ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 3〜in妙神山〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(04/11/26)

{妙神山 加速時空間内} 斉天大聖の声が流れている。

「さて横島よ、体術と霊力の扱いを基礎から学びたいという事じゃったな。ならば仙術を
修めてみるか?」

「仙術?って仙人になるんですか?」俺は思わず聞き返してしまった。

「バカモノ!そんなものに簡単になれるわけがなかろう! 人が血肉をそなえたまま生死を超越し天地と一体となって悟りに達するのが本来の仙道じゃがお主には不要じゃろう」

「したがって、その中の方法論、要するに技術的なものを活用する。体術を極め体内の氣の流れを制御し、又、天地万物の氣を感じ取りその力を借りる。まぁ言葉にすればこれだけじゃがな、易き道じゃと思うなよ!」

「ハイ!よろしくお願いします。」 どれほど厳しい道だろうと今の俺には他に選ぶ道などない。 

「では小竜姫はパピリオに修行をつけながら横島への指南。パピリオは己の修行の合間に
横島の組み手の相手を務めよ。」

「はい!」 「わかりまちた!」

「それでは始めるとするかの・・ あぁそうそう、修行がツラくなったらいつでも言うが良い。すぐに中止して終了するからの。」

この人はわかってて言ってるのか、それとも修行をさせたくないから言っているのか、まったく食えない人だ・・・(いや人というか猿なんだが・・・)

「始めて下さい! 絶対に極めてみせます。」それから修行の日々が始まった。






 ふむ、よくもまあここまで基礎のできとらん奴がこの山に来たもんじゃのう。斉天大聖
は呆れていた。と言うのも修行を受けにきた横島という人間は霊波刀のような高度な技や
文殊のような希少な能力まで備えているのに基本となる霊力の練り方は知らないは体術に至っては体捌きさえ知らない有様である。おそらく反射神経だけでやってきたのだろう。

「小僧お主にも人間の師匠がおろうが、その者は何も基礎は教えてくれなんだのか?」

「えーっと・・・そう言えば俺って誰かから教えを受けるのってこれが初めてです。」

「ハァ!?何じゃと?」ワシは今度こそ本気で呆れ果てた。

「ではお主は何の訓練も受けずに実戦の場に出続けたという事か?」

「いや元々がタダの荷物持ちだったんで・・・そのついでに弾除けにされたり、囮にされたりって感じで・・・って俺よく死なんかったなぁ〜」

もはや言葉もない・・・
「小竜姫よ美神令子というのは、どういう人間なのだ?」

「どう と言われましても老師そういう人間だとしか言いようがありませんが・・・」

・・・まぁ良い。ならばこの機会に徹底的に鍛えてやろう。
「体を巡る氣を感じ取れ、そして練り上げよ。それが霊気の収束と拡散につながる。」

「天地陰陽の理は人間ごときには自在にならぬ。符や言の葉をきっかけとしてそこから力をかりるのだ。」

「己のすべての能力を整合させて相手に備えよ。鍛えよ。鍛えよ!まだ足らぬ!」




私は老師と横島さんの修行を見ながら、何も言えなかった。おそらく老師は弟子に教えを全く授けない師匠がいるという事実が信じられないのだろう。私だって信じたくなどないが現物を知っている以上否定しても致し方ない。確かにありとあらゆる意味で常識とは縁の無い女性ではあるがまさかココまでひどいとは・・・

師弟というよりやはり単なる雇い主と従業員なのだろう。師としての義務は放棄するが弟子には忠誠を要求し、師の権利をは行使するが弟子の権利は認めないのだろう。考えてみれば彼に霊能力に目覚めるきっかけを与えGSにしたのは私なのだから、私こそが彼の最初の師とも言える。弟子が最もツライ思いをしている時に何の力にもなれなかった不甲斐無い師ではあるが

そして彼の修行がどれくらい続いただろうか、彼は決して弱音を吐く事など無く、むしろこちらが止めないと倒れるまで狂ったように肉体と精神を苛め続けていました。
そんな時、確かに横島さんは強くなりましたが、その上昇度が尋常ではありません。それに彼の中から感知されるこれは・・・ 私は隣にいる蝶の少女に聞いてみることにした。

「パピリオ、どう思いますか?」

「ルシオラちゃんの魔力でちゅね。しかも日に日に強くなってまちゅ。どうして?」

「おそらく修行で活性化した横島さんの霊力と共鳴しているのでしょう。元々の魂の親和性が非常に高かったのでしょうね。」

「それってどういう意味でちゅか?」

「要するにとても深く結びついているという事ですよ。死ですら二人を分かつ事ができないくらいにね」  少しルシオラさんが羨ましくなりますね。

「しかし、それにしても強くなり過ぎですね・・・このままでは魔族化の可能性が・・」
私はその旨を老師に伝えると老師もその事に関して考えがあるようで一旦修行の方針を見直すことにした。




その日の夜、食事の後で何やら老師と小竜姫様が難しい顔をしている。パピリオも横で渋い顔をしているがこれは単に食後のお茶が苦かったのだろう。

「横島よ、お主最近の自分の力に気付いておるか?」唐突に言われても何の事やらだ。

「力って・・・何か変わりましたか?」心当たりは全く無い。

「お主自分が魔力を放っておるのに気付いておらんのか?」・・・・は?

「ま・魔力?って事は俺は魔族になったって事ですか?」 とりあえず聞いてみた。

「正確にはなりかけというトコじゃがの」  なるほど現在進行中というやつか・・・

「それで何か問題でも?」 何を言われるか見当はついたが一応聞いてみた。

「も・問題って貴方が人間じゃなくなるって事ですよ!?横島さん!」

「人間だろうが魔族だろうが俺であることに変わりはないでしょう?俺が俺である限りは
《横島忠夫》であり続けますよ。それがアイツとの約束ですから」 そう、やっとこういう風に言えるようになったんだ。俺は俺らしく、そうだよなルシオラ。

「ふむ、小僧にそこまでの覚悟があるのならこれ以上くだくだとは言わんが流石に神界の修行で人間を魔族化するのはマズイのでな、修行の方向を転換するぞ」
 転換?
「つまりじゃ自己の霊力を高めるのは、ここまでにして次は周りの力を引き出しつつ霊力消費を最小限に抑えて戦う方法を身に付けるのじゃ。そうしている限りは魔族化が急激に進むことはあるまいよ。」

「別に魔族化に関してはどっちでも良いんスけどね・・・それで一体何をやれば?」

「うむ、大陸で宋代に盛んだった天心五雷正法という修法を更に退魔に特化させた十五雷正法とそこから派生した陰陽術を習得してもらう」

「たしか横島さんの前世は陰陽師でしたね。ならば案外早く習得できるかもしれません」

「陰陽師ってナンでちゅか?」

「まぁ大昔のGSってとこかな?俺の前世は平安の都で五指に入る術者だったからな。」

「やけにキッパリ断言しまちゅね?」

「前に時間移動した時に実際に会ってるからな(アシュタロスに殺されるとこまでな)」

「むぅ意外な事実発覚でしゅ。」

「わかりました。では明日から早速その修行に入ります。」




翌日からの横島さんの修行は相変わらず鬼気せまるものでまるで自分を極限まで責め立てる事によってようやく安心できるような感じでした。ただその甲斐あって修行は順調に進みさながら渇いた砂が水を吸い込むような勢いで習得していき程無く一通り以上のものを身につけてしまったようです。ちょうどこの空間内で十年の月日が流れた頃でした。





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(あとがき)
一応これで修行編は終わりで次回ようやく下山です。
長さはこんなもんで良いんでしょうか?

あと文中にある天心五雷正法は実在しますが十五雷正法は某う○お○とらから引っ張ったパクリです。陰陽術も源流が大陸なのは間違いないのですが正確なとこはわかりかねますのでそういうもんだと流して下さい。

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