ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 11〜チェスゲーム開始〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/11/30)

{某TV局内}

さて、今日はいよいよ収録の日だ。出掛けにタマモが今日はずっとテレビを点けておくと
言っていたがどうも収録と放映が別日だという事がわかっていないようだった。

出演すると言ってもバイトが休みな訳ではない、と言うより収録中も時給換算だそうだ。
ひょっとして俺が呼ばれたのは予算のカラミなのかも知れない。ともあれいつも通りに
仕事をしてるとガクさんが側にやってきた。

「おい、バンダそろそろメイク室に行っとけや。」
ちなみにバンダというのは俺の事らしい。理由を聞いたらいつもバンダナを巻いてるから
だそうだが、相変わらず判らないネーミングセンスだ・・・まんまバンダナで良いんじゃ

いやそれはともかく・・・ メークまでせにゃならんのか・・・
「なんだイヤそうな顔しやがって、覚悟決めて電波のアブクになって来い!」

「アブクッすか・・・?」

「そう、どうせすぐに忘れられちまうんだから安心して恥かいてこい!《淀みに浮かぶ
泡沫は久しく留まりたることなし》ってヤツだ!」

「なんスかそれ?」

「知らんのか?方丈記だよ、たまには本くらい読めよ。」
おぉ!さすがに学がある・・・ あぁ、だからガクさんなのか・・・

「へ〜い、ほんじゃ行ってきま〜す。」



んで収録だが、途中までは何て事なかったんだ、台本通りに進んでカンペを見ながら久し
ぶりの再会のフリをして、感激の余りの銀ちゃんとのハグなんかもちゃんとやった。ここ
らへんは大阪人の魂全開だ、Show must go on! って感じかな。

なのに最後の最後にイキナリ司会の人が初恋バナシをふってきたんだ。二人で同じ女の子
を好きになったというお約束のような話だ、銀ちゃんは俺の顔を見ながらニヤニヤと笑っ
ていた・・・この時まではだ! −それではどうぞお入り下さい、霧島夏子さんですー

そう紹介されてスタジオに入ってきたのは紛れもなくアノ夏子だった・・・・
隣を見ると銀ちゃんも完全にド肝を抜かれている、良い気味ではあるが俺も他人のことは
言えない状態だった・・・  その後の事は良く覚えていない・・・


〜収録後〜

「どういうコトや銀ちゃん!夏子が出るなんて聞いてへんかったぞ!?」

「安心せえ俺も聞いてへん。ついでに言うと俺も横っちと同じくらいブッたまげたわ。」

「何やねん、二人とも折角大阪から会いに来たのにもっと嬉しそうにしてんか〜?」

収録後、俺達3人は控え室でダベっていた。夏子を呼んだのは番組のサプライズ企画だった
らしい、(銀ちゃんホンマにビビってたもんな)まあそのお陰で再会できたんだから良し
としよう。結局その日はお互いの連絡先を交換して冬休みの再会を3人で約束して解散した

最後なにをしゃべったか覚えてないのが不安だが済んだ事は仕方がない放映の日まで忘れ
てすごそう。確か1週間後だったな。

それからの1週間、俺はタマモの編入先の事で頭を悩ませていた。タマモはどこでも良いと
言ってるがやはり一番良いところに行かせてあげたいではないか。公立の中学校なら経済的にはかなり楽だが、どうも風紀がよくないような気がする。六道女学院みたいな所だと
安心なんだけど、あんな名門は簡単に編入させてくれないからな〜

道端でばったり美神隊長の会ったので相談してみたら余程のコネが無いと編入は難しいし
完ペキなお嬢様学校の校風にタマモが適応できるかわからないのでススめられないと言われてしまった。六女の制服はタマモに似合いそうだったんだが隊長が言うなら仕様がない


結論が出ないまま、TV局に着くとそこで悪霊が暴れていた・・・
なんだこりゃ?

「おい!バンダ危ねえから下がれ!もうすぐオカルトGメンが来るから!」

「あぁガクさん何事ですか、あれは?」 昨日まではこんなに強いのはいなかったハズだ

「まぁTV局にゃあ、珍しくもない夢破れたやつの怨念みたいなヤツでたまに目撃談なん
かもたまにあったのがイキナリ暴れだしたんだよ、Gメンにゃ連絡したから下がってろ」

「でもこのまんまじゃ怪我人が出そうなんで、ちょっと行ってきますね。」
何やら後ろでガクさんが喚いているが怪我人を防ぐためだ見逃してもらおう。

側に行ってみると核になる悪霊が周りの負の想念を引き寄せて巨大化してるようだ、まあ
TV局って悪想念ってたまってそうだもんな〜。まぁ核の部分はそれ程でもない、ヤルか

「邪怪駆逐!悪しき想念を散らしめよ! 急々如律令!」
残りは本体だけ、霊波刀で切り裂けば終了だ、1分もかからんかったな。

振り向くと皆が遠巻きに俺を見つめていた、なんだろう?あぁ除霊現場が珍しいのか?
あれ?銀ちゃんまで来てるよ。なんか偉そうな人達と一緒みたいだな。

「さすが横っち、元GSはダテやないな〜。」 ザワッと周りがざわめいた・・・・

「やめてや、銀ちゃん。もう廃業したロートルやねんから。」 言うや否や、
ガシッ両脇を固められて会議室のような部屋に連れ込まれてしまった。黒板にはデカデカ
と(踊るゴーストスイーパーTHE MOVIE 2)と書かれている。

席につかされるやすぐに偉そうなオッサンがまくしたててきた。要約すると、前作のヒッ
トに続いて2作目を制作しようとしたところGS協会から横ヤリが入ったと言うのだ。

曰く、1作目の劇中のGS業務の扱いに重大な過誤があった為、以降公認を取り下げると言
っているそうだ。確かにGS協会がワザワザ公認を取り下げたGSムービーなぞ誰も見に行ったりしないだろう。これに対し制作サイドは再三再四GS協会にアプローチをかけて
みるものの、剣もほろろの門前払い、公認できないの一点張りでお手上げ状態だそうだ。

「それがどうかしたんですか?」
ここまで話を聞いても俺がここに連れてこられた理由がさっぱりわからない。

「つまり我々一般人に打てる手はもうないが君は元GSであの美神令子の弟子だそうじゃないか。だったら何か心当たりがあるだろう?」

結論:コイツは真性のバカだ。協会全体の意向を見習いのまま廃業するようなチンピラに
どうにか出来る訳はないし例え美神さん本人でも同じだろう。そんな事もわからない程に
テンパッているのかもしれんがな・・・どのみちこいつがどんな偉いサンだろうが映画畑
のヤツなぞ知ったことか!俺は単なる局の大道具なバイトだ、そう言って断ろうとしたら

「横っち、俺からも頼むわ!別にまる投げしようっちゅう訳やないねん!何かとっかかり
掴めたら動きようもあんねんけど八方塞がりやねん!」

「銀ちゃん・・・」

「これの1作目が俺の役者としての出世作やった。次の作品で俺の役者としての真価が問わ
れんや!いわば一世一代の大勝負、頼む力を貸してくれ!」

参った・・・銀ちゃんに頭を下げられた以上お茶を濁して終わりって訳にいかんな〜
「協会内への探りとそもそもの話の出所、あと攻めどころの人物の絞込みくらいなら・」

それで十分と言う事で話は終わった。成功報酬で100万、あと協力者がいる場合は別途報酬
を出すそうだ。気前が良いというべきか切羽詰ってるというべきか・・・後者だろう・・
だが俺にとって100万は魅力的だ、寄付金にまわせば結構な名門校に編入させられそうな気
がする。さてバイトに励もうと戻ってみたら今度はオカルトGメンに呼び出された。

現場に戻ると見覚えのあるロン毛のエセ貴族がいた。

「やぁ!横島君やはり君だったか。」
ヤケに上機嫌で話し掛けてきやがった。まてよ?元々美神さんを間に挟んでたからコイツ
といがみ合ってたんだよな・・・辞めちまった以上争う理由はないし、タマモの身の上の
事もある以上Gメンと悶着を起こすのはマズイな・・・表面だけでも取り繕っておこう
まあ別にコイツも悪いヤツではないしな・・・

「あ・どうも西条・サン お久しぶりッス。」

「どうしたんだい?君が敬語を使えるなんて天変地異の前触れかね?」
イヤなヤツではあるが・・・

結局Gメンの出動が空振りに終わり、除霊を行ったのが大道具のバイトだった為モグリの
スイーパーではないかと疑われたらしい。その点、俺はキチンと廃業届をだした元GSで
除霊自体も営業行為ではなく緊急避難だと釈明しようとしたら、西条のヤロウいきなり

「あぁ君なら問題ないな。」で終わっちまった。コイツ廃業の事を知らんのか?

やっと解放されたらバイトは終わりの時間だった。全然働けなかったのにそれでも良いと
バイト料を支払ってくれた。申し訳ないけどありがたくもあるな〜

「横島君、帰るなら僕が車で送ってあげようか?」
何故か知らんが西条が俺にそう言ってきた。どうしようかと思案しながら外に出ると・・

「あら〜横島君じゃない〜、偶然ね〜。」
そこにはリムジンを局に横付けして六道冥子さんが立っていた。
偶然?これが?リムジンを横付けして出口で待ち伏せするのを日本では偶然と呼ぶのか?

「ちょうど〜私も帰るとこだから〜一緒に帰りましょう〜。」
そう言ってそのまま車に引きずり込まれてしまった。

「今から食事に行こうと思ってたんだけど〜一人じゃ味気無いから〜横島君も〜一緒にど
うかしら〜」

あからさまに棒読みなんですが・・・
「いや・ウチに待たしてるヤツがいるんで・・・」

「じゃぁ〜そのコも一緒に連れて食事しましょう〜。」

そのままなしくずしにタマモも合流してから向かった先は・・・・


{六道邸}


今、俺の目の前に置かれているのはいなり寿司とキツネうどんだ。珍しい物ではない。
しかしこのうどんは・・・明らかに手打ちとわかる麺、じっくりと味がしみていそうな
存在感あふれる油揚げ、そして何より最高級鰹節でとった底まで透き通って見えるツユ。

そう!これこそ正真証明の大阪のうどん!俺が子供の頃慣れ親しんだ味!東京で出て来る
ようなアノ墨汁だかコーヒーだかわからんような濁ったツユとは訳が違う!

俺は多少の胡散臭さを感じながらも夢中で食べてしまった。隣を見るとタマモも一心不乱
に食べている。多分こんな美味いうどんは初めて食うんだろうな〜。

さて空腹が落ち着くと多少頭の働きが戻ってきた。いきなり現れた冥子さんにタマモと一緒に六道本家まで連れてこられて出てきたのが絶品のいなり寿司とキツネうどんだ。これ
で怪しくないという方が無理がある。やがてタマモが食べ終わると場所を変えてお茶にし
ようと誘われた。さてと、いよいよ本番か?

応接室とおぼしき場所に案内されて中に入るとそこにいたのは冥子さんのお母さんと何故
か美神隊長だった・・・





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(あとがき)
すいません、六道家の猛襲開始のハズがゴングがなった時点までで
終わってしまいました。
次回こそ六道母と美神母のドス黒い活躍を・・・


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