ザ・グレート・展開予測ショー

大金を手にした男の結末 〜シロさんと一緒〜


投稿者名:yukuri
投稿日時:(04/ 8/ 8)


「いやぁ〜、あの店の肉凄く美味かったでござるな〜・・・・散歩にも力が入るってもんでござるよ!」


「シロ?散歩ってのはもっと力を抜いて気晴らし程度にするもんだと思うんだが・・・・・」


「うわぁ!先生の言ってた通りここすっごく眺めがいいでござる!!」


「・・・・・・・・・うん、良い景色だな。ほんと。」


そういえばいつのことだったか散歩とは不老長寿の薬と信じて飲まれてきた薬が実は劇薬で体温が異常に上昇し、
その熱を逃がすための手段として風通しの良い服を来て歩き回ることをさす。すなわち熱を「散らすために」「歩く」だと聞いたことがある。
正に散歩は命がけ。劇薬を飲むには至らないまでもここまで散歩の危険さを知った人間は俺を含めこの世界に何人いただろう?


「せんせっ。そういえばあれだけ大量のお金、使い道はちゃんと決めてるんでござるか?」


「ん?あぁ、まずは家だな。正直あのアパートは狭いし風呂もついてないからな・・・・・」


「広い家!?そ、それなら拙者先生と暮らしたいでござるよ!前は狭いからという理由で断念させられたのが悔しくて悔しくて。」


「(やべっ)い、いやっ!まだ家を買う金を手に入れた理由を美神さんに納得させられるほどのは思いついてないから・・・・ははは」


「くぅ〜ん・・・・」


大金を手にしたものが失ったものの一つ。それは購入の自由である。金はあるのに欲しいと思うものが買えない。このジレンマとこれからも戦わなくてはいけないだろう

。横島がもうすこし頭がよければ打開策も見つかり、自由な買い物が出来ただろうがそこは自分のせいだと諦めていただきたい。



「先生、あの〜・・・今度時間が取れたらでいいんでござるが、拙者の里帰りについてきてくださらんか?」


「里って人狼の村のことか?ん〜、別に断る理由もないし暇ができたらってことでいいんならな。」


「はいっ!それで充分でござる。そのときはあの店にも負けない料理を振舞うでござるよ♪」


「おっ、いいなぁ!んじゃあ楽しみにしてるぞ。だがドッグフードは勘弁してくれよな。」


「大丈夫でござる。いくら拙者でも客人にドッグフードをそのまま出すようなことはしないでござるよ。」


「そのままでってなんだ、そのままでって・・・・言っておくが調理しようがしまいがドッグフードは食わんからな!」


「え?でもこの間先生は『こらうまい!こらうまい!久々のたんぱく質や〜〜!!』って喜んでいらしたのに・・・・」


「はうわっ!?まさかあん時の肉って・・・・ドッグフード??」


「はいっ!ちなみに『斬新な味』と仰ってたポタージュのクルトンはドライタイプでござる♪」


「イモリとドッグフードは嫌ぁーーーーー!!」


「はっはっは、拙者も流石にイモリは食えんでござるよ。」


「笑い事じゃねえよ、ほんとに・・・・・・・・」




他愛の無い会話をしているうちにいつの間にか夜も更けてきていた。遅くなっては美神に何か感づかれてしまうではないか。どうする横島!?



「あ、もうこんな時間になっちまってる。シロ、俺が許す。帰りは全速力だ!!」


「えぇ〜、全速力は嬉しいんでござるがもう帰るんですか?あ、それじゃあ明日の朝の散歩にはまたここに来るでござるよ!」


「わかった!わかったから早くしてくれ。お前も師匠が美神さんにしばきたおされるのは見たくないだろ?」


「うっ・・・・わかったでござるよ。それじゃあ早く自転車にまたがってくだされ。」


「おぅ、(がちゃ)あれ?ブレーキのワイヤー伸びきってやがる。シロちょっとまて今ワイヤーを・・・・」


「とばすでござるよ〜!しっかりつかまっててくだされ!!わぉーーーーーん!!!!」





ドギャン!!



何故俺は全速力といったのか?いくら時間が無いからといってこの山岳ステージテクニカルコースをシロの全速力で走ればどうなるか、良く考えれば分かったはずだ。しかも、ブレーキは利かない。文殊も打ち止めだ。あぁ、お母様。また前方にカーブが見えます。その痛々しいほどに隆起した岩肌は僕の左ほほを容赦なく削り取ります。すでに横島号は原形をとどめておらず、後輪は吹っ飛び、某有名宇宙人とのふれあい映画のように空飛ぶ自転車と化しています。オキヌちゃんごめん。明日、実家には一緒に行けないかもしれないよ。カルビ、おいしゅうございました。ハラミ、おいしゅうございました。ビビンバ、おいしゅうございました。ドッグフード、おいしゅうございました。








ドライタイプも・・・・・おいしゅうございました・・・・・・・・・・


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