ザ・グレート・展開予測ショー

終わらせる者ー後編ー


投稿者名:蒼空
投稿日時:(04/11/10)

ーYOKOSHIMA サイドー

「そのうち分かるだと?」
「ああ」

そして沈黙。
しばらくして横島が口を開く。

「・・・エンド。お前の目的は何なんだ?」
「言ったはずだ。おれは終わらせる者。全てを終わらせる」

エンドはまた淡々と答える。そこには感情の欠片さえない。

「全てを終わらせるだと?ハルマゲドンでも起こすつもりか!?」
「さぁな。それはお前が俺を倒せたら分かるかもな」

それは、戦いを避けられぬということ。
横島は静かに、霊波刀を構える。
エンドも構える。
恐らく霊波刀だろう。しかしそれは、完全に物質化し、それだけで横島との実力の差がわかる。
刀の色は、横島が光り輝く白なら、エンドの刀は黒。
一片の光さえないような漆黒の黒。本当の闇の色。
霊力にも色がある。それは、その者の心の色。
心のきれいな者ならその色は、太陽を思わせるように光り輝く。
逆に、心が闇に支配されればされるほどその色は闇の色となる。
それは、神族も魔族も人間も同じだ。
横島の光り輝く白い霊波刀。
エンドの闇を思わせる漆黒の黒。
対になる、真逆の色。
横島は、真実を知った時それに・・・耐えられるだろうか。

「いくぞ!」

エンドが駆け出す。

「おりゃ!」

横島は近づくエンドに霊波刀を振るう。
エンドはそれをわずかな動作で避け、横島の間合いえと接近する。

「クッ!?」

横島はその攻撃を間一髪バックステップで避け油断なく構え隙をうかがう。

「ほぅ、なかなかいい動きだ」

エンドは感心したように言う。

「俺を甘く見るなよ!」

アシュタロス大戦前の、ルシオラと出会う前の横島ならこの言葉は出てこない。
その頃の美神達がこの言葉を聞いたらまず驚くだろう。そこまでその頃の横島は自分に自信がなかった。
自分の天才的な潜在能力にきずかず、美神の荷物持ちとしてだけのバイト。
いろいろな戦いに巻き込まれ幾度となくみんなを危機から救おうとも横島はそれにきずかない。
ゆえに自信がなかった。自分は強いという自信が。
ワルキューレに[自分は無力だ]と、思い知らされ、雪乃丞と共に妙神山での命がけの修行を経て、
文殊という類まれない能力を得たがまだまだ自分に自信が持てなかった。
そして、大切な人を守れなかったという心の傷を負った。
だからこそ横島は強くなれた。大切な人を守るため。二度と繰り返さないように。
今の横島には自信がある。大切な人を守るという心の強さも。

「なるほど。ならこれはどうだ?」

エンドがそういうとエンドの右手に魔力が集まる。
そしてそれは球形を成していく。


(こんどはなんだ?・・・ビー玉?いや、あれは!?)

「死ぬなよ!?」

その球形の魔力塊を横島に投げる。その表面に文字が刻まれているのを横島は見た。
その文字は”爆”。
横島の物は深緑色だがそれは黒かった。だがそれは確かに”文殊”だった。


どっがぁぁぁ〜〜〜ん!!!!!


あたりを砂煙が覆う。
そしてそこには、血を流しなんとか立っている状態の横島がいた。

「ほう、あれを受けても死なんか」
「てめえ、なんで文殊を」
「何を言う。確かに文殊は珍しい能力だが使い手がお前だけとは限らん。あくまで希少なだけだ。唯一ではない」

人界で文殊を使えるのは横島だけだが三界で見ればそう多くはないが使い手はいる。
あの菅原道真も文殊の使い手であるし。
さらに文殊の威力はその人の力の強さで決まる。
さっきの爆発の威力からみて、エンドの力は横島の軽く五倍はある。

「くそ!!」

横島も文殊を精製。文字は”炎”
エンドも素早く文殊を精製。文字は”氷”


発動は同時。だが、横島の作り出した炎は一瞬にして氷漬けとなりそのまま横島を襲う。

「ぐわ!!」

文殊”解”により氷は溶”解”する。
だが、安心する間も無くエンドは霊波刀で切りつけてくる。
上下左右、縦横無尽の攻撃に横島は防戦一方。防ぎきれているのが不思議なくらいである。
だが、横島にも限界がある。わずかな隙を突いた攻撃をくらい吹き飛ばされる。

「どうした?もう終わりか?」

(強い。俺よりも遥かに、強い)

「くっそ〜〜〜!!!」

横島も霊波刀で反撃する。だが、


切る・・・流される。。
突く・・・交わされる。


さらに切りつける・・・反撃を食らう。
これの繰り返しだった。
横島の攻撃はことごとく、かわされ、時に流され、反撃を食らう。
そして吹き飛ばされる。今度はなかなか立ち上がれない。
「所詮その程度か。こんなやつのために命を投げ出したなど、ただの馬鹿だな」


そのエンドの呟きを聞き、横島の中で何かがキレた。

「今、なんてった?ルシオラが・・・馬鹿だと?」

そう横島が言った次の瞬間横島が消える。

「!!」

ドカッ!!!

「お前に・・・おまえなんかにルシオラをとやかく言う資格はねぇ!!!」

あの一瞬で横島はエンドの傍まで詰め、殴ったのだ。

「くくく。やっと目覚めたか」

エンドゆっくりと起き上がりながら言う。

「なに?何を言って・・・!!」

横島の言葉が途中で止まる。
なぜなら、エンドの仮面が割れ、その隠されていた素顔が晒されたからだ。
そして、ちょうどその時美神達がやって来た。

「横島くん無事!?」

そして、三人もエンドの素顔を見て動きが止まる。
辺りに沈黙が漂い、ようやく横島が口を開く。

「・・・・お、俺?」

エンドの素顔。それは横島と瓜二つだった。双子と間違えるぐらいに。

「横島くんが・・・二人?」

美神たちも訳がわからないといった顔だ。

「ふっ。驚いたか?」
「な、何で俺と同じ顔なんだ?」
「それは・・・力ずくで聞いて見ろ!!!」

そしてまた始まる攻防。
しかし、今度はエンドが一方的に押すのではなく、互角。

「はぁはぁはぁ」
「はぁはぁくっ!!」

長い攻防の末、両者とも限界が近い。

「やるな、横島」
「はぁはぁ、俺は、負けられねぇ」
「はぁはぁ、次で最後だ。最後の力を出し尽くして見ろ」
「望むところだ!!」

両者が力を最大まで上げる。生命(いのち)を燃やし尽くすほどに。

「はぁぁ〜〜〜!!!」
「どぁぁ〜〜〜!!!」

激突。だが横島は激突の瞬間目を見開く。
エンドが刀を下げ、”自分から貫かれた”から。

「な、なんで?」

美神達もただ見ているしかない。

「ゴホッ。はぁはぁ。うぉぉ〜〜〜」

次の瞬間辺りを光が覆い尽くす。


「ここは?」

しばらくして横島が目を開けるとそこには・・・なにもなかった。

「ここはおれの深層意識のなかでもっとも深い場所だ」

すると背後から声が聞こえ、振り返るとそこにはエンドがいた。無傷で。

「なっ!?」

横島は素早く警戒する。が、

「そんなに警戒するな。勝負はお前の勝ちだ」
「なら、なんでおまえは無傷なんだ?」
「言ったはずだ。ここは俺の深層意識の中。姿形はイメージしだいだ」

そう言われ、横島は自分の体を見てみるも傷一つなかった。

「で、敵であるおれをこんなところに連れてきてどうするつもりだ?」
「なぁに、俺に勝ったご褒美をやろうと思ってな」
「褒美だと?」
「後ろを見てみな」

エンドにそう言われ、怪しみながらも後ろを見る。

「!!!」

するとそこには、横島を愛し、その命まで捧げた女性。

「ル、ルシオラ?」

ルシオラは微笑みながら、

「ヨコシマ、久しぶり」

抱きついた。

「エ、エンド。これはどういうことだ?」

ルシオラをしっかり抱き留めながらながらも、エンドに聞く。
エンドはいたずらが成功したような顔で答える。

「簡単なことさ。足りなかったルシオラの霊波片を俺が持っていたのを足しただけさ」
「持っていた?」
「口で言うよりこっちのほうが早いな」

そう言うとエンドは文殊を投げる。文字は”伝”
文殊が光ると横島にエンドの記憶が流れ込む。
それは、人間に裏切られ、神魔族に危険分子と判断され、仲間を殺され、最後には
エンド一人だけが生き残る。
横島には信じがたく、悲しすぎるものだった。
横島は涙を流しながら、しかし、確信を込めて問う。

「お前は・・・俺なんだな?」
「・・・ああ」

ルシオラも涙を流し、エンドを見つめている。

「俺は俗に言う平行世界ってとこから来た。目的はお前に俺の中にあるルシオラの霊波片を渡すこと」
「なんで、そんなことを?」
「おれは、大切なものを無くしすぎた。生きるのに、疲れたんだ」

次第にエンドの体が透けていく。

「おまえらは、幸せになれよ」

そこで、横島の意識は途切れる。


「っん。・・・ここは?」
「あ、横島くん起きた。ここは病院よ」

ベッドの横のパイプ椅子にいた美神が答える。

「美神さん?・・・!!そうだ!ルシオラは!?」
「横島。ここにいるわよ」

横島の横のベッドにルシオラがいた。

「事情は大体ルシオラから聞いたわ。もうすぐしたらみんな来ると思うから。私飲み物買ってくるわね」

そう言って美神は出て行った。

「気つかってくれたのかな?」
「たぶんね」

ルシオラの返事を聞いて横島はルシオラがいるという実感が湧いてきて涙を流す。

「ちょっとヨコシマ。どうしたのよ?」
「いや、ルシオラがいるのがうれしくって」
「・・・私もよ」
「愛してるよ、ルシオラ」
「わたしもよ、ヨコシマ」

そうしてふたりの距離が・・・。



ー某所ー

「準備できたか?キーやん」
「ええ。完璧ですよ」
「ほなやろか。あいつらには幸せになってほしいな〜」
「本当ですね。私達にはこれくらいしかできませんが」

それから、神界魔界全土に最高指導者直々の勅命が下った。
[英雄横島忠雄、並びにその知人にはいかなる理由があろうとも、危害を加えることを禁ず]




ー終わりー


〜後書き〜
やっと三編終わりました。
戦闘場面も幼稚ですいません(泣)
まだまだ修業不足ですね。
これからもっと力をつけて頑張りたいです!!

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