ザ・グレート・展開予測ショー

ごほうび:後編


投稿者名:偽バルタン
投稿日時:(04/ 9/27)

「なんで…そんなコト言うのさ…あたしは…ふざかてなんかない…!
…真剣だよ?」
「か…薫…?」

そう言って、ボクを見据える薫の表情は、とても真剣な物だった…
僕が…今まで見たコトが無いほどに…



ごほうび:後編



眼が据わっている…おかしい…何時もの薫じゃない。一体どうしたっていうんだ?
…暫く、無言のまま見つめあう…
……情け無いコトに、こんな時どんな風に接すればいいのか、僕は全く解らなかった。
…と…

「……そっか…皆本は……あたしのコトキライなんだ…?
だから…う…キスしてくれないんだ?…う…ぇ…グス…」
「わ、薫まて、落ち着け…」

薫のその大きな瞳がみるみる潤んでいく…
その小さな肩を震わせ、顔を俯かせ、嗚咽を漏らし…

「結局…う…皆本もおシゴトで…あたしと付き合ってただけんだな…ひ…
…み、皆本は…う…グス…他のヤツ等とは…うぁ…違うと思ってたのに…
し、信じてたのに…ぐ…う〜…うえ…ひぐ…」

ぽたぽたと、フローリングの上に涙の雫がこぼれる…ま、まさか泣かれるとは…
顔を覆い泣き崩れる薫のその姿は、普段の必要以上に元気な彼女からは想像も付かない程、弱々しくて儚げだ。
はっきり言って僕は困惑していた…
これなら、何時もの様な念動能力によるプレッシャー攻撃の方がまだマシというものだ…

「ち…違う!僕は薫の事好きだぞ!!嫌う筈無いだろ?」

誓って言おう…僕は、幼女相手にハァハァする様な倒錯した趣味なんか持っちゃあいない。
薫の事を『好き』なのは、あくまでも妹の様な存在としてだ…異性に対する恋愛感情とは違った、家族や仲間、友達としての『好き』なのだ。
…しかし、それを幼い薫が理解できる筈もなく…

「じゃあ、キスしてくれよ…」
「い、いや…それはちょっと…」
「早く…紫穂や葵が起きてきちまう…それとも……」
「あ、あのな…」
「……やっぱり…ホントはあたしのコトキライなのか…?」
「〜〜〜〜〜〜!!」

泣きはらした目…まるで捨てられた子犬みたいな表情で、僕を見つめる薫…
ここで、拒否し続けたら……薫は……
…はぁぁぁ…どうやら…他に道はなさそうだ…
…僕は覚悟を決め…彼女の肩をつかむ…
ビクッ…一瞬、その身体を強張らせる薫…

「……薫…」
「…皆本…」

だが、次の瞬間その顔に嬉しそうな微笑を浮かべ、再びその瞳を閉じる…
…クソ…不覚にもちょっぴり“ドキッ”としてしまった…
ふたりの顔が近づいていく…そして…遂に…

ちゅ…
僕は…薫にキスをした…但し、その額…おでこにだ。
…それが精一杯の妥協だった…

「…この…意気地なしめ…
…でもまぁ…イイや…“今は”これで誤魔化されてやるよ♪」
「………そりゃどーも…」

おでこを押えながら、しかしその顔ににまにまと満面の笑みを浮かべる薫。
その表情は、元気で小生意気ないつもの薫のものだった。
…何となく…薫の手の上で踊らされていた様な気がするな…(怒
でも…はぁ…なんと言うか…助かった…コレで一安心…

もそもそ…

「…って何してる!?薫!!」
「…何って…寝るにきまってんだろ?」
「だぁぁ!葵達の所へ戻れ!!ボクのベットにもぐりこむなぁ!?」
「いーじゃんかよー♪このあたしが添い寝してやるってんだからさー…
…今夜は…寝かさないぜ〜♪」
「ば、ばか…なにを…うお?…や、やめ…ひ、引きずり込むなぁァ!?」

どたんッ!
“チカラ”まで使い、強引に僕をベットに引き倒し、中に引きずり込む薫…
こ、こ、コイツは〜!!(怒
…しかも、事態はそれだけに留まらなかった。

どたどたどたッ…バンッ…

「「あぁ〜〜!!」」
「………チッ…邪魔が入ったか…」
「あ、葵、紫穂!!」

蹴破らんばかりの勢いで寝室に流れ込んできたふたりの少女…
“ザ・チルドレン”の残りのふたり、葵と紫穂は、ベッドの上で取っ組み合う僕たち…断じてヘンな事はやってないぞ!!…を目にして、怒りの声をあげた。

「何やってんねんふたりして!!」
「…薫ちゃん…おトイレから戻ってこないと思ったら…」
「ふっふ〜ん♪みて解んないかなー?…あたしと皆本はベットを共にする仲だってことだよ〜ん♪」
「…だぁッ!何を言うか薫ぅ!?」

「なッ…皆本はん…まさかホンマに…」
「…ず、ズルイ…抜駆け禁止って約束したのに…」
「もー手遅れだもんね〜♪さっきだって“ちう”してもらったもん。
“のーこー”で、“でぃーぷ”なオトナのキスってヤツをな…なー、皆本♪」
「ま、待て、薫!誤解を招く物言いはヤメロ!!ふたりも、信じるんじゃなあないッ!!」

「み、み、皆本はん〜〜!?」(怒)
「…皆本さん…フケツ…」
「もー…照れなくたっていーのに〜♪」
「だぁぁぁぁッ!い〜かげんにしろぉぉ!!」

…ホントに勘弁してくれ…(涙)
…結局そのドタバタは朝まで続き…一睡も出来なかった僕は、翌日遅刻して局長からこってり絞られる羽目になったのだった…

え、元凶のあいつ等はどーしたのかって?
…眠いから休むんだとさ…3人で僕のベッドを占領してるよ…はぁ…



終り

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