ザ・グレート・展開予測ショー

〜不断の想い 2話〜


投稿者名:トト
投稿日時:(04/ 8/12)

あの後、試合が終わって結界から出たと同時に美神さんに拉致られた。
そして今現在、俺は非常口前の床にボロ雑巾のように平伏している。
何故こんなことになったのか……………



『横島君!! ちょっと来なさいっ!!』
『え? ちょっと美神さ、ぐえっ!?』
俺が結界から出たところをいきなり美神さんに襟首をつかまれて連れて行かれた。

『さて、横島君さっきの試合のことだけど………………』
俺を非常口まで連れてきて美神さんは話を切り出した。………が、俺は横島忠夫だ、やらないわけにはいかないだろう、いやむしろ条件反射と言ってもいい。
そう、いつものアレをやってしまったのだ。
『美神さーんっ!! こんな人気の無いところに連れて来てやっと俺のもっ、へぶっ!!』
『お前は結局それかーーー!!!』
美神さんに飛び掛ったはいいが、やはりいつものごとく激烈な反撃を受けた。
右ストレートに始まり左フック、右アッパー、ミドルキック、果ては神通棍まで持ち出しさらに連撃を加えられた。………………いつもより激しくないですか?



そう言うわけで現在に至る。
「横島君ふざけるのはやめてちゃんと答えなさい」
「は、はい」
怒気を孕んだ声でそう言ってきた。
「それじゃ、さっきの試合だけどあの銃はいったい何?」
ずばり聞かれた。当たり前か………
(やっぱり時間逆行してきたなんて言わないほうがいいよな………)
「横島君にあんなことができるなんて…………どういうこと?」
「えと、あれは…………」
「あれは?」
「そ、そう! 心眼!! 心眼のおかげなんです!!」
心眼のせいにした。が………
「そんな嘘が通用すると思ってるの? あの銃を見たときの小竜姫の驚き方、知っているようなものじゃなかったわ」
あっさり見破られた。
やはりこんな嘘では騙されないか。
仕方ないもっとちゃんとした嘘をつこう。
「す、すんません、実はあの銃は知り合いに貰ったものなんです」
「貰った?」
「はい、知り合いの使っている『呪式』そのまま体に植え付けてもらったんすけど」
ある意味、嘘は言っていない。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
沈黙の後、美神さんが
「そうわかったわ。それは信じてあげる」
結構簡単に信じてもらえた。
「は、はい、ありがとうございます、美神さん」
あれは微妙に納得していないって顔だな。
「それじゃ、もう一つ」
「え? まだ何か?」
なんだか嫌な予感がする。
「その『呪式』ってのをあんたに与えたのは誰!?」
「だ、誰って………」
「半人前の横島君が使ってあれだけの威力なのよ私が使えば更にすごい威力になるわ!!」
(しまったぁ!! この人はこういう人だった!! なんて迂闊なんだ俺!!)
「さあ横島君、誰なの誰に貰ったの!? 教えなさい!!」
すごい勢いで迫ってくる美神さん。
「だ、駄目ですって」
「何でよ!?」
「その人に自分のことは誰にも教えるなってきつく言われてるんです!!」
「どうしても?」
「どうしてもです」
「絶対?」
「絶対」
「ちっ!! しかたないわね………」
わかってくれたようだ。
「今度、自白剤でも………」
撤回、わかっていないようだ。
「美神さ〜ん」
「じ、冗談よ、冗談、あはははは………」
(う、嘘だ絶対。あれは本気の目だった。)
「まっ、真相も納得いかないとこもあるけど解ったし………」
やっぱり俺は美神さんが案外簡単に納得してくれたことに驚いていた。
「それじゃ、私はいくわね」
「はい、すんません、いろいろ勝手なことしてしまって………」
「まっ、強くなったんだからいいわ」
「はい」
「じゃあね」
そう言って美神さんは観客席のへ戻っていった。
「ふぅ、なんとか誤魔化せたな」
そんなことを言っていると………
『では今度は私に説明してもらおうか?』
いきなり心眼が話しかけてきた。
『し、心眼!?』
『私に誤魔化しは通用せんぞ真実を話せ』
一難去ってまた一難とはまさにこの事だ。
(……仕方ない心眼には本当のことをしゃべるか)
『わかったよお前には話すよ』
『うむ』
そして俺は心眼に未来から時間逆行してきたこと、あの銃は神砕雷(ケラヴィノス)と言う神器だということ、そして彩峰ナコトと言う人物に神砕雷を貰ったということを話した。
『ふむ、なるほどお主がこの時代の横島忠夫ではないということはわかった。では、この時代の横島忠夫はどうなってしまったのだ?』
『どうなったかって言われると同化したって言うのが一番適切かな』
『同化?』
『ああ、なんて言ったらいいかな…………、そう例えばコンピュータで言うアップデートのことだな』
『あっぷでーと?』
『ああ、コンピュータってのは古いデータに新しいデータを上書きすることができる』
『うむ』
ホントに解ってんのかどうか怪しいな。
『それと似たような感じでこの時代の『俺』に未来の『俺』を上書きしたようなものなんだ。』
解っていようがいまいが話は続ける。
『ということは………』
『そう、今の俺はこの時代の『横島忠夫』であって未来の『横島忠夫』でもあるんだ』
解ってたみたいださすが心眼、小竜姫様とは一味違う。
小竜姫様だったら横文字が出た時点で理解不能だろうし…………
『なるほどのぉ………』
納得しているところを悪いがまだ話は終わっていない。
『ただ』
『む? まだ何かあるのか?』
そう言った俺に心眼が聞いてくる。
『ああ、未来の俺と同化したことで記憶が曖昧になってんだ』
『未来のお主の記憶と同じではないのか?』
『だと良いんだけど何か嫌な予感がするんだよなぁ』
そう言うと試合会場のほうから審判の声が聞こえてきた。
「ではこれより鎌田勘九郎選手対ドクター・カオス選手の試合を始めます」
「………………」
『………………』
「………………」
『……どうした?』
「………………」
『?』
「なにぃーーーー!!!!!」
非常口に俺の叫び声が響き渡った。

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