ザ・グレート・展開予測ショー

奥様はドラゴン


投稿者名:純米酒
投稿日時:(04/ 8/20)

旦那様の名前は 忠夫

奥様の名前は 小竜姫

ごく普通の二人が

ごく普通に恋をし

ごく普通の結婚をしました

――――――・・・が

ただ一つ違ったのは、奥様は

『ドラゴン』

だったのです

(・・・竜神ですよぅ・・・)

―――――――――――――――

妙神山修行場の一室。

薄暗い部屋の中で、一人の女性が艶やかな声を洩らしていた。

「っつぅ・・・・忠夫さん・・・もうちょっと優しく・・・痛っ・・・あぁ」

僅かに開かれたまぶたから、涙がこぼれおちる。

「ダメダメ、これぐらいは耐えないと・・・そのうち気持ちよくなるから、ね?小竜姫♪」
好色そうな、ちょっとばかり下品な笑みを浮かべて行為を続ける横島。

小竜姫はそんな表情に一抹の不安を感じ取り、シーツを握る手に力をこめる。

「辛くなったら言ってくださいね」

「・・・はい」

出来る限りの優しい声で語りかける横島に小竜姫は、はにかみながら応じる。

横島の手が小竜姫の体を刺激する。

「ぃいっ・・・はぁ・・・くぅ〜〜っ・・・・・・・・」

「ん〜・・・だいぶ良くなってきたようだね♪」

快感から発せられる声を耳ざとく聞き取り、横島は更に力を込める。
しかし、それがいけなかった。

「いったぁいっ!力入れすぎです!!」
激痛を感じ大声をあげて、手足を振り乱す小竜姫。

「あ、ちょっと落ち着いて・・・暴れたら最後まで・・・うぎゃっ!」
バタバタと振り回された小竜姫の手が、裏拳気味に横島の顔面に当たってしまう。

竜神の一撃に只の人間が(?)耐えられるはずも無く、あえなくココで終了となってしまう。










「あ〜・・・でも大分こりがとれました。ありがとうございます忠夫さん」
ついさっきまで揉まれていた『肩』を廻しながら笑顔の小竜姫。

「いやぁ〜無茶をお願いしてるのはこっちの方だからね。『マッサージ』位ならいつでもしますよ」
鼻を抓まんで鼻血を押さえながらの笑顔のため、横島は少々くぐもった声で答える。

「でも、なんで今更『神通ヌンチャク』の修練を?
 私としては忠夫さんがどんな武術を身につけても構わないのですが・・・
 霊波刀という能力が有るのですから、剣術を磨いたほうがよくありませんか?」

緊張していた筋肉をほぐす様な動作をしつつ最愛の夫であり、弟子の横島を見る。

「えっ?いやぁ・・そ、それは、栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)を使えなくなった時のために・・・」

横島には『久しぶりに見たアクション映画に感化されて、ちょっとやってみたくなった』などと言えなかった。

「そうですか。一時的な入れ込みではないようで、安心しました♪」

(正直に言わんでよかった・・・DVDは早めに返却しといたほうがいいな・・・)

笑顔の小竜姫に罪悪感を覚える横島だった。




その頃、別の部屋では・・・

「パピリオ、X−B○X見なかったかのぉ?」
咥え煙草の斉天大聖老師が、半紙に筆を走らせている幼い魔族に声を掛ける。

「ヨコチマの部屋で見たでちゅよ」
筆を置き、ゲーム仲間であり師匠でもある老師に答える。

「そうじゃった、あやつ久しぶりにDVDを見るとか言っておったな・・・」
煙草の灰を携帯灰皿に落としながら思い出したように呟くと、横島の部屋に向って歩き出す。

「わたちも行くでちゅ!」
硯(すずり)に残った墨を捨てると、手早く後片付けを済ませて立ち上がる。

そんなパピリオに眉をしかめる老師だったが、一人ではつまらないことは十分承知しているため何も言わなかった。



横島の部屋に入り、目当ての物を見つけてさっさと返ってきた二人がX−B○Xの電源を入れると、
中にディスクが入っていたのか起動音と共にX−B○Xが動き出す。

「なんじゃディスクを入れっぱなしにしとったのか・・・」

「ヨコチマはわかってまちぇんね!入れっぱなしにしておくとディスクに傷が付き易いんでちゅ!」

「まぁ奴は機械とかには疎いからの・・・
 ふむ・・・パピリオ、奴の部屋にこれと同じロゴが入ったケースが有るはずじゃ。探して持ってきてくれ」

「机の上に置いてありまちたね・・・すぐに戻ってくるでちゅよ。ソレまで猿爺ぃは説明書でも読んでるでちゅ!」

「フンッ!言うようになったのぉ・・・後で泣いても知らんぞ?」

「それはコッチのセリフでちゅ!」



パピリオも戻ってきて二人でゲームに熱中していると、先ほどまで二人で話をしていた横島と小竜姫が戻ってきた。

「老師・・・パピリオ・・・またゲームですか?」

何時もながらの光景だが、ついつい小言が口をついて出てしまう。

「なんじゃ小竜姫、戻ってきたのか。随分とおそかったのう」

「うぅ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・猿爺ぃ、ズルしてまちぇんか?」

小言を受け流す老師と完全に無視するパピリオだが、これも何時も通りのことなので二人は特に何も言わない。
このまま会話が終わりかと思われたその時、パピリオがDVDケースを横島に差し出す。

「ヨコチマ、DVD入れっぱなしでちたよ。これ、レンタルでちゅよね?もっと丁寧に扱わないといけまちぇんよ」

「あぁ・・・スマンスマン。どうもビデオの時の癖が抜けなくって・・・」
渡されたDVDを受け取りながら苦笑いを浮かべる。

「何の『でぃーぶいでぃー』を見ていたんですか忠夫さん?」

小竜姫が横島の手元を覗き込む。すると・・・

「○えよドラゴン」

というタイトルと共に、ヌンチャクを構えた男が目に入ってきた。

固まる小竜姫をみて、横島は少しづつあとずさる。

(ヤ、ヤバイ・・・嘘をついていたのがばれてしまう!)

仮にこの映画でヌンチャクに興味を持ったと言っても、小竜姫は責めなかっただろう。
だが、『久しぶりに見たアクション映画に感化されて、ちょっとやってみたくなった』という態度が
普段は鈍い小竜姫でも、今の横島の仕草からはアリアリと感じる事が出来た。





「嘘をついたんですね?」

「・・・・・・・・・・(汗」

「一時的な入れ込みだったんですね?」

「・・・・・・・・・・(汗」

「いい加減な気持ちで私をもてあそんだのですね!?」

「いや、もてあそんだつもりは・・・」

「おしおきです!!!」
手にした神通ヌンチャクに竜気を込めて振り回す。

「かんにんやー!男ならこういうのに憧れるのも仕方の無い事なんやー!!」
泣き叫びながら逃げ惑う。




「まったく・・・仲がいいんだか悪いんだか・・・」
短くなった煙草を灰皿に押し付ける。

「・・・夫婦喧嘩は犬も喰わないって本当でちゅね・・・」
相手がコントローラーから手を離した隙を見逃さない。

TV画面では、奇しくも同じ映画に影響を受けた男が勝ち鬨をあげていた。



中途半端に影響を受けた方はというと、ヌンチャクでぶたれた後に鋭い跳び蹴りをくらってK,Oしていた。

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