ザ・グレート・展開予測ショー

大金を手にした男の結末 〜おきぬさんと一緒〜 前編


投稿者名:yukuri
投稿日時:(04/ 9/ 8)



「ふぁぁ〜〜・・・・あれ?雨が降ってら。」


昨日、痛みを伴うおそらく世界最高のスリルを味わった横島は家に帰るなり布団にもぐった。現在時計は1時を指している。


「ん〜、今日は仕事もないし久々にナンパでもしようと思ってたのに・・・・」


予定が狂い、本日の予定を一生懸命考え直す横島。


「いや!待てよ、突然の雨に戸惑い店先で雨宿りする少女。そこに傘を差し出す俺。いける、こいつはいけるでぇえ!」


転んでも只では起きぬ男は今時レインコートを着た純粋そうな少女も捨てがたいなどと叫びながら勢い良く立ち上がると着替えを始めた。


「よし、こいつぁ早速街に繰り出さねば・・・・あれ?なんか文殊が減ってるような・・・・・」


横島が体内にストックできる文殊にも限りはある。満タンになった場合彼は部屋においてある瓶にビー玉のように保管してあった。


「1,2,3、4・・・・ん〜、覚えてねぇけど何かに使ったのかな?ま、いいや。それより早く街に」


コンコンコン


インターホンの無いドアからノックの音が響く。来客の予定は無かったはずだと思いながらも横島はドアを開ける。


「こんにちは・・・・くすっ、その様子だとおはようございますになるのかな。早く用意してくださいね?」


「おきぬちゃん!?え、用意って何のかな?」


横島は寝癖の付いた髪をボリボリ掻きながらおきぬに尋ねる。


「横島さんったらひどい・・・・今日私の里帰りに付き合ってくれるって言ったじゃないですか。」


「!」


すっかり忘れていた。どうやら昨日岩にぶつかった衝撃で少し記憶が損失されたようだ。


「い、いやぁ、こんなに雨が降ってるからまた今度にでもなったのかなぁ〜・・・・と。」


苦し紛れの言い訳をしながら空を見上げる。勿論そこにはところどころ黒ずんだ天井しかない。


「もぅ、いいですよ。それよりちゃんと来てくれるんですよね?」


「あ、あぁ。おきぬちゃんが雨でもかまわないなら。」


「よかった。それなら支度しますよね?私、傘が壊れちゃったんでちょっとコンビニへ行ってきます。」


「うん、できるだけ早く済ませるから・・・・・・・・」



10分くらい経つと横島の用意は終わった。外へ出るとそこには丁度買い物を終えたおきぬちゃんの姿があった。


「ごめん、待っ・・・・・た?」


「いえ、私も今戻ってきたところですから。ん?どうかしました?あ、これですか?傘が売り切れちゃっててこれしかなかったんです。」


おきぬは少し恥ずかしそうにしながらレインコートに包まれた体をふりふりと動かす。その様子は純粋無垢な少女そのものだった。


「似合ってるぞ!おきぬちゃん!ぼくぁーもぉーー!!」


そういいながら横島はおきぬに抱きつく。その衝撃でおきぬのバッグが落ちてしまった。


「あ!」


必要以上に驚くおきぬ。その視線の先にはバッグから飛び出たビー玉らしき物体数個とトランシーバーのようなもの。

あわてて拾い集めたおきぬはごまかすようにこう呟いた。


「・・・・・あぁ〜、カバン濡れちゃったぁ。もぅ、横島さんったら!」


「ご、ごめん・・・・・・ってかおきぬちゃん。さっきの何だったの?」


横島の余計な詮索にぴくっと体を震わせるおきぬ。


「・・・・・ラムネのビー玉とラジオですよ。私、飲んだ後のを集めてるんです。ラジオは今ので壊れちゃったみたい。ほら、何も聞こえないでしょ?」


おきぬはそう言ったがかすかに水の流れるような音がする。横島は家の蛇口を出しっぱなしにしてしまっていたのを思い出した。


「あはははは・・・・・そ、そうなんだ。ごめん、今度弁償するから!」


「いいんです。そろそろもっと音を拾いやす・・・・音がいいのに変えるつもりでしたから。」


「オキヌシャン、ショ、ショロショロイキマショウカ。」


横島は震える声を正常に戻すことも出来ないままおきぬを促す。 永い旅になりそうだ。











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