ザ・グレート・展開予測ショー

無知は罪ですか?


投稿者名:蒼空
投稿日時:(04/11/15)




私は過ちを犯した。悔やんでも悔やみきれない過ちを。




私はタマモ。傾国の美女とも呼ばれる九尾の狐の生まれ変わりだ。
蘇ったばかりの私は日本政府に殺されかけた。その時、一組の男女に助けられた。
だが、その時の私はひどい人間不信でそいつらを敵だと決め付け酷いことをした。
再会した時そいつは、文句もなにも言わず笑いかけてくれた。
私はその男、横島忠雄が好きだ。
私が居候している美神除霊事務所には他にも横島に好意を寄せている者がいる。
人狼族の犬塚シロ。ネクロマンサーの巫女、氷室キヌ(通称おキヌちゃん)。
そして、美神除霊事務所所長美神令子(本人は認めてないけどね)である。
他にもいるけどそれはまた今度ね。
でも、横島はこんなに好意を寄せている人がいる全くきずかない。
それに、私も素直なほうじゃないからあえて、冷たくそっけなくしている。
これは、こんな私の・・・過ちのお話。




私は時々横島が自分えの好意を無意識の内にきずかないようにしているんじゃないか?と思う。
そう私が思うのは、横島のあの顔。夕日を見つめる時の辛いような、申し訳ないような、そんな顔。
それに、そんな顔をするのは決まって東京タワーの展望台の上で夕日を見てるときだけ。
みんなといる時は笑って、ばかやって、シロの散歩(あれはもう散歩じゃない)に付き合って、
美神に殴られて、そしてまた笑って。とてもあんな顔してた横島と同一人物とは思えない。
私が蘇る前に大きな事件があったらしいけど、みんな辛い顔して、だれも教えてくれない。
横島が関わってるのは間違いないんだけど、なんにもわからない。
本人に聞けばいいんだけど、なんだか聞きずらい。
聞きずらいのは横島の雰囲気もあるけど、私が横島に取る態度も聞きずらい要因の一つ。
この性格が恨めしい。
そしてあの日、私は、過ちを犯した。



それは、本当に偶然だった。
居間で横島と美神が話してて、聞くつもりはなかったんだけど少し耳に入ってきた。
扉越しだったから、途切れ途切れしかわからなかったけど分かったのは
[子供・生まれ変わり・犠牲・魂・アシュタロス・ルシオラ]
子供・生まれ変わり・犠牲・魂はよくわからなかったけど、アシュタロスっていうのは聞いたことがある。
たしか、私が蘇る前の事件を起こした魔神の名前よね?それ以上はわからないけど。
それより、ルシオラって女の名前よね?私の知らない名前。
でも、横島の表情を見る限りただの知り合いじゃないわね。
この時、私は激しく嫉妬したんだ。名前しか知らないたぶん横島の想い人に。
それに、今横島の傍にいないってことは横島を捨てたってことよね?
私のもっとも欲しい横島の愛を捨てた女えの憎悪。
今まだ横島が想い続けている女えの嫉妬。
私の中でなにかが壊れた。

「横島」
「タマモ?」
「どうしたんだ?タマモ?」

横島も美神も一瞬驚いた顔をしたけど、すぐ気を取り直して話し掛けてきた。
その時の、横島の笑顔が、また私を苛立たせる。

「ルシオラって・・・誰?」
「ちょっとタマモ?それどこで聞いたの?」

美神が少しあせったように聞いてきた。
横島は、辛そうな顔をして俯いている。

「どこでもいいでしょ!ルシオラって誰よ!」

そんな風に言う私を見て、横島は小さく呟いた。

「それは・・・言えない」

美神もまた、辛そうな顔で横島を見た。
それを見て、私は歯止めが、効かなくなった。

「言えないんだ?そんな顔するってことはあんた・・・振られたんでしょ?
そりゃ恥ずかしくて言えないわよね〜。毎日東京タワーまで行ってさ?
女々しいったらありゃしないわ。そりゃ振られるわ」

そこまで私が言ったとき、おかしなことにきずいた。
視界が,横になっている?
そう思ったとき、背中と頬に激痛が走った。
そう。私は、横島に・・・殴り飛ばされたのだ。

「もう一度・・・言ってみろ」

その時、私は初めて思った。横島が、怖い。

「なんにも、なんにもしらね〜癖に!!ルシオラを侮辱するな。
もし侮辱するなら、俺が叩き殺してやる!?」
「ちょ!横島くん落ち着いて」

その時の横島の形相は、まさに、鬼のようだった。



その後のことは良く覚えてない。
たしか、おキヌちゃんとシロが来て、私は美神の母。美知恵に連れて行かれたんだ。
そして、教えてもらった。
魔神アシュタロスとの戦い。魔神大戦を。
美知恵に教えてもらったのは、横島がスパイとして敵地に潜り込んで、人類の敵に仕立て上げられたこと。
そして、ルシオラのこと。大きく分けてこの二つだ。
ルシオラのことは、あまり詳しく分からなかったけど一つわかったのは横島の恋人だったこと。
過去形なのは、もう、いないから。
人類の敵に仕立て上げられたことはよくわかった。
私も、国を惑わす大妖として、人類とまではいかなくても、敵だった。
横島はどんなに辛かっただろう?
友達知り合いに人類の敵と思われ、たった一人で敵地に侵入。
相手は横島を軽く殺せる力があると聞いた。
どんなに怖かったろう?
小さなミスで殺されるかもしれないという恐怖感。
泣きたかっただろう。泣くに泣けなかっただろう。
美知恵が、泣きながら、語ってくれたこと。



その後、私は横島の所え行き、泣きながら謝った。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

と、何度も何度も謝った。
そんな私に横島は、頭を撫でながら、

「俺こそごめんな?タマモは知らなかったんだしな?」

そう言って、許してくれた。
それから横島は、教えてくれた。ルシオラの事を。



初めは、パピリオっていうルシオラの妹にペットとして連れてこられたこと。
一度は仲間と合流するも、美神美知恵隊長(以後、隊長)にスパイを命じられ、
敵の空中兵鬼逆天号に逆戻り。
そこで、ルシオラ達の寿命が一年だと知り、さらにルシオラと恋仲になったこと。
そしてルシオラに、アシュタロスを倒すと誓い、再び仲間と合流。
ルシオラ達三姉妹はばらばらにばり、べスパがアシュタロスに付いた。
ルシオラとべスパの戦い。そこに割って入った横島。
べスパの妖毒で死にかけた横島。横島を助けるために、命を捧げたルシオラ。
最後の、究極の選択。
世界を取るか、恋人(ルシオラ)を取るか。
悩み、悩みぬいた末、横島は世界を取った。
タマモはその時の横島の苦しみが伝わってくるようだった。
そして、ルシオラの、横島の子供として生まれてくかもしれない可能性。



話聞き終わって、タマモはまた涙がでてくる。自分えの自己嫌悪で。

「ごめんね。ごめんね、横島」
「もういいって」

そう言って、横島は優しく頭を撫でてくれた。

「私、私横島が好きだよ。だから、一人で抱え込まないで」

タマモの突然の告白に、横島は驚いているようだった。

「それでね、絶対横島に好きになったもらう」
「そうか・・・そうなるのを楽しみにしてるよ」

横島の笑顔につられて、タマモも笑顔になる。



そして、あれから月日が経ち、私は今、彼の隣にいる。
彼。横島の隣に。



知らないことは・・・・・・罪ですか?




ー後書きー
どうでしょうか?
タマモの切ない想いを書いてみたのですが?
これは、魔神大戦後まだ間もないころですね。
こんな話もありかな?と、思ってくれれば幸いです。
では、機会があればまた〜。

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