ザ・グレート・展開予測ショー

皆本さんの受難♪ 前編(絶対可憐チルドレン)


投稿者名:偽バルタン
投稿日時:(04/11/18)

「薫…それ一コくれないか?」

人間疲れているとつい判断を誤ってしまうもの…
そう…深く考えずにその台詞をクチにした僕が悪かったんだ。



皆本さんの受難♪ 前編(絶対可憐チルドレン)



疲れた時、無性に甘い物が欲しくなる…なんて事、誰にでも覚えがあると思う。
僕…皆本光一はその時疲れていたんだ…デスクに半日詰め、それだけかかっても尚終らない書類作成の仕事の所為でね。
…因みにその大半は“ザ・チルドレン”の任務遂行に伴った、被害報告書と始末書だったりするワケだが…
で、その時、たまたま目に入ったのが、珍しく何のちょっかいもかけてこずに、おとなしく僕の仕事を傍から眺めていた赤毛の少女…明石 薫が食べていた、ひとくちサイズに小さくカットされたチョコレートだったんだ…
いつもだったら、砂糖たっぷり入れたミルクコーヒーでも飲むんだけど…その時は、それを買いに自販機までいくのすら億劫だった。
そこで…話は冒頭に戻る…

「薫…それ一コくれないか?」

もう一度言おう、深く考えずにその台詞をクチにした僕が悪かった。
普段の薫の言動を…彼女の“セクハラおやぢ”体質を、イヤとゆーほど理解していながら、何の考えも無しに、軽〜くそう言ってしまった僕が軽率だったのだ…

「…ほへ?」
「そう、それ…」
「……へ…へへェ…♪」
「か、薫…?」

にまぁ…
悪戯っ子の笑みを浮かべた赤毛の少女の顔を見たとき…僕は漸く、自分が間違いを犯したコトに気づいたのだった…



「ん、ほらみなもほ、へんりょへずひふへひょ〜♪(訳:ん、ほら皆本、遠慮せずに食えよ〜♪)」

さて…今僕が置かれている状況を説明しようか。
目の前の薫は、件の小さなチョコレートの端…もー半分溶けかかってるが…を『クチに咥えて』僕の顔の前に差し出している…そしてふたりの顔の間は30cmと離れてない…
つまりクチ移しとしか言い様のないこの状況でそのまま喰えとゆーのだコイツは!
この状況じゃあ、その過程で“ちゅっ”と僕と薫の唇が接触してしまうのは避けられまい…ヘタすりゃ…というか間違いなく。
逃げ道は無し…彼女の超度7の念動能力…不可視の“チカラ”で、僕はガッチリと捕まえられ、首以外は動かせない…
オフィスには僕と薫のふたりだけ…つまり助けを求める事も不可能。
まぁつまり…早い話が絶対絶命とゆーワケだ。

「か、薫…僕は何も君がクチに咥えてる“ソレ“をくれと言ったんじゃあないぞ?」
「ん♪」
「そっちの箱に残ってる方を一コくれないかとそーゆー意味で…」
「ん〜♪」
「……や…だ、だからな……」
「ん〜〜♪はやふぅ♪ほへひまふはほ〜(はやくぅ♪溶けちまうだろ〜)」
「……」(汗)

抵抗は無駄だった…薫は、何が何でもクチ移しで僕に食べさすつもりらしい…
が、勿論そんな恥しいマネは出来る筈も無い…何よりこんなコトが局長の耳にでも入ったら、僕は間違いなく何処ぞの僻地に飛ばされてしまうだろう…
いやいや、彼女等にはことのほか甘い局長のことだ…最悪、殺される可能性だってありうる…いや真剣(まぢ)で(汗)
何とか穏便にこの危機を切り抜ける事はできないものか…僕が必死になって考えを巡らせている、まさにその時…

「あーもーひれっはいはぁ!!…へあ♪(あーもーじれったいなぁ!!…てや♪)」
「む、むお!?」

ぐわしっ…
一向にアクションを起こさない僕に業を煮やしたのか…薫は、その小さな両の掌で、僕のアタマをがっちりとはさんで固定した。そして…

「んん〜♪」

ぐぐぐ〜っ…
と、彼女の方から思いっきり僕に顔を近づけてきたのだ。

「わ、わぁぁッ!!マテ!ヤメロ!!」

が、当然そんな事で止める薫ではない…嬉々とした彼女の顔が、ぐんぐんと僕の眼前に迫ってくる。
も、もうダメだ!…僕が覚悟を決めたそのときだった。

「させるかぁッ!!」

すさまじい怒声がしたと思ったその瞬間…薫の頭上 数cmの場所に、ブ厚い革表紙の辞書が突如として『出現』した…何処かから飛んできた…とかではなく、何も無かった空間にいきなりパッと『現れた』のだ。そして…

「ぶふッ!?」

ごすぅッ!…どさっ…
出現した辞書は、そのまま落下し真下にあった薫の脳天を直撃…床の上に沈めてしまった…
…おかげで、僕は彼女の『ん〜♪』から逃れられたんが…痛そうだな…薫(汗)

こんな芸当が出来るのは…僕の知る限り1人しかいない…

「か〜お〜るぅ〜」(怒)

ドスの利いた低い声…あぁ…コレはかなり怒ってるなぁ…(汗)
僕が目を向けたその先には…全身から、どろどろと怒りのオーラを噴出させ、鬼気迫る表情で僕等を睨みつける超度7の瞬間移動能力者…野上 葵の姿があった。



後編に続く

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa