ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 10〜〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/11/29)

{美神除霊事務所}

私が学校から帰ってくると、美神さんが不機嫌な顔で迎えてくれた。この一月ほど横島さ
んが来なくなってから、美神さんはずっと不機嫌だ。私もあれから何度か遊びに行ったけ
ど大体横島さんはTV局のバイトに行っていてほとんど会えていない。その代わりにタマ
モちゃんとは随分仲良くなれたと思う。

「おキヌちゃん、来週からシロがここに住むようになるから部屋の準備をお願い。」

随分、急な話ですけど・・・
「シロちゃんが?来週からですか?」

「そう、今日人狼の里の長老か連絡があって、延々とせっつかれた挙句に最後は夜討ち朝
駆けの泣き落としでとうとう根負けしたらしいわよ。」

シロちゃんらしいと言うか、よっぽどタマモちゃんが横島さんと暮らすのが羨ましかった
のかしら・・・?

「まぁ、あのバカが休みっぱなしだし人員の補充としてちょうど良いわね。」

美神さん良い加減、休みじゃなくて辞めたんだって薄々は思ってるみたいですけど・・・
どんなタイミングで切り出せば良いのかしら・・・私は横島さんの廃業の話を聞いてから
美神さんにその事を話すきっかけをつかめないままでいました。

そんな時に誰かが事務所に入って来ました。
「令子、邪魔するわよ。」

Gメンの美神隊長でした。随分久しぶりです。前はもっと頻繁に来てたのに一月ぶりくら
いでしょうか?・・・一月?・・・偶然かな?

「どうしたのママ?」

「アナタに話があるのよ。・・・まず最初にこの書類に目を通してもらおうかしら。」

隊長さんから渡された書類を見ている美神さんの顔色が真っ青になっています。私もちょ
っとだけ覗き込んでみました・・・その内容は・・・

「あ・あの・・・美神さん?」

「わかるでしょう?その廃業届の内容を基に調査された内容の報告書。それが明るみに出
れば貴女は免許剥奪のうえ永久追放ね。」

「冗談じゃないわよ!丁稚をクビにしたぐらいで何で私が追放になるの?私はランクSの
GS美神令子よっ!!」

「勘違いしないでちょうだい。貴女はGSとして処遇されるのではなく犯罪者として処罰
されるのよ?」

「犯罪って何がよ!?アイツは私の丁稚で生殺与奪の権限は私にあるのよ!部外者からど
うこう言われる覚えは無いわ!」

み・美神さん、それ以上はマズイです。隊長の怒り具合は本物で青白いオーラが噴出して
いるようです。

「そう・・・それが貴女の返事なのね・・・じゃあ母親としての話はこれで終わりね・・
GS美神令子、貴女にGS協会並びにオカルトGメン上層部の総意を伝えます。」

「な・何よいきなり?」

「今後、横島忠夫との一切の接触を禁止します。我々は総力を挙げて、大戦の英雄であり
希少な人材でもある彼のこの業界からの流出を阻止します。貴女はそれを阻害する要因に
なりますからこの命令に違反した場合は免許剥奪、永久追放が即時実行されます。」

美神さんが絶句している間に隊長さんはそのまま踵を返して出て行きました。私は聞きた
い事があったので慌てて追いかけました。




{オカルトGメン隊長室}

私は娘に最後通牒を突きつけたあと、足音も荒々しくオフィスに戻ってきたが、まだ腹立
ちが収まらない。この冷静沈着をもってなる美神美智恵ともあろうものが・・・

「隊長、氷室さんがお見えになっております。」

「通してちょうだい。」
娘の事務所で働いているネクロマンサーの少女が追いかけてきたようだ。おそらく先ほど
の件で尋ねたいことがあるのだろう。

「隊長、失礼します。」
そう言いながら、おずおずと入ってきた。もう私の指揮下にいるわけでも無いのに未だに
私の事を隊長と呼んでくれる、とても控えめで心の優しい少女だ。そういえば彼とは特に
親しかったように記憶している。 取り込んでおくべき人材かも知れない・・・

「何か用かしら?と言っても横島君の事でしょうね?」

私はおキヌちゃんを巧みに誘導して彼女から様々な情報を聞き出した。特に重要に思えた
事はタマモという妖狐の事をとても大切に庇護しているという事だ。そうまるで愛娘に対
するように。これはかなり重要ななポイントだろう。横島君に対しては有効だ。

「そう、それで貴女が話してみた感触でも彼はGSに全く未練が無さそうだったと?」
これは直にあって感じた事だが、彼はまるでGSだった時期など無かったかのようにサバ
サバしている。 これは思っていたより復帰は難しいかもしれない。

「そうです。今はタマモちゃんの事が一番で、まるで親バカなお父さんみたいですよ。」

突破口はそのあたりだろうか?まだ六道本家が動きだしていないのもそのへんを踏まえて
いるからかも知れない。とりあえず今は有力な味方を増やしておくのが先決だ。

「おキヌちゃん、私は是非とも横島君にこの世界に戻ってきて欲しいと思っているの。彼
が真価を発揮するのはGS以外にはないと思うのよ。」

「・・・私はその意見には全面的には賛成できませんけれど横島さんに戻ってきて欲しい
という気持ちももちろんあります。あくまで本人の意思を尊重するという事なら私にでき
るだけの事は協力させていただきます。」

条件付ではあるが今はこれで満足すべきだろう。
「もちろん本人の意思は十分に尊重します。それじゃ頼んだわよ?」

「はい!がんばります。・・・あの、一つだけ気になってる事があるんですけど・・・」

「あら?何かしら?」

「どうして一月も美神さんに何も言わなかったんですか?」  その事か・・・

「ちょっと我が娘のバカッぷりに腹ワタが煮え繰り返っていたから、顔を見た時に何をす
るか自信がなかったからよ。」

「そ・そこまで・・・」
少し引かれてしまったようだが、そのまま考え込みながら帰っていった。とりあえず味方
は一人増えたが正攻法が通用しそうにない以上慎重にいかなければ・・・





はぁ〜横島忠夫17歳(実質27だが)人生最大の試練かもな〜
俺はトボトボと歩きながら先程承諾した(させられた)TV出演の事で頭を悩ませていた
どうしたものか良い考えも浮かばないまま家にたどり着くと・・・

「お帰りヨコシマ・・・どうしたの?」
せっかく笑顔で出迎えてくれたタマモの表情が曇ってしまった。あぁイカンイカン・・・

「うん、・・・ちょっとした面倒事がね・・・」

俺はタマモに正直にTV出演の事を話してみた。タマモは驚く程頭の良い娘で一ヶ月間の
図書館通いで現代の常識等の必要な知識のほとんどを吸収していた。時々はこっちが驚か
されるような事を言うような時もある。

「別に良いんじゃない?でてみれば。比べられるっていったって私はヨコシマより良い男
なんていないと思うけど、それじゃダメなの?」
この時もそうだった。

「そうだな・・・別に銀ちゃんがカッコいいのは昔からだし、タマモみたいに一人でも俺
の方がカッコいいって言うコがいるなら迷う事もないか・・・」

「そうしなよ!」 そう言った後で何やら物言いたげな顔をしている。なんだろう?

「あ・あのねヨコシマ・・・学校ってどんなとこ?」

あぁそうか学校に興味があるのか、確かに今ぐらい常識が身に付けば学校に行っても問題
無いだろうし系統だてて知識を学ぶのも、同じ年代(タマモは1歳未満だが)の集団の中で
社会性を身に付けるのも学校に通うのが一番手っ取り早い・ん・だが・・・

戸籍の問題がある。タマモは(当たり前だが)戸籍をもっていない。金で買えるルートも
あるとは聞いてるがツテがない。どうするか・・・悩んでみても答は一つしかない。

「タマモ、俺もお前には学校に通ってもらいたいと思ってるけど色々と面倒な手続きが必
要なんだ。何とかするからちょっと待っててくれないか?」

そう言うとタマモは嬉しそうな笑顔でうなずいてくれた。

俺は外に出るとナルニアの両親に電話した。気は進まなかったが他に方法が思いつかない
なんとか親父達の養女として縁組してもらうしか戸籍を取る手段がない。

オフクロが電話に出たので洗いざらい総ての事情を正直に話した。作り話をとも考えたが
そんなものが通用するようなババアではないのだ。一通り話し終えた後でオフクロからの
返事を待った。何を言われようが絶対にひかない覚悟で待ち構えていると何ともアッサリ

「わかったわ、父さんには私から話しておく。そんなにはかからないから待ってなさい」

とだけ言って電話を切られてしまった。何だかキツネにつままれたような気がしたが本当
にそれから1週間でオフクロは全部終わらせてしまった。住民票まできちんと移したので
表札にも横島タマモと入れたらとても嬉しそうにしていた。

しかし実際我が親ながら恐ろしい程の手際の良さだ。つくづく底の知れん両親だ。
書類によるとタマモは日系のナルニア国民で内戦に巻き込まれた戦災孤児でその際に怪我
をした為それ以前の記憶がない。ただし日本語は話せる為、転地療養を兼ねて日本へと移
住したという訳だ。一見恐ろしい程ご都合主義な設定だがこれならどうにでも言いぬけが
できる。さすがだ・・・

礼を言う為に、電話をしたら礼なぞいらんから自分達の新しい娘の顔を見せに連れて来い
といわれてしまった。飛行機代がたまったら連れて行くと返事をしておいたがもちろん金
がたまる予定など当分ない。

そしてタマモが正式に俺の妹に(俺的にはあくまで娘だが)なった日がいよいよTV出演
の当日だった。






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(あとがき)
横島が段々と弱みを抱えてきた段階で次回から六道家の
猛襲が始まります。
しのげるかな?無理ッポイかな〜

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