ザ・グレート・展開予測ショー

〜『キツネと羽根と混沌と』 インターミッション3〜


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(04/11/13)



小学校に入る前、お袋によく言われました。
《悪いことをすると、それ以上に悪いことが、自分に向かって跳ね返ってくるんだよ。》

「・・・・・・・。」

なんて、無意味な回想をする暇もなく、横島は危機的状況に(文字通り)叩き落されていた。

目に入ってくるには白い湯気。わずかにエメラルドがかった透明な水面。

服が濡れることにもお構いなしで・・・というか、そんなことを気にする余裕も無く・・・
彼は、呆然とその場に尻餅をついて・・・・・・

・・・。

(や・・・・やっべぇ・・・・・・・)

たっぷり数分座りこんでから、おぼろげながら、今、自分がどれだけ危うい立場に立たされているかを理解する。
冷静に考えると(考えなくても)これはまずい。
覗き関係のツナ渡りなら慣れたものだが・・・・ここまでシャレにならない経験は自分も初めてではないだろうか?

ざっと問題点を挙げただけでも・・・・

その1:どうやら、ここは女湯の露天風呂の内部らしい。
その2:湯気のせいで、浴場の広さ・構造・自分が現在どのあたりにいるのかが全く把握できない。
その3:とりあえず、風呂場のどこかにタマモと神薙先輩が居るのは間違いない。
その4:↑に加えて、まだいるかもしれない。
その5:じゃあ、落ちたところから戻ればいいじゃないか・・・と思ったが、それらしい場所は見当たらない。

・・・。

・・・・・・完。

(相手が美神さんとかだったら、飛び掛って、ブチのめされて、ハイ終了なんだけど・・。あの2人じゃなあ・・)

どちらも冗談では効かない反応を返してきそうで、とても恐い。
ある程度自分に理解があるタマモならともかく、 
出会って日が浅い神薙に『ひどいです・・・横島くん』なんて言われた日にはきっと立ち直ることができないだろう。

「うぁぁ・・・ちょっと待ってる未来は地獄っぽいかも・・・・。見つかってたまるかよ・・!」

ブルブルと震えながら、横島は弾けるように立ち上がった。美少女2人の入浴シーンは惜しいが(←まだ言うか)そんな場合ではない。
さっさとここから脱出しなければ・・・。

(お!文珠が光ってる・・ってことは超加速はかかったままか・・。これならすぐに・・・)

ザバン!

水を吸った衣服を引きずり、横島は勢いよく水の中で一歩を踏み出して・・・


「・・?誰か・・・いるの・・?」

「・・・・・・・。」


・・で、あっさりタマモに見つかったりする(笑)


                      ◇


「・・・?誰か・・・そこにいるの・・?」

「―――――――・・!!!!」


横島は言葉を失った。・・というか、横島じゃなくても普通失う。
よりにもよって『絶対見つからない!!』と心の中で絶叫した矢先に、見つかるとは・・・・

(・・・っていうかヤバすぎだろ!?一体オレが何をした!?誓って言うが、もともとオレは何一つやましいことは考えてねえぞ!?」
                     (※しています。)                      (※考えてます。)

――――――・・もうどうせ捕まるなら、開き直って覗いちゃえよ!!!!

・・・などという、悪魔(と作者)の誘惑が横島の耳元に囁かれ・・。
その声に抗うことが出来ないほど、今の横島は狼狽していた(←よし!!そのまま行け!!!(爆))

(うおおおおおおおおおお!?このまま女の裸一つ拝まないで、捕まってたまるかよ!!?)

・・いや、それじゃただの変質者と変わらないような気もするが・・・。とにかく、横島は目を血走らせ、手前の岩場から躍り出た。
もう、今までこういったシーンを引っ張りに引っ張ってきた鬱憤を晴らすかのような思い切りの良さだ。
・・・というか、今回はこういう話なので、ほんと勘弁してください(マテ

そのまま、彼は・・・キョロキョロとタマモの姿を探し回って・・・。そして・・・。


(・・・・へ?)


・・・たしかにタマモはそこにいた。しかも幸いなことに、こちらに気付く様子は全く無い。気付かないどころか・・・・

「・・・?勘違い・・?まぁ・・誰もいない方が私は気楽だけど・・」

・・なんてことをポツリと言いながら、手のひらでシャワーの温度を確かめていたりして・・・
どうやらタマモはシャンプーの途中・・・髪を洗うために、一時的に神薙からは離れた場所に移動したらしい。
嗅覚が役に立たないこの場所で、きつく目を閉じているのだから・・当然横島の存在に気付くはずもない。

(一応、犬神なんだもんな・・そりゃ、目にセッケン入るのは苦手か・・・。にしても・・・)

なにやら偉くマニアック・・・もとい、物珍しい光景に、横島は完全に固まっていた。
そんなことしてないでさっさと逃げろよ、というつっこみもあるが・・・。
そこはまぁ、横島なので少女の裸身に目が入ってしまう・・・というか、そういうことにして下さい(爆)

・・重ね重ね弁明してきたような気もするが、彼は決してロリコンではない(この先ストーリー進めばそうも言っていられないが)
だが、それを取り払って余りあるほどに、今のタマモの肢体には目を奪われるものがあった。

まず目を惹かれるのは、幼さの残るほっそりとした体つき。金色の光を乱反射する長髪が、濡れた雪のような肌に絡みつく。
抱きしめれば壊れてしまいそうな、頼りなげな肩や、
体中の至るところにまとわりついているソープの泡があどけない表情と相まって・・作者はもう辛抱堪らない(爆)
これだけで茶碗3杯はいける(握拳

(・・って、今のはオレの心象描写なのか・・?なんか全然違うような気もするけど・・。しっかし、やっぱアイツ胸小せぇよなぁ・・。
 ちゃんと栄養とってんのか?)

・・・面と向かって言ったら100回は丸コゲにされそうな文句を、横島は飲み込む。
一拍置いて、大分落ち着きを取り戻したのか・・・ソロリソロリと、彼は移動を再開して・・・・

とりあえずは逃亡のチャンスだ。これ以上危ない橋は渡れない。
普段、覗くことのない、タマモのシャワーシーンを拝めただけでもメッケモンといったところだろう。

(も・・もう読者のリアクションなんて知ったことか・・。オレは逃げるぞ・・それでは皆さん、さよ〜な・・・)

・・だが。

たっぷりと水を吸い、ビチャビチャと音を立てる横島のジャケットが、彼の思惑をものの見事に粉砕する。
タマモと横島の距離は長さにして、わずか30センチ足らず・・・・これでは気付いてください、と言っているようなものだ。

「・・!?やっぱり・・・誰かいるの・・!?」

「・・・・・・・!!」

その刹那、なぜか横島の脳裏を、昔読んだことのある童話の一節が掠めていき・・


《赤ずきん:『まあ、おばあちゃん、どうしたの?いつもより声がしわ枯れているわ?』
  狼  :『それはね、赤ずきんちゃん。風邪でノドがかすれてしまっているからなのよ。』 》


・・・。つまり、上記の会話の狼を横島、おばあちゃんを神薙にそのまま置き換えれば、この難局を乗り切ることも十分・・・・

「・・可能ななわけねえだろ!!!!ナレーターだからって適当なことばっか言ってるとブッ飛ば・・・・・」

「・・・・・?・・よ・・横島・・・?」

―――――――・・時すでに遅し。

タオルで目元をこすりながら、タマモが動揺をあらわにに振り返る。
そして・・・。


「・・・・。」 「・・・・。」


しばしの沈黙の後、2人の視線が正面からおもいっきりかち合った。

・・・。

「い・・いや・・あれだな?早く体の泡落として、入り直さないと風邪ひくっていうか・・・」

「・・・・。」

「え・・え〜と・・あとなんかフォローフォロー・・あ!お前の胸って、小さいけど、ふにゃふにゃしてて触り心地良さそ・・」

「・・・・・・・。」

「・・・いや、もうある程度覚悟は出来てるけど、やっぱオレってば殺される?」


―――――・・・・・ドゴォシャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

例によって例のごとく、あたりが爆炎の渦に見舞われた。


                              ◇



「・・・奇襲・・?」


すぐ近くで生じた、多大な熱量と妖気の爆発。
岩場の打ち水で半身浴をしていた神薙が一瞬、体を強張らせた。

(まさか・・・それはありえませんか・・)

疑念を払うように首を振りながら、そのまま小さくため息をついて・・・。
・・たしかに、今の自分の霊力は・・本来の数万分の一にも満たない程度の微弱なものではあるが・・。
それでも、敵に不用意な接近を許すほど、油断した覚えは一度もない。

第一、襲撃は2日後のはず・・。イーター然り、ユミール然り・・爆弾魔の起こす混乱を蓑にすれば、最高のタイミングで奇襲を狙える。

(西条輝彦に、ユミール・・そして喰らう者。構図がいささか整然としすぎているのが気にはなりますが・・・)

・・・けれど、敵の居場所が分からない以上、迎え撃つ以外に上策があるとは思えない。
フェンリルが来ようと、イーターが来ようと・・・自分はただ立ち塞がる敵を倒すだけだ。

・・・・。

「釈迦の手の上でないことを祈るのみ、ですか・・。無様ですね私は・・・」

唇をかみながら押し殺すように・・・・彼女は低くつぶやいた。
無意識下で昂ぶり続ける感情を打ち消すと、神薙はそのまま、冷たい双眸をさらに細めて・・・・

(・・糸を引いているのは・・・また貴方ですか・・?お父様・・・)

・・・肩を抱く。彼女がもう一度、打ち水に身をさらそうとした・・・・そのときだった。


――――――「うぉおああああああああ!!!こ・・殺され・・・って神薙先輩!?ヤバ・・ヤバすぎ!?ってかそんな急には止まれな・・」

「え?」


声を上げる間もなかった。
目の前に横島が突進してきたかと思えば、不意に、顔を胸板に押しつけられ・・・・

「・・ぁ・・・え?・・い・・一体・・・?」

「・・・っ!ちょ・・ふ、ふざけんな!いくらなんでもまずいだろこれは!?いや、それより何より本当にこの話、投稿して大丈夫なのかよ!?」


・・聞こえない聞こえない。(←マテ)
ちなみに、状況を略式で説明すると、次のようになる。

横島がタマモに殺されかける→仕方ないので超加速で逃げる→だいぶ距離を稼いだところで神薙と遭遇。勢いを殺せずそのまま・・

「・・っ・・きゃ・・・っ!」

斜めからの加重に耐え切れず、神薙の体が宙を浮いた。
手前の岩場に押し倒される彼女に、覆いかぶさるカタチで横島も上に倒れこみ・・・・・

・・・よく見れば、手首を押さえつけ、抵抗を許さないこの体勢は・・俗に言うマウントポジションというヤツではないだろうか?
(いや、ないだろうか?・・というかそうなのだが・・・)


「よ・・・よこしま・・・・く・・・ん・・?」

「うっわ・・・腰、細っ・・!肌、白っ・・・!」

「・・・・ぁ・・・・」

「って・・違ぁあああああああう!!!!すんませんすんません!!すぐどきます、すぐどきます!!!」


(今回、女性アドバイザーにもっともひんしゅくを買った)セクハラ発言を口走りながら、横島はあたふたと頭を下げて・・

・・・ここで、ジタバタもがくのは危険だった。
いつぞやの短編では、タマモ相手にこのポジションから、さらなる泥沼に引きずり込まれた記憶がある。
ここは冷静に・・・とりあえずは手首から両手をどけておこう。

(う〜む・・見境無く襲い掛かるのを踏みとどまるあたり、オレもずい分、成長したもんだよなぁ・・)

いや、感慨深そうに頷いてるヒマがあるなら、早くどいた方がいいと思うが・・・・
しかし・・それにしても・・・・。

「ぁ・・・ぁ・・・の・・・」

先ほどのタマモとはまるで真逆のパターンだ。綺麗だということは重々承知していたが・・可愛いと思ったのはこれが初めてかもしれない。
などという・・学校の男どもに打ち明けたら、バールようなもので殴殺されてもおかしくない感想を抱きながら・・
彼はヨロヨロと、岩場に立ち上がり・・・・



「よ・こ・し・ま・・?」

「ひぃいいいいいいいいいいいいい!?」


突然だった。

底冷えするような声音とともに、ユラリとタマモが・・・。タマモが・・・・。
一度、更衣室に戻ったのだろう。彼女は、身をしっかりとバスタオルで包んでいる・・・のはいいのだが・・・。


「へ?あ・・あれ?なんだお前・・なんか・・さっきより数段怒ってらしゃいませんか?」

「・・・・わ・・私の時はすぐ逃げたくせに・・・。神薙さんなら、押し倒すんだ・・・?」

「え?え?な・・何?お前は一体何の話をしてるの!?」

顔を引きつらせ、横島はじりじりと後ろへあとずさり・・。するとそれに、我に返った神薙が・・・

「・・・?横島くん・・?先ほどから、どうして前かがみになっているんですか?まさかどこかにケガでも・・・」

「あ・・いや、これはですね。ケガというか男の性というか・・・って!お、おい!!ちょっとタマモ!?
 またこのパターンかよっ!?いい加減、オレがぼこぼこにされてオチって展開には読者も飽き・・・・・・」

「・・・もう、知らないっ!」

「し・・・・知らないってお前・・さっきから言ってることがグチャグチャ・・・・・・うぎゃああああああああ!?」

・・・。

・・・と、まぁ、結局いつもと同じようなオチということで・・・。


                          ◇




〜3時間後〜


「・・横島くん。不可抗力とはいえ、あのような状況で無闇に動くのは感心できません。一歩間違えれば、大変なことに・・・」

「・・・・・。は・・はい、わかりましたから。
 風呂を覗いたりするのも・・・まったくしないのは多分無理なので、未来の彼女以外とは絶対しませんから。
 だから先輩・・そろそろ、お互い正座するのやめませんか・・・?」

「・・?ふむ・・未来の恋人と・・・ですか。ですが横島くん?そもそも横島くんはまだ学生なんですから、女性とは健全で誠意あるお付き合いを・・」

「・・・・・・・・・・。」


――――――・・。


「2時間半、正座でお説教ね・・。いつもみたいに、タコ殴りにされるよりよっぽど堪えてるみたいだけど・・今度、令子にも教えとこうかしら?」

「い・・いや、令子ちゃんには出来ない芸当だと思いますけど・・。?そういえば、先生・・タマモちゃんは?」

「もう部屋に戻ったわ・・・。ふて寝してるみたい・・・」


―――――――・・。


「・・・・横島・・・・・ばか・・・・」


・・・・なお、今更だが、今回の話は別に読まなくても、ストーリー上なんの支障もなかったりする(爆)




『あとがき』

次回、『タマモ暴走編』に続く・・・うそです、ごめんなさい・・・石を投げないで・・・(泣
うぅ・・まずは色々な意味(←ここがポイント)で謝罪を(汗)
お待たせしてすいませんでした〜+・・・ええ〜と・・出来心だったんです!!
全年齢対象の枠は踏み越えてないので大丈夫・・だとは思うのですが・・。

なにはともあれ、ここまで読んでくださりありがとうございました〜

しかし・・もっとすんなり行くかと思ったのですが、思いのほか難産でした。
エロ小説は割りと書き慣れているんですが・・
(タマモ×3 神薙先輩×2 スズノ×2 ユミール×1 計8作)

やっぱり全年齢対象は勝手が違いますね(爆)次回はまじめな話に戻りますので・・・お許しください〜それでは〜

 

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa