ザ・グレート・展開予測ショー

フォールン  ― 10 ―


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(04/10/17)




 ――あの人達が、本当にルシオラの復活を望んでいたと思いますか?
 横島の言葉には彼女達――小竜姫、ワルキューレ、美神美智恵そして・・・――への何か強烈な含みが感じられた。

「えっ?何・・・当然じゃない?・・・・・・違うって、言いたいの・・・?」

「あの人達が望んでいると思う方が間違っていたんですよ。」

 横島はマネキンをどけ自分の服も濡らしていたシャワーの栓を閉めると、踵を返して窓の方へと足を進めた。
 背中を向けた彼を見て美神の脳裏に横切った――取り押さえるなら、今だ。彼を捕まえる事で事件を解決する為に・・・いや、身内の不祥事に適切な対応を取る為に・・・いや・・・。
 そんな美神の思いを知ってか知らずか、半分開いた窓枠に手を掛けて通りを見下ろしながら、横島は言葉を続ける。

「・・・戦いが終わった後で、神界にも魔界にも、まして人間界にも・・・アイツを安心して置いとける場所はなかったんすから。それはアシュタロスの配下だったから、じゃない。その技術力を握っていて、かつ充分な管理が施せない相手だったから。
・・・パワーと卷族だけのベスパやパピリオとも、自分のパワーはなく殆ど動かない土偶羅とも違います。」

 ここに至って美神は動けなかった――自分が何故、目の前の男を取り押さえて、その行動を阻止しようとするべきなのか。その理由が見出せない。
 今や、それが人にさしたる害をもたらすものではないのが明らかだ・・・アクシデントでも起きれば別だが・・・何らかの利己的だったり邪悪な意図を伴うものでもない。

 ちょっとばかり多量のGS違反事項が許せない為に?―――そんなバカな(私は美神令子よ?)。
 美神事務所に責が及ぶのを防ぐ為に?―――ここで止めようが止めるまいが同じだ。揉み消しや責任逃れならもっと他の手段を考えるべきで、止める理由にはならない。
 引き受けた仕事の報酬の為に?―――身内の仕業だとしても貰えるのかはさておき、自分の動機としては説得力がある・・・けど・・・多分、それは自分自身に対する嘘だ。

「どこに置いたって技術の流出と悪用を警戒し続けなければならない・・・特に人間界では尚更っすね・・・“折角いい所で死んでくれたのに一人の人間の希望でわざわざ生き返らせて面倒と危険を増やす必要はない”・・・あの人達ならそうじゃないっすか?」

 そして、今の話・・・いつから彼はそんな事を考え始めたんだろう?少なくとも私が提案を出した“あの頃”既に思っていた事ではない。
 そして・・・それを考え始めた時、どうして私に確かめに来なかったんだろう?
 しかし、既に美神は自分で「その答」を思い浮かべていて、またそれを認めまいとしている・・・自分が“あの人達”の一人に数えられている、と言う答を。

「だから俺を、そのありえない筈の可能性に賭けさせた・・・俺は全くの別人となった子供をアイツの生まれ変わりだと思い込んで一生を送る・・・まあ、マヌケな話っすよね。でもそれが世界の為って訳です。つまり・・・」

「ちょっと待ちなさいよっ。アンタ、悪く考え過ぎよ!いくら何でもママやアイツらが・・・」

 ――果たして本当にそうだろうか?彼女達は本当にそんな事を考えないと言えるだろうか?美神の目からもそう言い切るのは難しかった。

「・・・・・・つまり、俺はもう一度、気付かないまま、世界の為にアイツを犠牲にさせられる所だった訳です。」

 シャワールームの半開きの窓ガラス、そこに微かに横島の顔が写っていた。言葉を切った一瞬だが、その目は横島のそれとは思えない――彼がそんな目を一度もした事がない訳ではなかったのだが、その視線の向けられた先は常にアシュタロスであったり、逆天号を迎撃した時の美智恵であったり――美神にとって、「自分にも向けられるもの」ではなかった。
 横島が振り返った時、美神はびくっと体を震わせた――振り向いた彼が、あの「許しえない、信頼出来ないものへの視線」を自分へ向けて来る事に、怖れに似た拒絶感から。
 横島の怒りが怖い訳では勿論ない。怖れたのは・・・それによって自分と彼との「間にあるもの」が今、自分の思っていた様なものではなくなっていたのを思い知らされる事だった。

 しかし、振り返った横島はさっきまでの笑顔を見せていた――いや、さっきまでとも違う、強い決心をどこかに感じさせる笑顔だった。・・・“あの日”、秘密基地から戻って来た時の様な。

「だけど、生き返らせた後では・・・また殺したりも出来ないっすよね。あの戦いの最大の功労者でもあるんですから。第一・・・並の方法では不可能だし、文珠使いの俺とセットで敵に回すなら神界や魔界だってそれなりの戦力を投入しなくちゃならなくなる。」

 横島の中で、「ルシオラが自分の子供として再び生まれてくる」可能性が断たれ、同時にそれを勧めた者達への信頼が断たれた時、残ったのはもう一つの方法――自分の持っている彼女の霊体を直接使う事――となるのは自然な流れだったであろう。ある日突然にではなく、時を経て辿った道のりの中で。

「大人しくしている奴のあるかどうかも分からない危険を理由に、そこまでの事はしない・・・出来ないっすよ・・・要は、「やったモン勝ち」。生き返らせてしまえば、あの人達だって『オメデトー』と言うしかなくなるでしょーね・・・」

「おめでたいのは、アンタの頭の中よ・・・。そうならなかったら、あの娘と二人で全世界を敵に回しても良いつもりね。見え見えだわ・・・。それに・・・その方法だって・・・」

 確実な方法なんかじゃない。分かり切っていた。かつて土偶羅が言った通り、神族や魔族ならともかく人間が霊体を何度も切ったりしていたら、形を保てなくなりバラバラになってしまう可能性が高い。
 だからこそ美神は考えあぐね、「子供に転生」を思い付いたのではなかったか。横島の計画は準備の違法さよりも、復活後の問題よりも、その霊体分離作業こそが彼にとって最も危険なものだった。
 ・・・しかし、彼にとってその問いは愚問だろう。それを知らない筈がないのだ。

「大丈夫ですよ。慎重に準備したし、雪之丞にも自分の命を捨てようとしない、いざとなったら中止するって約束させられてますし・・・でも・・・万が一の時は、アイツの事よろしくお願いしたいっすけど・・・」

「アンタ、馬鹿!?冗談じゃないわよ!――それで・・・そんな事になって、あの娘が喜ぶとでも思ってるの?」

 「万が一の時」――それは、ルシオラが復活する代わりに横島が命を落とす・・・消滅する、と言う事だ。あり得なくはない・・・と言うよりむしろ、そうなる可能性の方が高い。彼が彼女のいない世界で生きて来た様に、今度は彼女が彼のいない世界で生きるのだ・・・。
 横島は美神の問い掛けには、少し苦く答えた。

「まあ・・・その時はアイツはメッチャ怒るでしょうね・・・。」

「どうしてよ・・・!そこまでして・・・そんなに・・・あの娘がいなきゃ、あの娘でなければダメなの!?」

 美神は気付いていた。今の横島の姿勢は「可能性があるから賭けてみる」と言う範疇を超えている。あまりにも少ない可能性を自分の命で補う事も厭わない・・・その、ルシオラに貰った筈の命を。
 彼がルシオラを呼ぶのは彼女の為なんかではない。自分の為だ。
 そこまでしてルシオラを求めなければならないのか。それが美神の問う内容だった。それは彼にとって彼女と引き換えになる・・・なっていた様々なものの価値を問う事でもあった。

 再び重い沈黙。横島が少し小声で口を開いた。

「美神さん・・・・・・。」

「・・・何?」

「・・・俺、美神さんの事、好きっすよ。」

「――!!」

 不意打ちの告白めいた横島の科白に美神は言葉を詰まらせ、次に顔を赤らめる。
 しかし、この場にはあまりにもそぐわない科白。ふざけるなと彼女が言い返そうとした時、彼は言葉を続けた。

「おキヌちゃんも好きっす。シロも・・・タマモも・・・みんな、大好きです。」

 そう言うとイタズラっぽくニッと笑う。彼女が彼にこんな風にからかわれたのは、本当に初めての事だったかもしれない。
 美神が怒鳴る暇もなく横島の言葉は続いた。

「エミさんや冥子ちゃん、隣の小鳩ちゃん、魔鈴さんも・・・あんな事言っちゃったけど小竜姫様やワルキューレや隊長だって・・・。
ヤローに好きとか言うのは違う気がするけど・・・やっぱ、雪之丞とかピートとかダチや信用できる奴がいて・・・」

 横島は言葉を途切れさせた。うつむいて言葉を選ぶ様に黙り再び顔を上げた時、さっきまでの決意混じりの表情に戻っていた。

「・・・でも、俺が“求める”事の出来るのは結局アイツだけだったんです。」

 その表情のままで、彼は本当の答えを口にした。

「そんなアイツを助けられなかった事・・・失ってしまった事。いなくなって淋しかった事・・・それを色々あって乗り越えた事・・・それすら過去の事になって、みんな大変で俺だけどこかに寄っ掛かろうとしてちゃ駄目だって分かってて、それでも渇いていて・・・
そんな悲しさや寂しさをぶつけたい時、思い浮かぶのもやっぱり・・・アイツだけなんです。」

 横島は喋りながら窓を全開にして、その縁に腰を掛ける。そのまま出て行くつもりだと美神が気付くまで少し時間がかかった。
 彼女は横島の話について考えるので手一杯でもあった――そこには、彼が進んで背負い、自分達が彼に背負わせたものが表われていた――「横島は大丈夫、すぐに立ち直った。ただのバカでスケベで前向きな少年に戻った。」
 その前提で彼の周囲は日常を取り戻し、前を向く事が出来たのだ。自分達はそれを求め、彼自身がその役割を進んで演じた・・・それはルシオラの願いでもあったから。
 やがて何も知らないタマモやシロが加わり、誰もその前提を疑わなくなった・・・彼をおいて世界を進めても大丈夫だと思うようになった。――彼自身さえも。
 そしてその歪みはゆっくりと増殖する・・・誰の目にも見えない、彼の意識の中で。

 ――ここまで来たらもう、なる様にしかならない。好きにさせれば良い。
 駆け寄ろうとした美神の足が、そんな心の声で止まった。それは最も理性的な声だったかもしれない。

――でも・・・!

 そして、それに抗うもう一つの声。“でも”何なのか。彼女はそれを明確に出来なかった。

 横島は決意の微笑のまま美神を見据え、少しのけぞって呟く。


「ごめんなさい・・・・・・俺、限界だったんです。」

「ちょっと、待―――!」

「美神さん・・・お幸せに。」

「――!」





 ―――さよなら





 横島は窓枠に腰掛けたまま壁を蹴り、引っ繰り返る様に背中から落下した。
 美神が窓に駆け寄ると、霊波で静かに着地した彼が、閃光と共に人間ばなれしたスピードで――恐らくはどちらも文珠の効果だろう――路上を去って行くのが見えた。
 物陰から2〜3人のGメンが慌てて飛び出し、彼の消えた方向へ走るのが続く。

 何故、それでも止めたかったのか。「でも」・・・何だったのか。美神は、窓際でぼんやりと反芻するだけだった。



   ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



 おキヌは走っていた。帰る前に立ち寄ったスーパーで買った食材の袋を手に持ったまま。
 自分が何で今こんな風に走っているのかすらも考えられない。
 つい二時間程前には大学で理事長と留学についての打合せをしていて、向こうでの新しい生活に胸を躍らせてたと言うのに、今ではそれがどうでも良くなっていた。

 アパートにはいなかった・・・Gメンの人達が周りに立っていた。美神さんの話が本当なら、横島さんは行く所がない・・・ひょっとしたら誰も知らない場所に行ったのかも・・・もう捕まってしまったのかも・・・湧き出る不安にかぶりを振りながら、何とか知っている場所から探して行こうと考える。
 彼の良く行くコンビニ、公園、レンタルビデオ店、銭湯・・・どこにもいない。
 心当たりを探し尽くして、おキヌは立ち止まり荒い呼吸を整えようとする。

 帰って来て味付けの希望を聞こうと横島を呼んだ時、少しやつれた顔の美神が出て来て「横島はもう来ないわ。Gメンに手配されているから、見たら声かけたりせずそのまま通報して。」と言い放ったので驚愕し、何事かを尋ねた。
 先程横島が出て行った時の顛末を簡潔に説明した美神を「美神さんの・・・バカバカバカバカァ〜〜〜ッ!!」とバカを50回近く連発で罵ってから事務所を飛び出し、勢いのままに事務所周辺から横島のアパート周辺まで探し回っていたのだ。

 整わない呼吸。纏まらない思考。拭っても流れる汗。千々に乱れる感情。おキヌはうなだれた。

「はあーーー、やっぱりこの辺にはいないのかなあ・・・それ以外だともう・・・。」

 そこまで呟いて、おキヌは顔を上げた。視界の端に映った高圧線用の鉄塔を凝視する――“それ以外”でこんな時、横島の行きそうな場所。心当たりがあった。おキヌは再び走り出す――駅に向かって。

「・・・三田、で良かったんだよね・・・?」

 呟きながら横断歩道に出た彼女は、信号が赤である事とスピード出し気味の車が来ている事とに気付いていなかった―――

「きゃあぁぁっ!?」

キキィィィッ・・・ギャギャギャギャッ!!

 車は転んだおキヌの目の前でタイヤを路面に擦り付け、放り出されたスーパーの袋を踏み潰しながら斜めに停まった。窓を開け、運転手が怒鳴りながら顔を出す。

「バカ野郎っ!!どこ見てフラついてやがる。信号はともかく車が見えねーのかよ、車が!・・・あれ?」

「ご、ごめんなさーいっ・・・つい考え事を・・・あれ・・・雪之丞、さん?」

「おキヌ・・・・・・?」



 少し用がある。横島は一通りGメンの追跡者を撒いて片付けた直後に、携帯で雪之丞から呼び出された。待ち合わせ場所で目の前に停まった車から、雪之丞と一緒に降りて来たおキヌを見て、彼は目を丸くする。

「ほれ、お届けモンだ・・・カオスの野郎がペラペラ喋りやがったから、俺も事務所畳んで少し潜らなくちゃならなくなったぜ。本番までは顔出せねえから、お前も大変だろーけどまあそれまで頑張ってくれ。」

 それだけ言うと雪之丞は車を走らせて去った。残される横島とおキヌ。ようやく横島は彼女に尋ねる。

「おキヌちゃん・・・どうしたの?」

「今日はみんなでお鍋にしようと思ってたんですけど・・・材料、駄目になっちゃいました。」

 おキヌはタイヤの後が付いたグシャグシャの袋を掲げて複雑そうな笑顔を浮かべた。



「そう言えば何か新鮮ですね、横島さんとこーやって二人で遊ぶなんて。」

「つーか・・・ゴメンな。連れてくのがこんな所ばっかりで。酒飲ませる訳にも行かないし。」

 3〜4時間、二人は街中をアミューズメントのハシゴで徘徊していた。ゲーセン、カラオケ、ボーリング、UFOキャッチャー、ゲーセン・・・

「いいんです、私が楽しいんですから・・・・・・横島さん・・・は?」

「ん?あーー、俺も楽しいよ。ありがとな、おキヌちゃん。」

 どう考えたって楽しい筈がない。彼は美神事務所を出てしまい、オカルトGメンに追われているのだ。そして・・・“彼女”を復活させられるかどうかの瀬戸際に立っている・・・そこまで思いを巡らせた時、胸が強く痛んだ。

「・・・・・・ごめんなさい。」

「いや、ホント良いんだ。俺の方こそ気が紛れたし。それに心配させちゃって・・・謝るのはこっちさ。」


あやまらないでください。
いっそのこと、もっともっとわたしに心配させてください。
わたしを心配で心配でしょうがなくさせて、放っとけないと思わせて、そして・・・・・・


「――ん?何か言った?」

「いいえ・・・。」



 少し疲れて喉も渇いたので休憩しようと言う事になり、二人は手頃な店を探し始めた。探してない時にはそんな店は無数にある様に思えたのに、探してみると良い感じの店が見つからない。

「あっちに夜はバーになるようなカワイイお店があったんですよね・・・どこだったかな・・・?」

「友達に教えてもらったんだ?」

「そうなんです。何か留学決まってから、私、遊びグセがついちゃってるみたいなんですよ。最近あちこちに誘われて・・・。」

「それだけみんな憶えておいてもらいたいし、憶えておきたいんだよ。おキヌちゃんを。」

「横島さんは・・・?」

「俺が忘れる訳ないだろ?それにおキヌちゃんも・・・憶えててくれたじゃないか。」

 そんな会話をしていた二人は、やがて通りの様子がおかしいのに気付いた。さっきまであった様な店が殆ど見当たらなくなり、代わりにさっきまでは見当たらなかった建物と看板が道の両脇を占める様になっていたのだ。

「HOTEL」「サービスタイム 10:00〜17:00!」「Pあり。各部屋CATV・ソニックバス完備」

 二人はそれらの似た様な看板を見回しながら思いを口にする。

「「この辺って・・・もしか・・・しなくても・・・?」」

 通行人の殆どは自分達と同じ、男女二人組のカップルばかり――もしかしなくてもこの街の一角を占める、いわゆるラブホテル地帯だった。

「――ゲッ!?いや、わざとじゃない、わざとじゃないぞっ!何かこの辺じゃないのかな〜とか言って俺が誘導して来たみたいだけど、断じてそんな事はない。俺は虚心坦懐に休憩の・・・」

 おキヌの面喰らった視線を感じ、何も聞かれないうちから前を向いたままで大袈裟なジェスチャー混じりの言い訳を始める横島だったが、その話す内容が次第におかしくなり始めた。

「ん・・・?いやいや、俺達は休憩する場所を探してたんだから、これこそ『ご休憩』だ・・・と言う事では?カラオケだってPS2だって出来るし・・・とか言って、何もしない、休憩するだけなんだよと最初は言っといて・・・こーなったらもーおキヌちゃんと行こう!なんつって・・・デヘ、デヘヘ・・・」

 ――横島がそれまでも口に出してしまっている事、そしてそんな彼をおキヌが隣でじっと見ている事に気付いたのは、そこまで喋ってからだった・・・例の、彼の持病だ。

「・・・って、ああっ!?またもや俺は思っている事を口に!?」

 更に慌てふためく横島。それを見ていたおキヌは少しうつむいて横島の前に立ち、彼のGジャンの袖を軽く引っ張った。
 動きを止める横島。彼女のうつむきながらの返事は彼にとって全く予想外のものだった。

「いいですよ、横島さん・・・もし、本当にそうしたいのなら。」

「・・・・・・おキヌちゃん?」

 今度は横島が面喰らう番だった。おキヌは顔を上げいつも通り・・・不自然な程いつも通りに、少しはにかんだ微笑みを浮かべて言葉を続ける。

「入り口で話し込んでいると恥ずかしいから、取りあえず入っちゃいましょうか。」









   ― ・ ― 次回に続く ― ・ ―




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