えないままだった・・・・




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(あとがき)
横島が自虐的になりすぎて小竜姫様にひっぱりあげてもらってたら
行数が増えすぎました。
ルシオラが復活しない、横島がモテモテにもならない、誰かとくっつこうともしないって
感じになりました。この先どうしましょう?
映画は次回という事で・・・

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