ザ・グレート・展開予測ショー

こんな最終回の方が・・・


投稿者名:三遊亭楽栄
投稿日時:(04/ 8/18)

ばたばたばたと足音が近づいてきました。

「大変なんです!美神さんが…美神さんが…」

あふぅと息切らすようにおキヌちゃんは喋っています。
心臓も早くなっているようです。

「どうしたんです!美神さん!」

慌ててドアを開けて入ってきたのは横島さんです。
見回しても、美神除霊事務所の壁で一杯です。
でも、今日は違いました。
美神さんが、椅子に座って机に座っているだけで、何もしていないのです。

「あら〜〜?どうしたの〜〜?」

この語尾を発する人は確か…?と首を傾げました。
でも、幾ら見ても美神さんであることは間違いないのです。

「美神さん?美神さんですよね?
 そのこんもりしたオチチ、すらっと膨れたような膨れていないようなフトモモ…」

すっと思わず触る横島さんでした。
でも、いつも瞬間に来るはずのエルボーに代わってきたのは声だけでした。

「きぃやぁーーー!」

その叫び声も、確かに美神さんでした。
でもその二言目もはっきりと違いました。

「もぅ〜横島クンてば〜!」

やっぱりおかしいのです。
そこですかさず聞いたのでした。

「あのー?ひょっとして頭打ってません?」
「え〜〜?令子ちゃんとなら頭打ったけど〜〜〜?」

ええ!

思わぬ発言に後頭去るタマモにシロ、おキヌちゃんでした…
そして横島さんは意識呆然と頭の中が止まっていました。

令子ちゃん。

この言葉が出て来て、ようやく本人じゃないと分かりました。
そして、この語尾からして…

「もしかして、その喋り方からして冥子さんじゃないですか?」
「あら〜?何で分かったの〜?」

後ろで、手を振って「分かりますって」とおキヌちゃんは小声で突っ込んでいます。
シロはホッとした様子でしたが、タマモは何だとばかりに踏ん反り返っていました。
その頃、六道邸ではと言いますと…。

「あら〜。まぁまぁまぁ、美神さんのモノマネ〜?」
「本人なんだって言ってるでしょ、おばさん。」
「あらやだ〜、本当になりきってるわね〜。オバサンだなんて〜本物みたいよ〜。」
「だからー本人なのよーー!」

さうです。
美神さんは冥子のボディをしていました。
それにつれて話の噛み合わない、冥子の母親でした。

美神除霊事務所には。
どうしてそうなったのか聞き出そうと横島さんが問いつめているところでした。
でも話は進展しませんでした

「令子ちゃんがね〜。とりあえず体と在っている方の家にいた方が〜いいって言うから〜。」
「だから、何で頭を打ったんですか?」
「よく分からないのよ〜」

そこに丁度電話がプルルルルとなりました。
おキヌちゃんは取ろうか取るまいか悩んでいました。
その横から横島さんが左手で受話器を持ち上げ耳に当てました。

「はいもしもし、こちら美神除霊事務所ッスけど…」

そこへおキヌちゃんがもう片方の耳にちょっとと小声を挟みました。
横島さんが、受話器の話す方を右手で抑えると何と聞き返します。
「勝手に依頼を受けるつもりですか」と言うと、横島はちちっと舌打ちをし話し続けました。

「どちら様でいらっしゃいますか?」

表現を丁寧にしただけで、やっぱり依頼を受けるつもりなんだろうとおキヌちゃんはハラハラしていましたが、
シロは耀いた目で見ていました。

「はい、…はい、」

電話越しに話す横島さんを見ていて、おキヌちゃんはハラハラとしていました。

「わかりました。新宿のアルタ前あたりでお会いしましょう。じゃあお願いしますね。」

そう言い終わったところで受話器を置くと、おキヌちゃんは横島さんの顔を見ました。
横島も、おキヌちゃんの顔を見ると唇を引き付け笑いかけました。
すろとシロはパタパタと尾を振りました。

「私事で御座るな!拙者も行くでござる!」
「あ、いやいやシロとタマモはここで待っててくれ。じゃあ美神さんとおキヌちゃん、行くけどサポートお願いできるかな?」

珍しい言い方をする横島さんでした。
美神さんの格好をした冥子さんは小指をくわえてこちらを見ています。
するとおキヌちゃんはヒョイと横島さんの肩に首を乗っけました。
気がつくと横島さんは答えました。

「いやぁ〜。こらまた奇遇なもので。
 俺宛にさ、文殊を出して欲しいという女性がいたんスよ。
 それで、とりあえず新宿アルタ前で待っているって言うもんだからさ。」
「その人は?」

おキヌちゃんは名前を聞くつもりでしたが、名前は聞き出せずB92W53H91の女性だとしか分かりませんでした。
美神の格好をした冥子さんは、何も出来ませんでしたが「行くぞ」と言う言葉に付いていこうとするだけでした。


そして…
横島は17歳だけに、車に乗れません。
冥子さんに頼もうとしましたが…余計に怖くて出来ません。
式神でさえ暴走すると言うのに、コブラを暴走させたら…あとで本物の美神さんに殺されかねないという過敏症が捨て切れません。

そこで、西武池袋線で池袋に出て、そこからJR山手線で新宿に出、西口からある多方面に歩きました。
でも…
周囲の目つきの怖い事です。
美神さんのバストに目の眩む者も居ました。
その美神さん(=冥子さん)の手を取っている横島さんに妬みつける者も居ました。
それに加え、おキヌちゃんの手も取っている横島にとっては両手に花の状態のはずでした。
でもそのような心境になれず、周囲の睨まれる目の数に冷汗を流しっぱなしでした。

電車の開け閉め時に真っ先に見られる状況とあっては尚更でした。
降りて乗り換える間もずっと何かに監視される感覚に襲われ、「何あれ」とオバハンからののしられる事約1時間半、
美神さんの格好をした冥子には、切符をみてはしゃいだりと手を焼かれるし、耐え切るまでが大変でした。

新宿アルタ前に何とか着きました。
なんとか、指定のあった16時半までには着いたのです。

しかし、そこからが最大の不幸が訪れる事になりました。

「ここが〜アルタ前〜」
「まちがっても、まるたまり さんの場所何て言っちゃダメですよ?」

ピッキシッッ!!
アルタ前 と まるたまり を聞き違えた通りすがりの人たちは凍りつきました。
そしてアルタには、丁度某音楽番組の模様が映し出されていました。

公開録画のVTRも流れており、黄色い着物を着た、それは五六十代の演歌風の人が20数年ぶりに某名曲をデジタルマスタリングで
再録音をしたとのことで、呼ばれて舞台に立っていました。
その人の名前が、アルタの大画面の下側に「歌 林家木久蔵」と打たれてありました。

「どーぞ」と言う言葉に、音楽が流れ始めました。
それに合わせ、華麗なタップダンスを踏みながら、黄色い着物を着た演歌風の人が歌い始めました。

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこぉはお耳なの、ウッフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪吐息あついわよ、ンフン

この光景を見た、美神姿の冥子さんはおおはしゃぎです。
楽しそうに見ているばかりか、体を音楽に合わせ林家木久蔵と同じステップで踊り始めたのです

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこぉはお目目なの、ウッフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪マツゲ長いでしょ、ウッフゥン


すると今度は、冥子さんが美神さんの姿だと言う事も忘れ「一緒に踊りましょ〜」と誘いかけてくるのです。
横島さんは最初のうちは断っていました。
それとは他所に、冥子さんは美神さんの体のままで続けているのです。

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこぉはお口なの、ウッフゥン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪お口痛いわよ、ウフン

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこーはオヘソなの、ウッフ〜ン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪ゴマを取っちゃダメ


気が付くと、周囲には人だかりが出来ていました。
中身が冥子さんだとは知らずに、美神令子が新宿アルタ前で踊っているモノだと思って見ようと集まってきていたのです。

「なんだなんだ!」
「へぇ〜あのボディコンがこんな所でパフォーマンスか!」
「こりゃーーいいなぁ。あのチチ・シリ・フトモモ…」

にやけてみる者が大半で、殆どの女性が「何あれ」と呆れているようでした。

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこぉは違うわよウッフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪イヤよイヤなのよ、ウフン

♪ダメよダメダァメ だぁめぇ
♪そこはダメなのよ、ンフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこーはお尻なの、ウッフゥン

ここでついに妙な野次馬に気が付いた巡回中の警察が身を乗り出しました。
しかしです。
中心部にいる人物が誰かを知るとうろたえて逃げていくのです。

「うぎゃああ!美神令子ーーー!!!」
「すいませんすいません、見逃すから手を出さないでーーー!!!」
「中学の頃と変わって無いじゃないかーーー!」

「え〜?」

美神姿の冥子は、尚も林家木久蔵のタップダンスと歌に合わせ踊りながらも気付いているようでした。
しかしその様な事などお構い無しに、直ぐに忘れ面白そうにずっと続けていました。


「いいわよ〜これ〜?ねーー、横島クンも踊りましょーよー♪」
「で、でででも俺…」

しどろもどろに周囲の視線に怯えながらも答えます。
しかし冥子が横島さんの手をとって周囲に立たせてしまいます。

「えーい、こうなったらもうヤケクソじゃーー!」
「よ、横島さんまで…!じゃあ私もっ!」

こうして、ついに三人とも始めました。
その周囲には、中年風のアマチュアカメラマンがわんさかとビデオに収めていました。

♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこぉは背中でしょ、ウッフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪それは背ボネなの、ウフゥ〜ン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪そこはお膝よ、ンフン
♪いやんばか〜ん んっふん
♪それぇは魚の目よ、ウフン


そして気が付くと、フジテレビのカメラマンまでが来ていて、克明にリポートマンまでもが付いて生中継でアナウンスしているのです。
それは全国ネットで流れており、この光景が六道家でも見られていたのは非常に不幸な事だったのです。
その六道家のテレビではこうなっていました。

「だめ、冥子、やめて!」

テレビに向かって叫ぶ冥子姿の美神さんの姿がありました。
六道のおばさんも見ていて、呑気にも「美神さんて面白い方ね」の一言で済ませます。
それではすまない様子でした。
テレビを通して見ている冥子の姿をした美神に、そのおばさんの二人でしたがどうにも止まりません。
勿論、その冥子の格好の美神は音楽番組を収録しているテレビ局に電話をかけてみました。

  ♪イヤよダメダァメ だぁめぇ
  ♪シャベビビビバァバ
  ♪ウッフン、ダメダメ だぁめえ
  ♪あ、そっこ、ソコなのよ


「あの、至急その音楽番組をとめてください」
「ですが収録途中なんですよ」

苛立ちを隠せない美神としては、苦し紛れにお願いに掛かりました。

「そこを何とか!あとで口止め料を10億でも20億でも支払います!」
「そういう問題じゃないでしょ?」

しかしどうしても相手にしてもらえません。
その間にも刻々と時間は過ぎていきます。

「あらぁ〜すっかり美神さんみたいな口調になっちゃって〜」
「だぁかぁらぁ、本人なんだってばー!」


  ♪ソコよ、そっこそっこ、そこぉ
  ♪そこーがそうなのよ、ウッフン
  ♪いやんばか〜ん んふ〜ん
  ♪ソコよソッコなのよ

  ♪イヤバ、ばばばば、ばぁびぃ
  ♪タリラビビババ ババー
  ♪そそーそ そーそそーそ ババン
  ♪ココッコ、こっここっここ


三人がもはや止められないほどにハッスルしてクライマックスに差しかかりました。
美神本人にとっては、もはやあきらめ状態です。

 
  ♪びばっ ばっば ばーん
  ♪いやば、ばばばばばか〜ん
  ♪いやんばか〜ん ばか〜
  ♪いやよダメダメ、だぁめえー

  ♪いやんばか〜ん んっふん
  ♪そそっそ そっそそっそそ
  ♪ととっ とっとっと とと
  ♪いやよバカばか〜ん………


    「おか〜さ〜〜ん!」



アルタの前で、林家木久蔵の歌にのめりこんだ3人はついに歌い遂げダンスを負えました。
しかしその時には、警備隊が周囲を囲んで盾を突き出し止めに掛かっていたのです。
その後ろには、エミとカオスの2人が腕を組んでニヤニヤしながらも。


「こうもあっさり引っ掛かるとは思わなかったワケ。」
「そうじゃな。冥子とあの美神の体を、この『霊体入替え器』で移し替えてな。」
「ほーーーっほっほっほっほ!令子!
 これで、今回はオタクの負けなワケ!ビデオもしっかり撮ったワケ!」

ここで今ようやく気が付いた横島は聞き返しました。

「じ、じゃあ…B92W53H91の女性って…」
「私なワケよ。」

横島の脳は次々と凍結をはじめている様でした。
こうして騙された横島クンはしばらく動けなかったようです。














その頃でしたが…

「だーかーらー、私が美神令子、本人なんだってば!」
「そういえば〜語尾が延びてないわね〜。」











かくして、翌日の各社新聞には「ジュリアナ発狂!?アルタ前での失態」だとか「ボデコン除霊師の何たるザマ」、などなど一面で書かれていました。
この後しばらく、横島はあまりの情けない作戦の前に凍り付き、おキヌちゃんと美神さんはあまりの恥ずかしさに表を歩けなかったそうです。


ああ、我らがボディコン除霊師・美神令子どこに行く!
これからの極楽的作戦はこれから始まるのでした!
Fin

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