ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第12回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/10/ 1)




「 ふむ、ここが今の下界か・・。儂が以前来た時とはまるで別世界のようだ・・ 」
数百年ぶりに見る下界の変わりように驚きの声をあげる大竜姫

ジロジロ

( ん?何じゃ?何か視線を感じるが・・ )
街行く人々が次々と大竜姫に奇異の目を向けていく。それもそのはず、大竜姫の格好は現代とは全くかけ離れた古風な服装だったからである。

( う〜む、どうやら儂の服装に問題があるようだな。あまり下界で目立つと何か面倒ごとに巻き込まれるかもしれんし、どうしたものか・・ )
注目を集めているのは自分の服装のためだと気づき、少し考えた後、服が売っている所を探し出す大竜姫

( ・・・ん?どうやらあそこに様々な服があるようだな。よし、行ってみるか )
辺りを見回し、服の売ってる場所を発見するとすぐに大竜姫はそこの店へと入っていき、店員に勧められるまま服を小判で購入した。何故か店を出るとき店員総出でお礼を言われた。

「 ん、ちと胸が苦しいのう・・ 」
服を買ったのはいいが、どうやら胸の部分が合わなかったようである。妹よりも遥かに育った大竜姫の豊満な胸が窮屈そうにしている。

ジロジロ

( ん?まだ視線を感じる。現代の服に着替えたから問題はないはずなのだが・・ )
先ほどと同様、すれ違う人々が大竜姫に視線を向けてくる。しかし、少しばかり先ほどとは違う視線である。視線を送っているほとんどが男性だという点である。全ての女性が羨むような美貌と見事なプロポーションによって男どもの視線を釘付けにしていたのである。

( それとも他におかしい所があるのだろうか? )
大竜姫はその事に全く気づかず、他におかしな所がないかと探し出す。

( 仕方ない。とりあえずこの場所から離れよう )
結局注目を集めている原因がわからず、とりあえず視線を避けるために移動を開始する。

交差点の向こう側に見える公園へと向かうことにした大竜姫
その目の前に公園から小さな女の子が道路へとテンテンと弾む小さなボールを追いかけて飛び出してきた。そこにスピードに乗ったトラックが迫っている。
運転手は余所見をしているのか、少女に気づいていないのか、スピードを落とす気配はない。

「 危ない!? 」
少女のほうもトラックの接近には気づいておらず、ボールを追いかけたままである。たまらず少女の方へと駆け寄る大竜姫
トラックよりも先に少女の元に着くことができたが、すでにトラックは二人の眼前まで迫ってきていた。
ようやく運転手も二人に気づいたのかブレーキを踏むが、とても間に合いそうもない。

( くっ、仕方ない。超加速を・・・ )
大竜姫は一時的に時を遅らせる韋駄天と一部の神族のみに使える秘術である超加速を使おうとするが、その瞬間

ガシィッ!!
大竜姫は何者かに抱えられ、間一髪のところでトラックを避け、歩道へと運ばれた。

ドサァァッ!!
「 いたた・・、一体何が起こったんだ・・・・・・・そういえば子供は!? 」
慌てて道路の方に目をやると、トラックが先ほど大竜姫がいた場所から数メートルの所に止まっていた。
しかし大竜姫が助けようとした少女の姿がどこにもない。

「 女の子なら無事ですよ 」
慌てて少女の姿を探している大竜姫に何者かが少女の無事を知らせてくる。声のした方を向くとバンダナをした青年が先ほどの少女を抱きかかえていた。
少女はというと、まだ状況が理解できてないようで呆然としている。

「 ほっ、良かった・・ 」
女の子の無事な姿を見て安心する大竜姫

「 はい 」
そう言って女の子を大竜姫に渡す青年
「 えっ!? 」
突然少女を抱きかかえさせられて戸惑う大竜姫

「 妹さんでしょ? 」
「 いや、違うんだ。実は・・・ 」
とりあえず事の成り行きを話す大竜姫
青年はその話を聞いて納得したように頷いている。

「 そうだったんですかぁ。・・・・って、あれ?どっかでお会いしたことありません? 」
「 ? いや、初対面だと思うが・・ 」
「 そうですか・・・・・う〜ん・・・ 」

「 ウェェエエ〜〜〜ン!! 」
先ほどまで自分の置かれた状況が飲み込めずただただ呆然としていただけだった少女が突然泣き出した。
「 ど、どうした?急に泣き出して・・ 」
急に泣き出す少女に戸惑う大竜姫
ふと少女の右足に目を移すと、足を軽く擦りむいていた。どうやらそれで泣いているようだ。

するとバンダナの青年が少女の前に座り、右足の怪我した所に手を当てる。
「 いい子だからじっとしてるんだぞ 」
そう言うとボォッと青年の手が光りだす。
( ん?あれは・・文珠!?この男はいったい・・ )
大竜姫でも数える程しか見たことがない文珠を目の前にいる男がいとも簡単に造りだしていた。

「 痛いの痛いの飛んでけー! 」
そう言って手を除けると少女の怪我が完全に治っていた。

( 間違いない、文珠だ。いったいどこでこの能力を・・・。ここはひとつ探りを入れてみるか・・ )

「 あなたはどこか怪我してる所はありませんか? 」
「 !? 」
( 助けてもらっておきながら・・・・。たまに嫌気がさしてくるなぁ、この性格には・・・ )

「 あの・・・ 」
「 ん?いや、特に怪我した所はないぞ 」
「 そうですか 」

( ここは・・・礼を言うべき・・だな? )
「 あ・・ 」
「 えっ? 」
「 その・・・ありが・・とう 」
あまり礼などを言った事がないため少し顔を赤くしながら礼を言う大竜姫
「 えっ、いやぁ、お礼を言われるほどのことじゃないですよぉ。俺が勝手にやっただけっすから 」
お礼を言われて照れているのか下を向く青年

ガヤガヤガヤ
大竜姫はいつの間にか周りに人だかりができていることに気づく。
( 下界であまり目立つのはまずいな・・ )
そしてすぐその場を離れようとする。すると
「 えっ!?ちょ、ちょっ・・ 」
大竜姫が帰ろうとするのを見て、その男は何故か慌てた様子で大竜姫を引き止める。大竜姫は振り返り・・

「 縁があれば・・・・・また会おう 」
少し微笑みながらそう言い残し、その場を去った。



  以上の出来事は小竜姫とメドーサが見ている大竜姫の記憶の話である。次に横島視点でこの出来事を見てみよう。



大竜姫と少女を助ける少し前、美神に事務所を追い出され暇を持て余していた横島はルシオラがいないのをいいことに決して成功することのないナンパに明け暮れていた。


「 そこの彼女、僕と夜明けのコーヒーを飲みませんかぁ? 」  バキィッ!  「 ガハァッ!? 」
「 あっ、奥さん、俺と素敵な一夜を過ごしてみませんか? 」 ドゴォッ!  「 ブベラッ!? 」


ちくしょー!ちくしょー!!誰も俺の話の相手すらしてくれん!誰か一人くらい倒れてる俺に「 大丈夫?私で良かったら付き合うけど・・・・ダメかな? 」みたいな事を言って優しく手を差し伸べてくれる美女はいないのかぁーー!!・・・・っているわけないな。
・・・・・・・・帰ろ

と、俺がすっかりブルーな気分になって家路につこうかと思っているその時だった。
そんな俺の目に今まで見たこともないような美女の姿が映ったのだ。

「 おおぉ!!なんつー美人やぁ!最後にあの姉ちゃんに吹っ飛ばされてから気持ちよく帰ろう! 」
俺はそう口にするや否や交差点にいるその美女に吹っ飛ばされるのを前提に駆け出した。

ダダダダダダダダダダ
ダッシュで美女へと接近していく俺
そしてついに美女に声をかけようかという時に自分の身が危険な状況に陥っている事に気づく。
なんとトラックが真っ直ぐ自分と美女の方へと向かってきていたのだ。

( やっべぇ!?このままじゃ・・・って考えてる場合じゃねえ )
即座に文珠を二つ出し、『加』『速』の文字を込め、発動させる。
( 小竜姫様のように超加速とまでは言わないけど、これくらいなら・・ )

カッ!
発動させた瞬間、凄まじいスピードで美女を抱え上げ、歩道へと避難しようとした瞬間に少女の存在に気づく。
( くっ、しまった!?美女に気を取られてて、気づかなかった。こうなったら・・ )
美女を抱え上げたまま新たに文珠を一つ造りだし、『引』の文珠を発動させ、少女を自分の所に引き寄せる。
そしてなんとか無事にトラックから美女と少女を助け出すことに成功した。

( ふぅ・・、助かった。それにしても自分にしてはなかなかの判断だったな。実は俺って結構すごい奴なのかも・・・ )
自分の見事なまでの咄嗟の判断に満足する俺

「ん?」
先ほど助けた美女が何を探すようにキョロキョロとしている。
(きっとこの子をさがしてるんだな。姉妹かな?とりあえず無事を教えてあげないとな)

「 女の子なら無事ですよ 」

その声に反応し振り返る。
「 ほっ、良かった・・ 」
女の子の無事な姿を確認して安心する美女

「 はい、どうぞ 」
そう言って女の子を渡す。

「 えっ!? 」
「 妹さんでしょ? 」
( この反応・・・まさか娘だったのか?確かに人妻クラスの色気を感じるが・・・ )
「 いや、違うんだ。実は・・・ 」


「 そうだったんですかぁ。・・・・って、あれ?どっかでお会いしたことありません? 」
「 ? いや、初対面だと思うが・・ 」
「 そうですか・・・・・う〜ん・・・ 」
( どっかで見た様な気がするんだけどなぁ・・・。それよりもこんな美女に一度でも会ってたら忘れるわけないよな。・・・勘違いか )
俺はまさか自分が想像で描いていた大竜姫様が目の前の女性だとは夢にも思っていなかった。

「 ウェェエエ〜〜〜ン!! 」
先ほどまで自分の置かれた状況が飲み込めずただただ呆然としていただけだった少女が突然泣き出す。
「 ど、どうした?急に泣き出して・・ 」
急に泣き出す少女に戸惑っている様子の美女
ふと少女の右足に目を移すと、足を軽く擦りむいていた。どうやらそれで泣いているようだ。

「 いい子だからじっとしてるんだぞ 」
俺は少女の怪我している部分に手を当て、『 治 』の文珠を発動させた。
「 痛いの痛いの飛んでけー! 」
少女の傷を治し、そう言って手を除ける。これを見た美女が驚いた様子で俺に熱い視線を向けている。
(ふっ、我ながら決まってるな。ここはこの美女にも紳士的に怪我はないか聞いておくべきだろう)

「 あなたはどこか怪我してる所はありませんか? 」
「 ・・・・・・・・ 」
何故か返事がない。何か考えているようだ。

「 あの・・・ 」
「 ん?いや、特に怪我した所はないぞ 」
「 そうですか 」

「 あ・・ 」
「 えっ? 」
「 その・・・ありが・・とう 」
顔を少し赤くしながら礼を言う美女
「 えっ、いやぁ、お礼を言われるほどのことじゃないですよぉ。俺が勝手にやっただけっすから 」
( きたきたきたぁ!ちょっと顔赤くしてるし、いい感じなんじゃねえかぁ )
俺は嬉しくて緩んだ表情を見せないように下を向いた。

( まぁ、とりあえずここは名前を聞いといて、ついでに住所と電話番号を聞いてもいいところだな。あわよくばお茶に誘えるかも・・・・よし! )
「 お姉さん!これから僕と・・・・って、あれ? 」
俺が顔を上げると、先ほどまで目の前に居たはずの美女がこちらに背をむけて歩きだしていた。

「 えっ!?ちょ、ちょっ・・ 」
その美女はくるりとこちらを振り返り、少し微笑みながら・・

「 縁があれば・・・・・また会おう 」

・・と、そう言い残し去っていった。

( ふっ、縁があれば、また会おう・・・・か。・・・・・・・って、お互い名前すらわかってないってのに会えるわけねえだろうが!!せめて名前だけでも聞いておかねば・・ )
「 ちょっと待っ 「 ねえねえ、お兄ちゃん! 」
慌てて呼び止めようとするが、その声を先ほど助けた少女によってかき消されてしまう。

「 な、なに? 」
「 さっきのどうやったの?ねえ!ねえ! 」
「 ちょ、ちょっとだけ待ってね 」
一旦少女を落ち着かせ、俺は美女を呼び止めようとするが、すでに美女の姿はなくなっていた。

( くっそ〜!結構いい感じだったのに・・。こうなったら・・・ )
このままでは収まらないので俺はある決意を胸に真剣な表情で少女と向き合う。
そして・・・






















「 お嬢さん、10年後に僕の妻になってくれま 「 うちの子に何してんのよ!! 」 ドガッ!! 「 ごぼっ!? 」


と、これが横島視点での話であるが、大竜姫の事を覗いただけの二人には横島が大竜姫をナンパしようとして起こった偶然の産物だという
事の真相(しかもその後少女をナンパ)がわかるはずもなく、ただただ少女と大竜姫を命がけで助けた横島に感心していた。

「( ふ〜ん、こんな事があったんだねぇ。横島にしては、まあまあ格好いいじゃないか。なあ、小竜・・・姫!? )」
メドーサは、小竜姫の顔を見て驚いた。正確には小竜姫の目を見て驚いた。なんと小竜姫の目が漫画に出てくるようなハートマークになっていたのだ。
「( 横島さん・・・・・かっこいい・・・・さすが私の夫になる方です・・・ )」

( はぁー、もう駄目だな。完全に別の世界にいっちゃてるよ・・・。それにしても・・・やっぱ大竜姫も妹と同じように横島に惚れちまったのかな? )
先ほどの横島に完全にいっちゃってる小竜姫を見て、メドーサは一つため息をついて、大竜姫の様子を見ることに専念する。







窓の外を見ながら大竜姫は自分が去り際に横島に言った言葉をふと思い出す。



   ―――――――縁があれば、また会おう―――――――



何故あんなことを言ったのか大竜姫自身もわからない。お互い名も名乗らずに、しかも相手は下界に住む人間、再会することなどあるはずもないのに・・・。だが、あの時の大竜姫には必ずまた会えるという確信に近いものを感じていたのだった。

「 ・・・・・・ヨコシマ殿、どうやら縁があったようだな・・ 」
少し嬉しそうにそっとつぶやく大竜姫

「( あっ!?今何か喋ったみたいだよ )」
「( 何!?なんて言ったんですか? ) 」
「( 声が小さすぎて聞きとれなかった )」
「( まったく・・役に立ちませんねえ。そんなのだから任務を何回も失敗したんですよ )」
「( ふん!あんたよりマシだよ。小乳姫! )」

「 しょ・・・!?何ですってぇ!! 」
「 やる気かい? 」
「 やってやろうじゃないですか! 」

「 止めろ。二人とも 」

「 いいえ、やめません。いくら姉上でも・・・・・・あぁぁ!? 」
「 そうだ。いくら大竜姫でも・・・・・・あぁぁ!? 」
先ほどまで部屋の中に居たはずの大竜姫が小竜姫達の所まで来ていた。

「 あああああああ、姉姉姉姉姉、姉上!? 」
「 だだだだだだだ、大大大大大、大竜姫!? 」

「 何をしておったのだ?二人で儂の部屋の前でこそこそと・・・ 」

「 なななな、何ってトトトトイレですよ。ねえ、メドーサさん 」
「 おおおお、おう。全くもってその通りですよ。小竜姫さん 」

トンッ コロコロコロ
その時、最高のタイミングで『覗』の文殊が大竜姫の前に転げ落ちた。それを拾い上げ、文殊に込められた文字を見た途端に大竜姫の霊圧が膨れ上がる。
そして文珠を握りつぶし、二人の顔を見てニッコリと笑いこう言った。
「『 覗 』?」

「「 い、いやぁぁぁあああーーーーーっ!!! 」」


























パシッ  パシッ

( まったく・・何で私が座禅なんか組まなくちゃいけないんだ。・・・・まあ、小竜姫よりマシか )
大竜姫を覗いていた罰として座禅を組まされているメドーサ
小竜姫の方に目をやると・・・

パシッ  パシッ

「 お前をいう奴は・・・儂はお前をそんな妹に育てた覚えはないぞ! 」
「 うぅ・・、ごめんなさい。すいません。もう二度としませんから許して下さい。私もメドーサと一緒に座禅を組ませて下さい 」
小竜姫は大竜姫に抱え上げられ、お尻を叩かれていた。まるでおねしょをした子供を母親が叱るように・・・・・・・そう、俗に言う『 お尻ペンペン 』というものを罰として小竜姫は喰らっているのだ。
肉体的にも精神的にもかなりのダメージを負う罰である。ライバルであるメドーサの目の前でされているというのが、小竜姫の精神にかなりのダメージを負わせている。小竜姫は両手で真っ赤になった顔を隠し、半泣き状態になっている。

( 小竜姫もとんでもない姉を持ったもんだねぇ )
じっと座禅をしながら小竜姫の不幸に少し同情するメドーサ
しかしすぐに他人事ではないことを思い知らされることとなる・・・

「 メドーサ 」
「 は、はい! 」
不意の大竜姫の呼び掛けに思わず背筋をピンと伸ばすメドーサ

「 わかってると思うが、次は貴様の番だからな? 」

「 えっ?・・・・・・・ええぇっ!? 」

小竜姫とメドーサの長く厳しい夜は続く・・・・・


       【つづく】



   《あとがき》
どうも、お久しぶりでございます。もしくは初めまして、殿下でございます。
前の回から三ヶ月・・・・・・・時が経つのは早いものですなぁ(しみじみと)
色々ありました。
パソコンが故障して・・データ全部吹っ飛んで・・・パソコン買い換えて・・・・買い換えたけど、続きを書く気になれず・・・・・などありまして、ここまで更新が遅れてしまいました。読んでくれてた方々には本当に申し訳ない(平謝り)
これからも更新が遅れることはあると思いますが、いや極力早く書けるよう頑張りますが、出来れば気長に待ってて下さるありがたいです。


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