ザ・グレート・展開予測ショー

胡蝶の夢 後編


投稿者名:青い猫又
投稿日時:(04/11/28)








「きゃはははは、くすぐったいでちゅ〜〜〜!!」

「こら、動くな洗いにくいだろうが。」

横島が動かないように注意をするが、そんなのはパピリオは聞いちゃいないようだった。

「わき、わきは弱いでちゅよ〜〜!!。きゃはははは〜」

「お前が自分じゃ体洗わないって言うから手伝ってやってるんだろうが。
ほれ、動くなってもうちょっとだから我慢しろ。」

くすぐったさに逃げ出そうとするパピリオを押さえつけながら、横島はパピリオの体を洗っていく。

「きゃははは、ヨコシマ〜笑いすぎてくるちいでちゅよ〜!。」

パピリオは笑いすぎて確かに苦しそうだったが、どこか嬉しそうにニコニコ笑っていた。
まあ、くすぐったくて笑っていただけかも知れないが横島にはなんとなくそう感じられた。

「ほら終わったぞ、お湯掛けるから目を瞑れ。」

「はいでちゅ。」

なるべく顔にはお湯が掛からないように体の泡を流す。
横島は湯浴み着を付けているのだが、パピリオは着るのを嫌がったため素っ裸である。
一部の人たちにはたまらない状況なんだろうが、
あいにく横島はそっちの趣味は無いのでとくに気にならなかった。
ごくたまにだが、ひのめのお守りをしてる時にお風呂に入れてあげる事もあるので、
やっている事はそれと大差ない。

「ほら次は頭洗うからそのまま目を瞑っていろよ。」

「ヨコシマ、頭洗うならシャンプーハットを要求するでちゅ!。」

シャンプーの容器を片手に持った横島に向かって、パピリオが訴えてくる。

「シャンプーハットか〜」

横島は辺りを見渡すが、残念ながら見える範囲にはシャンプーハットは見当たらなかった。

「残念だったなパピリオ、見当たらん。」

「なに言ってるですか、探すでちゅ!」

「これも大人の階段を上ると思って諦めろ。」

そう言うとパピリオの頭にシャンプーを掛けて洗い始める。
あっという間にパピリオの頭は泡だらけになってしまった。

「わ〜なにするでちゅか!、ヨコシマの鬼〜悪魔〜魔族のようなやつでちゅ!!。」

「いや、パピリオだけには言われたくないから。」

わめくパピリオの相手をしながら横島は手際よくパピリオの髪を洗っていく。

「わ〜わ〜!!、ヨコシマ〜目に泡が流れてきたでちゅ〜助けるでちゅよ〜。」

「どれどれ、立ってこっちに顔を向けてみろ。」

素直にこちらに向くパピリオの顔を、横に置いておいたタオルできれいに拭いてやる。

「ほれ、もう大丈夫だ。目を開けてみろ。」

パピリオは目を開いてしばらくぱちぱちと閉じたり開いたりを繰り返す。

「たすかったでちゅ。」

「また目に流れたら拭いてやるから心配するな。」

「ヨコシマ〜〜」

なにが嬉しいのかパピリオが泡だらけのまま、ニコニコした顔で横島の胸に頭をこすり付けてくる。

「わ〜なにするんだパピリオ!?」




その後一悶着ありながらもパピリオの頭を流し終え、
当初の目的通り湯船に浸かってゆっくりと・・・・・などと出来るはずもなく・・・・・




「えい、えいでちゅ。」

バシャ、バシャ

体を洗って湯船に浸かったとたんにパピリオが横島に向かってお湯を掛け始める。

「うわぁ、ぷっ、こら、パピリオお前はジッとできんのか、
ただでさえ若いね〜ちゃんが居ない混浴の露天風呂なんて、肉の無い牛丼ぐらいに味気ないのだ。
せめてゆっくり入らせんか。」

「なんでちゅって、私だってもうちょっとすれば、ぼんきゅっぼんになる予定でちゅ。
その時一緒に入ってと泣きついても遅いでちゅよ。」

パピリオがいったいどこで仕入れたか分からない様なセクシーポーズ繰り広げるが、
はっきり言って後10年は早かった・・・・

「予定は未定じゃねえか。」

「むっ、小竜姫が言うにはある程度の見た目までは人間と同じように成長するって言ってたでちゅ。
だからすぐ美神やベスパちゃん見たくせくしぃ〜になるでちゅよ。」

「ほう、すぐね〜」

パピリオがこのままの見た目通り成長するとして、
横島が手を出せるようになるのは一体何時の話になるんだろうなとふと考えるが、
意味の無い事だなと思って考えるのを止める。

「ま、今は今だな。そんな先の事まで俺の頭じゃ考えられないや。」

「む〜小竜姫はすぐって言ってまちた。」

小竜姫さまのすぐと俺たちのすぐじゃ、次元が違いすぎるよ。
そう言おうかと思ったが、それこそ大人げが無さそうなのでやめておく。

「まあ良いでちゅ、後で泣いたって知らないでちゅよ。」

そう言ってパピリオは横島の胸に背を預ける。
横島はパピリオのお尻がやばい位置に来ないように動きながらパピリオを見るが、
ついさっきまでの元気が無くなり、どこか借りてきた猫を思い出させるように大人しくなった。

「ヨコシマ、ここは楽しいでちゅ。
二人とも良くしてくれるでちゅし、鬼門たちも言えば下に行ってほしい雑誌を買ってきてくれるでちゅ。」

洗った髪をタオルに包んでいるのだが、その頭越しに横島を見つめてくる。
丁度真上を向くような感じだ。

「でも、ベスパちゃんと会えないのは少し寂しいでちゅ。
ルシオラちゃんと会えるまで待つには少し心細いでちゅ。また家族がそろうのは何時なんでちゅかね。」

「家族か・・・・」

横島は両親を思い出す。しかしどんなに考えても微妙に良い思い出が少なく、
振り回される事の方が多いあの両親に、会えないからと言って寂しいとは思わないが、
やはり居なくなったら居なくなったらで寂しいのかもしれないなと思う。

「ベスパに・・・・・・ルシオラに・・会いたいか?」

横島は少し悩んだ末にパピリオに思い切って聞いてみる。
だがパピリオはさっきまで暴れていたせいか、それともお風呂が気持ちよかったのか、
いつの間にかまぶたをしょぼしょぼとしながら眠気と戦っているようだった。

「ん〜ん、良いでちゅ・・・我慢するでちゅよ。・・・・・・今はヨコシマが居るでちゅ・・・
ヨコシマさえ居ればきっと我慢できるでちゅ・・・・・・・・・・きっと・・・・」

くぅ〜くぅ〜

喋っている途中でパピリオは寝てしまう。
横島はパピリオの顔が湯船の中に落ちないようにそっと支えてやる。

「我慢するか・・・・責任は重大だな・・・・・はぁ俺のキャラじゃないよな、ルシオラ・・・・」










まどろみから戻る時、いつもあの人を探してしまう。

そっと自分を支えてくれる手を、預けた体を包み込む暖かさを、自分を見つめてくれるあの人の笑顔を、

眠りから覚めた時、手を握りながら横で寝ていてくれたあの人を見て私はどれだけ嬉しかったか。

そして今、まどろみから戻るこの瞬間に、あなたがそばに居ないと気がついた時のこの虚無感はなんだろう。

まるで胸にぽっかり穴が開いているかのよう。もう埋まらない穴・・・・満たされない気持ち・・・

だから私は目覚めが嫌いだ・・・もう戻れない過去・・・幸せだったあの時・・・・・

いつだって神様は全てが終わった後にやってくる・・・自由になった今も私は思う・・・神族なんて大嫌い!

全てが遅すぎたのだ・・・・・・・・あ、でも小竜姫は結構好き・・・

「ヨコシマ、大好きだったよ・・・」

そう呟いた後、うたた寝をしていた椅子から降りて立ち上がる。
このゆり椅子は今の私のお気に入りの場所だった。あの人が使っていたのを無理を言って分けてもらった。

もう暗くなった窓の外を眺める、小さかった頃と同じような町並み。
美神除霊事務所で見た町並みと同じように思える。そう思うとちょっと涙がこぼれてくる。

「ぐすぅん、ヨコシマ・・・さようなら・・・」

そっと目を瞑る、そしてまた幸せだったあの頃を思い出すのだ。

・・・・

・・

バキッ

「きゃん!?」

突然の痛みによって思い出なんて吹き飛んでしまった、慌てて後ろを振り返る。

「だれかさようならだ、人を死んだみたいに言うな馬鹿たれ。」

後ろを振り返ると、そこには少し老けたが確かにあの人が立っていた。
自分の事務所の一角で自分の世界に浸っていた私に向かって怒っているようだ。

「だってだって、明日結婚式挙げちゃうなんてずるいじゃない!
やっと天界が言う様子見を終わらせて自由になったのに〜〜〜〜
いくら小竜姫とジークが手伝ってくれたとは言え、天界にごまするのどれだけ大変だったと思ってるの!!」

「いや、そんな事言われても・・・」

私の剣幕にさすがにあの人もたじろいでいる。

「大体出来ちゃった結婚なんていくらなんでも予想通り過ぎでしょ!!
ルシオラちゃんに会えるのは嬉しいけど、私がお母さんになりたかった!!
悔しすぎる!!後数年待ってくれれば私だって手を出される自信あったのに!!」

ここにきてやっと私だって出る所は出てきたのだ。
今はまだ目に留まらなくても、後数年もすれば十分に誘惑できる自信はあった。

「決めた!、やっぱり諦めるの止めにする!」

「え、なに言ってるんだよ。俺結婚するんだぞ。」

ふふふ、私の言葉にあの人が慌てている。大体私がどれだけ我慢してると思ってるのかしら。

「愛人って手もあるし、最近離婚率って高いんだってさ、知ってた?
それに私って我慢強いほうだから待つのって平気だもんね。」

「え?え?」

驚いているあの人の腕を抱き締める、やっと出て来た自慢の胸をちょっと押し付けて。
その行為に、ちょっとだけ赤くなったあの人の顔を見つめる。
見てなさい、奥さんになんて負けないぐらいアタックするんだから。

大体他の連中もこんな事で諦める人たちじゃなかったわね。
恋愛の基本は押して押して押しまくるよ!!

ヨコシマ

せいぜい覚悟してなさいよ。




そう、だから私の夢はまだ続く、私が諦めない限りどこまでも。








終わり


あとがき
ども青い猫又です。
覚えてくれている方お久しぶりです。
知らない方は始めまして。

仕事の都合やいろいろな理由で投稿がかなり久々になってしまいました。

今回は横島Xパピリオと思ったのですが!!
なんか微妙に違う気もします・・・

面白かったら幸いです。
ではまた次回の作品で会いましょう。

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